大相撲九州場所の中日だったか、市川海老蔵改め十三代目 市川團十郎白猿襲名披露 「十一月吉例顔見世大歌舞伎」夜の部を見た。
最初の演目は、歌舞伎十八番の内「矢の根(やのね)」。
父の仇をとる為に正月にもかかわらず矢の根を研ぐ曽我五郎。荒事の様式美を見せる短い歌舞伎十八番。後の演目「助六」も実は曽我五郎であるから夜の部は曽我五郎尽くし。そういえば、昼の部、新之助が出演の「外郎売(ういろううり)」も「実は曽我五郎」という設定であるから、昼も夜も曽我五郎だらけで江戸の新春興行の如く目出度い演目ばかりである。
隈取の幸四郎は初役。父の白鸚もこの役はやっていない。叔父の二世吉右衛門に1年前に教わるつもりだったが叶わず、唯一教わっていた歌昇から教わったと筋書きに。確かに二世吉右衛門を彷彿とさせる所が感じられる。これからも、高麗屋の芸と共に、叔父である播磨屋の芸を受け継いで行ってほしいものである。團十郎の襲名披露で歌舞伎十八番の荒事の主役を任されるのは、実に気持ちが良いだろうなあ。荒々しく無心に、元気に勤めるところがよい。
次は「十三代目市川團十郎白猿 八代目市川新之助襲名披露 口上(こうじょう)」。
本来ならば親戚筋の白鸚が場を仕切る役なのだろうが、残念ながら体調不良で休演。菊五郎が最初の挨拶。新團十郎について「若い頃は暴れん坊将軍と呼ばれまして」と場内を沸かせる。
仁左衛門、左團次、梅玉と襲名を寿ぐ口上を。
新之助、新團十郎の挨拶の後、最後に背景が開くと千畳敷の広間。「吉例により睨んでご覧にいれます」と、新團十郎が成田屋独特の「にらみ」を披露して幕。この型はしっかりと決まっている。もう少し列座する俳優も多くして賑やかにやれたらよかったが、コロナ対策とかあれこれ事情があるのだろう。大向こうがかかるのはやはり懐かしくも目出度い。
最後の演目は歌舞伎十八番の内 「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」。
最初の口上は、幸四郎が成田屋三升の紋の入った裃姿で出てきて、格子の中の河東節連中に「どうぞお始めくださりましょう」と声をかける。
河東節十寸見会御連中が音楽を担当するのは、成田屋が「助六」を出す時だけ。この河東節連中はプロではなく、お金持ちの奥様方が趣味で習ったりしており、そのまま成田屋の後援会筋と被るので、舞台開演にあたっても最大限の敬意を払っているのだとイヤホンガイドで。
前に見た時はナイル・レストランのG.M.ナイルさんの名前が出ていたが今回はない。Wikiによると女性トラブルがあって店は完全に3代目に譲ったらしいので、河東節も引退したのかもしれぬ。助六は長い演目だが、河東節は、助六の出端が終わり、助六が舞台に出てきたころで終了。
舞台最初は、コロナ禍の公演ではいままでなかったほど大勢の役者が出て、絢爛豪華な吉原の花魁道中。これが素晴らしい。揚巻は菊之助。艶ややかに美しい。悪態の初音も立派な出来。髭の意休さんは、今までだと左團次に決まりという気がするが、今回は新團十郎と同世代の松緑。単なるいじわる爺様ではなく、貫禄も知性もある大きな武士であるが、松緑もきちんと成立している。新團十郎誕生を期に、菊之助、松緑が継続的に大きな役をやる時代になって行くのだろう。
2階席だったので助六の出端の最初、逆七三の見得は見えない。しかし舞台に出てくると新團十郎の二枚目ぶりと姿形の良さは際立っている。江戸一のモテ男、花川戸の助六がまさに目の前に出現したという印象。私も花川戸に何年か住んでいたので親近感を感じるなあ(笑)新之助が福山かつぎで出演。
三浦屋白玉は梅枝。コレまた女形の世代交代を印象づける。傾城には、児太郎、廣松、莟玉、團子、笑三郎が並んで。こちらも若手が台頭。
襲名披露らしいのは大物が大勢脇を固めている所。
口上では「好きな役ではないですが」と述べていたが、くわんぺら門兵衛は仁左衛門。白酒売新兵衛は梅玉。江戸和事の柔らかな軽妙さを見せる。通人里暁は鴈治郎。こちらは関西弁で楽屋落ちも満載で客席は大いに湧いた。朝顔仙平を又五郎、三浦屋女房は東蔵、曽我満江は魁春。
演目の切りは、新團十郎の助六、菊之助の揚巻、松緑の髭の意休が三人揃って。これもまた新團十郎の元で歌舞伎の時代が変わりつつある事を示す、昔の三之助の「リユニオン」であった。
