■ 16位の名古屋 vs 18位の福岡J1の2ndステージの第14節。ジュロヴスキー監督になってから4試合を戦って2勝1敗1分けと結果を残している名古屋グランパスはホームのパロマ瑞穂スタジアムでアビスパ福岡と対戦した。名古屋は6勝16敗8分けで勝ち点「26」。福岡は4勝19敗7分けで勝ち点「19」。名古屋は久々となる降格圏脱出のチャンスを迎えている。一方の福岡は引き分け以下に終わると新潟や甲府の結果次第で今節にも降格が決定する。
ホームの名古屋は「4-1-2-3」。GK楢崎。DF磯村、竹内彬、闘莉王、古林。MFイ・スンヒ、ハ・デソン、田口。FW小川佳、シモビッチ、永井謙。右SBのDF矢野貴は出場停止でDF磯村が右SBでスタメン出場となった。元日本代表のDF闘莉王は復帰して4試合目の出場となる。1つ前の仙台戦(A)ではFW小川佳の先制ゴールをアシストした。FWシモビッチは9ゴールを挙げているが2ndステージに入ってからはノーゴール。
対するアウェイの福岡は「4-2-3-1」。GKイ・ボムヨン。DF駒野、實藤、キム・ヒョヌン、亀川。MF冨安、ダニルソン、城後、三門、金森。FWウェリントン。怪我の影響もあってスタメン落ちが続いていたFWウェリントンが2ndステージの2節の横浜FM戦(A)以来のスタメン出場。東京世代のMF冨安は10月にバーレーンで行われるU-19アジア選手権のメンバーに選ばれている。MFダニルソンは古巣対決となった。
■ 圧巻のゴールラッシュで名古屋が大勝立ち上がりはどちらかというとアウェイの福岡ペースになったが前半18分にホームの名古屋がFWシモビッチのポストプレーを起点に細かいパスワークで中央を突破すると最後はFC東京から期限付き移籍中のMFハ・デソンがコース隅にシュートを決めて先制に成功する。MFハ・デソンは移籍後初ゴールとなった。さらに前半36分にはMF田口の絶妙のパスから抜け出したFW永井謙が決めて貴重な追加点を奪った。
2対0で迎えた後半は名古屋ペースが続いていく。いきなり後半2分にハーフウェイラインの手前からドリブルを開始したFW永井謙がスーパーミドルを決めて3点目を奪うと後半10にはDF磯村のシュートがバーに当たって跳ね返ったところをFW永井謙が左足で蹴り込んで4点目。FW永井謙は自身初となるハットトリック達成となった。さらに後半41分にはMF田口のCKからDF酒井隆が決めて5点目を奪った。
福岡は前半からゴール前にいいクロスが上がってくる場面は多かったが前半47分のMF金森のヘディングシュートをGK楢崎に防がれるなどチャンスを生かせなかった。シュート数はともに15本ずつ。福岡が攻め込む場面もあったが最終的には5対0という大差が付いた。敗れた福岡はこの試合よりも後にキックオフされる14位の甲府と15位の新潟の結果次第で今節終了後にも「J2降格」が決まるところまで追い込まれた。
■ ヒーローになったのはFW永井謙佑名古屋は奇跡の残留に向けて大きな勝ち点「3」を獲得した。結局、15位の新潟はアウェイで磐田に勝利して勝ち点「3」を獲得したが、14位の甲府がホームで横浜FMに0対4で敗れたため、名古屋はついに降格圏を脱出した。13位の磐田との差も「3」に縮まったが得失点差や総得点を考慮すると次の15節に行われる磐田戦(H)で勝利できると磐田を順位で上回ることができる。「+5」という得失点差を稼げたのも大きい。
序盤はどちらかというと福岡が攻め込んだが前半18分にMFハ・デソンのゴールで先制に成功するとその後にFW永井謙が3連続ゴールを決めてヒーローになった。1点目のシュートはMF田口のパスから裏に飛び出してから決めた「らしいゴール」だったが2点目はドリブルでボールを持ち運んでから決めた圧巻のスーパーミドルだった。そして3点目はMF磯村のシュートがバーに当たって跳ね返ったところを左足で蹴り込んだ。
