米国の大学で人種隔離が復活し、黒人専用の寮が登場した。マーティン・ルーサー・キングは肝をつぶすだろう
<記事原文 寺島先生推薦>
Racial segregation at US universities is back, with the advent of black-only dormitories. Martin Luther King would be appalled
RT 論説面
2020年8月25日
フランク・フレディ

フランク・フレディは作家、社会評論家。カンタベリーのケント大学の社会学の名誉教授。 「恐怖のしくみ:21世紀の恐怖の文化」の著者。 Twitterは@Furedibyte

学生が翌週に大学に戻ると、多くの学生は、同じ肌の色の人とだけ、生活し食事をする準備をすることが必要となるだろう。人種隔離廃止の国という理想に、一体何が起こったというのだ?
人種隔離は本当に悪い考えだ。それで、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治(訳注 主に社会的不公正の犠牲となっているジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動(Weblio))の支持者が、黒人専用の寮がアメリカの大学構内に設立されるべきだ、と要求していることは驚くことではない。
ニューヨーク大学(NYU)学生新聞のワシントン・スクエア・ニュースの最近の報道によると、同大学は「『黒人の居住助力者といっしょの黒人学生』専用の居住コミュニティの実現を支援する」意向だ。同大学は「『黒人の居住助力者がいる自分を黒人と認知している学生』専用の居住コミュニティの実現を支援する」意向だ。同大学は、2021年の秋までに、そのような隔離された居住フロアの実現を目指している。
と、
ニューヨーク大学(NYU)における人種による隔離の制度化は、他のキャンパスで行われている同様の制度の進展に倣っている。多くの大学では、寮の人種隔離は、婉曲的に「親近住宅」と呼ばれる。親近住宅の支持者は、これらの寮が少数派の学生にとって「快適」で「安全な」環境を作り出す、と主張している。親近住宅の支持者は、白人学生の存在が少数派の学生をしばしば不快にさせている、と主張する。隔離された住居を求める請願書の中で、黒いスミレ(Black Violets)と呼ばれる組織は、「教室や寮で、あまりにも頻繁に、黒人学生が人種差別について無知な学生を教育しないといけない場面に遭遇させられている」と述べている。
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ニューヨーク大学(NYU)における、人種隔離の原則の勝利は、この不和を生じさせる前途を示す直近の例にすぎない。全米学術協会は、2019年4月の報告の中で、全米学術協会が言う「新たな隔離」がアメリカの大学で広がっている、と結論付けた。全米学術協会によると、80以上の高等教育機関が人種により隔離された寮の推進に加わっている。
人種により隔離された大学生活を求める要求が、2015年以降高まっている。大学の管理者たちは、この状況をますます喜んで受け入れているようだ。もちろん、彼らが隔離をその名称のまま呼ぶことはめったにない。彼らが「親近住宅」という用語を使用しない場合には、「テーマ住宅(訳者注:特定のテーマをもつ住宅)」という用語や「安全空間」という空言を用いる。
ロサンゼルスのカリフォルニア州立大学は、カリフォルニア州立大学が黒人学生に隔離住居を提供した、という批評家の主張に異議を唱えた。カリフォルニア州立大学は、住居隔離計画を「黒人のための新しい生活学習共同体」と説明した。カリフォルニア州立大学の住宅サービスページでの説明によると、「教授陣や仲間たちとつながる機会を提供することによって、大学で生活する黒人コミュニティの学生、または黒人コミュニティの懸念事項に関心のある学生に対して、居住経験を高める」第一歩だ、と書かれている。この大学が「黒人のための新しい生活学習共同体」を説明するために、どのような婉曲表現を選択しても、その目的が通常の大学生活体験や文化を高めることでないのは明白だ。
人種による隔離の事態は寮を超えて広がっている。残念なことに、大学当局は食事施設の自主的な隔離さえも容認する傾向にある。たとえば、ノースウェスタン大学長のモートン・シャピロは、食堂で食事をしている黒人学生が、白人学生に加わって欲しくないのは理解できると主張した。「我々はだれでも、安全な空間を享受するに値する存在である」、そして「黒人の学生は安心して昼食を楽しむあらゆる権利がある」と彼は書いた。人種により隔離された安全空間に対するシャピロの言い訳は、誰もが他の類の人々によって不快にされることなく、安全空間に接近できるべきだ、という提案に基づいている。しかし、その理念が、どうしたらこのような人種による隔離になるのだろうか?
