■ 「オリジナル10」の名古屋が降格・・・。Jリーグ屈指の名門クラブであり、2010年にはJ1制覇を達成した名古屋グランパスだったが、7勝18敗9分けで勝ち点「30」。16位となって無念のJ2降格となった。これによって「オリジナル10」のクラブの中でJ2降格を経験していないのは鹿島と横浜FMの2チームのみとなった。近年は本気でJ1昇格を狙っているチームが増えているので資金力のある名古屋と言えどもJ2では難しい戦いを強いられる可能性が高い。
J2降格の原因については多くの人が語っているとおりである。とにもかくにも指導者経験のない小倉監督に託したのが誤りだった。そして、同じくらい問題視されるべきは小倉監督をサポートできる経験豊富なアシスタントコーチを置くことが出来なかった点である。当初は「現・鹿児島の監督でクラブOBである浅野哲也氏をスタッフに加える可能性が高い。」と言われていたが、この話が立ち消えになったのは痛手だった。
もちろん、ずっと未勝利が続いた時期に小倉監督のクビを切ることが出来なかった判断も大いに責められるべきポイントであり、J2降格が決定した後のDF闘莉王やMF小川佳やDF竹内などに対するクラブの接し方に関しては「問題外」と言わざる得ない。小倉監督兼GMを筆頭としたスタッフならびにフロントの失態は目に余るものがあり、何が、そして、どこが一番の問題点だったのか?は誰の目にも明らかである。
■ 「選手たちも被害者」なのか、否か?なので「選手たちも被害者である。」という意見に対してはある部分では同意するが、今シーズンの戦いぶりを考えると選手たちも情けなかった。もちろん、チームとしてうまく機能していないと輝けないタイプの選手もサッカー界には少なくないが、「(チームとしては結果が出なかったが)個人としてはよく頑張った。」と言える選手はほとんどいない。大半の選手が期待を大きく裏切るパフォーマンスだったと言える。
小倉監督時代の末期は悲惨な状況だったが、それでもジュロヴスキー監督になってからはチームの雰囲気は良くなった。監督交代後の最初の5試合は3勝1敗1分け。残り3節となった時点で15位に浮上した。地力でJ1残留を果たせるところまで急浮上したが、最後の3試合は0勝2敗1分け。結果論になるが、ラスト2試合のうち、どちらか1つでも引き分けていたらJ1に残留することが出来ていた。痛恨の連敗だった。
2ndステージの16節の神戸戦(A)は0対3の完敗で、最終節の湘南戦(H)は1対3の敗戦だったが、切羽詰まった状況に置かれたチームとは思えないほどいろいろな意味で緩かった。神戸は2ndステージ優勝の可能性が消滅しており、湘南はJ2降格が決まっている中での試合だったのでモチベーションを保つのが難しい状況だったが、「名古屋の方がすでに消化試合に突入している。」と錯覚するほど低調な試合だった。
もちろん、大きなプレッシャーを背負っているので力を出し切れなかったり、硬さから本来の動きが出来なくなるケースは多々あるが、ラスト2試合の名古屋イレブンの動きはそれ以前の問題だった。勝負の3試合の前にはアジア最終予選とルヴァン杯の決勝戦が行われたので「中20日」というインターバルがあったが『この期間中に何か良からぬことが起こったのか?』と思うほど「酷いグランパス」に逆戻りしていた。