今シーズンのFW永井謙はシーズンの序盤戦こそまずまずのプレーを見せてゴールにも絡んでいたが1stステージの終盤あたりから怪我の影響もあって不出来な試合が多かった。体力的な問題もあって守備のところで自分の持ち場に戻り切れずに穴を作ってしまうケースも多かったがジュロヴスキー監督になってからは5試合で4ゴール。今シーズン7ゴール目となったが「3年連続の二桁ゴール」も見えてきた。
簡単に達成できる記録ではないので残り3試合で3ゴール以上を記録して連続二桁ゴールを継続させることが期待されるが、ゴール数よりも大事なのは「勝負どころで点を取れるか?」である。ともに降格圏に位置したチーム同士なのでピリピリした雰囲気の中で試合が行われたがそういう状況でハットトリックというのは価値が高い。いつまでも名古屋のサポーターの記憶に残るような圧巻のハットトリックだった。
■ キャプテンとしてチームを引っ張るMF田口泰士名古屋はこれで2連勝となったが「チーム状態が13位以下の6チームの中で最も良い。」と言えるのは間違いないところである。名古屋以外の5チームの中では吉田監督が退任して片渕監督が就任した新潟も以前のようなアグレッシブさを取り戻している。初陣となった磐田戦(A)で劇的な勝利を飾ったことで勢いに乗れるはずなので「新潟もチーム状態が上向き」と言えるがそれでも名古屋の状態が一番良いと言える。
前半18分に生まれたMFハ・デソンの先制ゴールのシーンが象徴的と言えるが中盤から前目の選手の距離感が非常に良くなったので孤立する選手がいなくなった。小倉監督のときはサポートが少なくて苦し紛れのパスを出さざる得ない状況になることが多くて難しいパスを中盤でカットされてカウンターを食らう場面が多かったがジュロヴスキー監督になってからはスムーズにボールが回るようになった。
個々の選手ではこの日も2つのゴールをアシストしたキャプテンのMF田口の活躍が目立っている。小倉監督のときは彼にかかる負担が大きかったがチーム全体の役割が整理されて周りの選手からのサポートを受けられる状況になったこともあって精度の高いパスでチャンスを演出できるようになった。夏に加入したMFハ・デソンとの関係も良好。ゲームをコントロールする選手が1人から2人に増えたのも大きい。
次の15節は磐田との直接対決となるが後ろから追ってくる新潟や名古屋や甲府などの足音に怯えながら大一番を迎えることになる磐田に対して名古屋は気分よく次の試合を迎えることができるはず。心理的なアドバンテージを持っているのは間違いなく名古屋なので磐田を下してさらに順位を上げることが出来ると残留に大きく前進する。残り3試合となったが名古屋はJ1に残留できそうな流れになってきた。
■ 「1年でのJ2降格」が決まったアビスパ福岡一方の福岡は直接対決で0対5の大敗を喫して名古屋との差が「10」に広がった。残りは3試合なので名古屋を追い抜くことは不可能になったが、さらに15時キックオフの試合で15位の新潟がアウェイで磐田を2対1で下したことで新潟を上回る可能性も消滅した。16位に転落した甲府とは勝ち点が「28」で並ぶ可能性が残っているがいずれにしても16位以下が確定。残念ながら福岡は「1年限りでJ2降格」となった。
どの試合でもある程度はチャンスは作っており、かつ、(この試合は5失点を喫したが)大差で敗れる試合は多くなかった。これまでのプレーオフ昇格組とは違って「何かのきっかけがあれば十分にJ1に残留できるだけの戦力はあった。」と思うが、怪我人の多さには年間を通して悩まされた。前にJ1に挑戦した2011年は戦力的に厳しかったが、今回は十分に残留のチャンスがあっただけに悔いの残る結果になった。
厳しいシーズンになったが若い選手がJ1の舞台を経験できたことは大きな財産になるだろう。MF金森、DF亀川、MF為田、MF三島勇といったリオ世代の選手のみならず、MF邦本やMF冨安といった東京世代の選手が一定以上の出場機会を得ていることは来シーズン以降につながるだろう。力及ばず1年で「J2降格」となったが観客動員数も増えており、アビスパ福岡というクラブの未来は明るいものだと思う。
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