■ 第13節J2の第13節。開幕9試合で8勝1分けと好スタートを切ったが、ここ3試合は0勝2敗1分けで勝利から遠ざかっている湘南ベルマーレが、アルウィンで松本山雅と対戦した。湘南は8勝2敗2分けで勝ち点「26」。松本山雅は4勝6敗2分けで勝ち点「14」。松本山雅は、リーグの序盤は苦しんでいたが、8節から3連勝を記録して、一気に順位を上げてきた。
ホームの松本山雅は「3-5-2」。GK野澤。DF飯田、飯尾、多々良。DF小松、喜山、玉林、鐡戸、楠瀬、木島徹。FW塩沢。2011年のJFLで19ゴールをマークしたMF木島徹は、9試合ぶりのスタメン出場。神戸から加入のMF楠瀬も同じく9試合ぶりのスタメンとなった。フォワードの中心になりつつあるFW塩沢は7試合連続スタメンで、今シーズンは1ゴールを挙げている。
対するアウェーの湘南は「4-2-3-1」。GK阿部。DF古林、鎌田、遠藤、島村。MF永木、ハン・グギョン、菊池、高山、馬場。FW中村。12節の甲府戦で退場処分を受けたDF大野が出場停止のため、DF島村が先発出場で、4バック気味の布陣となった。フォワードのFW古橋はベンチスタートで、FW中村が今シーズン初スタメンとなった。2009年のJ1昇格に大きく貢献したFW中村は、2009年に14ゴールを挙げてブレークを果たした。
■ 1対1のドロー試合の序盤はアウェーの湘南がペースを握るが、次第に松本山雅がリズムをつかんできて、攻め込むシーンが増えていく。攻撃の中心となったのは、久々の先発となったMF楠瀬とMF木島徹の二人で、彼らのドリブルからチャンスが生まれていく。劣勢となった湘南は、サイドのMF高山を生かすことができず、前半はほとんど決定機を作れず。0対0で前半を折り返す。
後半になると、アウェーの湘南がギアチェンジして、押し込んでいく。後半14分にFW中村に代えて、ストライカーのFW古橋を投入すると勢いは加速し、決定機を作るようになる。最大のチャンスは、MF菊池のスルーパスを受けたDF古林の折り返しをゴール前でフリーになったFW古橋が右足で合わせたシーンだったが、松本山雅のGK野澤がビッグセーブを見せてゴールを許さない。
すると、後半40分に押され気味だった松本山雅が先制ゴールを奪う。湘南のMF馬場のパスミスを拾った途中出場のMF弦巻がダイレクトでスルーパスを送ると、途中出場のMF船山が右足で押し込んで先制ゴールを奪う。MF船山は今シーズン2ゴール目となった。しかし、後半43分に湘南は、ポスト役となったFW古橋のパスを受けたMF馬場が落ち着いて右足で決めて1対1の同点に追いつく。MF馬場は今シーズン7ゴール目となった。結局、試合は1対1で終了。湘南は連勝記録がストップした後、4試合勝利なしとなった。
■ しぶといサッカーを見せる松本山雅反町監督の古巣の湘南との対決ということで注目された一戦は、ドローに終わった。後半はアウェーの湘南が前掛かりになってチャンスを作っていたので、湘南側に先制ゴールが生まれそうな雰囲気で試合は進んだが、松本山雅が相手のミスを突いて先制ゴールを奪って、勝利に近づいた。しかしながら、気の緩みがあったのか、すぐに追いつかれてしまった。目前に勝ち点「3」が迫っていたので、松本山雅にとっては、悔しい試合となったが、試合内容を考えると「ドロー」というのは妥当な結果に思える。
松本山雅は、今シーズンからJ2に挑戦しており、序盤は結果を出すことができなかったが、ここ6試合は3勝1敗2分けで勝ち点「11」を稼いでいる。かなり現実的なサッカーになっているので、ゴールが遠い試合が多くなっているが、粘り強いサッカーをしていて、「嫌らしいチーム」に仕上がってきている。
反町監督は、2009年から2011年まで湘南の監督を努めたが、このときは、リスク覚悟の攻撃的なサッカーを見せた。これが成功したのは、2009年シーズンで、ゴール前に上がる人数が多かったので、ピンチの数も多くて、危うい試合もが多かったが、どこからでも点が獲れるチームを作り上げて、11年ぶりのJ1に導いた。松本山雅も、失うものが多いチームではないので、同じように攻撃型のチームを作るかと思ったが、ここまでは、現実的なチームを作っている。
チャレンジ&カバーの意識も徹底されていて、シュートチャンスを作ってもブロックで防ぐシーンが多くて、相手の攻撃の選手にとっては、フラストレーションが溜まる守備を見せているが、セットプレーが強いのも、相手には厄介である。DF多々良、DF飯田、FW塩沢とターゲットになれる選手が何人もいるので、ハーフウェーライン付近でフリーキックを得たときも、すぐにボールを蹴ることなくボールをセットして、味方が上がってから攻撃を開始するが、これも、相手がフラストレーションを溜める要因になっている。
地域密着度やサポーターの熱狂度などは、反町監督が率いた頃のアルビレックス新潟と通じるところがあるが、反町監督自身は、新潟を退いた後も、北京五輪代表と湘南を指導して経験値を蓄えている。北京五輪の本大会では、3連敗に終わったため、批判を浴びたが、これも糧にして、奥の深い監督になってきている。松本山雅は、相当なポテンシャルを秘めたチームだと思うが、このチームをどこまで引き上げることが出来るか。大いに注目したいところである。
■ ゴールを量産する馬場賢治一方の湘南は、ミスをして失点の原因となったMF馬場が、後半43分に起死回生の同点ゴールを決めて、敗戦は免れたが、4試合勝利なしとなった。幸いにして、昇格を争うライバルチームたちも勝ち点を取りこぼしているので、昇格圏内をキープしているが、連勝記録がストップして、正念場の時期を迎えている。
勢いが弱まっている理由として、過密日程だったことは、無関係ではないだろう。J2は、GWは中2日の4連戦で、その4試合は0勝2敗2分けと結果を出すことができなかったが、今シーズンの湘南は、人一倍、走り回るサッカーで、体力を消費するサッカーをしている。この試合を観ると、極端に運動量が低下している感じはしないので、それだけが理由ではないと思うが、過密日程になるとやや不利である。
ここからは、日程も楽になるので、巻き返していく必要があるが、期待したいのは、MF馬場である。新加入のFWマセナに得点源としての期待がかかったが、まだ2試合に途中出場しただけで、全くチームに貢献できていないが、26歳と中堅の年代に入って来たMF馬場が、予想以上の活躍を見せて、7ゴールとゴールを量産している。
「テクニックのある選手」として、神戸でも期待されており、出場のチャンスも与えられたが、ブレークするには至らず、ここ数年、アタッカーとして武器になるものが見つけられずに伸び悩んでいたが、今シーズンは、センターフォワードでも起用されて、走力を重視する湘南の中で、いいアクセントになっている。若い選手が多くて、走り回る選手も多い中、うまく味方を使いながら、ゴールにも絡んでいて、充実のシーズンを送っている。
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