■ ACLアジアチャンピオンズリーグの第2節。大規模な地震の影響で、日本国内で行われる予定だった名古屋グランパスと鹿島アントラーズの試合は延期になったが、国外で行われるACLの試合は予定通りに行われることになった。G大阪は中国の天津、C大阪も中国の山東魯能と対アウェーで対戦する。G大阪は初戦はホームでオーストラリアのメルボルン・ヴィクトリーに5対1で勝利している。
G大阪は<4-2-2-2>。GK藤ヶ谷。DF加地、金正也、山口、下平。MF武井、遠藤、二川、宇佐美。FWイ・グノ、アドリアーノ。スタメン11人はACLのメルボルン戦、J1のC大阪戦と全く同じとなった。怪我から回復したMF佐々木がベンチ入り。
■ ガンバは敗れる試合の序盤はホームの天津ペース。ショートパスをつないでチャンスを作ると、前半25分にワンツーからバイタルエリアでミドルシュート。シュートはGK藤ヶ谷の正面に見えたが、急激に曲がってゴールイン。天津が先制する。しかし、G大阪は前半30分にゴール前でボールを持ったFWアドリアーノがFWイ・グノにスルーパス。FWイ・グノが落ちついて決めて同点に追いつく。前半は1対1で終了する。
アウェーということで引き分けでもOKであったG大阪だったが、後半6分に相手のロングキックへの対応を誤って途中出場のDF高木が相手を倒してPKを奪われる。これを決められて2対1と再び、勝ち越しを許す。その後、G大阪はMF佐々木、MFキム・スンヨンを投入。終了間際にはセットプレーからMFキム・スンヨンのヘディングシュートやMF佐々木の右足のシュートで決定機を作るが、相手GKに防がれる。
結局、2対1で天津が勝利しグループリーグは2連勝。一方のG大阪は1勝1敗となった。第3節は4月5日に済州ワールドカップスタジアムで済州ユナイテッドと対戦する。
■ 1勝1敗3月5日の開幕戦以来の試合となったG大阪は1対2で敗れて1勝1敗となった。3試合連続で同じスタメンのG大阪は極端に出来が悪かったわけではなく、いい形で崩してチャンスを作ったが、ミドルシュートとPKで失点し、後手後手となったのが痛かった。相手との力の差を考えると「引き分け以上」で乗り切りたかったが「運」もなかった。
昨シーズンのG大阪はリーグ戦は2位、ACLはベスト16で敗退し、天皇杯もベスト4で敗退で、久々に無冠のシーズンとなった。一番の誤算は外国人フォワードの不振で、シーズン前は、FWペドロ・ジュニオール、FWチョ・ジェジン、FWドド、FWゼ・カルロス、FWルーカスと5人のフォワードを擁したが、結局、戦力になったのはFWルーカスくらいであり、FW平井やMF宇佐美の台頭はあったが、前の4人が日替わりになってしまって、全く定まらなかったが、今シーズンは固定されており、連携も悪くはない。
J1がいつ再開するのかは不明で、次の公式戦がいつになるかも分からないくらいであり、コンディション作りに苦労しそうであるが、チーム状況は悪くないので、大一番になりそうな済州ユナイテッドを引き分け以上で乗り切りたいところである。
■ 宇佐美は不発FWアドリアーノとFWイ・グノの2トップになって、2列目が指定席となった18歳のMF宇佐美はこの試合も何度かパスでチャンスを作ったが、ゴールはならなかった。公式戦はこれで3試合目となるが、まだゴールは生まれておらず、フィニッシュに絡むシーンもそれほど多くない。
昨シーズンは、高校3年生にしてシーズン7ゴールを挙げて「ベストヤングプレーヤー賞」を獲得したMF宇佐美。18歳ということを考えると、これ以上ないほどの結果を残しており、G大阪にとっても不可欠な存在になっているが、パス出しもできるからこそ、ドリブルで仕掛けられそうな場面でもパスを選択するケースも多くなっている。
ドリブルも、パスも、シュートも、いずれもハイレベルなのであるが、現時点では、高いレベルで見ると「ずば抜けた武器」がない状況である。もちろん「並の選手」ではなくて、ドリブルからシュートまで持っていく流れはJ1でもトップクラスであるが、まだ、「本当の意味での怖さ」を相手に与えられる存在とはなっていない。今シーズンは、中心選手としてプレーできそうな雰囲気であるが、「こうなったら誰にも止められない」という武器を磨いていってほしいところである。
■ イ・グノが同点ゴールG大阪の同点ゴールは韓国人のFWイ・グノ。FWアドリアーノのスルーパスを受けて確実にネットを揺らした。昨シーズンはシーズン途中でG大阪に移籍したこともあって、その立場は微妙であったが、今シーズンは2トップの一角としてコンスタントに出場機会がありそうで、G大阪にとってキーマンになるのではないだろうか。
2009年に来日したときの衝撃的なプレーのレベルには至っていないが、スピードもあって、技術もあって、相手にとっては捕まえにくい。FWアドリアーノがフォワードの軸で、FWイ・グノがサポートするという形であるが、FWイ・グノは「キレ」に左右されやすいプレスタイルで、ミスが目立つ試合も多い。FWアドリアーノ、MF二川、MF遠藤といったところは計算ができるので、FWイ・グノとMF宇佐美の二人がどれだけプラスアルファをもたらすか。これが今シーズンのカギになるあろう。
■ 痛かったDF山口の負傷G大阪は1対1の同点に追いついた後は、いい流れになっていたが、前半終了間際にDF山口が負傷して退場となり、DF高木を投入したが、DF高木が思うようなプレーができずに、流れを切ってしまった。PKを与えたシーンは変な軌道のボールで難しい処理になったが、うまく処理していれば問題はなかったボールであり、その後も危ないシーンが多くて、チームにとってはマイナスになった。
一方で、スタメンに起用されているDF金正也は安定したプレーを続けており、レギュラーに定着しそうな勢いである。22歳で駒沢大出身のルーキーであるが、183㎝と高さもあってアグレッシブで、パス出しも悪くはない。舞い書く前はDF山口、DF中澤、DF高木の3人でセンターバックのポジションを争うとみられていたが、もっとも落ち着いたプレーを見せており、もっとも安心できる選手である。恒例化が進んでいた最終ラインで、22歳の若手が出てきたのは大きいだろう。
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