DL重連やまぐち号-15 決戦の地
このDLやまぐち号の撮影計画を立てるにあたり、やはり出撃の動機付けとなるのは順光写真でした。
そして順光写真を撮るなら復路の列車となり、「ここもやりたい」「それもやりたい」と1日ではとても纏めきれないロケーション。
再三となりますが、台風や大雨の影響で澄み渡る青空とは無縁の山口でした。
運転休止になるも運転延長の大サービスにて、オタクの熱量に観念したのか?、9月も目前の運転最終週にようやく天気予報に晴れマークが!
実際には土曜日は今一歩の天候で、十種ヶ峰のスーパー俯瞰に謎ルートで藪漕ぎをしながら撃つもお蔵入りとなりました。
山頂でお会いした探鉄氏らと日本酒を嗜みながら「明日こそ笑って帰りたい」とボヤきながら床に就きました。

2021/8/29 山口線 渡川~長門峡
8522レ DE10 1514+DE10 1076+35系5車
NikonD850 AF-S70-200/2.8FL
正真正銘の最終日。終日晴れベースで日本海側からの雲も午後からさっぱりなくなる予報。
一発目の石ヶ坪山俯瞰、二発目の後撃ちS字、三発目の太皷谷稲成神社と往路をやりましたが、県境に向かうほど天気が不安定になっていくいつもの山口線(^^;
お昼は深いことを考えずいつもの道の駅。知り合いらと顔合わせをしたり復路の決戦の地の作戦会議をします。
「もう一度●●へ」「●●だけは外せない」「曇った時の保険も兼ねて数より量」
各々が募らせた苦い経験と淡い期待が入り混じっていたように感じます。
私は予報を再確認して、今までの写真を見直して、この季節柄を考えて、篠目駅を眺望する俯瞰に向かいました。
篠目俯瞰・・・立ち位置は広いようですが、マダニの被害が相次ぐ恐ろしいポイント。加えて登り口が分かりません。
物怖じしていては辿り着けない。しかし無防備で登る愚行は避けたい。
暑いですがフードつきの長袖を用意し、靴下の内側に長ズボンを入れ、デュート成分含有の虫よけでやれる限りの対策をしました。
結局無休憩で辿り着けるお手軽ポイントでした。撮り鉄獣道から熊鈴を鳴らしながら途中から確信に変わる撮影地までのロープを手繰って立ち位置まで難なく辿り着けました。
私にしては珍しく2時間くらい前に着きましたが、既に現地には20人ほど先客がおり、人によっては昼も食べずに待っている人、連日で訪れている人もいたようです。
連日というと土曜日も来たということで、土曜日の戦果には触れてはいけない気がしました。やはりラストチャンスに賭ける方が多い印象。
さて、到着時は時折ヤラレ雲の襲来がありますが、太陽方面はみるみるうちに雲が掃け、全開露出となりました。
まだ時間がありますが一同は今通過して欲しいほど晴れに飢えている様子。もちろん他人事ではないのですが。汗
「これはいけるぞ」
遠くから姿を現したお待ち兼ねのDLやまぐち号、篠目駅の数分の停車のち切り位置を通過していきます。
10分前にはいなかったはずの追っかけ鉄がわらわらと集まり、線路際に人だかりが・・・しかしネタなんてこんなものです。
構図内の農道まで撮り鉄カーが入ってきたのはちょっといただけないですが、多分彼らは俯瞰撮影をしない身。
こちらの気持ちなど分かるはずもなく、ましては声が届く訳もなく、静観するのみです。
優しくどこか物寂しい長めの汽笛を鳴らし、動き出すDLやまぐち号。※READ MORE
時間にして1分弱。ゆったりと過ぎ去るディーゼル客車を画角に納め、きっといつもより長めの連写音が鳴り響いていました。
見えなくなったあとも聞こえるレールの継ぎ目を過ぎる車輪の音。そしてトンネルに突入する直前に再度の汽笛をこだまさせ、ここでようやく晴れ写真を頂戴できたことの実感が湧きました。
きっと8月前半で晴れていたら登っていたであろう篠目俯瞰ですが、悪天候による延期により結果的に稲の色付きが進み、秋へと移ろい行く景色を記録できました。
歓喜の一枚というよりも悲願の一枚。周囲の有頂天な気持ちではなく、一人安堵の表情でした。
8月は業務に追われ忙しかったですが、間違いなく2021年の記憶に残る一枚です。
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