■ グループEACLのグループE。2節、3節にアウェーで連敗したため、1勝2敗と負けが先行したG大阪がホームの万博競技場で韓国の済州ユナイテッドと対戦。第3節に行われた同カードは2対1で済州が逆転勝利。G大阪は、前半にセットプレーからDF中澤のゴールで先制したが、後半に2ゴールを奪われて逆転負けを喫した。
ここまでのところ、済州は2勝1敗なので、G大阪が勝てば両チームが2勝2敗で並ぶことになる。勝ち点が並んだ場合、当該チームの対戦結果が関係してくるので、G大阪は、勝つことはもちろん、2点差以上をつけることもノルマとなる。
G大阪は<4-2-2-2>。GK藤ヶ谷。DFキム・スンヨン、中澤、山口、下平。MF明神、遠藤、二川、宇佐美。FWイ・グノ、アドリアーノ。怪我で戦列を離れていたDF加地が復帰して久々にベンチ入り。DFキム・スンヨンが右サイドバックに入る。
■ ガンバが勝利立ち上がりは、8人で引いて守る済州に苦しんだG大阪だったが、前半26分にカウンターから先制ゴールを奪う。MF宇佐美からFWアドリアーノにパスが渡って、FWアドリアーノがドリブルを開始。相手DFが二人マークに付いていたが、構わずに仕掛けて左足でシュート。これがゴール隅に決まってG大阪が先制する。その後は、少し前に出てきた済州に対して、面白いように裏のスペースに効果的なパスが出て、チャンスを作っていく。
前半は1対0で折り返したが、後半3分にG大阪は再びカウンターでチャンスを作る。MF遠藤の絶妙の縦パスを上手くコントロールして前を向いたFWアドリアーノがスピードに乗った状態でゴールに突進。迫ってきた相手DFを得意の切りかえしで外して右足でシュート。これが決まって2点リードを奪う。FWアドリアーノはACLでは3ゴール目。
2点ビハインドとなった済州は元ベガルタ仙台のFW金殷中を投入。すると、その直後に、FW金殷中のポストプレーからFWシン・ヨンロクが決めて1点差に迫る。その後は、相手のパワープレーに苦しめられたG大阪だったが、後半43分にFWイ・グノが右サイドを突破。ドリブルで仕掛けて時間を作ってからマイナス方向にパスを送ると、走り込んできた途中出場のMF武井が強烈なミドルシュート。これが鮮やかに決まって3対1と突き放す。
結局、グループEの大一番は3対1でホームのG大阪が勝利。もう1試合は、オーストラリアのメルボルンが中国の天津泰達をホームで2対1と下したため、首位の天津泰達は勝ち点「7」のまま。G大阪と済州が勝ち点「6」、メルボルンが勝ち点「4」となって、このグループは大混戦になってきた。
■ FWアドリアーノが2ゴール負けるとグループリーグ突破が非常に厳しくなるG大阪だったが、当面のライバルの済州を下して、2位に浮上。ノルマになっていた2点差以上を付けたことで、今後の戦いも楽になってくるはずで、グループリーグ突破に大きく前進した。
ヒーローとなったのは新加入のFWアドリアーノで、アウェーの済州戦は決定機を外してしまったが、この試合は2ゴール。2ゴールとも、独力でゴールをこじ開けたFWアドリアーノらしいゴールだった。J1でも開幕戦でゴールを決めており、これで合計で4ゴール。新しいエースストライカーとして十分な結果を残している。
昨シーズンは、開幕の時点で、FWペドロ・ジュニオール、FWルーカス、FWドド、FWチョ・ジェジン、FWゼ・カルロスと5人の外国人フォワードを擁し、さらにシーズン途中にジュビロ磐田からイ・グノを獲得。しかしながら、FWルーカスも怪我がちで、軸となれる選手が出てこなかった。外国人が総崩れになったことは大きな誤算であったが、今シーズンはFWアドリアーノを獲得し、期待どおりにフォワードの軸になっている。昨シーズンのリーグ戦で14ゴールを挙げたFW平井も控えているが、FW平井はほとんど出番がない状態である。
FWアドリアーノは、昨シーズンは27試合で14ゴールを挙げているが、リーグ戦では2度も退場になっており、さらに意外と怪我の多い選手で、欠場する試合も多かった。ただ、それでも、得点ランキングでは5位タイ。今シーズンは、日本にも慣れて、さらにゴールを量産しそうな雰囲気はあって、J1の得点王の有力候補といえる。
■ MF遠藤は2点目をアシスト日本代表のMF遠藤は、まだ本調子とはいえず、らしくないパスミスが何度かあったが、それでも、リーグ戦、ACLと、きっちりゴールに絡んできているのはさすがである。毎年、この時期は、日本代表、ACL、J1で超過密日程になっているが、今年は、いつもと比べると余裕があるので、コンディションも例年よりは悪くない。
そのMF遠藤に関しては、7月のコパ・アメリカに出場するのでは?という話が出ている。G大阪の社長は出場を容認し、本人も出場に意欲を示していると報道されている。
選手を出す・出さないといった部分については、それぞれのクラブで全く事情が違うので、「いろいろなマイナスの部分はあるが、代表に協力する。」というクラブは評価されるべきであるが、「選手を出さない。(or 出せない)」という判断をしたからといって、そのクラブが非難されることでもない。
よって、G大阪がMF遠藤を派遣することになれば、その決断は素晴らしいことだと思うが、MF遠藤は、G大阪でも軸なので、彼がいなくなると大きなマイナスとなるのも事実である。どのタイミングでコパ・アメリカの日本代表メンバーが発表されるか分からないが、G大阪はMF橋本も長期離脱中で、これから、新たな怪我人が出ないとも限らない。西野監督がどう考えるかであるが、難しい判断を迫られそうである。
■ 金殷中がアシストKリーグのチームには、Jリーグでプレーした経験のある選手が非常に多いが、済州にも、2003年にベガルタ仙台でプレーしたFW金殷中(キム・ウンジュン)がいて、彼が、途中出場でアシストを記録した。
FW金殷中はベガルタ仙台が降格の危機にあったときにチームに加入したが、10試合で2ゴールと結果を残せなかったが、片目の視力が悪いということで、仙台の英雄の伊達政宗になぞらえて「独眼竜」と呼ばれた選手である。来日したのが24歳のときで、もう32歳になったが、2010年はKリーグのMVPを獲得したということで、韓国に戻ってからも結果を残している。
G大阪との2試合でともにゴールを決めたFWシン・ヨンロクもパワフルな選手で、G大阪も苦しめられたが、FW金殷中もスタメンで出てきていたら、G大阪ももっと苦しめられたかもしれない。どういう事情があったのかは分からないが、FW金殷中が途中出場だったのはG大阪にとっては、ラッキーだった。
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