■ いつの時代も変わらない人気を誇るドリブラーJリーグが発足したのは1993年。あれから23年ほどが経過して「サッカー」は大きく変化した。中盤のスペースが無くなって強さや激しさが求められる時代になった。「全ての能力が平均点以上」という万能型の選手が監督の信頼を勝ち取って重宝されるケースが増えたが、それでもドリブラーの重要性は変わらない。むしろ、サッカー自体が進化して複雑になったからこそ彼らの重要度は増しているのかもしれない。
MFリトバルスキー(市原など)、MF前園(横浜Fなど)、FW永井雄(浦和など)、MF本山(鹿島など)、FWエメルソン(浦和など)、FWジュニーニョ(川崎Fなど)などなど。いつの時代も突出した能力を持つドリブラーはリーグの華であり、絶対的なドリブラーを擁しているチームはどの時代も強かった。Jリーグブームの真っ只中の頃は多くのサッカー少年がリティの柔らかいドリブルを真似しようとドリブルの練習に明け暮れた。
具体的な名前を出すことは控えるが、「この選手は点を取るのに地味だなあ。」、「イマイチ、人気が無いなあ。」という選手は少なくない。試合においてはゴールを奪うことが最大の目的。最後の仕事をきっちりとこなす選手が一番注目されて一番人気になってもおかしくないが意外とそういう風ではない。これは「中盤至上主義」と言われる日本だけに限った話ではなさそう。欧州の主要国でも見られる傾向である。
■ 現代屈指のドリブラーであるガンバ大阪の宇佐美貴史その一方で「凄いドリブルをするのに地味。」、「優秀なドリブラーなのに人気はイマイチだな・・・。」という選手はほぼいない。(※ 同様に日本だけの話ではなくて欧州の主要国も同じだと考えられる。)人気者になれるか否かは「ルックスの良し悪し」も関係しているが、ドリブルで局面を打開できる選手はチーム屈指の人気者であることがほとんど。彼らがボールを持ったときがもっとも歓声が上がる瞬間と言える。
Jリーグにおける現代屈指のドリブラーというとFW宇佐美(G大阪)である。圧倒的なテクニックを持っており、細かいステップで相手の守備陣を突破することができる。中学生の頃から「天才サッカー少年」としてサッカーファンの間では名前の知れた選手だったが、天才サッカー少年は紆余曲折を経てプロの世界でも天才と呼ばれるような選手になった。ドリブルからシュートを打つときの滑らかさは日本人屈指。
MF齋藤学(横浜FM)もJリーガーの中で最高峰のドリブラーと言える。今シーズンは特にドリブルにキレがあって「アンストッパブル」と言える試合がすでにいくつもある。左サイドでボールを受けて中央にドリブルで切れ込んでから右足でシュートを放つプレーが得意。キレもスピードもテクニックも最上級。トップスピードになったときもコントロールが乱れることはないので常に主導権を握った状態でドリブルができる。