■ 今年で21年目 Jリーグは今年が21年目のシーズンとなるが、平均の観客動員数は上がったり、下がったり、波は大きかった。Jリーグブームの真っただ中だった創設2年目の1994年が過去最高で19,598人を記録したが、すぐにバブルは崩壊して、その3年後の1997年には、約半分の10,131人となった。この1997年の数字が過去20年の中で最低である。
この年は、秋にフランスW杯のアジア最終予選が行われて、リーグ戦とW杯予選が並行して開催されたので、Jリーグよりも日本代表に注目が集まった。「代表選手不在の中でリーグ戦が進んでいった。」という事情もあるが、17チームのうち、平均1万人を超えたのは、浦和・鹿島・名古屋・川崎・磐田・横浜Fの6チームだけ。残りの11チームは1万人に届かず、ワーストの市原に至っては5,693人だった。
この年、フランスW杯行きを決めて、サッカー界も盛り上がったが、1998年・1999年・2000年に関しては、史上最低だった1997年と比べても、大差はない。Jリーグの冬の時代と言えるが、劇的に変化するのは2001年で、埼玉スタジアムやウイングスタジアムなど、W杯で使用される巨大スタジアムが全国各地に誕生したこともあって、16,548人と動員数を大幅に増やした。
その後は、比較的、落ち着いているが、2002年に仙台、2003年に大分、2004年に新潟がJ1に昇格したのは大きかった。大分はビッグアイ、新潟はビッグスワンとW杯で使用したスタジアムを抱えており、昇格初年度から多くのサポーターを集めた。特に、新潟の数字は凄まじくて、昇格1年目の2004年は37,689人で、浦和を抑えてリーグトップとなった。(※ 翌2005年も1位に輝いている。)
表1. 平均の動員数の推移
年度 | 平均 | 主な出来事 |
1993年 | 17,976 | Jリーグ元年、ドーハの悲劇、 |
1994年 | 19,598 | |
1995年 | 16,922 | |
1996年 | 13,353 | アトランタ五輪出場、 |
1997年 | 10,131 | ジョホールバルの歓喜、 |
1998年 | 11,982 | フランスW杯出場、横浜Fが消滅、 |
1999年 | 11,658 | J1とJ2が誕生、 |
2000年 | 11,065 | シドニー五輪でベスト8、 |
2001年 | 16,548 | 各地に巨大スタジアムが完成、 |
2002年 | 16,368 | 日韓W杯開催、 |
2003年 | 17,351 | 引き分けの導入、 |
2004年 | 18,965 | アジアカップ優勝、新潟が初昇格、 |
2005年 | 18,765 | 18チーム制&1ステージ制に変更、 |
2006年 | 18,292 | ドイツW杯出場、オシムジャパン誕生、 |
2007年 | 19,066 | 浦和がアジア制覇、 |
2008年 | 19,202 | G大阪がアジア制覇、 |
2009年 | 18,985 | 鹿島が3連覇達成、 |
2010年 | 18,428 | 南アフリカW杯出場、ザックジャパン誕生、 |
2011年 | 15,797 | アジアカップ優勝、東日本大震災、なでしこが世界一 |
2012年 | 17,566 | ロンドン五輪でベスト4、広島が初優勝 |
■ クラブ新を記録した広島と鳥栖 新潟がJ1に昇格してきた2004年以降、2010年シーズンまでは、過去最高だった1994年と同じくらいの動員数を記録しているが、2011年3月に東日本大震災が発生。Jリーグも中断して、再開後も電力消費を抑えるために、昼間に試合を行うなど、影響は大きかった。その結果、15,797人と激減したが、2012年は17,566人と回復の兆しを見せている。
となると、今年はどうなるのか、数字に注目したいが、プラスの要素として考えられるのは、大分がJ1に復帰したことである。2009年以来のJ1の舞台となるが、過去のJ1(2003年-2009年)での平均動員数は20,564人で、この数字は、新潟(33,764人)、浦和(30,688人)、FC東京(23,771人)に次ぐもので、J1経験のある計28クラブの中では、第4位の数字である。
リーグ平均で見ると、2004年以降は横ばい状態と言えるが、クラブ別に見ると、地道に動員力を増しているクラブがいくつかある。表2の右の欄は、2012年の平均がクラブにとって、歴代で何番目に相当するのかを示している。(※ 20年目のシーズンだったので、フル参戦している鹿島・横浜FM・清水・名古屋・G大阪の5チームは年数は「20」で、昇格初年度の鳥栖の年数は「1」となる。)
これを見ると、初優勝を成し遂げた広島は過去最高の平均動員数で、柏とC大阪は歴代2位で、川崎Fと神戸は歴代3位ということで、平均動員数が過去最高レベルだったチームは少なくない。また、鳥栖については、J1は初挑戦だったが、J2時代を含めるとこれまでの最高は2005年の7,855人だったので、J1に上がってクラブ記録を大幅に更新している。
表2. クラブ別の平均動員数 (2012年)
| 平均(2012年) | クラブ別 | 過去最高 | 過去最低 |
番目 | 年数 |
札幌 | 12,008 | 4 | 5 | 2001年 | 1998年 |
仙台 | 16,600 | 4 | 5 | 2002年 | 2011年 |
