国会では、働き方改革関連法案をめぐって与野党の攻防が続いている。
特に、裁量労働制の適用範囲を拡げるために示された厚生労働省のデータの不備が、
明らかになった。
1日の最高労働時間が45時間などと記入されたデータを
そのまま集計していたという。
そもそもこのデータは、2013年に実施されたもので
アンケートの設問自体がかなりいい加減だった。
さらに、集められたデータには、誤記もあったがそのまま集計され、
このデータを根拠に裁量制の時短効果を主張していた。
裁量労働制とは、あらかじめ働いた時間に関係なく、
働いたとみなして手当等で支払われる制度で、
深夜や休日に勤務した場合のみ割増賃金が払われるものだ。
弁護士や記者などの「専門業務型」と企画などの「企画業務型」がある。
この範囲を拡げることで、自由な働き方が出来るようにしようということらしい。
しかし、私にはこんな経験がある。
1年少し前、ある会社に入社した。
外回りの営業職のような仕事だったが、残業手当が始めから支払われる。
30時間を目途に残業してもしなくても、一定の金額が手当として支払われるのだ。
30時間を超えれば、割増賃金がさらに支払われるので、お得だと所長には言われた。
2か月間は、試用員期間なので、10分の1しか支払われない。
実際には、定時に帰れる日はほとんどなく、
気づけば、8時くらいになっている。
早出をするように言われることもあるが、
この早出や残業になる日は、タイムカードを通さないように指示された。
後日、出勤時間の締めを前に、事務から記入を求められる。
定時に出社して定時に帰ったように記入する。
10年以上働いている人も当たり前のようにそうしていた。
だから、30時間を超えて残業した人はいないことになるし、
私は、3時間の残業代しかもらえない。
大手の会社ではなかなか考えられないことで、
来月から正社員という時に辞めた。
耐えられないから
定時で帰ればお得の裏は、こんなことだ。
お得なんてないのだ。
また、1ヵ月の残業時間を80時間にという提案もあるが、
80時間を超えたら、心身を病むという根拠はなんなのか。
日本が、戦後、国際社会の中で戦い勝ち抜いてこれたのは、
「エコノミックアニマル」と呼ばれるほど
サービス残業なんのそので働いた結果だ。
それがいいとは言わないが、
30年少し前でも、残業しろと強制されていたわけではなく、
この仕事をやり遂げたいという使命感や
達成感のために、気づけば夜中になり、
家に帰れないまま仕事をしていたりが当たり前だった。
だからと言って、心を病んだり、自殺したりという人はあまりいなかった。
100時間どころか、200時間していたかも知れないし、
上限を超えていたので、サービス残業になっていたはずだ。
そんな先人の働きがあって今の日本がある。
働き方改革、大いに結構。
しかし、楽すること、無理しないことを国が主導することで、
戦えない日本を作り上げてしまう。
バングラデシュからきている技術者の男性が言っていた。
日本は、生きるための教育をしない。
だから、すでに国際社会での競争力を失っている。
転落するだけだ。
もっと、子供の頃から、探求することや、
多面的に学ぶ力を身につけないと
すでに日本は先進国ではない。
必死さがない。
と。
おっしゃる通り。
労働時間だけを議論していてもだめなのだ。
さてさて、オリンピックでうかれている間に一括法案で通そうとしていた法案を
精査しよう。