■ J1の第2節J1の第2節。開幕戦は豊田スタジアムで名古屋と対戦して一時は3対1とリードしながら3対3の同点に追いつかれてドローに終わった松本山雅がホームのアルウィンでサンフレッチェ広島と対戦した。広島は開幕戦はFW佐藤寿とMFドウグラスがゴールを決めて2対0で甲府に勝利して白星発進となった。J1初昇格を果たした松本山雅にとってはこの日が記念すべきJ1での初めてのホームゲームとなる。
ホームの松本山雅は「3-4-2-1」。GK村山。DF飯田、後藤圭、酒井隆。MF岩間、喜山、田中隼、岩沼、岩上、池元。FWオビナ。スタメン11人は開幕の名古屋戦(H)と変わらず。新外国人のFWオビナは1ゴール1アシストと鮮烈なデビューを飾った。北九州から加入したMF池元も名古屋戦(H)でJ1初ゴールを記録している。東京Vから加入したMF前田直、岡山から加入したMF石原崇などがベンチスタートとなった。
対するアウェイの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、柏、森崎浩、浅野拓。FW佐藤寿。こちらも開幕の甲府戦(H)と全く同じスタメンとなった。MF浅野拓は3月11日(水)のU-22ミャンマー戦に先発で出場しており、中2日となる。同じくミャンマー戦に出場したMF野津田はベンチスタートとなった。FW浅野拓とMF野津田とMF吉野恭が五輪代表に選出されている。
■ 2対1で広島が逃げ切って2連勝試合は前半7分にアウェイの広島が先制する。いい形でボールを持ったMF浅野拓の強引な突破のこぼれ球を拾った左WBのMF柏が得意のドリブルで相手2人をかわしてから右足でシュートを放つと、これが鮮やかに決まって早い時間帯に広島が先制する。しかし、前半12分に松本山雅はペナルティエリア内で倒されたMF岩沼の得たPKを新外国人のFWオビナが決めて1対1の同点に追いつく。FWオビナは2戦連発となった。
前半終了間際に広島はゴール左寄りの絶好の位置でFKを獲得すると、MF森崎浩が左足で蹴ったボールが鮮やかな軌道を描いてゴールイン。前半のラストプレーで広島が勝ち越しに成功する。後半は1点リードで余裕を持った戦いができるようになった広島がペースを握る。松本山雅はなかなかボールを奪い返せない時間帯が続いたが、後半30分あたりを過ぎると松本山雅が連続してチャンスを作るようになる。
岡山から加入したDF後藤圭のヘディングシュートなど入ってもおかしくないシュートがいくつかあったが、広島のキーパーのGK林卓の活躍もあって同点ゴールは生まれず。最後まで勝敗の行方が分からない熱戦となったが、2対1で広島が逃げ切った。広島は2連勝と好スタートを切った。一方の松本山雅はJ1初勝利はならず。0勝1敗1分けとなった。松本山雅は第3節はアウェイで好調の清水と対戦する。
■ 反町監督の策は成功したのか???基本的には広島ペースが続いた。松本山雅は本来であれば183センチとサイズのあるFWオビナを最前線に置いて、その下にMF岩上とMF池元が並ぶ「3-4-2-1」の形となるが、この日はMF岩上が最前戦に残る場面が多くて、FWオビナのポジションは下がり目だった。「MF岩上の1トップで、FWオビナとMF池元の2シャドー」と表現してもおかしくない並びで、策士と言われる反町監督が先に手を打って来た。
ポゼッションのときに最終ラインの中央に位置するDF千葉とMF森崎和に対して効率的にプレッシャーをかけるためには「運動量が多くて献身的にプレーできるMF岩上の方がベター」と考えたと思われる。MF岩上は1人でDF千葉とMF森崎和を監視する役目を担ったが、この策は「ある程度は成功した。」と言える。ただ、広島もパスワークからチャンスを作った。作戦としては面白かったが、策がハマったとは言えない。
さらに言うと、攻撃に移ったときに下がって来て「つなぎ役」となるMF岩上のポジションが普段よりも高めだったので、「松本山雅が奪ったボールをカウンターにつなげることが出ない。」という副作用もあった。広島の攻撃が続いた一因とも言えるが、何かしらの手を打たないと広島と互角の勝負を繰り広げるのは難しいので、パスワーク等のクオリティで上回った広島のサッカーを褒めるのが正しいと思う。
■ 森崎浩司のFKが決勝ゴール広島はこれで2連勝となったが、ベテランのMF森崎浩の活躍が目立っている。甲府戦でもアシストを記録して、この日は決勝ゴールをマークした。MF石原直とMF高萩の2人が抜けたので、「シャドーのレギュラーが誰になるのか?」が注目を集めており、MF野津田、MFドウグラス、MF柴崎晃、MF工藤浩、MF浅野拓などが候補に挙がっていたが、今のところはMF森崎浩がファーストオプションになっている。
