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「アサンジ米国引き渡し」を決めた主席判事は「闇の政府」の代理人だった。

<記事原文 寺島先生推薦>
Lady Emma Arbuthnot: Who Is Behind the Chief Judge Who Was Trying Julian Assange?

エマ・アーバスノット卿夫人:ジュリアン・アサンジを裁いていた主席判事の背後には誰がいるのか?

著者:マンリオ・ディヌッチ(Manlio Dinucci)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)

2022年4月25日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年5月16日


 このマンリオ・ディヌッチの鋭い記事は、グローバル・リサーチが2020年9月18日に最初に発表したもので、ジュリアン・アサンジの引き渡しの裁判を行ったエマ・アーバスノット裁判長の「利益相反」を指摘している。

 アーバスノット判事はジェームズ・アーバスノット卿と結婚している。彼は有名なトーリー党(訳註:英国保守党の前身)の「タカ派」で元・国防調達担当大臣である。軍産複合体や英米情報機関とのつながりもある。

 エマ・アーバスノット判事は利益相反状態にあったのか?2020年、彼女は忌避を受け入れなかった。アサンジの弁護団は、彼女を忌避する要求を出したのだろうか?
(訳註:彼女は夫とアサンジが利益相反関係にあったため「司法行動指針」により自動的に退任しなくてはならなかったが、そうしなかった。)

*** 
 エマ・アーバスノットは、ロンドンにいるジュリアン・アサンジを米国へ引き渡すための裁判を行った主任判事である。米国では、彼は「スパイ行為」の罪により175年の実刑判決を受けることになっている。彼の「罪」はイラクとアフガニスタンでの民間人殺害のビデオを含む米国の戦争犯罪の証拠を調査ジャーナリストとして公表したことである。ヴァネッサ・バライツァー判事に割り当てられた米国での裁判では、弁護側の要求はことごとく却下された。

2018年、スウェーデンでアサンジに性的暴行の容疑をかける企みが失敗した後、アーバスノット判事は逮捕状の取り消しを拒否し、アサンジはエクアドルに亡命することができなくなった。アーバスノットは、アサンジの恣意的な拘束に関する国連ワーキンググループの調査結果を拒否した。また国連職員の拷問に対する発言にも耳を貸さなかった。

 「アサンジは不当な隔離という極限状態で拘束されており、心理的拷問に長期間さらされた典型的な症状を示している」

 2020年、コロナウイルス対策として数千人の被拘束者が軟禁状態に移される中、アサンジは刑務所に留め置かれ、体調を崩した状態で感染の危険に晒されていた。

 法廷では、アサンジは弁護士に相談することもできず、装甲ガラスの檻の中に隔離され、口を開けば追放されると脅されている。この執念深さの背景には何があるのだろうか。

 ジェームズ・アーバスノット卿はトーリー党の「タカ派」として有名である。また元・国防調達大臣であり、軍産複合体と諜報機関につながる人物でもある。アーバスノット判事はその彼と結婚したので「卿夫人」という肩書きをもっているのだ。アーバスノット卿は、とりわけ、航空宇宙軍事システムを専門とするフランスの多国籍企業タレスの英国諮問委員会の会長であり、戦略的諜報活動を専門とするモントローズ・アソシエーツのメンバーである(高給取りの役職)。

 アーバスノット卿は、米国政府・情報機関とつながりのある大西洋横断の有力シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン協会(HJS)にも所属している。昨年7月、マイク・ポンペオ米国務長官はロンドンで開かれたHJSのラウンドテーブルで講演した:2017年にCIA長官を務めて以来、アサンジが創設したウィキリークスを「敵のスパイ活動」と非難していた

 ヘンリージャクソン・ソサエティも同様のキャンペーンを主導し、アサンジは「独裁政権の支援を受け、西側民主主義政府の道徳的立場に疑問を投げかけている」と非難した。現職の英国内務省長官プリティ・パテル女史は、アサンジの引き渡し命令の責任者であるが、最近までアーバスノット卿と並んでHJSの政治委員を務めていた。  

 アーバスノット卿夫人は、アーバスノット卿をはじめとする有力者からの指令を受けて、アサンジの引き渡しに向けて活発なキャンペーンを行っているこの圧力団体と、本質的につながっている。

 彼女は2016年9月に女王によって主席判事に任命されたが、それはウィキリークスが3月に米国にとって最も危険な文書を公開した後のことだった。これらの文書には、ヒラリー・クリントン国務長官のメールが含まれており、そこにはNATOによるリビア戦争の真の目的、すなわちリビアが所有している金準備を利用して、ドルやCFAフラン(フランスが14の旧植民地に課した通貨)に代わる汎アフリカ通貨を創設するのを阻止することなどが書かれていた。

 アサンジが裁かれている本当の「罪」は、政治とメディアの沈黙の壁に亀裂を入れたことである。その壁は「ディープ・ステート(闇の政府)」で活動し、戦争というカードを使う強力なエリートの真の利益を覆うものだった。この闇に潜む力によってジュリアン・アサンジは裁判にかけられるのだ。そしてその裁判はアーバスノット卿夫人によって指示される。被告人がそこでどう扱われるかを考えると聖なる異端審問の犠牲者のことを思い起こさざるを得ない。

 もしアサンジが米国に引き渡されたら、彼は英国よりもはるかに厳しい「特別行政措置」を受けることになる。狭い独房に隔離され、家族との連絡もできなくなり、彼のメッセージを伝えたら起訴されるであろう弁護士を通じてさえも、話すことができなくなるのである。つまり、それは死刑を意味する。
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