■ J2の第31節J2の第31節。14勝7敗9分けで勝ち点「51」のセレッソ大阪がホームのキンチョウスタジアムで栃木SCと対戦した。栃木SCは7勝14敗9分けで勝ち点「30」。3位のC大阪は自動昇格争いの真っ只中。2位の磐田との差は「3」なので1試合で逆転可能なところまで迫ってきた。一方で20位の栃木SCは残留争いに巻き込まれており、21位のFC岐阜との差は「1」、22位の大分との差は「4」のみ。J3降格の危機が迫っている。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GK丹野。DF酒本、山下、染谷、丸橋。MF山口蛍、扇原、関口、パブロ。FW田代有、玉田。新加入のFWエジミウソンとMFマグノ・クルスはベンチスタート。韓国代表のGKキム・ジンヒョンは怪我のため欠場中。GK丹野が6試合連続スタメンとなった。日本代表のMF山口蛍はカンボジア戦(H)とアフガニスタン(中立地)は2試合とも先発出場。ボランチのレギュラーを掴みつつある。
対するアウェイの栃木SCは「4-2-2-2」。GK竹重。DF荒堀、ハン・ヒフン、イ・ジュヨン、中野。MF小野寺、本間、廣瀬浩、中美。FW金子翔、阪野。今夏にJ1の清水から育成型期限付き移籍のMF金子翔が初スタメン。天皇杯の1回戦の流通経済大戦(H)で退場処分を受けたDFパク・ヒョンジンは出場停止。ここまでフルタイム出場を続けていた左SBのDFパク・ヒョンジンを欠くのは大きなマイナスと言える。
■ 4対1でホームのC大阪の完勝試合の序盤はほぼ互角の攻防となる。前半13分にFW阪野が決定機を迎えるなどアウェイの栃木SCも鋭い攻撃を見せたが、前半18分にC大阪はMFパブロの絶妙のスルーパスを受けたFW玉田がキーパーと1対1の場面を迎えるとちょんと浮かせて流し込む得意のシュートを決めてホームのC大阪が先制する。さらに前半22分には右SBのDF酒本のクロスからMFパブロがダイビングヘッドを決めて2対0とリードを広げる。
2点リードを奪ったC大阪は前半42分にもMF山口蛍のミドルパスから裏を取ったFW田代有が決めて3点目。トラップの時に腕でボールをコントロールしているので明らかにハンドの反則だったが、主審の位置からも、副審の位置からも死角になっており、お咎めなしでゴールが認められた。3対0で迎えた後半22分にはこぼれ球をFW玉田が押し込んで4点目。FW玉田は今シーズン10ゴール目。二桁ゴール到達となった。
栃木SCは後半48分に新加入で初出場のMFジョナタンの直接FKがバーに当たって跳ね返ったところを途中出場のFW河本が決めて1点を返したが反撃はこの1点のみ。ホームで苦戦することが多かったC大阪にとっては「ホームのキンチョウスタジアムでは今シーズン初めて」と言えるほどの楽な試合展開になった。一方の栃木SCは2連敗。得失点差のことを考えても痛い「3点差負け」と言える。
■ 見違えるようなパスワークで相手を翻弄C大阪は29節がFC岐阜(H)、30節が大分(A)、31節が栃木SC(H)との対戦だったので、残留争いをしている3チームとの3連戦だったが、見事に3連勝を飾った。1対0で勝利した29節のFC岐阜戦(H)の内容は非常に悪かったが、30節の大分戦(A)は芝の状態が悪かったことを考慮すると及第点の出来で、この日の栃木SC戦(H)の出来はかなり良かった。今シーズン初の3連勝。いい形で次節は首位の大宮とアウェイで対戦する。
FW玉田が2ゴール、MFパブロが1ゴール1アシスト、FW田代有が1ゴールと攻撃陣が揃って結果を残したが、前半42分のFW田代有のゴールに関しては明らかな誤審だったので、C大阪にとってはラッキーな判定だった。バックスタンド側の副審にとってはFW田代有の体で肝心のシーンが隠れてしまう状態だったので副審が判断するのは無理な状況。主審が確認しなければならない状況だったが、主審も見切れなかった。
3点目のゴールを奪った後は無理をして縦パスを入れることはなくなったが、前半のC大阪のパス回しは軽快だった。栃木SCの守備も決して悪くなかったが、テンポよくパスが回るのでどうすることもできない状態になった。天皇杯を挟んでいるがリーグ戦は8月23日(日)の大分戦(A)以来。久しぶりの試合だったが、この間にかなりいいトレーニングができたことが一目でわかるようなスムーズな攻撃を披露した。
■ 献身的なプレーで多大な貢献をする関口訓充2ゴールを挙げたFW玉田、貴重な1点目と2点目に絡んだMFパブロ、正確なポストプレーでしっかりと攻撃の起点になったFW田代有、豊富な運動量で攻撃にも絡んできたMF山口蛍、精度の高いクロスが光ったDF丸橋あたりの出来もかなり良かったが、この日はとにかく右サイドハーフのMF関口の動きの良さが目立った。自身のゴールやアシストは記録されなかったが、MOMを選ぶとしたら関口になるだろう。
シーズン序盤はFWフォルランやFWカカウがいたのでベンチスタートになることがほとんどだったが、大物2人が抜けた後は右サイドハーフのポジションをがっちりと確保している。23試合で1ゴールのみ。数字にはなかなか反映されないが、攻守にわたる貢献度の高さは誰しもが認めるところ。オフに浦和から加入したが、MF関口がポジションを確保してここまで活躍することを予想できた人はあまり多くないだろう。
