■ 篠田善之監督が解任19試合を終えて2勝15敗2分けで勝ち点「8」と最下位のアビスパ福岡が、篠田善之監督を解任して、ヘッドコーチの浅野哲也氏を監督に昇格させると発表した。福岡は2006年以来のJ1昇格を果たしたが、開幕9連敗を喫するなど、残留圏内の15位のセレッソ大阪との差は「13」に広がっていて、非常に厳しい状況に置かれている。
サッカーの世界では、日本に限らず、降格圏内にいるチームのほとんどがシーズン途中に監督を交代させるので、成績が出ない監督を引っ張り続けると、いろいろなところから不満の声が上がってくる。
福岡が最下位であることは、本当に篠田監督の責任なのか、指導力不足が原因なのかについては、疑問を感じるところもあるが、限られた資金の中で、ダイナミックにチームを変えるには、監督を交代させてコーチを昇格あせるしかないのも事実で、「今シーズン、J1に残留すること。」だけを目標に考えるのであれば、致し方ない決断である。
■ 新監督の現役時代①後任の監督に決まったのは44歳の浅野哲也氏である。2001年に現役を引退した後は、テレビ東京系で解説を務めるなど「解説者」として活躍し、2007年からは指導者として現場に復帰。湘南ベルマーレ、アビスパ福岡で経験を積んできて、監督は初挑戦となる。
現役時代は、名古屋グランパス(トヨタ)、浦和レッズ、FC東京、川崎フロンターレでプレーし、日本代表としても
、8試合に出場していて1ゴールを挙げている。
その唯一のゴールは、1994年5月のキリンカップのオーストラリア戦で、この試合はファルカン監督のデビュー戦だった。オフト監督の後を継いだファルカン氏は、思い切った世代交代を断行し、岩本輝雄、前園真聖、小倉隆史、名塚善寛、山口敏弘、遠藤昌浩ら若手を積極的に抜擢しているが、当時、27歳で中堅だったMF浅野をボランチで起用し、彼がファルカンジャパンのファーストゴールを記録した。
■ 新監督の現役時代②ただ、浅野氏というと、印象的なのは名古屋グランパスエイト時代のパフォーマンスである。前身のトヨタを含めると、現役時代のほとんどを、このチームでプレーしたが、中でも、もっとも輝いていたのは、アーセン・ヴェンゲル氏が監督を務めていた頃である。
当時の名古屋のシステムは「4-2-2-2」で、サイドハーフに運動量のあるMF岡山哲也とレフティのMF平野孝を置いて、サイド攻撃を重視する「コレクティブなサッカー」を見せていたが、キーとなったのはダブルボランチで、フランス人のMFデュリックスとMF浅野のダブルボランチは、Jリーグ史上でも屈指のコンビだった。
この時の名古屋ほど「サイドチェンジ」を有効に使ったチームは、過去になかったと記憶しているが、MF浅野の恵まれた体格を生かした「キック力」と「キック精度」は日本人の中では異色で、MF浅野の展開力は、このチームの大きな武器だった。
当然、代表クラスの実力を備えていて、加茂ジャパンに招集されても不思議ではなかったが、同じポジションに加茂監督の秘蔵っ子といえるMF山口素弘がいたので、ファルカンジャパンの後はキャップ数は伸びなかったが、スケールの大きなボランチだった。
■ 新監督への期待名古屋の後は、FC東京と川崎Fでプレーして、2001年に現役を引退するが、解説者時代のコメントを聞いていても、知的な感じで、落ち着いた雰囲気のある人である。
同じような立場を経験した人というと、昨シーズンの途中から京都サンガを率いた秋田豊氏の名前が挙がってくる。「戦力値」で比較すると「今の福岡」と「去年の京都」では、「去年の京都」の方がはるかに上で、より難しい立場にあるが、初めての監督生活で、降格圏のチームを立て直すというのは容易ではない。
秋田監督も、結局、チームを立て直せないままで降格になってしまったが、誰が見ても難しいチーム状況でバトンを受けた場合でも、「降格したときにチームを率いていた」というのは、指導者のキャリアで「キズ」になってしまう。
大変な仕事でリスクを伴うものであるが、福岡の状況を考えると、人数をかけて守備を固めるサッカーをしていても、巻き返していくのはほとんど不可能である。現役時代は、アーセン・ヴェンゲル氏を筆頭に、さまざまな優れた監督の下でプレーし、チームを支えてきた選手である。どういうサッカーを見せてくれるのか。
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