■ ACLの準々決勝ACLの準々決勝。ラウンド16でガンバ大阪を1対0で下して初のベスト8入りを果たしたセレッソ大阪がホームの長居スタジアムで韓国の全北現代と対戦。ACLは、準々決勝からはホーム&アウェー方式となるが、C大阪は先にホームで戦って、2週間後にアウェーゲームを戦う予定になっている。
この両チームは、グループステージでも対戦していて、2試合ともホームチームが1対0で勝利している。長居スタジアムで行われた4月5日の試合は、後半8分にMF乾貴士がドリブルから決勝ゴールを挙げてC大阪が勝利し、4月20日に行われたアウェーゲームは、FWイ・ドングッが後半32分に決勝ゴールを決めて、全北が勝利している。
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【ACL 3節:C大阪×全北】 21歳 清武弘嗣の才能 →
【ACL 4節:全北×C大阪】 マルチネスの投入が裏目ホームのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、上本、丸橋。MF扇原、キム・ボギョン、清武、ファビオ・ロペス、倉田。FW播戸。土曜日の広島戦でハットトリックを記録したFW播戸がスタメンに復帰。同じ試合で、腰を痛めて途中交代したDF茂庭もスタメン出場となった。
■ 4対3で逆転勝利!!!試合は開始5分にアウェーの全北が先制する。中央をワンツーで突破されると、元韓国代表のFWイ・ドングッに決められて早々に先制を許す。ビハインドとなったC大阪は、怪我から復帰してきた韓国代表のMFキム・ボギョンを中心に反撃を開始すると、前半28分にMF清武のスルーパスを受けたMFキム・ボギョンが右サイドで相手DFをかわしてから中央にグラウンダーのクロスを入れると、ゴール前でFW播戸が合わせて1対1の同点に追いつく。
その後、C大阪は、FW播戸のポストプレーからMF清武が決定機を迎えるが、惜しくもシュートが枠外となって逆転できず。すると、前半のラストプレーで全北は、空中戦の勝負でMF扇原に競り勝ったFWイ・ドングッがこぼれ球を拾ってミドルシュートを放つと、DF丸橋に当たってコースが変わってゴール。前半は2対1と全北がリードして終了する。
追いつきたいC大阪は、後半10分にCKを獲得すると、DF酒本がインスイングで蹴ったボールをMF清武がヘディングで決めて2対2の同点に追いつく。しかし、その直後にCKからコンサドーレ札幌でもプレーしたDFチョ・ソンファンにヘディングで決められて、またしてもリードを奪われる。
1点を追うC大阪は、後半19分にゴール前でFKを得ると、MFキム・ボギョンが蹴ったボールを相手の選手が手で止めてPkを獲得。MFキム・ボギョンが決めて3対3の同点に追いつく。アウェーゲームを考えると勝っておきたいC大阪は、後半35分にまたしてもCKを獲得すると、トリックプレーでDF酒本がグラウンダーでゴール前に送ったボールをフリーのMF清武が決めてついに4対3と逆転に成功する。
結局、壮絶な打ち合いとなった試合は、4対3でC大阪が勝利。次のアウェーゲームで初のベスト4入りを目指す。
■ MF清武が決勝ゴール①Kリーグで首位を走る全北を相手に、いきなり先制されたC大阪は、3度リードを許したが、そのたびに追いつくと、最後は、セットプレーから日本代表のMF清武が決めて逆転勝利あい、ホーム&アウェーの初戦で勝利を飾った。全北にアウェーゴールを「3」も許したので、アウェーゲームで敗れると突破は難しくなるが、引き分けでもOK。先にリードを奪われる展開で勝てたのは大きい。
決勝ゴールを奪ったMF清武で、8月10日のフル代表での日韓戦でも途中出場で2アシストを記録したが、またしても韓国のチームを相手に活躍を見せた。1点目はゴール前でうまくフリーになってヘディングシュートを決めたが、身長が高くないのにヘディングは強くて、彼の武器の1つになっている。
MF清武の2点目のゴールは、ボールを蹴る前にキッカーのDF酒本が時間をかけて、相手を焦らしたこともよかったが、DF酒本のキックの精度も、MF清武のフリーになる動きも、抑えたシュートも見事で、技術とアイディアの詰まったゴールだった。