ザックジャパンに招集された経験のある主力2人が抜けたというのは大きなダメージと言えたが、「広島一筋で頑張って来たMF森崎浩が活躍している。」というのは広島のサポーターには特に嬉しいことだと思う。左足のキックの精度の高さが光っているが、判断が正確なのでミスが少ない。周りの選手を生かしつつ、自らもチャンスシーンに絡めているので、この2試合のパフォーマンスは良いと言える。
相方のMF浅野拓もこの日は良かった。開幕戦は1つ惜しいシュートがあったが、それ以外はゴール前で仕事をすることはできなかった。交代で入ったMFドウグラスがゴールを決めたのでちょっと悔しい開幕戦となったが、この日はいつも以上に積極的で、ゴールへ向かう意欲が旺盛だった。周りにはクレバーな選手がたくさんいるので、MF浅野拓にとってはやりやすい環境と言えるだろう。
MF柏の先制ゴールも非常に良かった。瞬間的に1対2となったが、得意のドリブルで2人をかわして中央に切れ込んで最後は右足でゴールに流し込んだ。MF森崎浩のFK弾も鮮やかだったが、MF柏の先制ゴールもきれいなゴールだった。MF柏は縦に突破するプレーを得意としているが、こういう感じで中央に切れ込んで自らもゴールを決めるようなプレーが増えていくと、プレーヤーとしての価値はさらに高まる。
広島は攻撃陣も総じて出来は良かったが、MOMはキーパーのGK林卓になるだろう。後半30分あたりまではあまり仕事をする機会が無かったが、最後の15分は大忙しだった。決まっていてもおかしくないシュートや嫌な感じでゴール前に入って来るボールがたくさんあったが、全て落ち着いて対応した。PKにつながった1失点目の対応は十分ではなかったが、そのプレーを帳消しにするだけの活躍を試合の終盤に見せた。
■ 切り札になりつつあるMF前田直輝一方の松本山雅は先のとおりで「まずは広島のパスサッカーを封じよう。」というコンセプトで試合に入った。成功した部分もあったし、成功したとは言えない部分もあったが、とにもかくにも、1対2という僅差のスコアで終盤戦に入った。最終的には追いつくチャンスがありながらも決められなかったことは残念だったが、強豪の広島を相手にして一定以上の手ごたえを感じることができたホーム開幕戦と言える。
松本山雅は今後もこういう試合が多くなると思われる。もちろん、「自分たちがリードして試合の終盤を迎える。」という展開に持ち込むのが理想であるが、それはなかなか難しい。僅差で終盤を迎えて「そこから勝ち越しゴールや同点ゴールを奪ってしぶとく勝ち点を積み上げていく。」というのがJ1での基本的な戦い方になるだろう。勝負どころでゴールを奪えるか否かが残留できるかどうかの大きな分かれ目と言える。
この日は同点ゴールを挙げることはできなかったが、広島を相手にしても試合の終盤に攻め込んで数多くのチャンスを作ることができたのは収穫の1つで、さらに言うと、プレシーズンマッチの横浜FM戦(A)から途中出場のMF前田直がいい感じで攻撃に絡めている点は好材料と言える。MF石原崇も途中出場で流れを変える働きが期待されているが、今のところはMF前田直の方が優先順位が高くなっている。
東京Vから加入したMF前田直のいいところは「キレのあるドリブルで突破をすることができる点」である。1人くらいであれば簡単にかわすことができるほど高度な技術を持っており、左足のクロスの精度も非常に高い。スタメンで起用されているMF池元もある程度はドリブルで突破のできる選手ではあるが、ドリブルに関してはMF前田直の方が1枚上である。場合によってスタメンで起用するのも面白いかもしれない。
関連するツイート 関連エントリー 2014/11/05
松本山雅がJ1に昇格できた7つの理由 2014/12/23
「パス成功率」の極めて低い松本山雅はJ1で通用するのか? (前編) 2014/12/24
「パス成功率」の極めて低い松本山雅はJ1で通用するのか? (後編) 2014/12/28
【J1】 クラブ別の戦力補強の雑感 (仙台・山形・鹿島・浦和・柏・FC東京編) 2014/12/29
【J1】 クラブ別の戦力補強の雑感 (川崎F・横浜FM・湘南・新潟・甲府・松本山雅編) 2014/12/29
【J1】 クラブ別の戦力補強の雑感 (清水・名古屋・G大阪・神戸・広島・鳥栖編) 2015/03/17
【J1】 全15ゴールの中から第2節のベストゴールをみんなで決めよう。 (動画付き) 2015/03/17
【J1】 全9試合の中から第2節のベストゲームをみんなで決めよう。 (動画付き) 2015/03/17
クラブ別エントリー (松本山雅) 2015/03/17
クラブ別エントリー(サンフレッチェ広島)
- 関連記事
-