■ ナビスコカップ第4節ナビスコカップの第4節。
前日、日本代表がコートジボワールと戦ったときと同じ豊田スタジアムで、名古屋グランパスが浦和レッズと対戦。リーグ戦では、ともに勝ち点「26」。1位と2位の対戦である。名古屋は、FW玉田、GK楢崎、FWヨンセン、DF吉田が欠場。一方の浦和も、FW高原、MF鈴木、FWエスクデロ、DF闘莉王、DF阿部が欠場。ともに何人かのキープレーヤーを欠く。
名古屋は<4-4-2>。GK西村。DF竹内・増川・バヤリッツァ・阿部。MF中村直・米山・小川・マギヌン。FW巻・杉本。
浦和は<3-5-2>。GK山岸。DF坪井・堀之内・堤。MF内舘・山田暢・岡野・相馬・永井。FW田中達・エジミウソン。
■ 乱打戦試合は前半6分に名古屋が先制。MFマギヌンのクロスからFW巻が中央でキープし、走り込んできたMF小川にラストパスを落とすと、MF小川が右足で決めて先制。さらに前半16分にも、左サイドを突破したMFマギヌンのクロスからFW杉本が中央でヘディングで合わせて追加点を挙げる。
対する浦和は前半32分に、MF山田暢のドリブルからパスを受けたFW田中が左足のシュートを決めて1点差に迫るが、前半42分に、名古屋は左サイドに流れたMF小川のクロスからFW巻が豪快にダイレクトボレーで決めて3対1とリードする。
後半最初から、浦和はDF高橋峻希を投入し4バックに変更。後半11分には、MF永井のCKからMF内舘が決めて2対3となるが、試合終了間際に名古屋は華麗なパス回しから途中出場のFW津田がダメ押しのゴールを決めて4点目。
結局、名古屋が4対2で勝利し、決勝トーナメント進出に向けて大きな勝利を得た。
■ 巻佑樹の活躍①名古屋は若手主体ながら見事なサッカーを見せて快勝。久々の決勝トーナメントが目前に迫ってきた。攻撃の軸であるFWヨンセンとFW玉田の2人を欠きながら、これまで開幕から見せてきた自分たちのサッカーを貫いて勝利したことは、大きな価値がある。
特に、出色の出来だったのが、大卒2年目のFW巻佑樹。どうしてもFWヨンセンがいると出番がなかなか回ってこず、今シーズンもリーグ戦では3試合しか出場機会が巡って来ていないが、FWヨンセンの離脱中に先発フル出場し、1ゴール1アシストで、計3ゴールに絡む大活躍を見せた。
圧巻はチーム3点目のゴールとなったボレーシュートで、左サイドからイージーではないクロスが上がってきたが、思い切ってシュートを狙うと、強烈にネットを揺らした。
■ 巻佑樹の活躍②ゴールシーン以外でも、柔らかいボールタッチで前線でしっかりとボールをキープし、味方の攻撃参加を促した。兄は言わずと知れた日本代表FW巻誠一郎であるが、弟も無骨なタイプかと思いきや、もっと繊細で、ターゲットマンとしての才能は優るとも劣らないものを持つ。
際立つのはボールを受けた瞬間には、既にいくつもの次のアイディアを備えており、イマジネーションも豊かである。4点目のFW津田のゴールにつながったプレーは、彼のポストプレーヤーとしての秀でた才能の一端を示している。
もちろん、浦和のDFは日本代表組が欠けており、出来すぎの感もあるが、とにかく、FWヨンセンのバックアッパーとしては、十分すぎるほどの能力を持つということを示した。
■ 復活した田中達也一方の浦和は、FW田中達也が先発出場。前半からキレのある動きでゴールに迫り、1ゴールをマークした。後半途中に怪我のためかピッチを去ったが、存在感は抜群だった。
2トップを組んだFWエジミウソンとのコンビネーションは良好ではなかったが、それでもドリブルを駆使して単独でもゴールに迫って、何度もチャンスを作った。FW陣には、FW高原とFWエジミウソンがいて、この2人が2トップを組むことが多かったが、FW田中達也が怪我すること無くこの調子を維持できれば、ファーストチョイスになるのは間違いない。
■ 原口元気のデビュー戦そのFW田中に代わって途中出場したのが、レッズ期待のスーパープレーヤーであるFW原口元気。1991年5月9日生まれの高校2年生である。この試合は、小学生時代から将来を嘱望されてきたFW原口のトップチームデビュー戦となった。
そのFW原口は1点を追う後半17分から登場。いきなり、左サイドでボールを受けて、素早い加速からDFバヤリッツァをドリブルでかわしてゴールに迫るなど、才能の片りんを見せた。スピード感あふれるドリブルと柔らかいボールタッチを見ると、さすがに大物感を感じずにはいられなかった。
ただ、見せ場といえるのはこのシーンのみで、その後は、なかなかボールに触れられずに終わった。とはいえ、トップチームで出場できたことは大きな経験であり、焦らずに着実に力をつけてほしい。
浦和レッズには、DF闘莉王やDF阿部、FW高原らスター選手が多いが、自前のユース育ちの選手はDF堤くらいで、育成に関しては大きく遅れをとっているのが現状である。世界的にみても、ビッグクラブと呼ばれるクラブは、育成能力にも長けていて、ユースチームからそのクラブのシンボルと呼べる選手が数多く生まれている。
だから、FW原口元気にかかる期待は、並大抵のものではない。大きな期待をプレッシャーに変えてしまうのか。それとも、エネルギーに変えていけるのか?大きな別れ道となる。素材は申し分ない。
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