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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「食品のカラクリ」
「食品のカラクリ11 「ニセモノ食品作り」最前線?激安の裏に「添加物」!!」 (別冊宝島 1519 ノンフィクション)を読んだ。

この「食品のカラクリ」シリーズは、魚編や肉編など、あれこれ出ているようだが、この本では、偽装霜降り肉や、しょうゆ風調味料などの「もどき食品」の舞台裏や、食品加工技術が、即席めんやソフトドリンク、缶コーヒーなどの製造にいかに使われているかの内幕を明らかにする。明太子、ポン酢、パックサラダなどに含まれる添加物の問題なども含め、食品加工技術と添加物の問題について、写真入りで分かりやすく解説した本。

昔あった「買ってはいけない」シリーズは、まず最初に「大企業は悪」という大前提があって、「庶民は騙されている」という過激なスタンスが売り物だったのだが、この本は、食品加工や添加物の実態を、比較的淡々と描き、逆にそれが面白い。

例えば、インスタントラーメンのスープは、出汁など取っておらず、牛の血や鳥の羽など、本来は廃棄されるような部位を、高圧塩酸やたんぱく分解酵素で処理した、「たんぱく加水分解物」粉末に、添加物をチョイチョイと入れれば完成なのだという。

確かにずん胴鍋でスープ取ってからフリーズドライなどしてたら、到底あんな値段で販売できるはずがない。材料を聞くと気持ち悪い話だが、しかし廃物利用で、環境にはやさしいのかもしれないと思ったり。

弁当などに入っているパック醤油も、発酵で作られるのではなく、脱脂加工大豆に塩酸処理をして加水分解したアミノ酸を調味して作成されたニセモノである話。インスタントのポタージュにコーンは5%しか入っておらず、あとはでんぷんと脱脂粉乳だという話。ハンバーガーや、レトルトミートボールの材料は、そのままではとても食べられるシロモノではない、老廃牛の肉や廃鶏、最低ランクのクズ肉で作られているという話などなど、扱われた題材はどれも興味深い。

缶コーヒーやらハンバーガーやら、確かにあんな安い値段で大量生産されている製品が、普通に作られている訳ではないのは誰でも薄々承知しているだろうが、食品加工技術の側面から内幕を知ると、大量生産食品は、いわゆる「工業製品」であることがハッキリと分かる。

しかし、食品加工技術や添加物の進歩は、すべて「悪」かというと、それもまた難しい問題。普通なら捨てるような部分を活用できれば資源保護や環境にはよい影響。安い食品が腐らずに長持ちすれば、消費者の負担が減る。単純に割り切るのが困難なのも事実ではあるのだが。