■ 準々決勝の4試合目アジア杯の準々決勝の4試合目。先に韓国と豪州とイラクの3チームがベスト4進出を決めており、日本とUAEの試合が準々決勝の最後の試合となった。この試合で勝利したチームは準決勝で開催国の豪州と対戦することになる。UAEは中3日で、日本は中2日となるので、日程的には日本がやや不利である。UAEはC組に組み込まれたが、グループリーグは2勝1敗でイランに次ぐ2位だった。
日本は「4-1-2-3」。GK川島。DF酒井高、吉田、森重、長友。MF長谷部、遠藤、香川。FW本田圭、岡崎慎、乾。スタメンは過去の3試合と全く同じで、GK西川、GK東口、DF植田、DF太田宏、DF塩谷、DF昌子、MF清武弘、MF今野、MF柴崎岳、FW豊田、FW小林悠、FW武藤嘉がサブに回った。FW清武弘とFW武藤嘉はGLは3試合とも途中出場を果たしており、FW武藤嘉はヨルダン戦でアシストを記録した。
■ PK戦で敗れてベスト8止まり試合は開始7分にUAEが先制する。ロングボールからうまくDFラインの裏を取ったFWマブフートが右足でファインゴールを決めて日本は今大会の初失点となった。その後、FW本田圭やFW乾などがゴール前でチャンスシーンを迎えるが、これを決めることはできない。UAEに先制ゴールを許した後、日本がボールを保持して攻め込んだが、同点ゴールを奪うことはできず。前半は1対0で終了する。
1点ビハインドの日本は後半開始からFW乾を下げてFW武藤嘉を投入。さらに後半9分にMF遠藤を下げてMF柴崎岳を投入して、後半19分にはFW岡崎慎を下げてFW豊田を投入。後半はほぼ一方的に攻め込んだが、ゴールは遠い。嫌な流れだったが、後半36分にFW本田圭とのワンツーからゴール前に入って来た途中出場のMF柴崎岳が右足で強烈なシュートをコース隅に突き刺して日本が1対1の同点に追いつく。
後半終了間際にはMF香川が決定機を迎えるが、枠をとらえることはできず。試合は15分ハーフの延長戦に突入すると、延長戦の前半3分過ぎにアクシデントが発生。MF長谷部からの難しいボールを無理な体勢でコントロールしようとしたDF長友が太ももを痛めてプレー続行が難しくなる。DF長友はピッチを去ることはなかったが、交代枠は使い切っており、実質、日本は10人になってしまう。
このアクシデントによって日本は勢いよく攻撃を仕掛けることが難しくなる。それでもいくつかチャンスを作ったが、決めることはできず。試合は1対1のまま、PK戦に突入すると、日本は1人目のFW本田圭と6人目のMF香川が失敗。6人中5人がPKを成功させたUAEが5対4でPK戦を制してベスト4進出を決めた。アジアカップ連覇を狙った日本だったが、PK戦で敗れてベスト8で敗退となった。
■ ゴール前の精度を欠いた日本代表UAEの軽快なパスワークに翻弄されるシーンはあった。GLの3試合と比べるとヒヤリとするシーンは多かったが、シュート数でも、CKの数でも、日本が圧倒した。このレベルの戦いになると、PK戦は運によって勝敗が左右されることが多いので、PKを失敗したFW本田圭とMF香川、止められなかったGK川島を責めることはできないが、あれだけチャンスを作って決められなかった点は批判されても仕方がない。
この試合に限らず、今大会の日本は決定機を外すシーンが多かった。もちろん、決定機を作ったからといっても、すべてが決まるわけではない。決定機が得点に結びつくのは確率的には3割から4割程度で、相手キーパーの好セーブや相手DFの好ブロックに防がれることも多いが、今大会の日本は「決定機をゴールに結び付ける確率」は通常よりも低かったように思う。この点はUAE戦に限らず、GLの3試合も同様だった。
「個の能力が劣っているのか?」というと、少なくともアジアレベルでは「No」である。FW本田圭はセリエAで6ゴールを挙げており、FW岡崎慎に至ってはブンデスリーガの得点ランキングで上位に付けている。FW豊田やFW武藤嘉は昨シーズンのJリーグの得点ランキングの2位と4位の選手なので、結果を残している選手が攻撃的なポジションで起用されているが、惜しいところで決まらないシーンが多かった。
