広島県の山間部にある安芸高田市の石丸市長と議会の軋轢が世間で話題になっている。
石丸市長は、元銀行員で、38歳という若さで市長に初当選。
やる気満々の市長だった。
そもそも軋轢の発端は、議会中のある議員の居眠りからだった。
いびきをかいて寝ていたのだ。
それを議長に注意するよう求めた。
その後、当の議員が、体調不良による居眠りだったと謝罪のメールを市長に送った。
市長が、SNSでその件や、他の議員から恫喝を受けたなどと投稿したことなどが問題視され、
議会での説明を求めるも、市長は応じなかったり、
議会を途中で退席するなどした。
特に軋轢が大きくなったのは、市長が公募して選出した副市長案を
議会が否決したことだ。
これをきっかけに、市長の議会に対する対決姿勢が強まった気がする。
婚活イベントや田んぼアートなどの事業を廃止し、
中学校の統合や地域施設の廃止などを次々に進める。
議員の半減条例を提案。
議会本会議という公の場で、
議員に向かって
「恥を知れ!」
「なにを言っているか分からない」
など、大声で発言。
これは恫喝ではないのか。
更にこれらを、YouTubeで発信。
そのフォロワーが20万人を超え、全国1位になったと大喜び。
その配信は一方的で、公正さに欠ける気がしているが…
こうしたやり方は、かつて日本維新の会の代表で大阪府知事でもあった橋下徹氏の手法と同じだ。
強い言葉で注目を集め、
無駄なもの(と思っている)を、バッタバッタと切り捨てて、
大きな改革を進めていると思わせる。
その一方で、箱物を建設していたが。
市長本人も言っているように、炎上することで注目を浴びることを重要視している。
SNSでは、議会と戦う市長という印象が広まり、
「この人に日本のリーダーになって欲しい」
「本物の政治家だ」
などともてはやす声も多い。
確かに、居眠りしたり、上手く説明出来ない議員が多いのも事実。
ここだけでなく、国会議員を始めとして、全ての議員を半減すればいいと思うが、
首長が提言することには疑問符だ。
石丸市長を持ち上げたり、応援する声のほとんどは、市外、県外の人たちだ。
一番大切なことは、市民はこの市長をどこまで認めているのか、
市の職員からの信頼は厚いのかだ。
ここを無視しては、地方行政は成り立たない。
石丸市長は、選挙ポスターの製作費の未払い請求訴訟で負けているし、
議員から名誉棄損で訴えられ、賠償命令が出されている。(上訴予定)
議会側は、無印良品の出店にかかる案を否決し、
市長は、議会だよりの発行費用を認めなかったり、
まるで、子供が意地になって喧嘩しているようにしか見えない。
過疎と高齢化が進む安芸高田市を何とか、活性化したい、
全国の人に注目してもらいたいという市長の思いは分かる。
しかし、その手法が議会との軋轢という品のない形なのは、いかがなものか。
私は、安芸高田市にある神楽門前湯治村が好きで、
年間何度も神楽を観に行くし、
外国人や関東からのお客さんなどを連れて行くことにしている。
お連れした誰もが、その神楽に感動し、魅了される。
全国的に神楽は存在するが、広島県や島根県の神楽は、
その派手さと完成度の高さはピカイチだ。
安芸高田市には、22の神楽団があり、湯治村の神楽ドームで
毎週末公演を行っている。
日本人だけでなく、多くの人に観てもらいたい日本の文化だ。
昔の旅籠のような宿と温泉があり、是非、訪れて欲しい。
Jリーグのサンフレッチェ広島の練習場があり、
毛利元就の本拠地でもあったところ。
土師ダムの桜も美しい。
見どころがたくさんある町なので、そちらでもっと知名度を上げていって欲しい。
首長と議会は、行政の両輪であり、
お互いがチェック機能を果たし、
時には、手を取り合って、基本は市民のためにどうあるべきかを判断するべきだ。
議会側もただただ意地になって否決するのではなく、
真摯な態度でやっていくべきで、
市長も議会も落としどころを互いに歩み寄るという大人な対応も考えないと
一番の被害者は、市民であることを忘れないで欲しい。