■ J1は2強今シーズンのJ1は「名古屋グランパス」と「鹿島アントラーズ」の「2強」といえる。
連覇を狙う名古屋は2010年のベストイレブンのMFダニルソンが怪我で開幕から数試合欠場することになったが、移籍市場の目玉だった日本代表のMF藤本と五輪代表のFW永井を獲得。GK楢崎、DF闘莉王、FWケネディら代えの利かない選手が多い点は気になるが、経験の豊富な選手が多く、勝ち方をよく知っている。分かっていても止められない「高さ」という武器をもっており大崩れしそうにない。
4連覇を逃した鹿島の強みは「選手層の厚さ」。MF小笠原、MF本山、MF中田浩ら黄金世代の選手が下り坂をむかえているが、FW田代、MF本田拓、MF増田、DF西、DFアレックスらが加入し「2チーム」が作れそうなほどの選手層の厚さを誇る。ブラジル人のストライカーFWカルロンは未知数であるが、成長を続けるFW興梠、FW大迫ら若手ストライカーにも勢いがある。昨シーズンは名古屋相手に3戦全勝と相性もよくて、2強のマッチレースになると鹿島が有利となるだろう。
■ 第2グループ「2強」に続く存在は、ガンバ大阪、川崎フロンターレ。現状で、リーグ制覇の可能性があるのはこの4チームだろう。
昨シーズン2位のG大阪はC大阪からFWアドリアーノを獲得。15ゴール以上を計算出来るストライカーが加入したことで、前線はパワーアップした。懸念されるのは長期離脱中のMF橋本の穴で、MF遠藤やMF明神、DF加地といったベテランも怪我が多くなってきてフル出場は厳しい。FW大塚、MF武井、DF菅沼、DF内田ら若手の成長が不可欠である。
初タイトルを目指す川崎Fは、JFLの町田ゼルビアで結果を残した元日本代表の相馬直樹監督を迎えた。FWジュニーニョ、MF中村憲が軸のチームに、MF山瀬功、MF柴崎が加わった攻撃陣は「2強」にも匹敵する。不安はFWジュニーニョ以外に得点を量産できる選手がいないことであり、FWジュニーニョのパートナーを誰にするかに注目したい。
■ 第3グループ①その下に位置するのは、浦和レッズ、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、横浜Fマリノス、ベガルタ仙台、大宮アルディージャといったクラブ。上位に食い込む可能性もあるが、降格の可能性も「ゼロ」とは言えない。
オフに、MFマルシオ・リシャルデス、DF永田、FWマゾーラ、FW原らを獲得した浦和は昨シーズン10位からの巻き返しを図るが、何よりもアタッカー陣の充実ぶりが目に付く。ただし、新監督のペトロビッチ氏は監督としての経験が乏しく、手腕は未知数であり、サッカースタイルが昨シーズンと大きく変わっているのも気になるところ。タイトルに絡む可能性もあるが、中位以下に沈む可能性もある。
昨シーズン3位のセレッソ大阪は初のACLと両立して戦わなければならない。MF乾、MFキム・ボギョン、MF清武ら才能のあるアタッカーを擁するが、新加入選手が多く、コンビネーションの確立に時間がかかるようだと厳しくなる。新外国人ストライカーのFWホドリゴ・ピンパォンに注目が集まるが、FW永井、FW杉本、MF扇原といった次代の日本代表候補の活躍にも期待したい。
昨シーズン7位のサンフレッチェ広島は、ケルンに移籍したDF槙野の穴が心配される。攻守ともになくてはならい存在であり、特に攻撃のときに相手に脅威を与えられる選手だっただけに、攻撃力ダウンが心配。新しく入ったMFムジリ、MFトミッチがどこまで出来るか。DF槙野の代わりに起用されるであろうDF水本のパフォーマンスにも注目したい。
■ 第3グループ②ここ数年、中位が定位置になっている横浜FMは、DF松田、MF河合、MF山瀬功らチームを支えてきたベテランクラスを戦力外としてチームを大改造した。代わりにFW大黒、MF谷口、DF小林祐ら力のある選手を獲得しており、レギュラー候補の顔ぶれを見ると、昨シーズンよりパワーアップしている。不安はMF中村俊、DF中澤という柱の選手が怪我がちであることで、控えの層は薄くなっているので、怪我人が出ると一気に苦しくなる。
FWマルキーニョス、FW柳沢、MF松下、MF角田らを獲得し、オフの補強に成功したベガルタ仙台は、今シーズンのダークホース的な存在である。FWマルキーニョスを筆頭に新加入組はベテランが多く平均年齢が高いのは気になるが、いずれも実績のある選手であり、期待の持てる顔ぶれになった。