先のとおり、決定機がゴールに結びつく確率は3割から4割程度である。仮に33.3%とすると、3回で1ゴール、6回で2ゴール、9回で3ゴール、12回で4ゴールという計算となるが、外したシーンは印象に残りやすい。あまり決定機を作れなかったチームよりも、多くのチャンスを作ったチームの方が「決定力が低い。」という印象になりがちではあるが、今回の日本代表は「決定力不足」と言われても仕方がない。
この点に関しては監督の責任とは言えない。どちらかというと選手の問題になるが、例えば途中出場のFW武藤嘉やFW豊田に対して、「1回あるいは2回訪れた決定機を確実に決めろ。」というのは酷な話である。「決定機を上げるというのはなかなか難しいので、それならば、決定機の数を増やそう。」というのがサッカーの世界ではセオリーになっているが、それにしても、今大会はチャンスを逃すシーンが多かった。
■ ベスト8止まりに終わった理由は?非常に残念な結果となったが、受け入れるしかない。日本代表の力がアジアの中で突出しているのであれば話は変わって来るが、現状、そういうわけではない。過去のアジア杯も紙一重のところで勝敗が決着しており、日本が辛くも勝ち上がった試合というのはいくつもあった。アジア杯の決勝トーナメントに進出してくるような相手と試合をして、イージーな展開になることはほぼありえない。
これまでは紙一重の勝負になったとしても勝ち上ることができたが、今回のチームは、なぜ、紙一重のところで敗れてしまったのか?その理由はよく考える必要はあると思うが、決定力が不足していたこと以外にも、この試合に関しては交代枠を使い切ったあとにDF長友が怪我をしてしまったことも一因で、「アクシデントを乗り越えて勝ち切るだけのチーム力は無かった。」と言うしかない。
もちろん、外的な要因もいくつかある。アジア杯については、2007年大会からW杯の翌年(もっと言うと、ここ2大会はW杯の約半年後)に開催されている。W杯に出場出来なかったチームは新体制になってから1年半ほどの準備期間があるが、W杯に出場したチームは半年ほどの準備期間になるので、このあたりは大きなハンディとなる。アジア杯の開催時期については、AFCはきちんと考える必要があると思う。
■ 数少ないポジティブ要素と言えるMF柴崎岳準決勝や決勝(あるいは3位決定戦)がどういう結果になろうとも、UAEに勝利していたら、あと2つ試合をすることができた。出場機会を与えられなかった選手がたくさんいるので、彼らに経験を積ませることができなかったことのダメージは小さくないが、UAE戦に関しては途中出場のMF柴崎岳が存在感を発揮して、一時はチームを救うゴールを決めたことが大きな収穫で、数少ないポジティブ要素である。
後半9分にMF遠藤と交代したが、正直ところ、「えっ!?」と思うような交代だった。MF遠藤の出来が極端に悪かったわけではないし、延長戦のことを考えると、できるだけ選手を引っ張りたいところである。MF柴崎岳はGLの3戦目のヨルダン戦で途中出場したが、出来としてはそれほど良くなかった。リスキーな交代に思えたが、たくさんボールに触って、しかも、見事な同点ゴールを記録した。
よほど練習のときに調子が良かったのか、単なるアギーレ監督の直観なのか、そのあたりは定かではないが、仮にPK戦で勝利してベスト4に進出していたとしたら、「アギーレ采配がズバリ」と称えられるような選手交代だった。FW小林悠であったり、DF太田宏であったり、DF植田であったり、DF昌子であったり、そういう選手のプレー機会を作れなかったのは残念だが、MF柴崎岳はいい成功体験ができた。
アジア杯で結果を出すことはできなかったが、とりあえずとして、アギーレジャパンは一区切りがついた。「2018年のロシアW杯のアジア二次予選は6月11日に1節が行われる。」と報道されているので、W杯のアジア予選のスタートまで半年もないが、これからは3年後を見据えた選手起用が必要になって来る。「目の前の試合の結果」だけにこだわりすぎることなく、長い目で見守ることも必要な段階に入ると言える。
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