■ 2017シーズンの競技規則スタンダードJリーグはいよいよ明日開幕を迎える。DAZN効果もあって注目度や期待値は例年以上と感じる。W杯のアジア最終予選も間に挟まれるが、さらには内山JAPANが出場するU-20W杯、森山JAPANが出場するU-17W杯の本大会も迫って来た。見どころ満載のサッカーシーズンが本格的にスタートするが、数日前の2月22日(水)に「2017シーズンの競技規則スタンダード」がyoutubeのJリーグチャンネルにアップされた。
JFA審判委員会副委員長の上川徹さんが登場して2016年のJ1あるいはJ2で実際に起こったシーンを15個ほどピックアップして、それぞれのジャッジに関して審判団がそのような判断を下した理由や意図などを1つずつ説明している。ここに出てくるシーンは昨シーズンのJリーグで「誤審なのでは?」と話題になったジャッジも含まれるので記憶に残っているシーンがほとんどだったが分かりやすい解説だった。
再生時間は14分47秒。時間的に短くはないがJリーグの審判団(主審・副審)の基本的な考え方を理解するためには見ておくと有意義な映像に仕上がっている。(微妙なシーンではあるが)「審判団の判断が正しい。」と考えられるシーンをここではピックアップしているが、一般人では判断に迷うようなシーンを丁寧に説明している。ジャッジに関するサポーターの理解が深まるきっかけになり得る動画と言えるだろう。
■ 簡単なようで複雑なサッカーのルール「野球のルールは複雑」と言われることが多い。細かいルールがたくさんあるが、それでも野球は「ストライクか?ボールか?」、「アウトか?セーフか?」の判定がほとんど。もちろん、インフィールドフライや振り逃げや守備妨害などは初心者には分かりにくい。いくつか難しいルールもあるが「ストライク/ボール」、「アウト/セーフ」に関しては一応はしっかりとした基準があるので極端に迷うことは無い。
対照的に「サッカーはルールがシンプル」と言われることが多いが、「ファールか?ノーファールか?」、「オフサイドなのか?オフサイドではないのか?」、「ハンドなのか?ハンドではないのか?」あたりを判定するときは簡単ではないケースが多い。グレーゾーンに当てはまる「どちらとも取れる。」と言えるシーンは1試合の中で何度かはあるので(確かにルールはシンプルであるが)審判員はかなり大変である。
昨年の12月に行われたクラブW杯のときは主審による映像チェック(オン・フィールド・レビュー)の採用が大きな話題になったが、Jリーグにおいては人件費と設備の問題があるので早期の導入は難しい。間もなく新シーズンが始まるが今シーズンもいくつかの試合は内容や選手のパフォーマンスではなくてジャッジが大きな注目を集めることになだろう。主審が主役になる試合がいくつか生まれるのは確実と言える。
■ Jリーグの審判団のレベルは上がったのか?下がったのか?毎年のようにJリーグではいくつかの誤審騒動が起こる。「なぜ誤審は減らないのか?」と考えている人は多いと思うが、(自分の中で考える)Jリーグの誤審を減らすことは意外と簡単にできる。世間一般で誤審と言われるものの半分ほどは「よくよく考えると誤審ではなくて正しい判定だった。」と言えるので、「誤審だ。」と思ったシーンを何度も繰り返しリプレーでチェックすることで体感的な誤審はかなり減少する。
Jリーグを見続けている人は「昔と比べてJリーグの審判団のレベルは上がったな・・・。」と感じている人が多いのでは?と思うが、審判団が上のような動画を作って分かりやすく説明する機会が増えているので、無意識のうちに判定や審判員に対する理解が深まっていて、「レベルが低いと感じていた昔」と比べると微妙なジャッジに遭遇してもある程度の精度で正確な判断が出来るようになっているからだと考えられる。
もちろん、「明らかにこの判定はおかしいだろう。」というシーンは現時点でも少なくない。どう考えても審判員の落ち度であり、誤審としか言いようがないシーンもあるが、競技や判定や審判員に対する理解度が深まれば深まるほど(感覚的な)誤審の数は少なくなるのでJリーグの審判団のレベルが上がっていると感じるようになる。「競技や判定や審判員に対する理解度」と「(感覚的な)誤審の数」はキレイに反比例する。
■ 短期間での審判員の技術的な向上は期待薄当然、Jリーグは審判員のレベルアップのためにいろいろなことを試みている。その成果も少なからず「Jリーグの審判団のレベルは上がっているな・・・。」と感じる理由の1つに含まれると思うが、人間の能力には限界があるので(テクノロジーにあまり頼らない)今のやり方では審判員の技術の劇的な向上は期待しにくいし、わずかなレベルアップを敏感に察知できる人はそれほど多くないだろうと考えられる。
現役の選手や監督や評論家などずっとサッカーの世界で生きてきた人の感覚は全く別物だと思うが、一般的なサッカーファンで「Jリーグの審判のレベルは低い。」、「昔と比べるとJリーグの審判のレベルは落ちているのではないか。」と公言する人が周囲にいるとしたらその人自身の「競技や判定や審判員に対する理解度不足」を真っ先に疑わなければいけない。その人自身のレベルが上がっていない可能性の方が高い。
先のとおり、サッカーのルールは意外と複雑で難しいので「これはどうなのか。」、「この判定で良かったのか?」と思うシーンは多い。正直なところ、考え違いをしてしまうケースも多々あるが、それでも自分であれこれ考えることが理解力アップにつながる。Jリーグは今シーズンから「試合後に判定の正・誤を検証する議論の場」を設けることが確実視されているが、意見を言い合うことも理解力アップにつながる。
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