水曜の夜は「新ばし 笹田」。 実に久しぶりに訪問。今週は夜の予定が空いていたので、「與兵衛」「しみづ」「笹田」と御無沙汰している店を連投で訪問している。
入店して笹田氏と女将さんに「どうも御無沙汰!」と挨拶。カウンタも満席、個室も2つとも客が入るようだ。商売繁盛ですなあ。
お弟子さんの「海老蔵」と「松山ケンイチ」は両方とも元気そう。4月に更にもう一人若いのが入って調理場は4名体制に。新人も真面目そうで頑張っている。お弟子さんたちが、真面目な笹田親方の教えを受けて競い合うように切磋琢磨している様子は、見ていて気持ちがよい。
最初のお酒は「磯自慢特別本醸造」。雑味はなく軽やかでごく仄かな酸味を感じる癖の無い酒。
料理はいつも通りおまかせで。最初は小さな器で供される冷しとろろ。じゅんさいとキュウリが食感のアクセントに。出汁の味が効いて実に旨い。
二品目は、穴子八幡巻。 ありきたりの先付けとして何の味もしない一品を供する店も多いが、この店のものは、牛蒡の野趣溢れる香りと、炙った香ばしいアナゴの皮目の脂がしっかりと自己主張する。
鱧の焼き霜。皮目を炙る寸前に笹田氏自ら骨切りを。淡路島産。今年初めて食した鱧。ふっくらした身には鱧にしかない微妙な旨味あり。塩か梅肉で。
忙しく働くお弟子さん達はしかし目配りよく、お酒が切れると、お替りは如何致しましょうかとメニューを差し出す。笹田氏がバットに入れた生の鮎を見せてくれ、今日は広島と島根が入ってますが、一匹ずつ食べ比べてみますかと。勿論、その提案に乗っかる(笑)
二杯目の冷酒は「松の司純米吟醸」。こちらは吟醸香があって、ふくよかな甘味がすっと爽やかな飲み口に変わる。三杯目もこちらで。
伏見唐辛子の煮物はじゃこを合わせて。出汁を含んだ繊維が舌の上でホロリと崩れ、箸休めにもちょうど良い。
次に供されたのは、アワビの唐揚げ。葛を打ってただ素揚げしただけと去年も聞いたが、寿司種の塩蒸しよりも更に香ばしく、旨味が内部に凝縮されている絶品。この店ではそれほど揚げ物は供さないのだが、しっかりした料理人が揚げるとアワビがこれほど旨くなるのかと感嘆する。 いろんな料理があるものだなあ。
定番の壬生菜と油揚げの煮物も、お惣菜のようで実は幾つも手が混んだブロの仕事。しかしどこか懐かしくほっとする味に仕上げるのが技なのだろう。
次はお造り。シマアジは高知産、腹身の部分、プルンとした天然物独特の舌触り。タイは愛媛。上品な旨味あり。ネットリしたアオリイカには皮目に細かく包丁が入る。ポーションは少なめだが、下手な寿司屋では太刀打ちできない質の良い物。寿司種に拘らず、その日良い物だけを数種だけ引けば良いというアドバンテージはあるだろうけれども。
お椀はハモ。これも昨シーズン食したが、新玉ねぎ、九条ネギを添えたしゃぶしゃぶ風。玉ねぎの仄かな甘味が意外に鱧とよく合う。柚子胡椒はお好みでと言われて途中で入れてみたが、微妙な甘味が飛んでしまって、これは使わないほうが正解だったかもしれない。
笹田氏によると、訪問した昨日6月28日は、以前の場所、尾坪ビルで最初に「笹田」として開店した記念日なんだとか。開店にこぎつけるまでドタバタしたので日付は記憶に残っていたが、当日の朝突然思い出したと。 女将さんのほうは言われて思い出した由。今の場所での開店記念日は確か12月で馴染み客から毎年花が贈られているが。
過去ログを遡るに、私が最初に前の場所にあった店を訪問したのが開店から間もない2005年の10月。そもそも「しみづ」に教えてもらって訪問したのだが、今でも清水親方夫妻は月に一回程度は来店するとか。今日で丸12年経って明日から13年目に突入。そんな日に予約入れたのも何かの縁か(笑)
昔の店は狭かったよねえと女将さんとも雑談。トイレも店の外だったし、お酒の冷蔵庫も店内ではなく外にあったものなあ。実に懐かしい。
そうするうちに、鮎が焼きあがってくる。広島は太田川、島根が高津川だったかな。じっくりと焼いてあるので頭からバリバリ行けますと。鮎の骨を抜く技なんて読んだ事あるけれども、こんな風に焼いてくれれば手間いらず。島根産のほうが鮎独特の香りが強い気がするが、身肉のふっくらした旨味は広島産のほうがあるか。今年初の鮎。こんなに旨いのを食したら、もう要らないかな。
煮物はタコと石川芋の炊合せ冷製。最後は、炊飯土釜で炊いた炊き立ての艶々のご飯に、ちりめん山椒、お新香、わさび漬けに赤出汁。炊き立てのご飯を供する店はいくらもあるけれど、ここよりも旨いご飯にはあまり出くわした事がない。お代わりにはお焦げも添えてもらって。これまた香ばしくも素晴らしい。
最後は冷製の白玉ぜんざい。これまたくどい甘味ではなく、酒飲みでも旨く食せる上品な甘味。煎茶も爽やか、
いや~、どれも素晴らしかった。一品一品に笹田氏自身の真面目で丁寧な技が光る、実に誠実な味。何十人も働いている大店では決して出会えない料理をカウンタで食せる幸せを堪能した。
