■豊田陽平選手、来日去る2018年4月18日、関東住まいの鳥栖サポーターである私は等々力競技場へ足を運んだ。
新しい家族の誕生、転職など人生の山場があり、スタジアム自体に足を運ぶのが久しぶりだ。
応援しているサガン鳥栖の試合を生で見たのは2年以上も前になる。
妻に頭を下げ、仕事もそこそこに会社を飛び出しここに来た理由。
それは「鳥栖のレジェンド」とも称されることがある豊田陽平選手を見るためだ。
Kリーグへの突然の移籍。
それ自体をどうこう言う気はないが、衝撃的な出来事ではあった。
豊田選手が日本で、関東で見れる。
観に行かない理由など、あるはずがない。
■豊田選手の現状ここからは私の目で見た試合の流れと、その中での豊田選手の状況について綴っていく。
主に、地元でサガン鳥栖を応援してくれているサポーターたちへ豊田選手の現状を伝えるために、だ。
だが、その前に豊田選手の置かれている現状を書いておく。
・豊田選手は公式戦でまだゴールを上げていない。
・開幕時はスタメンだったが、徐々に出番が減りつつある(点を取れてないし、やむなし)
・ポジションはFWのまま。主な布陣が1トップか2トップかは不明。
という状況である。
豊田選手は自分で点を取れるタイプではなく、周りに活かされて点を取るタイプだ。
その特性と、この現状から、どういう状況なのかはご想像いただきたい。
■手詰まりになった前半豊田選手は4-2-3-1の1トップとしてスタメン出場した。
鳥栖で長くプレイした布陣ではあるが、トップ下はドリブラータイプの選手(今の鳥栖なら河野選手に近い)であり、両サイドMFも新潟活躍したチョヨンチョル選手など、カットイン型の選手を置いている。
攻撃時はボランチが1枚下がって3バックを形成し、両SBを上げる形だ。
鳥栖で得点を積み重ねていた時期の布陣ではあるが、トップ下にはセカンドボールへの対応やサポートに秀でた選手を。サイドにはクロスが得意な選手を置いていた当時の鳥栖とはやり方が異なる。
現に、トップ下の選手がサイドに流れてSBの裏を狙い、中に入ってきたサイドMFの選手にグラウンダーでマイナス気味にクロスを出すやり方が中心だった。
豊田選手の役割は最終ラインを奥に引っ張ってバイタル〜ペナルティエリアにサイドMFが走り込むスペースを作ることが主。
時折クロスも入るのだが、選択肢が他にない時のものであり、手詰まり感のある状況から意思もなく出されるクロスボールは精度を欠くことが多く、決定機に繋がりそうなシーンはほぼなかった。
前半は川崎が早々に先制し、追加点を上げたことで川崎が優位。
川崎の狭いスペースでボールを受け、捌く技術に蔚山側の守備は対応できておらず、全体をコンパクトにして対応しようとするものの、「それはもう知ってる」と言わんばかりにボールを回してスペースを作り、攻略していく。
また、蔚山は攻撃面でも川崎のゾーンを崩す方法が見つからず、最終ラインでのボール回しや、サイドMFの単独突破が目立つようになってくる。
豊田選手は川崎の最終ラインの位置でロングボールを受ける構えを取るが、ロングボールが入るシーンは少なかった。
2-0で川崎リードのまま前半を終える。
■豊田システムでスタートした後半蔚山側は攻撃面での手詰まり感にフラストレーションを溜めた前半から選手を1人交代し、4-1-4-1へ布陣を変更する。
この変更の意図は大きく2つ。
1つはサイドの幅を使える布陣にすること。
両SBの位置を高く設定し、サイドに幅を作ってサイドチェンジをしながら川崎のゾーンを広げていった。
もう1つはトップ下に2枚配置することで、ロングボールを蹴った後のセカンドボールを拾いやすい状況を作ること。
そう、「豊田システム」だ。
鳥栖時代は両サイドとトップ下にセカンドボールを拾うために献身的に走れる&その意識が高い選手を配置していたため4-2-3-1でも良かったが、蔚山にはそのタイプの選手は少なくともスタメンではいなかった。
なら、単純に枚数を増やしてしまおうというわけだ。
この布陣変更により、川崎のゾーンは「横」と「縦」に広げられ、スペースを得た蔚山側の攻撃が展開されていく。
また、後半開始早々にセットプレーから1点を返せたことで、蔚山側が勢いづいたことも大きい。
豊田選手には「戦術的意思を持ったロングボール」が蹴られ、それを半々といった割合で制していく。
ただ、攻撃の主役は空いたスペースを使って攻撃する2列目の選手であることに変わりはない。
現に、蔚山の2点目も中盤の選手が取ったものだ。
豊田選手へのクロスが入るシーンはそれほど多くはなかったが、ロングボールのターゲットマンとしての位置取り、攻守が切り替わった際のファーストディフェンダー(またはスペースのケア)は83分の交代までずっと繰り返していた。
鳥栖時代と何も変わっていない。自分に与えられた役割、できることをとにかくやる豊田選手がそこにはいた。
そして、ツインタワーになると良さが全く活きなくなる点も、何も変わっていなかった。
(これは監督が悪い。役割が整理されてもおらず、全体が機能不全に陥っていた)
■異国の環境で戦う背中を見て豊田選手はまだ得点が取れていない。
サッカーの戦術や概念は時代とともに変わっていくが、ストライカーという概念はまだ残っている。
点の取れないFW(ストライカー)がどう評価されるか。それは皆様のご想像の通りだろう。
試合を見る限り、豊田選手は「主な得点パターン」には組み込まれてないが、「チーム戦術の1つ」には組み込まれている。
だからこそ、早く得点が欲しい。
本人が、誰よりもそう思っているだろう。
そんな状況下でも、鳥栖時代と同じようにチームのために戦う姿を豊田選手は見せてくれた。
冒頭の通り、私は最近転職をした。
異なる環境、異なる価値観、見知らぬ周囲の人々。
戸惑いもするし悩みもするが、私よりも何倍も難しい環境に豊田選手は身を投じている。
そしてそんな環境の中でも「自分のプレー」を貫き続けていた豊田選手の姿は、新しい環境に戸惑い、持ち味を出せていない私に「そうじゃないだろ」と訴えかけ、「そうじゃないよな」と私を切り替えさせてくれた。
豊田選手はなかなか結果が出せていない苦しい状況だと思うが、だからこそ伝えたい。
そんなあなたの姿に勇気づけられた人間がここにいるということを。
他の誰でもなく、あなただからこそ、心を動かれた人間がいるということを。
私は、豊田選手の活躍を信じている。
【 自己紹介文を150文字程度で記述してください。(省略可) 】:
関東鳥栖サポのジョンです。前向きになれるエネルギーをいただいた感謝の気持ちと、どこかで豊田選手の目に触れないかなという淡い想いとを懐きつつ、投稿させていただきました。
[投稿者について]【 ハンドル名 】:ジョン
【 年 代 】:30〜39歳
【 性 別 】:男性
【 地 域 】:関東
【 管理人にメッセージがあればお書きください。 (省略可) 】:
私自身の環境の変化でJリーグに避ける時間が少なくなってきていますが、不定期的に拝見させていただいています。
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