同じく大宮アルディージャもダークホースといえる。オフに磐田からMF上田を獲得し、待望のゲームメーカーを確保。評価の高い鈴木監督が2年目のシーズンを迎えて、ビッグネームは少ないがいい選手が揃ってきている。毎年のように残留争いをしてきたが、一桁順位も可能な戦力となっている。
■ 第4グループ第4グループは、柏レイソル、ジュビロ磐田、清水エスパルス、アルビレックス新潟といったところ。ただし、上の第3グループと大きな差はない。上位に入るのは厳しいが、残留はできそうな戦力を持つチームである。
J2からの昇格組でもっとも期待されているのは柏レイソルは、MFレアンドロ・ドミンゲスを中心とした攻撃陣と、GK菅野を軸とする守備陣に安定感があって、大崩れしそうにはない。絶対的なストライカーがおらず、爆発力に欠けており、上位に加わるのは難しい気はするが、下位に低迷するとも思えない。
日本代表のFW前田を擁するジュビロ磐田は、攻撃のキーマンのMF西が長期離脱し、MF成岡、MF上田、DF大井といった中堅どころがそろって退団。選手層の薄さが懸念されるが、守備は安定しており、レギュラー陣の顔ぶれは悪くない。
ゴドビ監督を迎えた清水は、日本代表のFW岡崎、MF本田拓、FW藤本が去って、変化のシーズンとなった。しかしながら、MF小林大、DF村松、FW高木俊らを獲得し、致命的なほどの戦力ダウンにはならなかった。評価の高いゴドビ監督がチームをまとめることが出来れば、面白い存在になるだろう。
また、絶対的な存在だったMFマルシオ・リシャルデスが抜けたアルビレックス新潟は新外国人のFWブルーノ ロペス次第。彼らが評判通りの力を発揮できればMFマルシオ・リシャルデスの穴を埋められるが、平凡なプレーに終始すると、降格の危機が迫ってくる。
■ 第5グループ第5グループが、モンテディオ山形、ヴァンフォーレ甲府、ヴィッセル神戸、アビスパ福岡。この4チームについては、「残留」が大目標となる。
J1で3年目の山形は、昨シーズンはFW田代、MF増田らを獲得し「前評判」は高かったが、その通りで危なげなく「残留」を果たした。しかし、FW田代、MF増田が鹿島に復帰し、大きな穴があいてしまった。FW田代の穴はFW長谷川、MF増田の穴はMF船山らが埋めることになるが、スケールダウンは否めない。
J1に昇格したものの、内田監督との契約を更新せずに三浦新監督を迎えたヴァンフォーレ甲府は、昨シーズンと比べて戦い方が大きく変わるものと思われる。FWハーフナー・マイクを筆頭に、J1でも十分にやっていけそうなメンバーが揃っているが、三浦監督のサッカーに合うかどうかである。
2010年に奇跡の残留を果たしたヴィッセル神戸は、オフの補強はおとなしかったが、MF大久保らが怪我から戻ってきて、攻撃陣にタレントはいる。センターフォワードの不在をどう乗り切るか。プレシーズンで好調なFW都倉に期待したい。
厳しいシーズンになりそうなのがアビスパ福岡で、久々のJ1復帰を果たしたが、FW大久保、MF永里、DF中島らが退団し、インパクトのある補強もできなかった。現時点では、ほとんどの人が最下位に予想している。
2006年の甲府、2007年の横浜FC、2008年の札幌、2009年の山形、2010年の湘南と、近年のJ1は毎年、「グリグリ◎の最下位候補」と言われるチームがいたが、その中で、甲府と山形は大方の予想を裏切って「残留」を果たしたが、横浜FC、札幌、湘南はいくつかのワースト記録を作って降格してしまった。果たして、どちらになるだろうか?
関連エントリー 2008/11/20
もう一度行きたくなる日本のサッカースタジアム 10選 2008/11/21
もう一度行きたくなる日本のサッカースタジアム 番外編 2011/02/02
はじめてのサッカースタジアム (上) 2011/02/09
【J2】 各クラブの補強診断 (上) 2011/02/10
【J2】 各クラブの補強診断 (下) 2011/02/17
【J1】 各クラブの補強診断 (上) 2011/02/18
【J1】 各クラブの補強診断 (中) 2011/02/20
【J1】 各クラブの補強診断 (下) 2011/02/28
【J2】 2011年シーズン展望
- 関連記事
-