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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、「十二月大歌舞伎」第一部「あらしのよるに」
先週土曜日は、歌舞伎座、、「十二月大歌舞伎」第一部に。

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獅童が主役を務める新作歌舞伎「あらしのよるに」。狼と山羊の友情を描いた絵本が原作だが、実に面白かった。獅童はまさしく獅子奮迅の大活躍。八月納涼歌舞伎「東海道中膝栗毛」で、ラスベガス支配人役の獅童を観て、
どの登場人物も派手で滑稽なのだが、ラスベガスの場面で登場する獅童の劇場支配人は特にテンション高く、「あんた正気ですか」と思うほどの壊れっぷりで爆笑した。あそこまで突き抜けると、演じてるほうも清々しいだろう(笑)さすが「ピンポン」の獅童。もっとも歌舞伎で他の役を演じる時の引き出しにはならないかなあ(笑)

と書いたものの、今回の「がぶ」役とは結構テンションの共通項あり。やはりちゃんと芸の引き出しになっていたのであった。歌舞伎は凄いね。真っ暗な嵐の夜、相手が捕食者である狼と知らずに仲良くなった相手役の山羊を松也が演じるのだが、これもなかなか印象的に成立していた。

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途中の幕間、花篭で「つきじ膳」。

絵本が原作だけあって観客に子供もちらほら。がぶとめいが客席に降りて練り歩く演出、A2ブロック6列目から客席の間を無理やり通って花道に上がって行くのだが、「こんなところにかわいいお花が咲いてるでやんすよ」とがぶが観客席に座った子供の頭を撫でる面白いアドリブ。

「山羊を食いたい」と狼の心情を語る浄瑠璃に向かって、「食わねえよ!」「お前、何を勝手に語ってるんだ!」と主役の獅童が舞台から突っ込み入れるなど、歌舞伎の約束事を踏襲しつつもそこからは敢えて踏み込んで行く面白い演出。後半では客席前方にも送風機を使って風が吹く。歌舞伎座前方では時折、本水がかかったり、煙管のタバコ臭やら着物に炊き込めた香などが漂ってきたりするものだが、映画の4DXのようだ(笑)歌舞伎の演出とケレンの妙も堪能した。実に面白い舞台。