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隔離された安全空間を求める主張は、自分が誰であるかを知り、それを受け入れることが根本的に重要だとする運動の論理的結論となる。アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治の支持者たちは、彼らの反対者を外国人排斥主義または人種差別主義者として非難することがよくある。しかし、実際には、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治は本来不和を生じさせるものであり、保守派の白人の隔離主義者と同じくらいの寛容さなのだ。
安全空間を求める主張が、争いの焦点となっている。自分の幸福は、自分と同じ類の人と生活することに依存している、と主張しているのだ。安全空間の理想が不和を生じさせる可能性があることは、2015年後期と2016年の初めに明らかになった。その当時、多くの米国の大学で、アフリカ系アメリカ人学生が、隔離された安全空間を大学構内に求める要求を掲げた。例えば、オーバーリン大学では、学生が「オーバーリン大学構内の全ての空間は、アフリカ系アメリカ人学生のための安全空間と指定されるべきだ」と要求した。
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安全空間を求める運動と人種による隔離との合致は、ペン・アメリカ(訳者注:言論の自由を掲げるNPO団体)によって全面的に支持されている。 ペン・アメリカは、4年前の報告書「すべての人のための大学:アメリカの大学における多様性、包含、そして言論の自由」において、ペン・アメリカは、自己隔離の慣行を「自発的安全空間」と言い換えて、大学に「自発的安全空間」の設置を呼びかけた。ペン・アメリカによれば、これらの空間は「ある特定のグループと付き合いたいと願う学生が自発的に入るべきものだ」。自発的隔離は非自発的隔離よりもましだが、公的生活における行動にもたらすその影響は、破滅的だ。
もし、「自由な表現」を擁護するために設立されたペン・アメリカのような組織が、「自発的」隔離を支持するならば、米国において、人種的、そして文化的隔離の制度化を妨げる障害がほとんどないことになる、というのは驚くにあたらない。
隔離された安全空間を求める主張は、人々のアイデンティティを確立するうえで、それが根本的に重要だとする運動の論理的結論となる。アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治の支持者たちは、彼らの反対者を外国人排斥主義または人種差別主義者として非難することがよくある。しかし、実際には、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治は本来不和を生じさせるものであり、保守派の白人の隔離主義者と同じくらいの寛容さなのだ。
アイデンティティの涵養は、人々の精神的分離を助長し、学生の一部は自分と同一のアイデンティティを持っていると見なす人とだけ空間を共有することを要求するまでに至っている。それは民主主義社会にとって本当に悪い知らせである。
マーティン・ルーサー・キングが、教育システムと米国社会における隔離撲滅のための彼の長いキャンペーンの中で、1956年、ニューヨークの演説で指摘したように、「人種による隔離は常に悪であり、非理性的な感情主義という薄い衣を羽織った、道を踏み誤った反動主義者だけが、隔離を擁護することを求めるだろう。しかし、隔離は理性的には説明できないものであり、道徳的に正当化できないものである。」‼
歴史を通して、自分自身を進歩的であると見なした人々は、あらゆる形態の人種的、または文化的隔離の熱烈な反対者であった。今日、いわゆる進歩主義者が「自発的隔離」、または「親近住居」を支持していることは、隔離廃止論者や公民権支持者を何世紀にもわたって励ましてきた理想から、彼らがどれだけ遠く離れているかを示している。
アイデンティティの政治問題化を進めたいという不和を生む衝動は、過去の権威主義的なものと同じくらい危険である。
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学生が翌週に大学に戻ると、多くの学生は、同じ肌の色の人とだけ、生活し食事をする準備をすることが必要となるだろう。人種隔離廃止の国という理想に、一体何が起こったというのだ?
人種隔離は本当に悪い考えだ。それで、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治(訳注 主に社会的不公正の犠牲となっているジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動(Weblio))の支持者が、黒人専用の寮がアメリカの大学構内に設立されるべきだ、と要求していることは驚くことではない。
ニューヨーク大学(NYU)学生新聞のワシントン・スクエア・ニュースの最近の報道によると、同大学は「『黒人の居住助力者といっしょの黒人学生』専用の居住コミュニティの実現を支援する」意向だ。同大学は「『黒人の居住助力者がいる自分を黒人と認知している学生』専用の居住コミュニティの実現を支援する」意向だ。同大学は、2021年の秋までに、そのような隔離された居住フロアの実現を目指している。
と、
ニューヨーク大学(NYU)における人種による隔離の制度化は、他のキャンパスで行われている同様の制度の進展に倣っている。多くの大学では、寮の人種隔離は、婉曲的に「親近住宅」と呼ばれる。親近住宅の支持者は、これらの寮が少数派の学生にとって「快適」で「安全な」環境を作り出す、と主張している。親近住宅の支持者は、白人学生の存在が少数派の学生をしばしば不快にさせている、と主張する。隔離された住居を求める請願書の中で、黒いスミレ(Black Violets)と呼ばれる組織は、「教室や寮で、あまりにも頻繁に、黒人学生が人種差別について無知な学生を教育しないといけない場面に遭遇させられている」と述べている。
