■ 監督のウエイトが大きいサッカーという競技当然、どの競技でも監督は大事であるが、ボールスポーツの中でサッカーの監督の重要性は特に高い。試合中にほぼ自由に選手交代ができるので「誰と誰を一緒にプレーさせて中心となる選手をどこで休ませるか?」が極めて大事になってくるバスケットボールは監督の力量さが出やすい競技であるが、負けず劣らずサッカーの監督も重要である。選手よりもはるかに高い年俸をもらっている監督はJリーグにもいる。
サッカーにおいて監督は絶対である。「誰を先発で起用するのか?」、「誰を途中出場させるのか?」、「どういう戦術とシステムを用いるのか?」にとどまらず、「試合中にどういうプレーを選択すべきなのか?」も監督によって方向性が決められている。「プレスをかけられたときは大きく蹴り出すのか?」、「一定の頻度でミスが起こることは覚悟した上でつなぐことを優先させるのか?」も監督の考え方による。
もちろん、監督が全てのことを想定して前もって指示できるはずはないのである程度は選手に任せられているが、結局は自分の考えをピッチ上で体現できる選手が試合で起用されるし、代表監督になるとそういう選手を代表に召集することになる。監督に気に入られないと選手はプレーする機会を得ることが出来なくなるが、監督の顔色ばかり窺っていてはいいプレーはできない。このあたりのバランスを取るのは難しい。
■ 日本人屈指の指導者と言える森保一監督近年のJリーグではいくつものタイトルを獲得した西野朗監督が勇退して「セホ・ロペ体制」になった2012年のG大阪がJ1で17位になってJ2に降格したことが象徴的な出来事であるが、選手がほとんど変わっていなくても監督が代わるとチームは大きく変わるものである。J2の中堅以下の規模の小さいクラブになると「選手を勧誘する仕事」も兼任せざる得なくなるのでさらに監督の重要性は増すことになる。
「プレーするのは選手である。監督がプレーするわけではないのであまりにも監督にスポットライトを浴びせるのは良くない。」という人もいるがちょっと古い考え方である。創生期のヴェルディ川崎のようなタレント軍団であり、大人の集団であったならば「監督が及ぼす影響力」は大きくないのかもしれないが、あらゆる部分がますます複雑になっている現代サッカーでは監督によってチームは大きく変化する。
日本人屈指の指導者というとやはり森保監督(広島)になるだろう。2012年と2013年にリーグ連覇を達成すると2015年もCSを制覇してチームを3度目の年間優勝に導いた。オフに主力が抜けるケースが多くてシーズン前の評価はいずれも決して高くなかったが前評判の低さを覆して日本一に輝いている。ペトロヴィッチ監督が築いた土台を壊すことなくブラッシュアップしてチームを進化させたことが高く評価されている。
2014年に史上2チーム目となる3冠を達成したガンバ大阪の長谷川健太監督も日本人屈指の名将の1人と言える。森保監督と長谷川監督はともに1993年のドーハの悲劇の経験しているが「ドーハ組」というとDF柱谷やDF都並やDF井原の方が(現役当時は)はるかに指導者として大成することが期待されていた。ドーハ組の出世頭になるのが森保監督と長谷川監督になるとはほとんどの人は予想できなかった。
■ 日本人屈指の戦略家である反町康治監督ドーハ組の中では「アジアの大砲」と言われた高木琢也監督も着実に指導者としての実績を残している。2006年には横浜FCを初のJ1に導いて、2013年と2015年は地元のクラブであるV・ファーレン長崎を率いてプレーオフ進出を果たした。開幕直後に監督を任されてチームをJ1に昇格させた横浜FC時代の功績も大きいが、昇格1年目の長崎を率いて6位と大躍進した2013年の仕事ぶりは高く評価されるべきである。
現役時代の高木監督は188センチの高さを武器とする典型的なCFだった。正直なところ、クレバーなタイプではなかったし、チームを引っ張るリーダータイプの選手でもなかった。現役時代の姿からは監督として成功する姿はイメージできなかったが現役引退後に欧州サッカーならびに現代サッカーをしっかりと勉強してきたことが大きかった。出だしで躓いた長崎を蘇らせることが出来ると評価はさらに高まる。
Jリーグで結果を残して五輪代表の監督に抜擢されたジェフ千葉の関塚隆監督と松本山雅の反町康治監督も日本人の指導者としては最上位にランクされる。関塚監督は(シーズン途中の監督就任だったが)2013年に磐田を率いて残留に失敗。千葉でも2年連続で昇格に失敗しているので監督としての評価が下がってきているのは確かであるが、川崎F時代の実績と2012年のロンドン五輪での4位という戦績は輝いている。
一方の反町康治監督は2008年の北京五輪では3連敗と結果を残せなかったが最終的に五輪代表のメンバーに選んだ選手の多くが日本代表あるいは欧州リーグで活躍している。将来性を見極める目は屈指と言える。新潟・湘南・松本山雅の3チームをJ1に導いたがいずれのクラブも環境面で優れているわけではない。スモールクラブを率いてこれだけの実績を残しているのは驚きであり、日本人屈指の戦略家と言える。
■ 外国籍の指導者で優秀なのは・・・。外国籍の指導者では浦和レッズのペトロヴィッチ監督とヴィッセル神戸のネルシーニョ監督の名前を挙げることが出来る。なかなかタイトルに届かないので「シルバーコレクター」という有り難くない称号を得ているが、そうは言ってもペトロヴィッチ監督が就任してからの浦和は安定してJ1で上位をキープしている。2011年に柏を年間王者に導いたネルシーニョ監督については改めて触れる必要もないだろう。
京都出身で在日韓国人のチョウ・キジェ監督も新進気鋭の指導者と言える。今シーズンは主力流出の穴を埋めきれずに苦労しているが「湘南スタイル」を確立させた功績は大きい。昨今の流れも関係しているが、「圧倒的な走力を武器にするサッカー」はJリーグ全体に小さくないインパクトをもたらした。2勝9敗2分けで最下位。降格の危機にある湘南を見事に救うことが出来ると監督としての評価は確立されるだろう。
その他の日本人指導者ではFC東京の城福浩監督、川崎フロンターレの風間八宏監督の名前を挙げたい。古巣のFC東京に戻った城福監督は今シーズンはJ1のリーグ戦では苦戦しているがACLでは「最低限のノルマ」と言える決勝トーナメント進出を果たした。際立つのは甲府時代の実績である。2012年にはプロビンチャと言われる地方クラブをJ1に昇格させて2年連続でJ1に残留させた手腕は見事と言うしかない。
一方の風間監督は後方からパスをつなぐスタイルで存在感を発揮している。タイトルを獲得してもおかしくない戦力を有しながらタイトルに届かない点を批判されることもあるがFW大久保やMF中村憲などタレントの能力が存分に生きる攻撃サッカーは魅力がある。なお、森保監督と高木監督と風間監督はいずれも創生期の広島で活躍した選手である。当時のメンバーは松田浩監督も含めて指導者として大成した人が多い。
Jリーグのクラブを率いている優秀な指導者というと・・・。 ・森保一監督 (サンフレッチェ広島)
・長谷川健太監督 (ガンバ大阪)
・反町康治監督 (松本山雅)
・高木琢也監督 (V・ファーレン長崎)
・関塚隆監督 (ジェフ千葉)
・ペトロヴィッチ監督 (浦和レッズ)
・ネルシーニョ監督 (ヴィッセル神戸)
・チョウ・キジェ監督 (湘南ベルマーレ)
・城福浩監督 (FC東京)
・風間八宏監督 (川崎フロンターレ)
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