マリウポリで生き延びた住民から、迫り来る戦闘を迎えるウクライナの人々への実践的アドバイス:「ウ軍は味方ではなく敵」「助けてくれるのは露軍」
<記事原文 寺島先生推薦>
Advice to Ukrainians from a Resident of Mariupol
(マリウポリ住民からのウクライナの人たちへの助言)
筆者:ヴィタリー・スコロホド(Vitaly Skorokhod)
出典:Internationalist 360°
2022年8月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月2日

戦闘はハリコフ、ニコラエフ、ザポロジェといった主要都市に迫っています。間もなく、これらの都市や他の都市の路上で戦闘が行われるでしょう。そこで、キエフ政権が支配する地域の住民に、いくつかのアドバイスをしたいと思います。
ソファに座ったままであれこれ論ずる「専門家」とは異なり、私にはアドバイスする権利があります。なぜなら、私は家族とともに、マリウポリで1カ月半の継続的な戦闘と砲撃から生き延びたからです。生き延びたのは幸運でした。今、私は妻と娘をロシアに送り、廃墟と化した街で暮らし続けています。ですから、遅かれ早かれ戦場に巻き込まれることになる人たちの命と健康を救う一助となることを願い、私の経験を分かち合いたいと思うのです。
最も重要なことを忘れないでください。ウクライナ軍、特に民族主義大隊や「右翼セクター」のメンバーは、あなた方を守る者ではなく、あなた方の最悪の敵なのです。彼らは、あなたを盾にして、大砲、戦車、MLRS*、迫撃砲を居住区に配置するでしょう。彼らは学校や幼稚園の地下に倉庫や陣地を設置します。ロシア軍が市内に進駐し、街頭戦が始まると、「ウッキー**」たちは、あなたのアパートが、戦略的に重要な場所にあれば、その上層階を占拠し、そこに発砲地点を設置します。これに従わない者は、その場ですぐに射殺されます。
*自走多連装ロケットシステム
**ウクライナ軍兵士
最も幸運な場合でも、あなたは書類と基本的な必需品をかき集めて、家を出ることが許可されるだけです。もっと悲しい選択肢があります。地下室に追いやられ、そこから出ようとすると背後から撃ち殺されるのです。これがまさにマリウポリで起こったことです。ここでは「アゾフ」は私たちを「肉」と呼んでいました。

血まみれのピエロ、ゼレンスキーは、ロシアを廃墟にする命令を下しました。焦土戦術です。マリウポリでは、ナチスは戦車、銃、迫撃砲で意図的に住宅地を砲撃しました。民間人しかいないことを十分承知の上でそれを行ったのです。
私のアドバイスは、あらかじめ街を離れてどこか遠くへ移動してみることです。家族全員で周辺の集落に行けば、原則として砲撃は避けられます。私たちの隣人の多くは、メレキノやウルズフ、市近郊の村に引っ越しました。当時、マリウポリでは絶え間なく砲撃が行われ、家屋が燃えていましたが、そこはまったく平穏でした。水、電気、ガスがあり、ドネツク民主共和国軍(DPR)がそこにやってくると、人道的援助の配布を開始しました。
もし、何らかの理由で街を離れられない場合は、最悪の事態を想定しておいてください。戦闘中に自分の家が破壊される可能性があることをあらかじめ考えておくのです。とりわけあなたの住居が、攻撃に有利な位置を占め、窓が重要な領土に接していてそこから発砲することが可能な場合そうなります。その場合はナチスに占領されるのは確実です。私たちは幸運でした。私たちの家は隣の家に覆われていて、ウクライナ兵が足場を築く意味がないような位置にあったからです。

