ドイツは、怪我のバラックが復帰して、ほぼベストメンバー。日本は3-5-2で、ドイツが4-4-2のフォーメーション。
前半11分、柳沢から中田決定機シュートを放つも、キーパーがセーブ。柳沢の持ち味が発揮された惜しい場面だった。前半16分にも、カウンターから中村のパスから柳沢が裏に抜け出してループシュートを放つも、キーパー正面。
前半早々に、2度の決定的なチャンスをつかんだ日本だったが、その後は、ドイツにボールを支配される。決定的なピンチは、ロスタイムのポドルスキーの左足シュートだけだったが、セットプレーで、危ない場面もあった。
前半に攻め込まれた原因は、日本の持ち味である中盤でのボール回しをドイツの激しいプレスで封じられたことだろう。中村のポジションが悪く、ほとんどボールをもらえず、預けどころが中田しかなく、ロングボールをトップに当てて、ボールを奪われる展開になった。
そして後半。鬼の形相で、ハーフタイムでチームの修正を図ったことが容易に想像できる中田の激が利いたのか、日本は互角以上の展開で、試合を支配する。前半は裏のスペースに飛び出す意識の高かった三都主が、下がり目に位置してボール回しに参加するようになったことと、中村俊輔のポジションがトップした固定ではなく、自由に動き回ったことが要因だろう。
後半12分に、中村の個人技から、柳沢が高原にスルーパスを送ると、独走した高原が豪快にけりこんで先制。さらに、後半20分にも、高原が個人技で突破して2点目を奪った。終盤に、ドイツにセットプレーから2点を返されて追い付かれたが、収穫の多いドローとなった。
一番の収穫は、なんと言っても高原。素晴らしかったのは、2点目。ゴール前で相手二人を抜き去って決めたゴールは、オーストラリアとクロアチアのDFと対戦するときに、大きなイニシアティブになるだろう。
ドイツ代表のコンディションのピークがどこにあるのか分からないが、ドイツディフェンダーは、後半になると、日本のスピードについていけなくなった。日韓大会のベルギー戦、ロシア戦を思い出してみると分かるように、欧州のチームは後半になると、運動量がガクッと落ちる傾向にある。本大会でも、そこをついていきたい。
2点のリードを守りきれなかったのは課題として残ったが、あの展開になると押し込まれるのは仕方がない面もある。前半以上にドイツがごり押しサッカーをしてきて、ともにセットプレーで決められてしまった。意識的にゲームをクローズしたサッカーをしたことは、ジーコ監督の元では、タイでの北朝鮮戦くらいである。2点を守りきれなかったことは批判される要因かもしれないが、実際問題として、どうやったらら、この試合で、ドイツ相手にリードを守りきれる可能性が一番高かったかといわれると、ちょっと分からない。三都主の位置に中田浩二を入れる?1トップで遠藤を入れて完全にトリプルボランチにする?打てる手段は、それほどなかったと思う。
一方のドイツ代表は、こんなもんでしょうか。日本の中盤に比べると、明らかにクオリティーが落ちるので、創造性がなく、セットプレー以外では怖さがなかった。バラックが怪我あがりで、本調子とは程遠かったことも原因だが、本番では、FIFAからもっと手厚いサポートが受けられるので、グループリーグ突破は問題ないでしょう。
サッカー所のドイツ・レバークーゼンで、本大会直前に、ホスト国と、素晴らしい雰囲気のスタジアムで、日本代表は立派な試合を行った。この試合は2対2のスコアに終わったが、ドイツ代表はもう横綱ではないし、日本代表も、もう平幕ではない。だから、日本代表が勝利していても何ら不思議はなく、金星とはいえなかった。根本的なサッカーの質では明らかに、日本のほうが優っていた。そのことを、一番感じていたのは、ドイツ国民だったことだろう。
----採点---
川口:6.0 2失点もミスはなかった。
坪井:6.0 前半ロスタイムにポドルスキに裏を取られた以外は、プレーに間違いはなかった。
宮本:6.5 カバーリング能力の高さを発揮。対人プレーの弱さの不安も見られなかった。
中澤:6.5 はね返しの能力は抜群だった。攻撃参加のときのミスが目立った。
加地:5.5 対面のヤンセンとのマッチアップは優勢も、怪我で負傷退場。
三都主:5.5 攻撃面では、いつもの存在感はなかったが、守備で破綻はなかった。
福西:7.0 前目のリベロとして、攻守で個圧倒的な存在感をはなった。
中田:6.5 運動量は相変わらず。飛び出しから、2度決定的なチャンスを迎えるも決めきれず。
中村6.5 前半は消えていたが、後半は下がり目になって自在のゲームメーク。
柳沢6.0 2度のチャンスを決め切れなかったが、1アシスト。怪我の影響は全くなかった。
高原:8.0 ドイツ相手に2ゴール。2得点目は、潜在能力の高さを示した素晴らしいゴールだった。
駒野:7.0 前半は流れに乗れなかったが、後半はサイドを制圧。加地が無事に復帰できるのなら、うれしい悩みになる。
大黒:5.5 中田のパスは決めたかったが、動き自体は問題なし。得点の雰囲気は十分だった。
玉田:採点なし。
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