■ J2の第5節J2の第5節。2勝1敗1分けで勝ち点「7」のファジアーノ岡山と、同じく2勝1敗1分けで勝ち点「7」の大宮アルディージャがシティライトスタジアムで対戦した。昨シーズンまではkankoスタジアムと呼ばれていたが、今シーズンからシティライトスタジアムと呼ばれるようになった。シティライトは岡山に本社を置く自動車売買業社で契約期間は2015年3月1日から5年間で年額1,620万円。「Cスタ」と略される。
ホームの岡山は「3-4-2-1」。GK中林。DF久木田、岩政、竹田忠。MF関戸、島田譲、加地、田所、伊藤大、染矢。FW片山瑛。ここまでスタメン出場が続いていた新加入のMF渡邊一はコンディション不良で欠場で、MF千明も疲労を考慮してベンチスタートになった。また、得点源のFW押谷もベンチスタートになった。MF関戸とMF島田譲とMF染矢がスタメンで、DF加地とDF岩政は5試合連続スタメンとなった。
対するアウェイの大宮は「4-2-2-2」。GK加藤。DF渡部、菊地将、河本、和田拓。MFカルリーニョス、横山、渡邉大、泉澤。FW横谷、清水慎。新加入のDF河本がスタメンに復帰して、MF横山は4節の札幌戦(H)はCBでプレーしたが、この日はボランチに入った。FW富山はベンチ外で、FW横谷がフォワードの位置に入った。怪我で3試合連続ベンチ外だったFWムルジャが復帰してベンチ入りを果たした。
■ スコアレスドロー試合の序盤はアウェイの大宮は相手を圧倒する。WボランチのMFカルリーニョスとMF横山を中心にテンポよくパスが回って立て続けにシュートチャンスを作っていく。前半41分にはMF横山の絶妙の縦パスから裏を取ったFW清水慎がキーパーのGK中林に倒されてPKを獲得。大宮が先制の絶好のチャンスを得たが、MF渡邉大のキックを岡山のキーパーのGK中林が止めて先制ならず。前半は0対0で折り返す。
後半になるとホームの岡山もチャンスを作るようになる。後半13分にはスタメン起用されたMF関戸がやや距離のある位置からミドルシュートを放つが、このシュートは惜しくもクロスバー直撃。さらにその後にもMF染矢のミドルシュートで相手ゴールを脅かすなど、後半はほぼ互角の展開となる。大宮は後半39分にエースのFWムルジャを投入。終盤は大宮が押し込んだが、ネットを揺らすことはできない。
結局、シュート数は岡山は9本で、大宮は17本。全体としては大宮が押し込んだが双方ともゴールは生まれず。スコアレスドローに終わった。これで両チームとも2勝1敗2分けの勝ち点「8」となった。岡山は開幕2連勝の後、3試合勝ちなし。ただ、3節がC大阪(H)で、4節が千葉(A)で、5節大宮(H)と優勝候補のチームとの対戦が続いているので、3試合で0勝1敗2分けという結果は「それほど悪くない。」と言える。
■ 試練の5連戦の真っ只中岡山は試練の5連戦の真っ只中で、3節がC大阪(H)で、4節が千葉(A)で、5節が大宮(H)で、6節が降格組の徳島(A)で、7節は磐田(A)と対戦する。上位候補との対戦が続く5連戦をどう乗り切るのか?が注目されるが、この日はスコアレスドローだった。前半は大宮のボール回しについていくことができずにボールを回される時間帯が長かったが、後半になると岡山もチャンスシーンを作るようになった。
ターニングポイントになったのは前半42分のPKのシーンである。キッカーのMF渡邉大は正面に蹴ったが、(正面から見て)左方向に飛んだGK中林が足で止めた。キーパーはヤマを張って右か左かのどちらかに飛ぶことがほとんどなので、真正面に蹴ると成功する確率は高いが、GK中林は懸命に足を伸ばしてシュートをセーブした。このプレーで岡山の選手は勇気付けられて、後半はほぼ互角の勝負となった。
「岡山の絶対的な守護神」と言えるGK中林は今シーズンもいいプレーを見せている。GK中林は2012年から岡山でプレーしており、初年度からレギュラーとして活躍している。182センチなのでキーパーとしてはそれほど大きくないが、反射神経が鋭くて、イージーなミスもほとんどない。安定感があって、かつ、爆発力もあるので、J2では有数のキーパーである。ここ数年の岡山の強みの1つになっている。
■ スタメン起用に応えたMF関戸健二オフにDF岩政やDF加地やMF渡邊一らが加入した岡山は今シーズンは守備が非常に堅い。もともと守備の堅いチームだったが、さらに強力になったと言える。ここまでは5試合で2失点のみ。前評判通りの堅さを見せているが、問題は攻撃陣である。J2の上位を目指すには攻撃面がやや不安。今のところは1トップで起用されることの多いFW押谷のシュート技術の高さと決定力に大きく依存している。
攻撃的なポジションに関しては目立った補強が無かったので、「既存の選手の成長が不可欠」と言えるが、この日はボランチで起用されたMF関戸が非常に良いプレーを見せた。MF関戸はルーキーイヤーの2012年は37試合に出場して、2年目の23試合に出場したが、3年目となる2014年は怪我の影響もあって2試合の出場にとどまった。右肩下がりでプロ4年目のシーズンを迎えたが、この日は存在感を発揮した。
MF関戸という選手は人とは違ったリズムを持っている。天才肌の選手で、良くも悪くも見えているところが他の選手とはちょっと違っている。技術が高くて奇想天外なプレーができるユニークな選手と言えるが、彼の出場機会が増えていくと攻撃のバリエーションは確実に増える。2列目でも、ボランチでも、問題なくプレーできるが、得点力はそれほど高くないので、「現時点ではボランチの方がベター」と言える。
■ 徐々に状態が上がってきた大宮アルディージャ一方の大宮は2試合勝ちなしとなった。岡山と同様で大宮も上位候補のチームとの対戦が続くが、2節以降、FWムルジャとMF家長の両輪を欠いていることもあって苦しい試合が続いている。ただ、内容は徐々に良くなってきている。開幕からの3試合はパフォーマンスが良くなかったが、1対1のドローに終わった札幌戦(H)はほぼ試合を支配しており、この日の岡山戦(H)でトータルで考えると大宮が優勢だった。
チーム状態としては上向きで、ここにFWムルジャが戻ってきて、MF家長も戻ってくるとなると臨戦態勢が整う。開幕からGK加藤が好調で、新加入のDF河本も存在感を発揮しているので、守備的なポジションに関しては大きな不安はない。こちらも攻撃が課題と言えるが、両輪がいない状態なので、岡山とは事情は異なる。2人がスタメンに戻ってくると手ごわいチームになるのは間違いない。
1つ気になるのは「引かれたときにどう崩すのか?」である。J1を主戦場にしていたときに大宮を相手に守備的に戦うチームはほとんどなかった。どちらかというと大宮がディフェンシブに戦うことが多かったが、J2になると相手がディフェンシブんある。強者の立場で戦うことに慣れていないチームなので、「ボールを支配しながらなかなかゴールが奪えない。」という試合が多くなることも十分に考えられる。
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