Category: カメラ
夜想曲を聴きながら
カメラレンズのスペックを議論する場合、小文字のfは焦点距離を表しますが、大文字のFはF値と言って、絞り、或いはレンズの明るさの数値になります。
市販のレンズで、最も開放F値が小さい=明るいレンズのF値は、0.95が歴史上最小です。
ウィキペディアによれば、一般向けに市販されている物としては、ライカの「ノクティルックス 50mm F0.95」、コシナの「フォクトレンダー ノクトン 25mm F0.95」が最も明るいレンズである。また、かつては、キヤノンから「キヤノン 50mm F0.95」も市販されていた。
これはその、ノクトン25mm/F0.95です。ノクターンではありませんが、夜でも撮れるレンズという意味なんでしょうね。
F値の二乗は、透過する光の量に反比例しますから、F値が倍になると、明るさは1/4になるわけです。簡単ですね。
だから、絞りF4で撮るのに比べ、F2.8では二倍、F2では四倍、シャッタースピードを早く出来るわけです。
絞りの数値に、1.4とか2.8とか半端な数値が良く出てくるのは、それぞれ√2、√8だからですね。
下の画像は、マイクロフォーサーズ用の、LUMIX G 20mm/F1.7と、Voigtlaender NOKTON 25mm/F0.95ですが、3.2倍の明るさを実現するために、大きな前玉や複雑なレンズ構成が必要で、長大なレンズになっています。
20mmのパンケーキにはオートフォーカスと、電動絞りのメカも入っていますから、レンズ本体の大きさの違いは、体積比、重量比で10倍程度あると思われます。
LUMIX G 20mm/F1.7の方だけに、電子回路用の接点が付いてますね。
話が逸れました。
最近良く、レンズのボケ味とか、写真のボケ具合という話題を目にします。
写真全体がボケていては話にならないので、この場合、ピントをあわせる被写体の前後にあるもののボケ方を云々しているわけです。
このボケ方を議論するときに出てくる用語が、被写界深度、または焦点深度と言う言葉です。英語では、picture depth と言いますが、こちらのほうが分かりやすいような気もします。
これ以上深く説明しませんが、簡単に言いますと、一般的に、
・F値、絞りの数値が大きいほど=絞れば絞るほど
・焦点距離fが小さいほど=広角ほど
・撮像面が小さいほど=小さいカメラであるほど
焦点深度が深くなります。つまり前後がボケなくなるのです。逆に言うと、ピントが合う距離の範囲が広くなる訳です。
これは、いわゆるバカチョン(差別用語だという意見は最近否定されているようです)カメラや、ケータイの内蔵カメラ等で、ピント調整不要のカメラは、撮像素子を小さくして、広角レンズの絞りを大きくすることで、1mぐらいから無限遠まで深度の中に入るように設計されているわけです。
上はライカのエルマリート-R 135mm/F2.8ですが、このような古典的なレンズには、ピントリングの指標として被写界深度の範囲が彫刻されています。
上の例では、20mにピントを合わせたときに、F22まで絞り込めば、10mから∞までピントが合うという意味です。
下はミノルタのMロッコール28mm/F2.8ですが、同様ですね。一番下の数字と線が、深度指標です。
ノクトンで比較撮影してみます。
F0.95です。ISO-640、1/125sです。
F2。ISO-1600、1/125s。
F4。ISO-1600、1/30s。
だんだん後ろの方にもピントが合ってくるのが判りますね。
F8。ISO-1600、1/8s。
F16。ISO-1600、1/2s。
食卓の上で、こんなふうに撮影してみました。
このノクトンにも被写界深度表示がありました。
最短距離は0.17mですから、もうマクロ域ですね。
この距離は撮像面からの長さですから、この長いレンズの場合、前縁から5cm程度まで寄れることになります。
フィルムカメラの一眼レフ用マクロレンズのF値が2.8程度であることを考えると、50mm相当で、F0.95でここまで寄れるということは、相当優秀なレンズであることが判りますね。
ただし、本当に開放で使うと、上のように、とんでもない写真になります。一点しかピントが合っていません。
ただ、ボケ方が見事。安いレンズだとこうは行かないのです。
いろいろ撮ってみると、マクロ的な使い方、近接撮影の場合、F2ぐらいまで絞っても結構ボケてくれることがわかります。
このことから、開放F値は、F1.4位あれば十分かなと思ったりもしたのでした。マイクロフォーサーズの場合ですが。
ただ風で揺れる花のような場合、手持ちでジャスピンにするのは難しいです。
もちろん普通に風景写真も撮ることが出来ます。
で、結局何を言いたいかというと、もし上のようなボケ味を追求したいなら、コンデジなら、1/2.5インチクラスの撮像素子より、1/1.7インチクラスのカメラを、コンデジより、一眼レフ、マイクロフォーサーズやAPS-C素子のカメラを、もっと言えばフルサイズのデジタル一眼レフを使ったほうが、そしてF値の小さいレンズのカメラを選んだほうが、楽しいですよということでした。