最初の演目は、歌舞伎十八番の内「矢の根(やのね)」。
父の仇をとる為に正月にもかかわらず矢の根を研ぐ曽我五郎。荒事の様式美を見せる短い歌舞伎十八番。後の演目「助六」も実は曽我五郎であるから夜の部は曽我五郎尽くし。そういえば、昼の部、新之助が出演の「外郎売(ういろううり)」も「実は曽我五郎」という設定であるから、昼も夜も曽我五郎だらけで江戸の新春興行の如く目出度い演目ばかりである。
隈取の幸四郎は初役。父の白鸚もこの役はやっていない。叔父の二世吉右衛門に1年前に教わるつもりだったが叶わず、唯一教わっていた歌昇から教わったと筋書きに。確かに二世吉右衛門を彷彿とさせる所が感じられる。これからも、高麗屋の芸と共に、叔父である播磨屋の芸を受け継いで行ってほしいものである。團十郎の襲名披露で歌舞伎十八番の荒事の主役を任されるのは、実に気持ちが良いだろうなあ。荒々しく無心に、元気に勤めるところがよい。
次は「十三代目市川團十郎白猿 八代目市川新之助襲名披露 口上(こうじょう)」。
本来ならば親戚筋の白鸚が場を仕切る役なのだろうが、残念ながら体調不良で休演。菊五郎が最初の挨拶。新團十郎について「若い頃は暴れん坊将軍と呼ばれまして」と場内を沸かせる。
仁左衛門、左團次、梅玉と襲名を寿ぐ口上を。
新之助、新團十郎の挨拶の後、最後に背景が開くと千畳敷の広間。「吉例により睨んでご覧にいれます」と、新團十郎が成田屋独特の「にらみ」を披露して幕。この型はしっかりと決まっている。もう少し列座する俳優も多くして賑やかにやれたらよかったが、コロナ対策とかあれこれ事情があるのだろう。大向こうがかかるのはやはり懐かしくも目出度い。
最後の演目は歌舞伎十八番の内 「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」。
最初の口上は、幸四郎が成田屋三升の紋の入った裃姿で出てきて、格子の中の河東節連中に「どうぞお始めくださりましょう」と声をかける。
河東節十寸見会御連中が音楽を担当するのは、成田屋が「助六」を出す時だけ。この河東節連中はプロではなく、お金持ちの奥様方が趣味で習ったりしており、そのまま成田屋の後援会筋と被るので、舞台開演にあたっても最大限の敬意を払っているのだとイヤホンガイドで。
前に見た時はナイル・レストランのG.M.ナイルさんの名前が出ていたが今回はない。Wikiによると女性トラブルがあって店は完全に3代目に譲ったらしいので、河東節も引退したのかもしれぬ。助六は長い演目だが、河東節は、助六の出端が終わり、助六が舞台に出てきたころで終了。
舞台最初は、コロナ禍の公演ではいままでなかったほど大勢の役者が出て、絢爛豪華な吉原の花魁道中。これが素晴らしい。揚巻は菊之助。艶ややかに美しい。悪態の初音も立派な出来。髭の意休さんは、今までだと左團次に決まりという気がするが、今回は新團十郎と同世代の松緑。単なるいじわる爺様ではなく、貫禄も知性もある大きな武士であるが、松緑もきちんと成立している。新團十郎誕生を期に、菊之助、松緑が継続的に大きな役をやる時代になって行くのだろう。
2階席だったので助六の出端の最初、逆七三の見得は見えない。しかし舞台に出てくると新團十郎の二枚目ぶりと姿形の良さは際立っている。江戸一のモテ男、花川戸の助六がまさに目の前に出現したという印象。私も花川戸に何年か住んでいたので親近感を感じるなあ(笑)新之助が福山かつぎで出演。
三浦屋白玉は梅枝。コレまた女形の世代交代を印象づける。傾城には、児太郎、廣松、莟玉、團子、笑三郎が並んで。こちらも若手が台頭。
襲名披露らしいのは大物が大勢脇を固めている所。
口上では「好きな役ではないですが」と述べていたが、くわんぺら門兵衛は仁左衛門。白酒売新兵衛は梅玉。江戸和事の柔らかな軽妙さを見せる。通人里暁は鴈治郎。こちらは関西弁で楽屋落ちも満載で客席は大いに湧いた。朝顔仙平を又五郎、三浦屋女房は東蔵、曽我満江は魁春。
演目の切りは、新團十郎の助六、菊之助の揚巻、松緑の髭の意休が三人揃って。これもまた新團十郎の元で歌舞伎の時代が変わりつつある事を示す、昔の三之助の「リユニオン」であった。
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