サッカーコラム J3 Plus+　

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■　J1もJ2も未だに監督交代はゼロ

J1は15節が終了した。もうすぐ折り返し地点を迎えるが川崎F・C大阪・FC東京・名古屋など順調に勝ち点を伸ばしているチームがいくつかある一方で札幌と大分は3勝のみ、鳥栖と仙台と清水は2勝のみ。最下位の湘南はわずか1勝のみとなる。9月9日(水)に行われた15節は14位の大分と18位の湘南が昭和電工ドーム大分で対戦したが0対2の状況から2ゴールを奪ったホームの大分が2対2のドローに持ち込んだ。

大分は何とか勝ち点「1」を得たが一時は2対0とリードを奪った湘南にとっては悔やまれる試合になった。後半33分にMF島川のゴールで1点差に迫られると後半43分にはFW伊佐に同点ゴールを許した。2ゴールを奪って「6節の鹿島戦(H)以来」なので久しぶりとなる勝利に大きく近づいたが逃げ切りに失敗した。追いつかれた後も大分に攻め込まれたので「逆転負けを喫していても不思議はない展開だった。」と言える。

今シーズンのJ1は新型コロナの影響でJ2への降格がなくなった。J2のクラブも「J3への降格」はなくなったが、それに加えて、どのクラブも収入が大きくダウンしている。特にダメージが大きいのは観客動員数の多い人気クラブだと考えられるが「10億円程度の赤字になりそうだ。」とコメントしているクラブもある。すべてのクラブが財政的に厳しいこともあってJ1もJ2も今のところ開幕後の監督交代は実施されていない。

J3ではC大阪U-23の監督が代わったがJ3のクラブの監督交代もC大阪U-23のみとなる。例年であれば残留争いに巻き込まれているクラブを中心に監督交代の噂がたくさん流れる時期に入っているが今年はかなりイレギュラーなシーズンである。今のところ、「監督交代の噂」すらどのクラブも流れていないと思うが「例年であれば監督交代の話が出ていてもおかしくない状況のクラブ」はJ1にもJ2にもいくつかある。

■　最も危うい立ち位置なのは湘南の浮嶋監督

最も立ち位置的に厳しいのは湘南の浮嶋監督である。14試合で1勝10敗3分けと結果が出ていない。15位の鳥栖との差は「5」になるが『通常のシーズンであればすでに浮嶋監督は解任されている可能性が高い。』と言える。17位の清水のクラモフスキー監督も相当に苦労している。15試合で2勝10敗3分け。35失点というのはJ1最多。同様に通常のシーズンであればすでに解任されている可能性はある。

2勝7敗5分けで16位の仙台を率いる木山監督も危うい立ち位置で、4勝5敗7分けと負け越している神戸のフィンク監督に対する批判の声も高まっている。8試合勝ちなし中で3勝7敗5分けの札幌のペトロヴィッチ監督に対する批判の声も大きくなってきたが普段のシーズンと比べるとはるかに「監督交代のタイミングを見極めるのは難しい。」と言える。財政的な問題もあって解任を決断するのは容易なことではない。

「今シーズンは降格がなくなったので順位は関係ない。」と考える人も少なくないが冷静に考えると今シーズンのJ1で16位や17位や18位に終わったクラブは大変なオフになる可能性は高い。高確率で来シーズンのJ1の残留争いに巻き込まれると思うが「残留争いに巻き込まれる可能性が高いクラブでプレーするのは出来れば避けたい。」と考える選手はやはり多いのでオフの移籍市場で草刈り場になる可能性は高い。

15節を終えた時点で11位の神戸と12位の札幌の差が「5」。『神戸までの11チームが上位グループ』で、『札幌よりも下の7チームは下位グループ』と言えるが12位の札幌、13位の横浜FC、14位の大分、15位の鳥栖、16位の仙台、17位の清水、18位の湘南の7チームは大きな目標が見えなくなりつつある。難しい状況になりつつあるが1つでも勝ち点を上積みしていい順位でシーズンを終えないと大変なことになる。

■　危機を乗り越えたのは鹿島のザーゴ監督

一方のJ2は16位の千葉、17位の岡山、18位のFC琉球、19位の松本山雅、20位の愛媛FC、21位の山口、22位の群馬あたりが勝ち点を伸ばせずに苦労している。2位の長崎との差は大きく広がったので「2位以内」は絶望的。今シーズンはJ3への降格もないのでモチベーションを保つのが難しい状況になっているが特に期待を裏切っているのは千葉・岡山・松本山雅の3チームである。いずれも上位争いに挙げられていた。

J2にも松本山雅など「例年であればすでに監督交代が実施されていたのでは？」と思うクラブがいくつかあるが逆に特殊なシーズンであることがプラスに作用している監督も何人かいる。最たる例は鹿島のザーゴ監督だろう。名門クラブである鹿島は一時は最下位に沈むなど大いに苦労したがここに来て4連勝。気が付くと6位まで順位を上げてきた。首位の川崎Fとの差は大きいが2位のC大阪は十分に射程圏内と言える。

ACLのプレーオフで敗退したことならびに再開後のグダグダ感を考えると6節の湘南戦(A)で敗れて1勝5敗という成績になったあたりで監督交代が実施されていても何ら不思議はなかった。ザーゴ監督は生き延びて巻き返しに成功しつつあるので「V字回復を果たす可能性」はどのクラブにも当然のことながらあるが、やはり、その確率は低い。低迷するクラブが監督を代えずに巻き返しに成功するケースは少ない。

こういう状況なので「現状維持」が最も簡単な選択である。「お金が無いので仕方がない。」と考える人は多いと思うが「このままだとマズイ。」、「来シーズンにマイナスの影響をもたらす。」と考えられる状況になった場合はフロントはしっかりと決断を下さないといけない。例年と比べるとはるかに監督交代という決断を下しにくい状況になっているので余計に「フロント力」が必要であり、試されるシーズンになる。

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