■ J2の第29節J2の第29節。11勝8敗9分けで勝ち点「42」のジェフ千葉がホームのフクダ電子アリーナでV・ファーレン長崎と対戦した。長崎も全く同じ11勝8敗9分けで勝ち点「42」。総得点の差で千葉が7位で長崎は8位に位置する。過去の対戦成績は長崎が3勝1敗1分けと勝ち越している。ホームの千葉は対戦相手の長崎をかなり苦手にしているが、今シーズンの開幕戦はMF井出の決勝ゴールでアウェイの千葉が勝利している。
ホームの千葉は「4-2-2-2」。GK高木駿。DF金井、キム・ヒョヌン、富澤、中村太。MF佐藤勇、佐藤健、ネイツ・ペチュニク、井出。FW松田力、オナイウ阿道。28節のC大阪戦(A)で初出場を飾った新加入のFW松田力が初スタメンとなった。2013年は特別指定選手としてJ1の大分でプレーして9試合で4ゴール、2014年は新卒で加入した名古屋で31試合で1ゴールを挙げている。FW森本は風邪のため欠場となった。
対するアウェイの長崎は「3-4-2-1」。GK大久保。DF趙民宇、刀根、高杉。MF黒木聖、井上裕、三鬼、古部、東浩史、梶川。FW木村裕。売り出し中の大卒ルーキーのFW上形はベンチ外で柏から期限付き移籍中のFW木村裕が1トップの位置でスタメン出場となった。東アジアカップでは韓国代表としてプレーしたFWイ・ヨンジェはベンチスタートで、技巧派のMF梶川とMF東浩史がシャドーの位置に並ぶ形になった。
■ 1対1のドロー試合の前半はほぼ互角の攻防となる。前半30分に長崎はMF井上裕がパスカットから相手CBをスピードでかわして独走。キーパーと1対1になったが、シュートを枠に飛ばすことはできない。すると、直後の前半32分にMF井出のスルーパスを受けたFW松田力が自らシュートコースを作ると、最後は右足で決めてホームの千葉が先制する。FW松田力は移籍後初ゴールとなった。前半は1対0と千葉がリードして終了する。
後半立ち上がりから長崎は韓国代表のFWイ・ヨンジェを投入。すると、後半17分にMF東浩史の中央突破を起点にFWイ・ヨンジェが落としたボールをMF木村裕が抜け出して左足でゲット。アウェイの長崎が1対1の同点に追いつく。21歳のMF木村裕は今シーズン4ゴール目となった。後半40分にはMF木村裕のパスを受けた左WBのMF古部が決定機を迎えるが決められず。長崎は絶好の逆転のチャンスを逃してしまう。
千葉も後半終了間際にゴール前で粘ったFW松田力が鋭い反転から右足で浮き球のシュートを放つが、ゴール方向に飛んでいたシュートをGK大久保が間一髪のところでクリアして勝ち越しとはならず。結局、1対1の引き分けに終わった。初スタメンとなったFW松田力の奮闘が目立ったが、千葉はホームで痛い引き分けとなった。千葉はここ6試合は1勝2敗3分けと苦しんでいる。一方の長崎は5試合負けなしとなった。
■ シュートテクニックの高さが光るMF木村裕相性のいい千葉戦だったが、先制されたことを考えると長崎にとっては悪くない引き分けと言える。前半32分に先制された後はなかなかいい形を作れなかったが、後半17分に中央突破から同点に追いついた。MF東浩史のドリブルとワンツーがきっかけになったが、最後のMF木村裕のフィニッシュも見事だった。右足でも狙える体勢だったが、左足でシュートを放ったことでキーパーのGK高木駿にはノーチャンスとなった。
2節の札幌戦(A)で決勝ゴールを記録するなどシーズンの序盤はスタメンで出場するケースが多かったが、ゴール自体は7節の京都戦(A)が最後だった。長崎も2列目の層は厚くて、MF梶川がいて、MF東浩史がいて、MF佐藤洸がいて、MF深井正もいる。最近はFWイ・ヨンジェが2列目でプレーするケースも増えているので、MF木村裕の出場機会が減っていたが、強豪の千葉を相手にいいアピールができたと言える。
MF木村裕は小学生の時からずっと柏の下部組織で育ったが、シュートの上手な選手である。175センチと日本人のアタッカーとしては標準的なサイズで、びっくりするようなテクニックがあるわけではなくて、身体能力がめちゃくちゃ高いわけでもはないが、得点感覚を持った選手である。柏のエースとして君臨するFW工藤壮はいいお手本になると思うが、シュートテクニックが高い点はFW工藤壮との共通点と言える。
ゴールシーンはフィニッシュのアイディアが豊富なMF木村裕ならではのゴールだったが、シュートテクニックというのは年齢を重ねれば重ねるほど高くなるのかというとそういうわけでもない。持って生まれたセンスのようなものが非常に大事になってくるので、後から身に付けようと思ってもなかなか難しい。この点はMF木村裕の最大の魅力であり、似たプレースタイルの選手は少ない。希少価値の高い選手かである。
■ 抜群の存在感を発揮した新戦力のFW松田力一方の千葉は痛い引き分けだったが、今シーズンは後半に失点した試合は0勝8敗7分けと未勝利。逆に後半に失点しなかった場合は11勝3分けと無敗なので極端なことになっている。シーズン序盤に完封勝利が多かったこともこういう数字になっている一因と言えるが、この試合のように後半半ばに同点に追いつかれた後、点を取りに行って勝ち越しゴールを奪えていない点は非常に気になるところである。
押し返す力の弱さは気になるが、ここに来てFWオナイウ阿道が伸びてきている。出場時間がかなり増えてきたが、プレーの質が劇的に上がっているので関塚監督の評価が高まっているのも当然と言える。それまでは出場時間が短かったこともあって「何をすればいいのか?」が整理されていない状態でプレーしたように感じられたが、いい位置でボールを受けて起点になるプレーをそつなくこなすことができている。
この日は新加入のFW松田力と2トップを組んだが、FW松田力のプレーは非常に良かった。1人で6本のシュートを放ったが、ほとんどが可能性の感じられるシュートだった。前半32分のゴールシーンは一度はシュートコースを防がれたが、その後、ドリブルでもう一度シュートコースを作った。最後のシュートもテクニカルなシュートで、絶好調の長崎のキーパーのGK大久保でさえどうすることもできなかった。
今シーズンは高卒2年目のMF小屋松の台頭もあって出場機会が少なくなっていたが、ゴールへの意欲が高くて、身体能力が高くて、運動量が多くて、献身的な守備も特徴である。ボールを引き出すプレーも得意としており、ゴール前での得点感覚の鋭さにも定評がある。ストライカーあるいはアタッカーに必要とされる能力のほとんどを有しており、ウイークポイントを探そうとしてもなかなか難しい選手である。
言うまでもなく、名古屋の攻撃的なポジションは層が厚い。「結果を出さないと起用されなくなる。」というプレッシャーがマイナスに働いて思うような結果を出せなかったのではないかと思うが、高い能力を考えるとJ1でも十分に活躍できる選手であり、J2であれば昇格を狙う千葉のようなクラブでもエース級の活躍が期待できる。夏の移籍市場でこれだけの選手を獲得できたのは千葉にとっては幸運なことである。
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