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ロシア爆発事件で殺害されたダリヤ・ドゥギナの父アレクサンドル・ドゥーギンとは誰か?

  
<記事原文 寺島先生推薦>
Western media's favorite Russian philosopher: Who is Aleksandr Dugin, whose daughter was killed in a Moscow car bombing?

Conservative thinker predicted the bloodshed in Ukraine and has bizarrely been dubbed ‘Putin’s brain’

(西側メディアのお気に入りのロシアの哲学者、娘がモスクワでの自動車事故で殺害されたアレクサンドル・ドゥーギンとは誰か? ウクライナでの流血を予見した思想家がなぜか「プーチンの頭脳」と称されている)

出典:RT

2022年8月21日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年9月10日


アレクサンドル・ドゥーギン(Aleksandr Dugin)。2016年。モスクワ。© AP / Francesca Ebel

 アレクサンドル・ドゥーギン氏は、ロシア国内よりも外国の方が知名度が高いという奇妙な立ち位置にいる人物だ。しかしこのことは、自国の認知度が低いというよりは、西側メディアがこの人物を喧伝や言論捜査に利用した結果であると捉えた方がいいだろう。
 
 ドゥーギン氏は、英語圏の報道において、「プーチンの頭脳」や「プーチンのラスプーチン」と称され、ウラジミール・プーチン大統領やロシアの支配者層において大きな影響力を保持していると報じられてきた。フォーリン・マガジン誌は、ドゥーギン氏を2014年の「世界的に活躍した思想家」の一人にあげ、「ロシアの拡大主義を影から操っている人物」だと評していた。
 
 しかし実際は、ドゥーギン氏はクレムリン当局に対して影響力を保持してはいない。さらにドゥーギン氏はロシア政権における重要人物であるわけでもない。ドゥーギン氏の立ち位置は超国家主義者の象徴的存在である。その超国家主義者たちからすれば、プーチン大統領の外交政策は手ぬるすぎると映っている。
 
 従って、ドゥーギン氏の人物像は非常に奇妙なものになっている。西側では名が知られているが、自国では非主流派なのだ。娘のダリヤ・ドゥギナ(Darya Dugina)氏が殺害されたのは、このような奇妙な立ち位置のせいで、ウクライナがドゥーギン氏を標的にしたからだと考える向きもある。
 
 この反西側作家は、8月21日の夜に娘が命を亡くした爆発事故現場を訪れた後、病院に入院したと報じられている。
 
 このことをソーシャルメディア上で明らかにしたのは、同じ評論家仲間のセルゲイ・マルコフ(Sergey Markov)氏だった。
 
 父譲りの記者であり政治専門家でもあった29歳のドゥギナ氏が殺害されたのは、モスクワ郊外の保守派の家庭で開かれた催しから帰宅する途中だった。その催しには父と共に出席していた。
 
 知人であったアンドレイ・クラスノフ(Andrey Krasnov)氏がタス通信に語ったところによると、ドゥギナ氏が運転していた車は父親のものだったという。
 
 未確認情報によると、ドゥーギン氏は娘と同じ車で催しから帰宅しようとしていたが、最終的には別々の車に乗ることにしたとのことだ。
 
保守派の先導者が「プーチンの頭脳」に変わるまで
 

 ドゥーギン氏が多くの本を書く保守派の作家として人気を博したのは、1990年代のことだ。当時ロシアはソ連崩壊後の大規模な経済危機に苦しみ、イデオロギーが空虚な時代を迎えていた。
 
READ MORE: Details about assassination of ‘Russian world’ ideologue’s daughter revealed
 
 激しい物言いと西側に対するタカ派的立場を示すことで知られていたドゥーギンは、ロシアの未来像を強力で、常に拡大を続ける帝国として描いていた。そしてロシアが果たすべき使命は、「西側のリベラルな手法が地球中に広がることを阻止する巨大な防波堤たること」と考えていた。
 
モスクワ在住の対ウクライナ・タカ派主義者
 

 『地政学の基盤: 地政学から見たロシアの将来』という1997年に出された重要な著書において、ドゥーギン氏はウクライナでの流血を予見していた。
 
 「ウクライナの国家主権はロシアの地政学においては負の要因となる。原理上、ウクライナでの武力衝突は簡単に引き起こされる可能性があるからだ」とドゥーギン氏は記載していた。ドゥーギン氏の主張によれば、ある程度の自治を認めた上で、ロシア帝国時代やソ連時代のように、ウクライナはロシアに統合されるべきだとしていた。
 
 ドゥーギン氏は、2014年のキエフでのクーデターを受けて、クリミアが住民投票でウクライナから離脱することを決し、ロシア政府がクリミアを再併合したことを熱烈に支持していた。そのためドゥーギン氏は米国やカナダから危険人物であると目されていた。ドゥーギン氏は、5年間国際社会学部長をつとめた後、2014年にモスクワ大学を退任した。
 
西側と戦う戦士として
 
 ドゥーギン氏はクリミア再併合と同様に、今年2月にロシア軍が近隣国のウクライナに対して行った軍事作戦を支援していた。ドゥーギン氏は、ウクライナが独立した1991年以降、米国が主導する西側が、ウクライナ政権の国家主義者勢力などの反ロシア軍を支援することで紛争を焚きつけてきたと主張し、さらに今もウクライナに武器を送ることで同じような行為を継続しているとした。
 
 「ウクライナを独立させようという取り組みの当初からの狙いは、ロシアに対する攻撃であり、その指図はアングロサクソンが行ってきたのだ」
 
 「ウクライナを支援し、ロシアと敵対する戦いは、これまでの歴史で西側が常に採用してきた地政学的な戦略だ」と、ドゥーギン氏は3月、保守派メディアであるツァリグラッド(Tsargrad)TVの論説面で書いていた。さらにドゥーギン氏はウクライナの現在の国境は、ウクライナがソ連領だった際に人工的に引かれたものであるとも主張していた。
 
 「ウクライナには国家と呼べる組織が存在した歴史はない。現在のウクライナの領土は歴史的な偶然の元で、ボルシェビキが決めた結果にすぎない。プーチンはウクライナでの軍事作戦を正当化しようと、『ウクライナを作ったのはレーニンだ』と主張していたが、それは完全に正しい」
 
 「現在ロシア軍が戦っている相手の国々は、世界の人々に単極世界を押しつけようとしている国々だ。この戦争に負けるわけにはいかない。負けてしまえば、世界全体が炎に包まれることになる」とドゥーギン氏は4月、トルコの新聞であるトゥルキエ・ガゼテシ紙の取材に答えていた。
 
父の足跡を辿って
 
 父と同様、ドゥギナ氏もウクライナでのロシア軍の軍事作戦を支持していた。彼女はウクライナを「破綻国家」と評していた。
 
 亡くなる数時間前に、ポドキャストの「ソロブヨブ・ライブ(Solovyov LIVE)」に出演した際、ドゥギナ氏は、自分たちの意志を他国に押しつけているとして西側を非難していた。「[ウクライナでの]特殊軍事作戦は[西側による]世界支配に終止符を打つものです」とドゥギナ氏は語っていた。
 
 今月、英国はドゥギナ氏を、「ウクライナに関する偽情報を頻繁に大きく拡散する」危険人物であるとしていた。
 
 ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mikhail Podoliak)大統領顧問は、この爆殺にウクライナ当局が関与したことを否定している。「強調したいのは、ウクライナがこの件に全く無関係であるということです」と同顧問は8月21日(日)にウクライナのメディアに対して答えている。
 


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