◆ 06シーズンを振り返る ■ J2を制覇する。開幕前に、横浜FCの優勝を予想した人は、ほとんどいなかっただろう。長丁場のJ2では、何よりチームのもつ自力が、最終成績を左右する。終わってみれば、順当な結果に落ち着くことの多いJ2リーグとしては、史上最大の番狂わせといってもいいだろう。
昇格の立役者は、開幕2試合目から監督に就任した高木監督。指導者としての経験もほとんどなく、不安視された横浜FCの将来は、高木氏の手腕によって目に見えて明るいものとなった。
横浜FCの躍進を語る上で外せないのは、高度な守備組織。DF陣は、個々のタレント性だけを見れば、J2でもトップクラスというわけではなかったが、チームとしての意思統一がはっきりとしており、乱れはほとんどなかった。これだけ整備された守備組織を、典型的なCFだった高木氏が構築したというのは面白い。
■ 的確な補強とベテランの頑張り開幕のスタートこそ出遅れたものの高木監督が就任すると、一気に上位へ浮上した。シーズン中の補強も的確で、特に、シーズン半ばに京都から獲得したFWアレモンの終盤戦の活躍ぶりは驚異だった。
元日本代表選手を数多くそろえたことで話題を巻き起こしたが、期待された城・山口・カズ・小村が、衰えを感じさせないほどのプレーを見せて、チームを引っ張った。経験豊富なベテランの存在は、大きかった。
ベテランが多いチームは、省エネのサッカーになりがちだが、昨シーズンの横浜FCのサッカーは、非常に若々しくて、新鮮だった。
◆ 07年展望■ 痛い戦力ダウンJ2優勝という結果を残したものの、もともと、規模の小さいクラブである。オフの間に、MFアウグストとFWアレモンの2人をチームに引き止めることは出来なかった。FW城も現役を引退し、攻撃の核を全て失う非常事態となった。
特に、MFアウグストの移籍(大分への移籍が決定)は痛い。元ブラジル代表のMFレオナルドを思い起こさせる左利きのアウグストは、攻撃に変化を与えられる唯一の存在あり、攻撃の核であった。もともと、攻撃力に関しては、J2でもトップクラスというわけではなかった。シンプルな組み立てを基本に、前線のタレント能力を最大限に生かすという横浜の戦い方では、キーとなる存在であった。
また、当然のことながら、城の穴も大きい。怪我のため、現役を引退した城だが、昨シーズンのプレーを見る限り、全盛期とそれほど遜色はなかった。得点能力だけでなく、周りの選手を生かすプレーに優れている城の不在の影響は、大きいだろう。
■ 新加入組 久保&奥期待される新戦力はFW久保とMF奥。昨シーズンのプレー振りを見る限り、ややプレーヤーとしての峠を超えた感もあるが、同じ街のライバルクラブへの移籍ということで、これ以上ないくらいモチベーションは高くなっているはずで、以前のような輝きを取り戻すという可能性も考えられる。
だが、やはりアウグスト・アレモン・城の抜けた穴は大き過ぎる。苦戦は免れないだろう。
■ 高木監督に期待昨シーズンの活躍で、一気に有望監督への仲間入りを果たした高木監督。チームの規模を考えても、まずはJ1残留を目指してシーズンに望む。見通しとしては、決して楽観できる状況ではないが、それは、現時点で分かっていることであり、今から、いろいろな策を練っていることだろう。仮に、横浜FCを残留させることが出来るようなら、高木監督の評価は揺るぎないものになるだろう。
昨シーズンのJリーグを見る限り、横浜FCは非常に洗練されていて、いいサッカーをしていて、期待度も高かった。このメンバーでそのままJ1に行くことができれば、10位くらいに食い込んでもおかしくないチームだと思っていたので、今シーズン、攻撃陣が様変わりしてしまったのは非常に残念ではあるが・・・。
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