■ 第29節J1の第29節。8勝12敗8分けで勝ち点「32」の大宮アルディージャと、7勝12敗9分けで勝ち点「30」のアルビレックス新潟がNACK5スタジアムで対戦した。残留争いは、14位の神戸が勝ち点「34」、15位の大宮が勝ち点「32」、16位の新潟が勝ち点「30」、17位のG大阪が勝ち点「29」となっており、15位と16位の直接対決となった。
大宮はここ5試合は2勝3分けと勝ち点を稼いでおり、4試合連続完封中と守備陣が頑張っている。一方の新潟も、ここ4試合は1勝3分けで、3試合連続完封中と同じく勝ち点を積み上げている。新潟は勝つと降格圏を脱出することができる。
ホームの大宮は「4-2-2-2」。GK北野。DF渡部、菊地、河本、下平。MF青木、金澤、カルリーニョス、東。FW長谷川、ズラタン。右SBはDF村上が怪我で離脱したためDF渡部が起用された。また、8試合で4ゴールを挙げているFWノヴァコヴィッチも怪我で欠場となった。
対するアウェーの新潟は「4-2-2-2」。GK黒河。DF村上、鈴木、石川、金珍洙。MF三門、本間、藤田、田中亜。FWミシェウ、ブルーノ・ロペス。日本代表経験のあるGK東口は13日(土)の練習試合で右ひざの靱帯を断裂する重傷を負って全治8カ月と発表されており、今季絶望となった。そのため、ベテランのGK黒河が開幕戦以来のスタメンとなった。
■ 1対1のドロー試合の序盤は見せ場の少ない展開となる。ともに、勝ち点「3」が欲しい試合であるが、負けると苦しくなるので、リスクを冒すことなく、相手の懐に入っていくような攻撃はできない。しかし、前半30分あたりを過ぎるとアウェーの新潟の流れが良くなってきて、前半38分に先制ゴールが生まれる。
カウンターの形から右サイドでFWブルーノ・ロペスがボールを受けると、ためてから中央にグラウンダーのボールを入れる。中央のスペースに走ってきたMF本間には合わなかったが、スルーのような形になって裏にいたMF田中亜がフリーでボールを受けると、落ち着いたコントロールから右足で決めて新潟が先制する。MF田中亜は今シーズン4ゴール目となった。
しかし、前半44分に大宮はFW長谷川のポストプレーを起点にして、ボランチのMF青木が中央をドリブルで突破して左サイドのMF東にパスを送ると、MF東からの折りかえしをゴール前に入ってきたMF青木が自ら合わせて1対1の同点に追いつく。MF青木は今シーズン3ゴール目となった。前半は1対1で終了する。
後半開始から大宮はFW長谷川に代えてMF曹永哲を投入。すると、MF曹永哲の突破からいくつかチャンスを作る。新潟も後半14分に元日本代表のMF矢野、後半34分にFW鈴木武蔵を投入。後半40分には、FWブルーノ・ロペスのポストプレーからFW鈴木武蔵がペナルティエリアでフリーになって右足で強烈なシュートを放つが、惜しくもサイドネットに直撃して勝ち越しならず。
対する大宮も、後半46分にDF渡部のクロスから途中出場のMF清水にチャンスシーンが訪れるが、ロンドン代表のDF鈴木がブロックして満足なシュートを打つことはできず。結局、試合は1対1で終了。両チームとも勝ち点「1」を獲得した。
■ 4チームの争い15位の大宮と16位の新潟の対戦ということで、立ち上がりは重苦しい雰囲気だったが、前半38分にMF田中亜のゴールで新潟が先制した後は、両チームも積極的に攻撃を仕掛けるようになった。終盤になると、双方が決定機を作ってどちらが勝ってもおかしくない流れだったが、勝ち越しゴールは生まれなかった。
J1の残留争いは、神戸・大宮・新潟・G大阪の4チームに絞られてきたが、29節はG大阪が勝利して、神戸と大宮と新潟は引き分けに終わったため、14位の神戸が勝ち点「35」、15位の大宮が勝ち点「33」、16位のG大阪が勝ち点「32」、17位の新潟が勝ち点「31」となった。
