■ 大きな変化が必要な時期開幕前は「J1昇格の有力候補の1つ」と言われた名古屋だったが24節を終えた時点で11勝9敗4分けで勝ち点「37」。2位で自動昇格圏内となる福岡との差は「9」と残留圏ギリギリの差になっている。24試合で37得点/35失点。とにかく失点数が多くて得失点差は「+2」のみ。ここ8試合は2勝6敗と低迷している。3位以下は大混戦になっているので「プレーオフ出場」を逃す可能性も低くはない状況になりつつある。
名古屋がJ2に所属するのは初めてになるが、当然、J2がタフなリーグであることは選手も監督もフロントもサポーターも十分に理解していたと思う。ただ、そうは言っても名門クラブである。ここまで勝てない状況に陥ることは誰も予想していなかったと思う。チームが成熟してこないので至上命題だった「1年でのJ1復帰の可能性」は低くなってきた。残りは18試合となったが何かしらの変化が必要な時期に入っている。
直近の24節の京都戦(A)は「元名古屋の選手」が相手チームにたくさんいるので因縁マッチと言われた。スタメンの選手の中でFW闘莉王、MF小屋松、DF本多、MF石櫃の4人が「元名古屋の選手」になるが、FW闘莉王に2ゴールを献上。さらにはMF小屋松にもゴールを許して1対3の敗戦。名古屋の関係者の立場に立つと「一番、やられたくない選手」であるFW闘莉王にきっちりと2ゴールを許す残念な試合になった。
■ DFイム・スンギョムにかかる期待は大きいが・・・。厳しい結果に終わったが、収穫を挙げるとJリーグ初出場のMFガブリエル・シャビエルがデビュー戦でいきなりゴールを決めたことだろう。前評判の高い選手だったが、突出したスピードを持っており、かつ、テクニックやイマジネーションもある。左利きでプレイスキックも正確なのでプレーヤーとしての系統は若い頃のFW玉田によく似ている。攻撃の中心となって相当なインパクトを残すのは間違いなさそうだ。
もう1人の新戦力のDFイム・スンギョム(高麗大)はこの日はプレーしなかったが彼にかかる期待は大きい。「183センチの長身でCBとボランチの両方をこなす。」と言われているが、今後、CBのレギュラーとして起用される可能性が高い。「フィード力にも定評がある。」と言われているので風間監督のサッカーに合った選手だと思うが、プロ経験の無い選手なので、期待通りの活躍が出来るか?は微妙である。
22才の若者が韓国から日本にやって来て新しい国で生活をスタートさせるだけでも大変なことであるが、なおかつ、大学生からプロサッカー選手になるという大きな変化も同時に発生する。韓国国内で評価の高い大学生の獲得に成功したクラブは多いが、早い段階からJリーグの舞台できる選手はやはり珍しい。DFイム・スンギョムに大きな期待を寄せなければいけない状況というのはやはりきついものがある。
■ 生え抜きの選手の移籍が目立つ。チームとして結果が出なくなっており、かつ、内容的にも芳しくない試合が多くなっている。風間監督は積極的に若手を起用するのでフレッシュさは増しているが、開幕当初と比較してチームとして成熟しているのか?前進しているのか?というと疑問符が付く。風間監督に対して批判の声が挙がる状況になっているが、今夏の移籍市場で有力選手数名がチームを離れたことも不信感を生み出す要因になっている。
DF大武とMF磯村は新潟に完全移籍して、MF矢田は千葉、DF高橋諒は湘南、DF古林は仙台にいずれも期限付き移籍することになったが、加入2年目のDF古林を除くといずれも名古屋生え抜きの選手である。若手から中堅世代の選手たちなのでこれからの名古屋を引っ張っていくべき人材だったが今シーズンは思うように出場機会が得られなかった。これだけ多くの選手が夏の移籍市場でチームを離れるのは珍しい。
もちろん、風間監督のサッカーに合わない選手をたくさん抱えていても仕方がないが、生え抜きの選手に対するサポーターの思いは特別である。特にユース出身のMF磯村とMF矢田に対する思いは相当に強いと思うので危うさを感じる放出が続いている。十分な結果が出ていたら大鉈を振るっても問題視はされないと思うが、結果が出ていない状況なので風間監督に対して複雑な感情を抱くサポーターは増えるだろう。
■ 置かれた状況は川崎Fの時とは頃なる。怪我等もあって伸び悩んでいたMF杉森やMF青木亮の成長、MFガブリエル・シャビエルの加入などポジティブな要素もいくつかあるが、それでもネガティブな要素の方がはるかに多くなっており、「風間監督の解任論」も出始めている。風間政権に対する支持率は急降下中だと思うが、当然のことながら、よほどのことがない限りは今シーズン中に風間監督の解任を名古屋のフロントが決断することはないと言える。
風間監督は「3年契約で年俸は1億円」と言われているので、解任となれば相当な額の違約金が必要となる。不信感が高まっているからといって簡単にはクビを切ることはできない。また、近年の名古屋はチーム内部がごたごたしており、フロントに対する批判の声は大きい。この状況で風間監督を切ったとしたらフロントの方に大きな批判が集まるのは容易に想像できる。フロントがそのリスクを背負うことは考えにくい。
結局、「風間監督を信じるしかない。」というのが現状であるが、良くも悪くも絶対に信念を曲げないタイプの指導者なので現実的なサッカーにシフトチェンジして地道に勝ち点を積み上げていくチームに生まれ変わる可能性はゼロに近い。新加入のMFガブリエル・シャビエルはスーパーな選手だと思うが、失点数を減らさないとJ1昇格の道筋は見えてこない。24試合で35失点というのはさすがに多すぎる。
川崎Fのときも失点数の少ないチームではなかったが最終年の2016年は34試合で39失点。在任期間の中では最少失点を記録したが、GKチョン・ソンリョンとDFエドゥアルドとMFエドゥアルド・ネットという「個の力」を持った選手の加入が大きかった。J1に所属する川崎Fは資金力とブランド力を併せ持ったチームなので「守備力とフィード力を兼ね備えた優秀な選手」を獲得できるがJ2の名古屋の場合はなかなか難しい。
直近の京都戦(A)もボランチが本職となるDF小林裕をCBで起用して、アタッカーの選手であるDF和泉を左SBにコンバートしてスタメンで起用して来たが、風間監督の要求を満たすだけのパス能力と判断力を保持した上で、CBあるいはSBとして高いレベルの守備力を備えた選手を確保するのは難しい。川崎Fとは置かれた状況が全く異なるので「どのようにして折り合いをつけるのか?」に注目したい。
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