■ 第15節J1の第15節。4勝0敗5分けで勝ち点「17」。J1では、唯一の無敗を続けているベガルタ仙台がホームのユアテックスタジアムでガンバ大阪と対戦。G大阪は4勝2敗1分けで8位。ACLのため、消化試合数が2つ少ないことを考えると、悪くない順位といえる。
ホームの仙台は「4-2-3-1」。GK林。DF菅井、鎌田、曹秉局、朴柱成。MF角田、富田、関口、松下、梁勇基。FW赤嶺。FW赤嶺はチームトップの4ゴールを挙げている。元日本代表のFW柳沢がベンチ入り。
対するアウェーのG大阪は「4-2-3-1」。GK藤ヶ谷。DF加地、中澤、内田、キム・スンヨン。MF明神、遠藤、佐々木、二川、宇佐美。FWアドリアーノ。日本代表のMF遠藤がスタメンに復帰。FWイ・グノはベンチスタートで、MF佐々木がスタメン出場。MF佐々木は宮城県の塩竈市出身。今シーズンのリーグ戦は初先発となった。
■ ベガルタが勝利試合の序盤はゆったりとした展開になる。両チームとも、なかなかゴール前にボールを運べずに、シュートチャンスを作ることができない。前半25分あたりを過ぎると、ポゼッション力で優るG大阪が優勢になってくるが、仙台は前半39分にMF角田のロングパスからFW赤嶺が抜け出して決定機を迎える。しかし、FW赤嶺のシュートはポストに直撃してゴールならず。前半は0対0で終了する。
後半開始から、G大阪はDFキム・スンヨンに代えてDF武井を投入。左サイドバックを入れ替えてくる。しかし、先制したのは仙台で、後半7分にコーナーキックを獲得すると、MF梁勇基のボールをDF菅井がヘディングで決めて先制する。DF菅井はリーグ戦3ゴール目。しかし、G大阪も後半19分にMF二川のミドルパスからFWアドリアーノが抜け出すと、GKもかわしてゴール。1対1の同点に追いつく。FWアドリアーノはリーグ戦9ゴール目。
その後、仙台はFW柳沢、G大阪はFW平井とフォワードを投入。ともに2トップ気味の布陣に変更して勝負をかける。この交代が実ったのはホームの仙台で、後半40分に中盤でFWアドリアーノからボールを奪ってカウンター。FW柳沢の正確なポストプレーからMF角田が右サイドのスペースに抜け出してボールを受けると、グラウンダーのクロス。これをFW赤嶺が押し込んで2対1と勝ち越しに成功する。FW赤嶺はリーグ戦5ゴール目。
結局、このゴールが決勝点となって仙台が2対1で勝利。今シーズン5勝目を飾った。一方のG大阪はシュートがわずかに6本。思うようなサッカーができず、今シーズン3敗目を喫した。
■ FW赤嶺が劇的な決勝ゴールDF鎌田の対応ミスからFWアドリアーノに同点ゴールを許した仙台だったが、後半38分にFW柳沢を投入。FW柳沢の見事なキープとスペースメイキングからFW赤嶺の決勝ゴールが生まれた。これでFW赤嶺は5ゴール目。震災の影響でFWマルキーニョスが退団したが、その穴を感じさせない活躍を見せている。
FW赤嶺はFC東京でもゴールを重ねた時期があったが、当時と比べると、「ポストプレー」や「守備」でも貢献できるようになっており、プレーヤーとしての幅が広がった。前線で確実にキープしてくれるので、仙台は非常に助かっている。
■ FW柳沢敦がデビュー元日本代表のFW柳沢は怪我のため出遅れていたので、この試合がリーグ戦初登場。1対1の状況で、MF松下に代わってピッチに送り込まれたが、スタジアムのムードを変えるとともに、決勝ゴールにも絡んで、申し分ないデビューとなった。ポストプレーからMF角田にパスを出したプレーは、FW柳沢ならではのものであり、「さすが」としか言いようのないプレーだった。
仙台は、リーグ戦再開後は、FW赤嶺の1トップ気味の布陣で、MF梁勇基、MF関口、MF太田の3人を、FW赤嶺の周りに置いてきたが、MF太田は怪我の影響もあってコンディションがあまり良くない。MF松下のプレーも悪くないが、FW柳沢が完全回復してきて、「2トップ」という選択肢も取れるようになると、戦略の幅が広がっていく。
■ FWアドリアーノが同点ゴールを決めるも・・・一方、G大阪は後半19分にFWアドリアーノのゴールで追いついたが、そのFWアドリアーノのミスからカウンターを食らって失点。FWアドリアーノは9ゴール目とマークしたが、軽率なミスが多く、攻撃のブレーキになった。
FWアドリアーノは、C大阪時代から「ストライカー」としてゴールを量産してきたが、「ポストプレー」や「チームプレー」は得意ではない。C大阪でも、前線で孤立することが多く、消えている時間も長かったが、「ゴール」という結果を残すことで評価されてきた選手である。G大阪でも同様に「結果」は残しているので、悪くはないのであるが、これだけミスが多いと、周りの選手はプレーしにくくなる。
もっとも、その影響を受けていると思われるのが、FW宇佐美である。体のキレはあったが、FWアドリアーノが前線でキープできないので、全く、前を向いてドリブルで仕掛けるシーンを作れなかった。FWイ・グノも、MF佐々木もドリブルが持ち味のタイプで、FWアドリアーノも、MF宇佐美もドリブルで仕掛けるタイプである。これらの選手がかみ合ってくるようだと面白いが、今のところ、非常にバランスが悪く、持ち味を殺し合っている。
■ 19歳のDF内田達也は苦戦これで3試合連続で勝利なしと、ACLの敗退から続く悪い流れを払しょくできないG大阪であるが、攻撃以上に守備に問題を抱えていて、8試合で16失点。アビスパ福岡が、ヴィッセル神戸戦までの9試合で25失点でリーグワーストであるが、G大阪はリーグワースト2位。DFラインに怪我人が続出しているので、西野監督もつらいところであるが、1試合平均で2失点では、なかなか勝つことは難しくなる。
オフにDF安田がフィテッセに移籍し、DF下平も戦列を離れている左サイドバックの選択にも苦労しているが、センターバックの人選にも苦労しており、この日は、DF中澤とDF内田のコンビを使ってきたが、若いDF内田は、MF関口やDF菅井の対応に苦しんだ。
DF内田はリーグ戦は3試合連続スタメン。まだ19歳であり、この世代では早くから名の知れたディフェンダーとして大きな期待を背負ってきた選手である。大成すると、G大阪だけでなく、日本サッカーにとっても財産になるような選手であるが、この試合は苦い経験になってしまった。他のポジションとは違って、CBはミスが目立ちやすいポジションで、若い選手を使い続けるというのも我慢が必要となる。DF山口、DF高木という選手もいて、今後、どういう使われ方になるのかは分からないが、これをバネにしてもらいたいところである。
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