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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
銀座「鮨 み富」、本年最後の訪問。
年の瀬は馴染の寿司屋へ、本年最後の挨拶回りで訪問する時期。

水曜は前の週に食べログで予約していた「み富」。会社帰りに寄ったのだが、まだカウンタにはお客なし。

前回飲んだ酒は除いて一升瓶を並べてくれたので、広島の酒「西條鶴」を選択。この店に入れている酒屋は広島の酒を数多く持っている。サラっと爽やかな飲み口に仄かな品の良い旨味。これはこれで刺身の味に触らなくて結構。

お通しで白魚と、イカと椎茸の和え物。

お好みでまずつまみから。大洗産のタイ。最近は淡路よりひょっとすると千葉竹岡などのほうが質も良く値も上がっており、茨城大洗も良いのだとか。皮目を湯引きした腹の身だが、確かに脂が乗って旨味があり香りもある。

ブリは舞鶴。先週は能登氷見のブリがあったのだが、もうそこを越して京都まで来てるんだ。今年は大漁だそうで、元日の震災で被害を受けた氷見の漁港も活況だとよいが。

お酒は富久長に変更。これも広島の酒。トロっとした口当たりでふくよかな旨味を感じる。

ミル貝。柱はタレをつけて炙って。これは本ミルだが、アメリカの寿司屋では大型大味で臭みもある所謂白ミルが結構置いてある。一度日本から来た客が、アメリカの寿司屋で、この白ミルが食いたかったんだよと感激していたっけ。まあ味覚は人それぞれ。

サヨリは細切りで。身肉に脂が乗っており独特の香りが良い。皮は串に巻いて炙る。かんぬきと呼ばれる大きさになると途端に仕入れの値段が倍以上になるとか。

この辺りまで他のお客が居なかったので、あれこれ親方と寿司種話やら回転寿司の話やらして面白かった。

酢〆していないアジも旨味がある。シャコは小樽。もう禁漁になったが、囲ってあったという卵入りを貰う。古式江戸前漬込みの味。

このあたりでお茶を貰ってお好み注文の握りに。

まずヒラメ昆布〆。昆布の旨味が染みた白身がここの軽めの酢飯によく合う。シマアジも1貫。脂もあるが、ツルンとした舌触り。

ここから光り物を続けて。カスゴはふんわりした白身が酢〆になった旨味。コハダもしっとりした〆。イワシは良く脂が乗っている。古い江戸前仕事は酢飯とのバランスが美味い。

車海老を注文。茹であげ。珍しいですねと親方に言われる。確かに珍しいのだが、ごくたまに食うとやはり、ほのかに温かく上品な甘みが美味い。

以前の「銀座新富寿し」でも常に生きた海老を置いてあり、注文がある都度茹で上げて出していたのだが、店には種札も無いし、商売っ気が無い社長は客に勧める事もないので、偶々知っている客しか注文せずロスばかり出していたとか。私も新富では海老を頼んだ事がないなあ。ここの店では、お任せのコースに必ず茹で上げの海老を入れて覚えてもらうようにしているのだと以前に聞いた。

そういえば、茹で上げの海老は築地「つかさ」のおまかせで、握りになってから後半で必ず出た。高橋親方は仕入れの目利きもあったし、おまかせで出す順番や寿司種にも、季節の走り、旬、名残を組み合わせて入れて、組み立てが上手かった。適当に出す「ニュー新橋鶴八」とは違うような気が(笑)

最後は干瓢巻。甘辛く柔らかい干瓢がこんなに入っている巻物はどこにもない。この店の名物。8割の客が注文するとか。「み富」の寿司を堪能した。

この店はこれが本年最後の訪問。「よいお年を。来年もよろしく!」と挨拶して店を出た。まあ、来年も元気で好きな時に寿司を食えるとよいなあ。