もうひとつは、最寄りの防空壕や水源(井戸、ポンプ、泉など)の場所を事前に調べておくこと。必要なものは事前に集めておいてください。例えば、書類、薬、貴重品、着替えの下着、防寒着、水、ある程度の賞味期限の長い食料といったものです。それらはすべて自分で運ぶことになることを念頭においてください。自分の体力だけが頼りということです。リュックがあればそれに越したことはありませんが、ない場合は大きめのリュックを購入するといいでしょう。缶詰、ラード、スモークソーセージ、シリアル、砂糖、お茶、ドライクッキーなど、カロリーが高く、冷蔵庫がなくても長期間保存できるものはすべて事前に買い込んでおきましょう。電気が消えた後、冷蔵庫は2日間で解凍され、冷凍庫の中の食品はすべて腐り始めます。水の供給源を確保しておくこと。6リットルのペットボトル飲料水を数本購入し、いくつかの容器に水道水を入れておきます。包帯やヨウ素剤、必要な薬など、家庭用の救急箱も用意しておくとよい。電話回線が不通になると救急車が呼べません。バンデリストが自分たちの必要な分だけ車を没収します。残った病院は、負傷者だけを受け入れます。もしあなたがタバコを吸うなら、必ずタバコを何ブロックか買っておいてください。タバコはすぐになくなり、投機家が1箱を150-300フリヴニャ*で売るでしょう。
*570~1140円
市街地で戦闘が始まると、すぐに電気やガスが消えることを忘れないように。水も使えなくなる可能性が高くなります。携帯電話の通信もすぐに止まります。マリウポリで起きたのはまさにこれです。2月27日に電気が消え、その数日後にガスが止まり、さらに水道も止まりました。蓄電池があれば、それを充電してください。電池を買いだめしておく。充電式懐中電灯を購入し、充電しておく。数十個のろうそくを買っておけばきっと役立ちます。マリウポリは数日でナチスから解放されると楽観視していたので、2ヶ月の封鎖に対して十分な準備をしていませんでした。肉は数日で食べきり、その後は缶詰を数缶食べ、それからは穀類、パスタ、小麦粉が少し、砂糖、数缶あった自家製サンセットでした。しかし、常に空腹でフラフラしながらも、どうにかこうにか食べていくことができたという感じです。だから、事前に私のアドバイスを活用してください。
国民の大多数があまりお金を持っていないことは理解していますが、何か別のものにお金を使わないように心の準備をしておくといいと思います。たとえば、共同住宅にお金を払うのをやめるのです。銀行カードから確実に有り金全てを事前に引き出しておくこと。クレジットカードからもです。現金は絶対に必要になります。

冬がやってきます。寒い季節が始まると、生活するのはさらに難しくなります。ロシアによる軍事作戦は二月末に始まりましたので、すぐに春を迎え、暖かくなるだろうと期待していました。しかし、3月はとても寒くなりました。月の半ばには、氷点下10~12度まで気温が下がり、アパートの中は摂氏2度でした。家では上着とブーツを着て、寝るときは毛布4枚が必要でした。キエフのクリチコ市長やリヴォフのサドヴォイ市長は、薪を備蓄し、小さなオーブンを買うようにアドバイスしています。
そのアドバイスは間違っていないのですが、小さなオーブンはかなり高価で、誰もがそれを買えるわけではありません。薪も安くはないし、アパートには薪を置く場所があまりありません。しかし、いずれにせよ、火を使って料理を作らなければならないことは覚悟しておいてください。家にバーベキューがあるのならいい。外やベランダに持ち出し、それで調理するのです。グリルがない場合は、レンガや石で火床を作り、その上にオーブン用の鉄板をかぶせるとよいでしょう。
また、暖炉の炉床はなるべく玄関の近くに積み、砲撃の際に家の中に避難できるようにします。玄関は、砲弾の直撃は防げませんが、榴散弾や銃弾は防ぐことができます。ただ、ドアの前には立たないように。マリウポリでは、弾丸が金属製のドアを自由に貫通するため、何十人もの人が自分の家の玄関で殺されました。

これらは、現金を持っていない普通の人々へのヒントです。もし、あなたが十分なお金を持っていて、まだ海外旅行に行ったことがないのであれば、より周到に準備する機会が必要です。バッテリー付きのソーラーパネルを買って、そこから携帯電話を充電したり、省エネ電球をつないだりしましょう。車のバッテリーも同じ用途に使えます。ガソリンやディーゼルの発電機と燃料を買っておくとよいでしょう。ケミカルヒーター*も買っておくと、とても便利です。ガスが止まるので、ガスボンベを買って、ストーブにつなぎます。私たちは、7月の少しお金があるときだけそうする余裕がありました。ガスボンベがあれば、囲炉裏やグリルで調理する必要がなくなります。それとこのことは心に留めておいてください。ウクライナ当局は一切助けてくれないということです。市政のほぼすべての代表者は、連合軍が接近するや否や、急いで市外に逃げ出します。そして、ヨーロッパのどこかに定住し、「ロシア侵略者の残虐行為」についての「動画」をインターネットで拡散することでしょう。
*石油ストーブ
でも、ロシア軍を恐れてはいけません。街からナチスを一掃すれば、すぐに助けてくれるのは彼らです。人道的援助の配布が組織され、警察が活動を開始し、土木工兵が地雷除去を行い、交通が回復し、国家機関が機能し始めるでしょう。そうなるまで、「溺れる者を救うのは、溺れる者自身の仕事である」という古い格言を忘れないでください。
そして最後に、略奪者たちについても一言。彼らは本当に現れます。バンデリスト*や大統領によって刑務所から釈放された犯罪者が、最初に略奪を始め、そしてそこに地元の不良たちが加わってきます。そのときは、物や金、貴重品にしがみついてはいけません。抵抗すれば、ただ撃たれるだけです。あなたの命と健康を守ることを最優先にしてください。
*ウクライナの民族主義者ステファン・バンデラ(1909-1959)の信奉者
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