撮像素子の比較表はこちら。
市販のレンズで、最も開放F値が小さい=明るいレンズのF値は、0.95が歴史上最小です。
ウィキペディアによれば、一般向けに市販されている物としては、ライカの「ノクティルックス 50mm F0.95」、コシナの「フォクトレンダー ノクトン 25mm F0.95」が最も明るいレンズである。また、かつては、キヤノンから「キヤノン 50mm F0.95」も市販されていた。
これはその、ノクトン25mm/F0.95です。ノクターンではありませんが、夜でも撮れるレンズという意味なんでしょうね。
F値の二乗は、透過する光の量に反比例しますから、F値が倍になると、明るさは1/4になるわけです。簡単ですね。
だから、絞りF4で撮るのに比べ、F2.8では二倍、F2では四倍、シャッタースピードを早く出来るわけです。
絞りの数値に、1.4とか2.8とか半端な数値が良く出てくるのは、それぞれ√2、√8だからですね。
下の画像は、マイクロフォーサーズ用の、LUMIX G 20mm/F1.7と、Voigtlaender NOKTON 25mm/F0.95ですが、3.2倍の明るさを実現するために、大きな前玉や複雑なレンズ構成が必要で、長大なレンズになっています。
20mmのパンケーキにはオートフォーカスと、電動絞りのメカも入っていますから、レンズ本体の大きさの違いは、体積比、重量比で10倍程度あると思われます。
LUMIX G 20mm/F1.7の方だけに、電子回路用の接点が付いてますね。
話が逸れました。
最近良く、レンズのボケ味とか、写真のボケ具合という話題を目にします。
写真全体がボケていては話にならないので、この場合、ピントをあわせる被写体の前後にあるもののボケ方を云々しているわけです。
このボケ方を議論するときに出てくる用語が、被写界深度、または焦点深度と言う言葉です。英語では、picture depth と言いますが、こちらのほうが分かりやすいような気もします。
これ以上深く説明しませんが、簡単に言いますと、一般的に、
・F値、絞りの数値が大きいほど=絞れば絞るほど
・焦点距離fが小さいほど=広角ほど
・撮像面が小さいほど=小さいカメラであるほど
焦点深度が深くなります。つまり前後がボケなくなるのです。逆に言うと、ピントが合う距離の範囲が広くなる訳です。
これは、いわゆるバカチョン(差別用語だという意見は最近否定されているようです)カメラや、ケータイの内蔵カメラ等で、ピント調整不要のカメラは、撮像素子を小さくして、広角レンズの絞りを大きくすることで、1mぐらいから無限遠まで深度の中に入るように設計されているわけです。
上はライカのエルマリート-R 135mm/F2.8ですが、このような古典的なレンズには、ピントリングの指標として被写界深度の範囲が彫刻されています。
上の例では、20mにピントを合わせたときに、F22まで絞り込めば、10mから∞までピントが合うという意味です。
下はミノルタのMロッコール28mm/F2.8ですが、同様ですね。一番下の数字と線が、深度指標です。
ノクトンで比較撮影してみます。
F0.95です。ISO-640、1/125sです。
F2。ISO-1600、1/125s。
F4。ISO-1600、1/30s。
だんだん後ろの方にもピントが合ってくるのが判りますね。
F8。ISO-1600、1/8s。
F16。ISO-1600、1/2s。
食卓の上で、こんなふうに撮影してみました。
このノクトンにも被写界深度表示がありました。
最短距離は0.17mですから、もうマクロ域ですね。
この距離は撮像面からの長さですから、この長いレンズの場合、前縁から5cm程度まで寄れることになります。
フィルムカメラの一眼レフ用マクロレンズのF値が2.8程度であることを考えると、50mm相当で、F0.95でここまで寄れるということは、相当優秀なレンズであることが判りますね。
ただし、本当に開放で使うと、上のように、とんでもない写真になります。一点しかピントが合っていません。
ただ、ボケ方が見事。安いレンズだとこうは行かないのです。
いろいろ撮ってみると、マクロ的な使い方、近接撮影の場合、F2ぐらいまで絞っても結構ボケてくれることがわかります。
このことから、開放F値は、F1.4位あれば十分かなと思ったりもしたのでした。マイクロフォーサーズの場合ですが。
ただ風で揺れる花のような場合、手持ちでジャスピンにするのは難しいです。
もちろん普通に風景写真も撮ることが出来ます。
で、結局何を言いたいかというと、もし上のようなボケ味を追求したいなら、コンデジなら、1/2.5インチクラスの撮像素子より、1/1.7インチクラスのカメラを、コンデジより、一眼レフ、マイクロフォーサーズやAPS-C素子のカメラを、もっと言えばフルサイズのデジタル一眼レフを使ったほうが、そしてF値の小さいレンズのカメラを選んだほうが、楽しいですよということでした。
撮像素子の比較表はこちら。
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テーマ : マイクロフォーサーズ ジャンル : 写真