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【第二次トランプ政権に備えよ!】(07) 「日本も秩序作る覚悟を」――鈴木一人氏(東京大学公共政策大学院教授)

20241219 06
アメリカ大統領選で“アメリカ第一主義”を掲げるドナルド・トランプ前大統領が再選した。トランプ氏が自国の利益の為だけに動き、他国への関与を避ければどうなるか。アメリカの助けを前提に安全保障の秩序を形成してきた同盟国は頭を抱えているだろう。一番影響が及ぶのは、ロシアが侵攻するウクライナと『北大西洋条約機構(NATO)』だ。トランプ氏は無益な戦争が続いているとみており、同国への武器供給停止と引き換えに、停戦させようとするだろう。

ただ、ウクライナのNATO加盟等安全保障上の措置がなければ、ロシアは一時的な停戦の間に力を蓄え、今度は一気に全土を支配しようと考える。ポーランドやバルト三国は「次は自分達だ」との危機感を持つので、NATO内で米欧間の対立が生まれる可能性がある。「抑も、欧州を守ることが我が国に何の得があるのかわからない」というのがトランプ氏の考えだ。欧州の軍事費は増えていくだろうが、アメリカが冷淡な態度をとり、NATOが機能不全に陥る可能性もある。

また、2期目の4年間は最後の任期となる為、北朝鮮問題でレガシーを作ろうとすることも考えられる。国交回復等をちらつかせつつ、米朝で対話を始める可能性がある。ただ、非核化は難しいだろう。対話が進むということは、北朝鮮からすれば脅威の水準が下がり、自由度が寧ろ増す。韓国の危機感は高まり、既に出ている韓国国内の“核武装論”は更に拡大するだろう。

ジョー・バイデン政権下では日米韓連携が進んだ。しかし、米朝対話によってアメリカを狙う大陸間弾道弾(※ICBM)の問題を、トランプ氏が「解決した」とアピールできる形になれば、日米韓連携のインセンティブもなくなる。また、アメリカによる東アジアの安全保障への関与が少なくなり、中国がより台湾への軍事的圧力を強めていくことは大いにあり得る。

アメリカが自らの利益の最大化にのみ集中し、関税を上げ、中国とは敵対しながら、それ以外の国際問題への関与を減らせば、NATOや自由貿易を含む、これまでアメリカが中心となって支えてきたリベラルな国際秩序に基づく仕組みが終わる。

今後は、日本も含む他の国々は米中抜きで、ルールに基づく国際秩序を静かに維持しようとする形になっていくのではないか。トランプ氏が2期目に突入する今、日本も自ら秩序を作る覚悟を決めるタイミングに差しかかっている。 (聞き手/政治部 畠山哲郎) (撮影/三浦研吾)


キャプチャ  2024年11月13日付掲載

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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