■ 第9節J1の2ndステージの第9節。7勝12敗6分けで勝ち点「27」のベガルタ仙台がホームのユアテックスタジアムでアルビレックス新潟と対戦した。新潟は5勝13敗7分けで勝ち点「22」。仙台が14位で、新潟が15位。両チームの勝ち点差は「5」。8節終了時点で16位の松本山雅は勝ち点「21」なので、新潟が勝利すると仙台を残留争いに巻き込むことができる。仙台は2ndステージは1勝6敗1分けと結果が出ていない。
ホームの仙台は「4-2-2-2」。GK六反。DF蜂須賀、上本、渡部、石川直。MF富田、梁勇基、金久保順、野沢。FWハモン・ロペス、奥埜。24試合で7ゴールを挙げているFW金園はベンチスタートで、17試合で3ゴールのFWハモン・ロペスと23試合で5ゴールのFW奥埜の2トップとなった。怪我で離脱していたFWウイルソンが戻ってきてベンチ入りを果たした。キーパーのGK六反はW杯予選の日本代表に招集されている。
対するアウェイの新潟は「4-2-2-2」。GK守田。DF川口尚、舞行龍ジェームズ、大井、コルテース。MFレオ・シルバ、加藤大、佐藤優、山本康。FW指宿、山崎亮。五輪代表に初選出されたばかりの20歳のDF小泉慶は右第4中足骨の疲労骨折で全治3か月と診断されており、今シーズン中に復帰できるどうかは微妙とされている。今夏に横浜FMから加入したMF佐藤優が2列目に入ってMF加藤大がボランチの位置に入った。
■ 劇的な勝利を飾ったアルビレックス新潟前半はどちらかというとホームの仙台ペースで進んでいく。アウェイ戦ではあるが勝って14位の仙台との差を縮めたい新潟だったがシュートチャンスを作れない。仙台は2ndステージに入って1勝6敗1分けと低調。対する新潟はチーム状態は悪くはないが、ここ4試合勝ちなし。どちらのチームも結果は出ていないが、最近の試合内容では新潟が優っている。新潟ペースになるかと思われたのでやや意外な展開になった。
新潟にとっては苦しい展開になったが、後半14分に自陣でのMFレオ・シルバのクリアボールがいいところに飛んで2トップの一角のFW山崎亮が裏に抜け出してキーパーと1対1になりかける。大きなチャンスになり得るシーンだったが、仙台のCBのDF上本が抱え込むように倒して一発レッドで退場。数的不利の10人となった仙台は「4-4-1」のシステムを変更。「ドローでもOK」という現実的な戦いにシフトチェンジする。
数的優位になった新潟は右SBのDF川口尚のところが空いてきて右サイドからチャンスを作るようになる。ただ、攻め切ることはできず。このままスコアレスで終わるかと思われた後半49分に新潟がCKを獲得。この流れからこぼれたボールをMF山本康が右足で豪快に決めて土壇場でアウェイの新潟が先制する。結局、1対0で新潟が勝利して大きな勝ち点「3」を獲得した。両チームの勝ち点差は「2」に縮まった。
■ 「妥当だった。」といえるレッドカードの判定 後半14分のDF上本のレッドカードが分岐点の1つになったが、「扇谷主審の判定は正しかった。」と言える。もちろん、ゴールまではかなり距離があって、かつ、左SBのDF石川直がカバーリングで食い止めることができそうなポジションにいた。「決定的なチャンスにはならなかった。」という見方もできるので、イエローで済ませる主審もいるとは思うが、レッドが出ても何らおかしくないシーンだったと言える。
DF上本が後ろから引き倒すような形になったが、相手の首を巻き込むようなファールになったのは印象が良くない。ただ、FW山崎亮はキーパーと1対1になりかけていたが、先のとおり、ゴールまではかなり距離があった。そして、DF石川直が後方からカバーに来ていた。さらに浮き球だったのできちんとコントロールしてキーパーと1対1の形を作るのは技術の高いFW山崎亮といえども簡単なプレーではなかった。
当然、咄嗟の判断が要求される。ベストな判断ができなくなっても仕方がないところもあるが、レッドカードが出される可能性が十二分に考えられるこのシチュエーションでファール覚悟で無理に止める必要があったのか?というとやや疑問である。DF上本は経験豊富な選手であるが、このシーンでは冷静さを欠いていたように思う。難しい判断を迫られたのは確かであるが、もう少しベターな選択はあったように思う。
仙台は3連敗。2ndステージは1勝7敗1分けとなった。1stステージの最後の7試合は4勝1敗2分け。急浮上したが、再度、残留争いに巻き込まれた。仮に1ステージ制であれば「最近はあまり勝てていないな・・・。」という程度で済むと思うが、2ステージ制になったことで(年間の順位表だけでなく)2ndステージの順位表も合わせて表示される。この点は不安な気持ちを増幅させる有難くない要素になっている。
■ ヒーローになったのはMF山本康裕一方、新潟にとっては非常に大きな勝ち点「3」と言える。今節は16位の松本山雅と18位の山形の直接対決が組まれているが、シーズン当初から9月23日(水)に試合が行われる予定になっていた。8節終了時点で松本山雅との勝ち点差は「1」なので、仙台戦(A)が引き分け以下に終わると精神的に追い込まれたが、逆に松本山雅や山形にプレッシャーをかけることができた。J1残留に向けて価値ある勝ち点「3」と言える。
ヒーローになったのはMF山本康だった。数的優位になった後は新潟ペースだったが、今シーズンの新潟は欲しいところでゴールが奪えずに苦しんできた。「何とかして点を取りたい。」という状況になったとしても柳下監督ができることは限られており、フォワード同士の交代か、2列目同士の交代くらいである。この点は今シーズンの新潟の弱点の1つと言えるが、最後までピッチに残したMF山本康の一撃に救われた。
MF山本康というと磐田時代はボランチでプレーすることが多かった。ロンドン五輪代表チームでも初期から中期にかけてはボランチでスタメン起用される機会も多くて「ロンドン世代の中では屈指の有望ボランチ」と言われたが、やや伸び悩んだ。新潟では2列目でプレーする機会が多くなっているが、ボランチ時代から定評のあった「得点力の高さ」で何度かチームを救っている。意外性を持った選手と言える。
新潟は順位は15位のままであるが、14位の仙台との差が「2」に縮まって、16位の松本山雅との差が「4」に広がった。先の通り、松本山雅は1試合消化が少ないので「1」に戻る可能性はあるが、「3差以内なのか?4差以上なのか?」は大きな違いがある。1試合で逆転されない差になると上のチームは精神的に少し余裕を持った状態で試合に入ることができるが、下のチームには大きなプレッシャーとなる。
もちろん、全く安心できる状況ではないが、ここ最近のチーム状態やこれから先の対戦カードを考えると現時点で本格的に残留争いに巻き込まれている14位の仙台、15位の新潟、16位の松本山雅、17位の清水、18位の山形の5チームの中で「早い段階で残留争いから抜け出すことができる可能性を持った唯一のチーム」が新潟ではないかと思う。すでに上位陣との対戦はほとんど終わっているのも有利な点である。
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