ご夫妻の見送りを受け、近所でタクシー拾って帰宅。
入店して笹田氏と女将さんに「どうも御無沙汰!」と挨拶。カウンタも満席、個室も2つとも客が入るようだ。商売繁盛ですなあ。
お弟子さんの「海老蔵」と「松山ケンイチ」は両方とも元気そう。4月に更にもう一人若いのが入って調理場は4名体制に。新人も真面目そうで頑張っている。お弟子さんたちが、真面目な笹田親方の教えを受けて競い合うように切磋琢磨している様子は、見ていて気持ちがよい。
最初のお酒は「磯自慢特別本醸造」。雑味はなく軽やかでごく仄かな酸味を感じる癖の無い酒。
料理はいつも通りおまかせで。最初は小さな器で供される冷しとろろ。じゅんさいとキュウリが食感のアクセントに。出汁の味が効いて実に旨い。
二品目は、穴子八幡巻。 ありきたりの先付けとして何の味もしない一品を供する店も多いが、この店のものは、牛蒡の野趣溢れる香りと、炙った香ばしいアナゴの皮目の脂がしっかりと自己主張する。
鱧の焼き霜。皮目を炙る寸前に笹田氏自ら骨切りを。淡路島産。今年初めて食した鱧。ふっくらした身には鱧にしかない微妙な旨味あり。塩か梅肉で。
忙しく働くお弟子さん達はしかし目配りよく、お酒が切れると、お替りは如何致しましょうかとメニューを差し出す。笹田氏がバットに入れた生の鮎を見せてくれ、今日は広島と島根が入ってますが、一匹ずつ食べ比べてみますかと。勿論、その提案に乗っかる(笑)
二杯目の冷酒は「松の司純米吟醸」。こちらは吟醸香があって、ふくよかな甘味がすっと爽やかな飲み口に変わる。三杯目もこちらで。
伏見唐辛子の煮物はじゃこを合わせて。出汁を含んだ繊維が舌の上でホロリと崩れ、箸休めにもちょうど良い。
次に供されたのは、アワビの唐揚げ。葛を打ってただ素揚げしただけと去年も聞いたが、寿司種の塩蒸しよりも更に香ばしく、旨味が内部に凝縮されている絶品。この店ではそれほど揚げ物は供さないのだが、しっかりした料理人が揚げるとアワビがこれほど旨くなるのかと感嘆する。 いろんな料理があるものだなあ。
定番の壬生菜と油揚げの煮物も、お惣菜のようで実は幾つも手が混んだブロの仕事。しかしどこか懐かしくほっとする味に仕上げるのが技なのだろう。
次はお造り。シマアジは高知産、腹身の部分、プルンとした天然物独特の舌触り。タイは愛媛。上品な旨味あり。ネットリしたアオリイカには皮目に細かく包丁が入る。ポーションは少なめだが、下手な寿司屋では太刀打ちできない質の良い物。寿司種に拘らず、その日良い物だけを数種だけ引けば良いというアドバンテージはあるだろうけれども。
お椀はハモ。これも昨シーズン食したが、新玉ねぎ、九条ネギを添えたしゃぶしゃぶ風。玉ねぎの仄かな甘味が意外に鱧とよく合う。柚子胡椒はお好みでと言われて途中で入れてみたが、微妙な甘味が飛んでしまって、これは使わないほうが正解だったかもしれない。
笹田氏によると、訪問した昨日6月28日は、以前の場所、尾坪ビルで最初に「笹田」として開店した記念日なんだとか。開店にこぎつけるまでドタバタしたので日付は記憶に残っていたが、当日の朝突然思い出したと。 女将さんのほうは言われて思い出した由。今の場所での開店記念日は確か12月で馴染み客から毎年花が贈られているが。
過去ログを遡るに、私が最初に前の場所にあった店を訪問したのが開店から間もない2005年の10月。そもそも「しみづ」に教えてもらって訪問したのだが、今でも清水親方夫妻は月に一回程度は来店するとか。今日で丸12年経って明日から13年目に突入。そんな日に予約入れたのも何かの縁か(笑)
昔の店は狭かったよねえと女将さんとも雑談。トイレも店の外だったし、お酒の冷蔵庫も店内ではなく外にあったものなあ。実に懐かしい。
そうするうちに、鮎が焼きあがってくる。広島は太田川、島根が高津川だったかな。じっくりと焼いてあるので頭からバリバリ行けますと。鮎の骨を抜く技なんて読んだ事あるけれども、こんな風に焼いてくれれば手間いらず。島根産のほうが鮎独特の香りが強い気がするが、身肉のふっくらした旨味は広島産のほうがあるか。今年初の鮎。こんなに旨いのを食したら、もう要らないかな。
煮物はタコと石川芋の炊合せ冷製。最後は、炊飯土釜で炊いた炊き立ての艶々のご飯に、ちりめん山椒、お新香、わさび漬けに赤出汁。炊き立てのご飯を供する店はいくらもあるけれど、ここよりも旨いご飯にはあまり出くわした事がない。お代わりにはお焦げも添えてもらって。これまた香ばしくも素晴らしい。
最後は冷製の白玉ぜんざい。これまたくどい甘味ではなく、酒飲みでも旨く食せる上品な甘味。煎茶も爽やか、
いや~、どれも素晴らしかった。一品一品に笹田氏自身の真面目で丁寧な技が光る、実に誠実な味。何十人も働いている大店では決して出会えない料理をカウンタで食せる幸せを堪能した。
ご夫妻の見送りを受け、近所でタクシー拾って帰宅。