■ 第9節J2の第9節。北九州に3対0、FC東京に3対0と連勝し、申し分ないスタートとなったジェフ千葉が、アウェーで徳島ヴォルティスと対戦。徳島は1勝1敗。8節は水戸ホーリーホックと対戦したが、終了間際にFW常盤にゴールを奪われて逆転負けを喫した。
昨シーズンの対戦成績は、徳島の1勝1分け。鳴門で行われた3節の試合は徳島が3対1で勝利し、最終節のフクアリでの試合は千葉がMF米倉のゴールで終盤に追いついてドローに持ち込んだ。
ホームの徳島は<4-2-3-1>。GKオ・スンフン。DF島村、エリゼウ、三木、西嶋。MFディビッドソン・純マーカス、倉貫、島田、衛藤、柿谷。FW佐藤。MF濱田がスタメンから外れて、ベテランのMF倉貫がベンチ入り。MF島田は水戸戦で直接フリーキックからゴールを決めている。
対するアウェーの千葉は<4-2-3-1>。GK岡本。DF山口慶、竹内、ミリガン、坂本。MF佐藤勇、伊藤、マット・ラム、米倉、深井。FW青木孝。試合前はスタメン表に名前のあったFWオーロイは、アップ中に怪我をしたため欠場。MFマット・ラムが代わりにスタメンに入った。8節でスローインからアシストを記録したDFミリガンがスタメン出場。
■ 徳島が1対0で勝利ピッチの右から左の方向に10メートルを超える強風が吹く中で行われた試合は、前半は風上となったホームの徳島がペースを握る。1トップのFW佐藤が起点になって押し込んでいく。風下の千葉はロングキックを蹴っても、陣地を挽回できないので、苦しい展開となる。
後半になると、逆に千葉が風上に立って攻め込んでいく。FC東京戦に続いて、DFミリガンのロングスローがこの試合も武器となって徳島のゴールを脅かす。強烈な風の影響で、DFミリガンのロングスローが直接ゴールに入りそうになる場面もあるなど、徳島は押され気味になる。
しかし、先制したのはホームの徳島。後半19分に左サイドの高い位置でMF衛藤がプレスをかけてDFミリガンからボールを奪うと、競り合いの末、MF柿谷がボールを保持。マークに来たDF山口慶を鮮やかなステップでかわしてゴール前に侵入すると、DFミリガンに倒されたという判定でPKを獲得。これをMF島田が決めて徳島が先制する。MF島田は2試合連続ゴール。
ビハインドの千葉は184㎝のDF福元を前線に入れてパワープレーを行うが、強風の影響もあって、なかなかクロスが中央の選手と合わない。結局、MF島田のPKを守った徳島が1対0で勝利。2勝1敗となった。対する千葉も2勝1敗。今シーズン初黒星となった。
■ 守り切った徳島204㎝のFWオーロイに対して、徳島の最終ラインがどう守るのかが注目されたが、FWオーロイが怪我のため試合に出場できず。両チームとも、FWオーロイがいることを前提にプランを立てていたはずなので、ともにプランが狂ってしまったが、徳島にとっては難敵がいなくなったことはラッキーであり、昇格候補の千葉を完封し、2勝目を挙げた。
今シーズンの徳島の特徴は、何と言っても「高さ」で、最終ラインは、DF島村、DFエリゼウ、DF三木、DF西嶋の4人で構成しているが、両サイドにもCBタイプの選手を起用している。また、中盤の底も、185㎝のMFディビッドソン・純マーカスを起用しているので、「空中戦の強さ」は抜群である。その徳島を相手にFWオーロイがどんなプレーを見せるのかが、一番の興味の対象であったので、FWオーロイ不在は非常に残念だったが、徳島は持ち味の「守備の堅さ」を発揮したといえる。
■ 攻撃は不発一方、攻撃については、思い通りにはいかなかった。
前述のようにサイドバックにもCBタイプを起用しているので、オーバーラップする回数も少なくて、前の4人だけで攻撃するシーンが多く、厚みのある攻撃はできていない。開幕3試合で奪ったゴールは3つだけ。3ゴールの中には、PKとFKも含まれるので、相手の守備を崩して奪ったゴールは開幕戦のMF柿谷のゴールだけ。攻撃に関しては物足りない状況が続いている。