鹿島 | 15,381 | 18 | 20 | 2001年 | 1993年 |
浦和 | 36,634 | 8 | 20 | 2008年 | 1993年 |
大宮 | 10,637 | 4 | 8 | 2009年 | 2011年 |
柏 | 13,768 | 2 | 16 | 1995年 | 1997年 |
F東京 | 23,955 | 9 | 12 | 2005年 | 2000年 |
川崎F | 17,807 | 3 | 8 | 2009年 | 2000年 |
横浜FM | 22,946 | 9 | 20 | 2005年 | 1997年 |
新潟 | 25,018 | 9 | 9 | 2005年 | 2012年 |
清水 | 15,121 | 11 | 20 | 1995年 | 1997年 |
磐田 | 13,122 | 13 | 19 | 2006年 | 1997年 |
名古屋 | 17,155 | 6 | 20 | 1994年 | 2005年 |
G大阪 | 14,778 | 10 | 20 | 1994年 | 1999年 |
C大阪 | 16,913 | 2 | 14 | 2005年 | 1996年 |
神戸 | 14,638 | 3 | 15 | 2004年 | 1997年 |
広島 | 17,721 | 1 | 18 | 2012年 | 2012年 |
鳥栖 | 11,991 | 1 | 1 | --- | --- |
■ 落ち込みが目立つ新潟 その一方で、気になるのは、新潟である。過去最高だった2005年の40,114人をピークに7年連続で平均動員数が減少しており、2012年はクラブ史上ワーストの25,018人まで落ち込んだ。もちろん、2012年の25,018人という数字でさえ、浦和に次いでリーグ2位に相当するので、レベルの高い話であるが、減少に歯止めが効かなくなっている点は心配になってくる。
表3. 新潟の平均動員数 (J1昇格後)
年度 | ランキング | リーグトップ | 平均 | 成績 |
2004年 | 1位 | アルビレックス新潟 | 37,689 | 14位/7位 |
2005年 | 1位 | アルビレックス新潟 | 40,114 | 12位 |
2006年 | 2位 | 浦和レッズ | 38,709 | 14位 |
2007年 | 2位 | 浦和レッズ | 38,276 | 6位 |
2008年 | 2位 | 浦和レッズ | 34,490 | 13位 |
2009年 | 2位 | 浦和レッズ | 33,446 | 8位 |
2010年 | 2位 | 浦和レッズ | 30,542 | 9位 |
2011年 | 2位 | 浦和レッズ | 26,049 | 14位 |
2012年 | 2位 | 浦和レッズ | 25,018 | 15位 |
表4は、シーズン別のJ1の平均動員数のベスト20である。改めて見ていくと、浦和と新潟の2チームが飛び抜けていることが分かる。この2チーム以外でランクインしているのは、2005年のFC東京だけで、ほぼ2チームで独占している。Jリーグが誕生した1993年は北信越リーグに所属していたチームが、10年程度で4万人を集めるようになったことは、奇跡のようなことであり、もっと称賛されるべきである。
ちなみに、新潟に限った話ではないが、1つのクラブの平均動員数が10,000人ダウンすると、17試合×10000人/306試合なので、リーグの年間平均では555人のダウンとなる。新潟というクラブは、もともとの動員数がきわめて多いチームなので、その増減が全体に及ぼす影響は大きい。いったい、新潟に何が起こっているのか。今後、動員が回復する見込みはあるのだろうか。
→ (中)に続く。
表4. J1の平均動員数のベスト20 (シーズン別)
| 年度 | クラブ名 | 平均 |
1 | 2008年 | 浦和レッズ | 47,609 |
2 | 2007年 | 浦和レッズ | 46,667 |
3 | 2006年 | 浦和レッズ | 45,573 |
4 | 2009年 | 浦和レッズ | 44,210 |
5 | 2005年 | アルビレックス新潟 | 40,114 |
6 | 2010年 | 浦和レッズ | 39,941 |
7 | 2005年 | 浦和レッズ | 39,357 |
8 | 2006年 | アルビレックス新潟 | 38,709 |
9 | 2007年 | アルビレックス新潟 | 38,276 |
10 | 2004年 | アルビレックス新潟 | 37,689 |
11 | 2004年 | 浦和レッズ | 36,660 |
12 | 2012年 | 浦和レッズ | 36,634 |
13 | 2008年 | アルビレックス新潟 | 34,490 |
14 | 2011年 | 浦和レッズ | 33,910 |
15 | 2009年 | アルビレックス新潟 | 33,446 |
16 | 2010年 | アルビレックス新潟 | 30,542 |
17 | 2003年 | 浦和レッズ | 28,855 |
18 | 2005年 | FC東京 | 27,101 |
19 | 2001年 | 浦和レッズ | 26,720 |
20 | 2002年 | 浦和レッズ | 26,296 |
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