■ 第15節J1の第15節。清水エスパルスとモンテディオ山形がアウトソーシングスタジアム日本平で対戦。
ホームの清水は「4-1-2-3」。GK碓井。DF辻尾、岩下、ボスナー、太田。MF平岡、小野、アレックス。FW大前、高原、高木俊。DF村松はU-22日本代表に招集されているため欠場。元日本代表のFW高原はリーグ戦で3ゴールを挙げている。MF小林大、MF枝村らがベンチスタート。
対するアウェーの山形は「4-2-3-1」。GK植草。DF宮本、西河、石井、小林亮。MF佐藤、船山、廣瀬、太田、伊東。FW大久保。FW長谷川、FW古橋は欠場中。FW大久保は7試合ぶりのスタメン。4年目のMF太田は今シーズン初スタメン。
■ MFアレックスのPKが決勝点前半は山形ペースで進む。2列目のMF廣瀬、MF太田、MF伊東の3人がいい連携を見せて清水の守備を崩していく。清水は1ボランチで、アンカーのMF平岡の横のスペースを埋めきれずに、苦戦を強いられる。
すると、前半ロスタイムに山形がビッグチャンスを迎える。右サイドを崩してペナルティエリア内に侵入したMF船山が、MF小野に倒されたとしてPKを獲得。これをMF船山が自ら蹴ってネットを揺らすが、山形の選手が蹴る前にペナルティエリア内に入ったとしてやり直し。再び、MF船山が蹴るが、今度は、GK碓井がファインセーブ。0対0のまま、前半を折り返す。
後半も立ち上がりは山形ペース。攻守ともうまく機能しないホームの清水は、後半13分にFW大前に代えてMF小林大を投入。さらに後半23分にMF小野に代えてMF枝村に投入。すると、その直後に、MF枝村がうまくゴール前で絡んで、DF太田にスルーパス。DF太田が左サイドの裏のスペースに飛び出してグラウンダーのクロスを入れると、ゴール前のFW高原が押し込んで清水が先制する。FW高原はリーグ戦4ゴール目。
ビハインドの山形は、MF秋葉、MF宮崎、MF下村を投入するが、ややパワーダウン。反撃体制に入ることができずに、そのまま1対0で終了するかと思われたが、後半43分に山形はMF伊東がドリブルで仕掛けると、DF岩下のファールを誘ってPKを獲得。これをFW大久保が決めて1対1の同点に追いつく。FW大久保はJ1初ゴール。
追いつかれた清水は、ロスタイムにFW高原の突破から右サイドでフリーキックを獲得すると、そのセットプレーでFW高原が倒されてPKを獲得。MFアレックスが落ち着いて決めて2対1と勝ち越しに成功する。MFアレックスはリーグ戦で3ゴール目。
結局、試合は、2対1で清水が勝利。3勝3敗4分けで勝ち点「13」で10位となった。一方の山形は1勝7敗2分けで勝ち点「5」。17位と降格圏内から抜け出すことができない。
■ エスパルスは3勝目終盤に不用意なファールからPKを許し、1対1に追いつかれた清水だったが、今度は、ロスタイムにPKを獲得。これをMFアレックスが決めて勝利をもぎ取った。ただ、内容的には低調で、修正ポイントも多い試合だった。
清水は、ゴトビ監督になってから、「4-1-4-1」や「4-1-2-3」という形を取ることが多いが、1ボランチに適任者がおらず苦労している。これだけ1ボランチを試しているということは、それだけ、ゴトビ監督は1ボランチに対してこだわりを持っているのだろうが、攻守ともデメリットが多く、チームのバランスもよくない。
1ボランチの前には、MF小野とMFアレックスが入っているが、この二人のどちらかが、もう少し気の効いたプレーをして、攻撃でも、守備でも、1ボランチの選手をサポートしてくれると助かるが、そういう意識は低くて、攻撃では無駄に人数を割いて前目のスペースを消していて、逆に守備では人数が足りずに、相手のアタッカーを捕まえきれない。現状では、リスクを冒して1ボランチにしている意味は感じられない。
■ 最後の精度を欠く対する山形は、悪い試合ではなかった。3人・4人と絡む崩しシーンでは、清水よりもスムーズで、崩しの意図もはっきりしていた。こと攻撃の部分に関していうと、昨シーズンよりもレベルの高い「崩し」ができるようになっており、進歩している様子はうかがえる。ただ、やはり、最後のところで精度を欠いてしまって、ゴールに結びつかない。
もともと、少ない点数をしっかり守って勝つ、というスタイルのチームであるが、10試合で6ゴールというのは少なすぎる。ここから連戦が続いていく中で、FW長谷川、FW古橋と怪我人も増えてきており、山形にとっては正念場の時期を迎えている。
■ 3つのペナルティキック①この試合は、山形に2つ、清水に1つ、PKが与えられており、これが話題になっている。
1つ目は、前半終了間際のプレーで、ペナルティエリア内で、MF船山がMF小野に倒されて山形にPKが与えられたが、これは微妙なプレーで、倒されるくらいの強い接触があったのかどうか、本当にペナルティエリア内でのファールだったのか、どちらとも言えるプレーで、やや清水に不利な判定だった。
2つ目のPKは、後半43分のプレーで、左サイドを突破した山形のMF伊東が、ペナルティエリア内でDF岩下に倒されたシーンだったが、これについては、MF伊東に抜かれた後、清水のDF岩下が手でユニフォームを引っ張っており、妥当なPKだった。
PKの判定については問題ないが、このプレーでDF岩下にイエローカードが出なかったのはやや疑問で、イエローカードが出ていれば2枚目のカードだったので、DF岩下は退場になっていた。DF岩下は、前半26分に1枚目のイエローカードを受けているが、このときのイエローが「あれ?厳しいのでは?」というイエローだったので、躊躇したのだろうか。とにかく、ここでイエローカードが出なかったのでは、清水にとってはラッキーだった。
■ 3つのペナルティキック②最後の3つ目のPKは、右サイドからのFKの場面で、DFボスナーのゴール前への落としに対して、FW高原が頭で合わせようとしたが、FW高原がDF宮本がもつれ合って倒されて、清水にPKが与えられた。
このシーンは、ペナルティエリア内での攻防であり、DF宮本のディフェンスも許容範囲のように思えるし、FW高原のオーバーアクションのようにも思えるが、DF宮本が押さえつけているのは明らかで、ファールを取られても文句は言えないシーンだった。すでに、山形側に2つのPKが与えられていることを考えると、もう少し用心したかったところである。
むしろ、このシーンで疑問に感じるのは、181㎝のFW高原に対して165㎝のDF宮本がマークしていたことで、ここ最近、FW高原も調子を上げてきている。DFボスナーやDF岩下という高さのある選手も警戒しなくてはならないが、FW高原という選手は、こういう場面では、一番、怖い選手である。16㎝も身長差があると、DF宮本もこういう対応にならざる得ない。山形にとっては、やり方によっては、防ぐことできた「もったいないシーン」だった。
したがって、3つのPKシーンともに、PKになっても不思議ではないレベルで、試合を通して、どちらか1チームだけが不利益を被ったという訳でもなかった。試合後に、暴言があったとすれば、それは別に問題としなければならないが、判定自体が、極端におかしかったわけではない。これで「誤審」と言われるようだと、レフェリーもちょっと気の毒である。
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