シーズンの途中までは「4-1-2-3」を採用していたが、右ウイングでプレーすることが多かったのはFWフォルラン。昨シーズンと比べるとFWフォルランも運動量が増えて守備で貢献する場面もあったがサボるシーンも少なくなかった。大物2人が同時に出場しているときは中盤の3枚に多大な負担がかかって取りこぼす試合が目立ったが、MF関口がスタメンに定着してからは手堅く勝ち点を積み上げている。
仙台時代にはザックジャパンに招集されるなど「ベガルタの顔的な存在」として活躍したが、当時の躍動感やキレやダイナミックさが戻ってきている。これだけ頻繁にサイドをアップダウンしながら最後まで動きが落ちないスタミナは驚異的。C大阪のサポーターはMF香川やMF乾に代表されるテクニシャンも大好きであるが、MF関口のようなハードワーカーも大好きである。すっかりサポーターのハートを掴んでいる。
■ 高いポテンシャルを持つ新加入のMFジョナタン一方の栃木SCの出来は悪くなかった。むしろ、かなりいい出来だったと言える。C大阪と同様で試合が無かった時期にいいトレーニングができていたことを連想させる内容だったが、この日はC大阪の出来も良かった。なので、積極的に前からボールを奪いに行っても外される場面が多かった。「両チームともまずまずいい出来」でマッチアップすると自力で優るC大阪が優位の展開になるのは致し方ないところである。
ただ、光明は少なくない。1つはリーグ戦では移籍後の初出場となったFW金子翔がいいアクセントになったことである。決定的な仕事はできなかったが、得意のドリブルやワンタッチパスでいい具合に攻撃に絡んできた。J1の清水ではほとんど出番が無かったが、FW南野が軸だったときのU-19日本代表では「攻撃の中心の1人」として活躍した選手である。運動量が多くて、打開力もあるが、鋭い得点感覚も持っている。
他には何といっても新外国人選手のMFジョナタンである。9月2日(水)に加入が発表されたばかり。「残留争いへの切り札」的な立場と言えるが、大きな可能性を感じるプレーを見せた。「U-20ブラジル代表経験がある。」という話であるが、168センチで70キロ。ゴツイ感じの選手であるがテクニックや創造性も持っている。彼にボールをきちんと預けて周りが走り出したら何かが起こりそうな雰囲気を漂わせている。
「左利きのテクニシャンでどちらかと言うとパサータイプ」と表現できるが、FW河本のゴールにつながったFKの軌道を見ても並の選手ではないことは明らかである。この日はMF廣瀬浩と交代で投入されたので右サイドでプレーすることが多かったが、「ど真ん中のトップ下で起用するのがベター」と言えるのではないか。苦しい試合が続くのは間違いないが、FW金子翔とMFジョナタンを獲得できたのは非常に大きい。
★ 現在の投票数 → 20票
→ 投票したいチームを必ず6チーム選択してから「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
→ 記事内容に関係のないコメント(政治的な内容も含む。)はご遠慮ください。
関連エントリー 2013/09/25
ベン・メイブリーさんの大阪ダービーに関するコラムを読んで・・・ 2014/12/13
本当に「セレッソブーム」は起こっていたのか?を検証してみた。 (上) 2014/12/13
本当に「セレッソブーム」は起こっていたのか?を検証してみた。 (下) 2015/03/02
【栃木SC×松本山雅】 大きな戦力になりそうな左SBのDFパク・ヒョンジン 2015/07/24
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(GK編) (2015年版) 2015/07/24
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(右SB/右WB編) (2015年版) 2015/07/25
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(CB編) (2015年版) 2015/07/26
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(左SB/左WB編) (2015年版) 2015/07/31
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(ボランチ編) (2015年版) 2015/08/01
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(攻撃的MF編) (2015年版) 2015/08/09
【J2限定】 日本代表チーム23名を考える。(フォワード編) (2015年版) 2015/09/15
クラブ別エントリー (セレッソ大阪) 2015/09/15
クラブ別エントリー(栃木SC)
- 関連記事
-