昨シーズン、31試合で16ゴールを挙げたFW津田が戻ってくると、少し変わってくるだろうが、現段階では、攻撃にリズムが無くて、流動性にも皆無といえる状況である。J2で屈指のプレイスキッカーのMF島田がいるのでセットプレーは大きな武器となるが、得点の匂いがするのは「セットプレー」くらいと、やや寂しい状況である。
■ FWオーロイの不在対して、開幕2試合でチームが挙げた6つのゴール全てに絡んでいたFWオーロイが試合に出場できずにどうなることかと思われた千葉は、MFマット・ラムが出場。FW青木孝が1トップに入る緊急事態になったが、攻撃は悪くはなかった。シュート数も多く、MF深井のドリブルも効果的であった。ただ、あと一歩のところで崩し切れなかった。
「FWオーロイがいないときにどうするか?」というのが、今年の千葉にとって最大のテーマとなるが、その最初の試合は「黒星」となってしまった。ただ、試合直前にFWオーロイの欠場が決まったので、準備が全くできなかったので「参考外」といえるので、次にFWオーロイが欠場したとき、どういう結果を残せるかである。
■ 柿谷曜一朗のダイビング①決勝点となるPKはMF柿谷のドリブルから生まれた。ただ、MF柿谷が鮮やかなステップでDFをかわしたというシーンまでは良かったが、リプレーで見ると、明らかに「タイビング」であり、決してほめられたプレーではなかった。
残念なことに、今節のJリーグは、「シミュレーション」と思えるようなプレーでPKを得るシーンが目立った。広島のMF李忠成、磐田のFW前田遼一、清水のMF大前元紀が獲得したPKのシーンは、いずれも「ダイビング」のように思えるプレーで、どの試合も拮抗した展開だっただけに水を差される形になった。
状況はそれぞれで違っていて、相手と接触しているケースもあったが、MF柿谷のシーンは、相手のDFミリガンはMF柿谷に接触していないどころか、1メートル程度、離れているように見える。
判定を下した木村レフェリーは、このシーンを目の前で見ているが、ちょうど、MF柿谷とDFミリガンが一直線に並んで見えるような位置取りなので、よく見えなかったのでは?と思うが、あれだけ豪快にこけられると、「何もなかった。」と思う方が不思議であり、死角になったのであれば、レフェリーも気の毒であった。
■ 柿谷曜一朗のダイビング②結果的には、PKを得てチームの勝利に貢献したので、「頭脳的なプレー」ともいえるが、長い目で見ると、結局、「ダイビング」というプレーは、自分自身にマイナスとなって跳ね返ってくる。
世界的に見ても、接触プレーは流す方向にあって、「ダイビングは見苦しい。」という感情が普通になっており、疑惑のシーンが発生した場合、リプレーでさまざまな角度から、繰り返して観ることもできるので、レフェリーの目はごまかせても、それ以外の映像を見た人の目はごまかすことはできない。
選手たちも生活が懸かっているので、次のプレーの選択肢がなくなって、どうしようもなくなった時に、わざと倒れて、一か八かを狙うようなことはあっても仕方ないが、目の前にシュートコースが広がっていて、「もう少しでゴール」というところで、倒れることを選択してしまうのは理解に苦しむところであり、自身の可能性を閉ざすようなプレーでもある。
MF柿谷は徳島で3年目のシーズンを迎えているが、レンタル移籍という形を取っているので、保有権はセレッソ大阪が持っている。クルピ監督がどう考えているかはわからないが、C大阪は3シャドーを採用しており、MF柿谷も3シャドーの一角に入っても、しっかりと活躍できそうなくらいの成長を徳島で見せているだけに、残念なプレーであった。
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