クルピ監督はブラジル人らしくセットプレーのシーンでは、トリックプレーを使ってくることが多い。ただ、あまり成功していないというイメージで、MF清武が決めたようなトリックプレーは、これまでのリーグ戦で使ってきているが、MF香川あるいはMF乾が外してしまってチャンスをつぶすことが多かったという印象があるが、MF清武がうまく抑えたシュートを放ったので、見事に成功した。
■ MF清武が決勝ゴール②ACLの準々決勝という大きな舞台で、見事にエースの働きを見せたMF清武は、ここに来てプレーが安定してきて、また一段、レベルアップしている。相手はフィジカルの強い選手が多かったが、全く負けておらず、プレッシャーをかけられても、体でブロックしてキープできるので、ボールを失うこともほとんどなかった。
MF清武は、フル代表、五輪代表、ACL、リーグ戦と4つのステージで戦っており、9月はタフな日程になっているが、今シーズンの開幕当初は、怪我もあって、C大阪でもレギュラーポジションを奪われていた。よって、この半年ほどの間に、ここまで地位を確立してくるとは、想像はできなかった。
MF香川、MF家長、MF乾と、C大阪の2列目の選手は、ここ1年ほどの間に、みんな欧州に渡ってしまったが、MF清武も今冬に欧州に渡るのは間違いないだろう。これだけ質の高いプレーを続けていれば、欧州のクラブのスカウトたちが見逃すはずもない。C大阪にとっては、また戦力ダウンになってしまうが、クラブも海外移籍をバックアップしているので、強く慰留することもないだろう。適応能力が極めて高い選手なので、どのリーグでも、どんなチームでも、活躍できるだろう。
■ ボランチで奮闘したボギョンMF清武と並んで「チームの中心」に成長してきたMFキム・ボギョンも、1ゴール1アシストの活躍を見せた。母国のチームとの対戦となったが、日本のチームの代表としてタフに戦って、貢献度でいうと、MF清武と比べても遜色なかった。
MFファビオ・ロペスが加入し、MFマルチネスが離脱していることもあって、ボランチでの出場となったが、運動量が豊富で、キープ力もあって、守備力もあって、創造性もあるので、「優秀なボランチ」に育ってきている。狭いスペースで生きるような技術は備えていないので、3シャドーの一角に入ると、周りと合わないことも多いが、下がり目でプレーすると、良さを発揮する。
ヨーロッパのクラブは、MFキム・ボギョンのことも相当にマークしているはずで、彼も、今冬にヨーロッパのクラブに移籍する可能性は十分に考えられる。C大阪としては、MF清武と同じタイミングで抜けられると苦しくなるが、引き留めるのは難しいだろう。
■ 守備面は不安攻撃に関しては、途中から出場したMF大竹に積極性が足りなかったくらいで、大きな問題はなかったが、守備に関しては「不安いっぱい」で、失点した時間帯も悪かった。ここ最近、「攻撃陣」に助けられているが、守備の組織は崩れていて、昨シーズンのような「堅守」は見られなくなった。
一番の違いは、ボランチとして効いていたMFアマラウが退団したことである。フィジカルが強くて、空中戦も強いMFアマラウが、最終ラインの前でフィルターになって相手の攻撃を体を張って止めていたが、代わりに起用されているMF中後やMF扇原といった選手が、相手をつぶし切れておらず、中央を割られるシーンが増えている。
最近の試合は、U-22日本代表のMF扇原がスタメンに抜擢されているが、2失点目も、3失点目は、彼が空中戦で競り負けて失点しており、反省が必要である。攻撃面ではセンスのあるプレーを見せていて、パス出しで貢献しているが、守備的なボランチで試合に出続けるためには、もう少し体の強さが欲しいところである。非常に才能のある選手で、ロンドン五輪代表でもボランチのレギュラーになりうる選手なので、守備力アップを期待したいところである。
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