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ニューヨーク大学(NYU)における、人種隔離の原則の勝利は、この不和を生じさせる前途を示す直近の例にすぎない。全米学術協会は、2019年4月の報告の中で、全米学術協会が言う「新たな隔離」がアメリカの大学で広がっている、と結論付けた。全米学術協会によると、80以上の高等教育機関が人種により隔離された寮の推進に加わっている。
人種により隔離された大学生活を求める要求が、2015年以降高まっている。大学の管理者たちは、この状況をますます喜んで受け入れているようだ。もちろん、彼らが隔離をその名称のまま呼ぶことはめったにない。彼らが「親近住宅」という用語を使用しない場合には、「テーマ住宅(訳者注:特定のテーマをもつ住宅)」という用語や「安全空間」という空言を用いる。
ロサンゼルスのカリフォルニア州立大学は、カリフォルニア州立大学が黒人学生に隔離住居を提供した、という批評家の主張に異議を唱えた。カリフォルニア州立大学は、住居隔離計画を「黒人のための新しい生活学習共同体」と説明した。カリフォルニア州立大学の住宅サービスページでの説明によると、「教授陣や仲間たちとつながる機会を提供することによって、大学で生活する黒人コミュニティの学生、または黒人コミュニティの懸念事項に関心のある学生に対して、居住経験を高める」第一歩だ、と書かれている。この大学が「黒人のための新しい生活学習共同体」を説明するために、どのような婉曲表現を選択しても、その目的が通常の大学生活体験や文化を高めることでないのは明白だ。
人種による隔離の事態は寮を超えて広がっている。残念なことに、大学当局は食事施設の自主的な隔離さえも容認する傾向にある。たとえば、ノースウェスタン大学長のモートン・シャピロは、食堂で食事をしている黒人学生が、白人学生に加わって欲しくないのは理解できると主張した。「我々はだれでも、安全な空間を享受するに値する存在である」、そして「黒人の学生は安心して昼食を楽しむあらゆる権利がある」と彼は書いた。人種により隔離された安全空間に対するシャピロの言い訳は、誰もが他の類の人々によって不快にされることなく、安全空間に接近できるべきだ、という提案に基づいている。しかし、その理念が、どうしたらこのような人種による隔離になるのだろうか?
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隔離された安全空間を求める主張は、自分が誰であるかを知り、それを受け入れることが根本的に重要だとする運動の論理的結論となる。アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治の支持者たちは、彼らの反対者を外国人排斥主義または人種差別主義者として非難することがよくある。しかし、実際には、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治は本来不和を生じさせるものであり、保守派の白人の隔離主義者と同じくらいの寛容さなのだ。
安全空間を求める主張が、争いの焦点となっている。自分の幸福は、自分と同じ類の人と生活することに依存している、と主張しているのだ。安全空間の理想が不和を生じさせる可能性があることは、2015年後期と2016年の初めに明らかになった。その当時、多くの米国の大学で、アフリカ系アメリカ人学生が、隔離された安全空間を大学構内に求める要求を掲げた。例えば、オーバーリン大学では、学生が「オーバーリン大学構内の全ての空間は、アフリカ系アメリカ人学生のための安全空間と指定されるべきだ」と要求した。
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もし、「自由な表現」を擁護するために設立されたペン・アメリカのような組織が、「自発的」隔離を支持するならば、米国において、人種的、そして文化的隔離の制度化を妨げる障害がほとんどないことになる、というのは驚くにあたらない。
隔離された安全空間を求める主張は、人々のアイデンティティを確立するうえで、それが根本的に重要だとする運動の論理的結論となる。アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治の支持者たちは、彼らの反対者を外国人排斥主義または人種差別主義者として非難することがよくある。しかし、実際には、アイデンティティ・ポリティクス/アイデンティティ政治は本来不和を生じさせるものであり、保守派の白人の隔離主義者と同じくらいの寛容さなのだ。
アイデンティティの涵養は、人々の精神的分離を助長し、学生の一部は自分と同一のアイデンティティを持っていると見なす人とだけ空間を共有することを要求するまでに至っている。それは民主主義社会にとって本当に悪い知らせである。
マーティン・ルーサー・キングが、教育システムと米国社会における隔離撲滅のための彼の長いキャンペーンの中で、1956年、ニューヨークの演説で指摘したように、「人種による隔離は常に悪であり、非理性的な感情主義という薄い衣を羽織った、道を踏み誤った反動主義者だけが、隔離を擁護することを求めるだろう。しかし、隔離は理性的には説明できないものであり、道徳的に正当化できないものである。」‼
歴史を通して、自分自身を進歩的であると見なした人々は、あらゆる形態の人種的、または文化的隔離の熱烈な反対者であった。今日、いわゆる進歩主義者が「自発的隔離」、または「親近住居」を支持していることは、隔離廃止論者や公民権支持者を何世紀にもわたって励ましてきた理想から、彼らがどれだけ遠く離れているかを示している。
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