■ 第10節ブンデスリーガの第10節。6勝2敗1分けで勝ち点「19」のフランクフルトと、1勝5敗3分けで勝ち点「6」のグロイター・フルトがコメルツバンク・アレーナで対戦した。両チームとも、今シーズン2部から昇格してきたので「昇格組」となるが、3位と好スタートを切ったフランクフルトとは対照的に、グロイター・フルトは最下位に沈んでいる。
ホームのフランクフルトは「4-2-3-1」。GKトラップ。DFユング、アンデルソン、デミドフ、オチプカ。MFシュヴェグラー、ロデ、アイグナー、マイアー、乾貴士。FWオクシャン。日本代表のMF乾は10試合連続でスタメンとなった。ここまでの9試合で3ゴールを挙げている。
対するアウェーのグロイター・フルトは「4-2-3-1」。GKグリューン。DFネフリク、クライネ、マフライ、シュミットガル。MFフュルストナー、ペコヴィッチ、サラレル、プリブ、スティベル。FWアサモア。元ドイツ代表で、ドイツ代表史上初の黒人選手として知られる34歳のFWアサモアの1トップとなった。
■ 1対1のドロー試合は開始早々にホームのフランクフルトが先制する。MFマイアーがヘディングで落としたボールを拾ったMFロデがドリブルからシュートを放つと、GKがはじいたボールをMFマイアーが相手DFをかわしてから右足で決めて先制する。開始からわずか22秒での先制ゴールとなった。
しかし、その後は、アウェーのグロイター・フルトのペースとなる。フランクフルトはミスが多くなって、ボールをつなぐことが出来ない。MF乾は、一度、DFラインの裏に抜け出して右足でシュートを放つシーンがあったが、クリーンヒットせず。前半は1対0でフランクフルトがリードして折り返す。
1点を追うグロイター・フルトは、後半8分に見事なカウンターからスティベルがGKと1対1のチャンスを得ると、鮮やかなループシュートを決めて1対1の同点に追いつく。結局、試合は1対1で終了。MF乾はゴールに絡むことが出来ず、後半12分で途中交代。チームも、MF乾も、不完全燃焼に終わった。
■ 下り坂のフランクフルト昇格組のフランクフルトは首位のバイエルン、2位のシャルケに次ぐ3位と好位置に付けている。「残留すること。」が大きな目標となるチームなので、これ以上ないほどのスタートを切っているが、ここ最近は、当初のような勢いがなくなっていて、ここ4試合で1勝2敗1分けとペースが落ちてきている。
当然、ずっと、上位争いができるほどの戦力は有していないので、どこかで落ちてくるのは仕方がないところで、十分に予想できたことであるが、いいときと比べると、ロングボールが多くなっていて、簡単にボールを失うシーンが目立っている。
もちろん、185センチのFWオクシャンが1トップに入っていて、トップ下のMFマイアーも196センチの長身なので、ロングボールというのも有効ではあるが、相手のCBも空中戦には強いので、跳ね返されるシーンが多くて、単調な攻撃になることが多い。
いいときは、右サイドのMFアイグナーと左サイドのMF乾の突破が目立っていたが、この日は、右のMFアイグナーもあまりいいところを出せず、左のMF乾がサイドから仕掛けるシーンもなかった。ダブルボランチはパスをつなぐ能力のある選手なので、きちんとパスをつないだ方が有効だと思われるが、つなぐことに臆病になっているようにも感じられる。
■ MF乾は途中交代MF乾は9節のレバークーゼン戦はハーフタイムで交代となって、スタメン落ちの可能性もささやかれていたが、今節も、無事にスタメンで起用された。しかしながら、結果を残すことはできなかった。前半と後半に1本ずつ、右足でシュートを放ったが、見せ場というのは、このシュートシーンくらいで、どちらかというと、ミスの方が目立つ試合となった。
MF乾は3節と4節と5節でゴールを決めて好スタートを切ったが、これで5試合ノーゴールとなって、ゴールから遠ざかっている。研究されてきており、相手のマークが厳しくなっているという理由もあるが、MF乾の欲しいタイミングでパスが出てこないので、フラストレーションの溜まる展開になっている。
ただ、この点は、開幕当初から問題視されていたところで、フランクフルトの攻撃陣はタレントは揃っていて、ボールを持ったら、「自分で何とかしよう。」とする選手が多いので、いいところにポジションを取っても、パスが出てこないことが多い。ゴールやアシストといった結果を残したことで状況が変わるかと思われたが、それほど変わっていない。
「チームメイトの信頼を得られていない。」という話でもなくて、選択肢の中で最優先となるのがトップ下のMFマイアーであったり、1トップに入っている選手になるというのがチームの方針なので、仕方がないところであるが、今は、辛抱して頑張るしかない。
■ 正念場を迎えたMF乾レバークーゼン戦の後は、監督から守備のことで苦言を呈されたので、この日は、守備意識は高かった。低い位置まで戻ってきて、相手をマークするシーンも多かったが、下がり過ぎると、FWオクシャンやMFマイアーとの距離が遠くなるので、カウンターになったときに出遅れてしまう。
左SBのDFオチプカも攻撃的な選手なので、左サイドは守備の不安を抱えているが、やはり、守備のことを意識しすぎるのは、効果的ではない。開幕当初は、MF乾とDFオチプカの2人でサイドを制圧しており、相手選手も攻撃参加を躊躇せざるえない状況を作れていたが、ここ数試合は、サイドの引っ張り合いで負けることが増えていて、守備の穴も目立つようになっている。
個人的には、フランクフルトは攻撃的なチームなので、守備のバランスが崩れることを承知で攻める姿勢を強くした方が、最終的には、勝ち点にもつながってくると思うが、失点が増えてくると、監督も責められるようになるので、イケイケのサッカーを続けるのは難しくなる。
長いリーグ戦なので、好不調の波があるのは仕方がないところであるが、今のフランクフルトは、自分たちのサッカーを見失いつつあって、方向性にブレが生じている。MF乾も早い時間の途中交代が続いているが、MF乾自身もそうであるが、チームも正念場を迎えているといえる。
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