時々の記録

アルテが初仕事をすることになるお話でした。

フィレンツェの街は、謝肉祭でにぎわっています。アルテが工房に戻ると、珍しくレオがアルテを"いいところ"に連れて行ってくれると言います。でもなぜか、アルテは男装して出かけることになりました。

目的地への途中、レオは工房のお得意様のヴェロニカと出会いました。いつもは怖いレオですが、ヴェロニカの前では常に笑顔です。ヴェロニカは、レオのパトロンでした。

ようやく目的地に着くと、そこでは人体解剖が行われていました。この時代、人体解剖をすることは教会から禁じられていましたが、謝肉祭の時だけはそれが大目に見られていたのです。

レオに言われるまま、アルテは解剖された人体をスケッチします。ところが、途中で女だということがバレて、その場にいた者たちから追われることになってしまいました。

レオに担がれて、なんとか逃げ延びたアルテでしたが、レオの顔を間近に見たことでアルテの心にある変化が生まれました。本人に全く自覚はありませんが、アルテはレオに恋心を抱いたようです。

そしてある日、アルテはレオから仕事を任されました。ある婦人の肖像画に、背景を描くことを許されたのです。アルテは張り切って背景のスケッチに出かけますが、何度描き直してもレオからＯＫがでません。

その間にも、絵の納期は迫ります。思い悩むアルテに、レオはこの絵の目的は何かと問いかけました。それでようやく、アルテは自分が任された部分だけに夢中になり、主役である婦人を引き立たせることを忘れていたことに気づきました。

そしてようやくレオからＯＫが出て、絵は無事に完成しました。そしてレオは、アルテをこれまでよりも好条件で雇用する契約を結びたいと提案してくれました。アルテはそれを喜びますが、恋心の方には全く無自覚なままです。

というわけで、アルテはようやくレオの助手として認められました。初仕事もなんとかやり遂げましたが、レオに対する思いはこれからどうなるのでしょう。