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hiromi1960

Author:hiromi1960
広島県東広島市在住
政治や社会問題に物申す
子供たちにツケを回さない社会を目指す
中央大学法学部卒


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裁判とは

先般、友人から是非読んでみてと渡された本
「なぜ君は 絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」 門田隆将著

そうです。あの光市母子殺人事件の被害者遺族である本村洋さんを
追っていた門田氏が書いた本です。

あまりに有名になった事件なので 興味深く読ませてもらいました。
当初から 涙があふれて止まりませんでした。
私たちは、テレビや記者会見で 毅然として
司法や被告人側と闘っている本村氏を知っている。
それで 彼自身を知っているつもりになっている。
でも、本当は、そこまでくるには、
絶望や後悔や孤独や悲しみの中で 死を選ぼうとし、
あの強く、落ち着いた彼になるまでには、
大変な苦しみがあったこと、
そんな彼を支え、励ましてくれた人たちがいたことなどが、
この本によって分かります。

彼が、子供の頃から持病があり、
子供は持てないかもしれないと言われていた中での夕夏ちゃんの誕生であったこと、
弥生さんは、母子家庭で とても思いやりのある女性で
彼女のお母さんの悲しみがどんなに深いかなど
私たちは、何も知ってはいないのです。

本村氏が一審の判決後の記者会見で語った言葉
「裁判は、被害者に代わって加害者を裁いてくれるところだと思っていました。
でも、裁判は、被害者の立場に立ったり、被害者の人権を考えてくれるところではなかった」
というような内容のことを言っていました。
これには、はっとさせられました。
当事者でなければわからないことです。
被害者家族は、当然に裁判の傍聴ができるものだと思っていましたが、
そういう配慮はなく、遺影の持ち込みも認められない。

この裁判の中で 本村氏は、岡本弁護士などが進めていた「全国被害者の会」を
起こし、現在では、被害者家族が、裁判の場で
心情を述べたりできるようになりましたが、
7年前には、できなかったのです。
裁判は、被告人の犯した(とされる)罪を確定させるために
証拠の認定や事実認定を行い、
刑罰を決めるところです。
被告人のための場であって そこに被害者というものはいないのです。
そんなことに 何の疑問も感じていませんでしたが、
当事者からすれば、自分に代わって 犯人を裁いて欲しいし、
そうして 憎しみや苦しみを少しでも汲んでもらいたいと思っているはずです。

裁判を受ける権利も 弁護士をつける権利も
公開で裁判される権利も すべて憲法で保障されている権利ですが、
これは、被告人のための権利です。
被害者の権利は、どこにも保障されていません。
そのことに 気づかずにいました。

何の落ち度もない人が、
身勝手な人間に殺され、恥辱を受け、
本当なら おだやかで 幸せな人生を送れたであろう権利を
奪われたわけで 死んだ人の人権はない
とは、言えないと思うし、
こういった犯罪を犯した人が、
「反省してます。申し訳ない。」と言っても
償えるものではない。
被害者の家族や 関係者みんなの人生まで
狂わしてしまっているのであって
被害者の数で 死刑の判断にできるものでもないだろう。
殺された被害者だけでなく、多くの被害者を作っていることが、
この本からもよくわかります。

興味のある方は、読んでみて下さい。

テーマ : 裁判 - ジャンル : 政治・経済

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