降格圏のG大阪にとっては、理想に近い試合結果となったが、降格圏に力のあるG大阪がいるというのは、神戸にとっても、大宮にとっても、不気味である。得失点差については、G大阪が「+1」ということで、圧倒的に有利なので、勝ち点が並ぶと、G大阪が上の順位になる可能性が高い。
■ 恵まれている?対戦相手新潟は17位に転落したが、残りの対戦カードやチーム状態を考えると、実は、争っている4チームの中で、もっとも、残留できる可能性が高いチームなのではないかと思われる。
残りの対戦カードは、鳥栖(H)、清水(A)、川崎F(H)、仙台(A)、札幌(H)となっているが、鳥栖はアウェー戦は苦手にしており、最近は調子も落としている。川崎Fも同様に調子は下降気味で、侮ることはできないが、札幌がもっとも勝ち点「3」を計算できる対戦相手であることに疑いの余地はない。
当然、清水(A)と仙台(A)の試合は、厳しい戦いになることが予想されるが、ホームの3試合で2勝1分け以上の成績を残すことは、現状では、それほどハードルの高い仕事ではないと感じる。したがって、大宮との直接対決で引き分けという結果は悪いものではない。
もちろん、GK東口の離脱は大きなマイナスである。GK東口の安定したキャッチングとロングキックは大きな武器であり、カウンターの起点になっていたので、攻撃力ダウンにもつながるが、どうしようもないので、ベテランのGK黒河に期待するしかない。
■ キーマンはFW鈴木武蔵か?カギを握るのは、途中出場の選手ではないかと思う。守備は安定しており、ここ7試合で3失点なので、最少失点に抑えているが、「勝ちきれずにドロー」という試合が増えている。特に、ホームの3試合については、勝ち点「3」を目指す試合になるので、FW平井、FW矢野、FW鈴木武蔵といったフォワード陣の頑張りが必要になる。
実績のあるFW平井やFW矢野にも期待がかかるが、これまで、たくさんのチャンスを与えられてきたにも関わらず、結果を出せていないので、現状は、途中から出場しても期待感は薄い。したがって、高卒ルーキーであり、怪我上がりであるが、FW鈴木武蔵の若さと可能性にかけるのも「アリ」ではないかと思う。
右サイドで起用されているMF藤田の精度の高いクロスは大きな武器ではあるが、ここ数試合は、試合から消えている時間帯が多くて、存在感を発揮できていない。FW鈴木武蔵はアグレッシブなプレーができる選手なので、3トップ気味の布陣にして、ウイングの位置に置くと、何かしてくれそうな雰囲気はある。
■ MF青木が同点ゴール一方の大宮は、主砲のFWノヴァコヴィッチの離脱して、試合に出場できなかったのが痛かった。FWズラタンがいて、FW長谷川もいるが、FWノヴァコヴィッチのゴール前の高さは相手にとっては脅威であり、前線でタメを作ることのできる選手なので、不在のダメージは大きかった。
前半38分に先制されて苦しい展開になったが、ボランチのMF青木の攻撃参加からゴールが生まれた。FW長谷川のポストプレーも良かったが、思い切ってドリブルで仕掛けて中央を切り裂いたことがビッグチャンスにつながった。シュートも簡単なものではなかったが、うまく合わせた。
大宮も、同様に残り5試合となったが、残りの対戦カードは、柏(A)、鹿島(H)、C大阪(A)、磐田(H)、清水(A)ということで、中位グループとの戦いが続いていく。13位の鹿島と11位のC大阪は難しいが、4位の柏と8位の磐田と5位の清水の3チームはACLの出場権獲得という目標があって、どちらかというと、厳しめの対戦相手が残っている。
大宮も、ここ6試合は2勝4分けなので「負けなし」が続いているが、勝ち点「40」が残留の目安と考えると、2勝2敗1分け以上の成績が必要になる。30節の柏戦か、31節の鹿島戦のどちらかに勝利できると、残留が見えてくるが、「どちらにも勝てない。」となると、厳しくなってくる。
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