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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2014.01
31
CM:4
TB:0
22:05
Category : 未分類
 昨晩から今晩まで、メインで使うパソコンをXPから7に引越していたので今頃更新です。サブ(これは先に7)とかノートもあるのだけれども、従前使っていたHDDの中身を新しい方に移すのに一日かかるのは面倒臭い。起動部分を含むHDDをブラ下げるだけだとXPが動きだす。外付けだと直ぐに見つからないのが面倒くさい。

 そこで、写真を何葉かみつけた。

台所

 これ、大震災のあと、3月12-15日頃の写真なんだが。その頃はせっせと家の開口部を目張りしていた。当時は付配置で院生、必要になれば呼ばれるカモと作業服を用意したあとは何もやる気がなくなったので、一種の現実逃避かね。

 写真は24時間換気部分の仮閉鎖の写真。どりあえずはこんな感じで内側から養生テープで塞いで、翌日には外から開口部に丸めた新聞紙とエアコン用粘土詰めといた。

 他の開口部も思いつくところはほぼ全部塞いだ。

 塞がなかったのはシャワーブースの排気シロッコファンだけ。湿気取りに24時間回していた排気ファンはそれから2ヶ月位は必要に応じてしか動かさなかった。

 他のところも大概なことをしたよ。台所の上の換気扇なんか外からビニール袋を被せて養生テープでグルグル巻き。余ったエアコン用の粘土で使わない窓の際を目張りした。天井裏は家の完成検査の後に歩行床として、壁際にドンつけでコーキングしといたので問題はない。1階床面も新築のときに徹底してコーキングしといてある。

 玄関は北向きなので、もともとからっ風避けで2重にしてある。しかも完成検査後にタイトにしてあったので問題はない。

 ……とまあ、ここまで丁寧にやったのは「目張りすれば化学兵器に耐えられる」という話を読んだことがあったためだ。旧内務省がやった民防空の資料にそういう検討結果があった。当時の日本家屋でも外面を目張りして、外壁に面さない内側の居間も密封できるようにしてそこにいれば大丈夫というもの。

 まあ、仕事でNBCはさんざんやっていた。旧軍投棄化学兵器処理とか、○○のNBC防護担当とかいった大概な配置をやっていた。野戦は知らないが、後方でのNBC防護はそれなりに知識があった。

 現実よりも安全神話に乗っかっていた奴が「[原発が危険だという]バカは黙ってろ」の頃はこんな感じだったよ。米不足か燃料不足で、ウチに米か薪かを取りに来た、近所に住む同じゼミ生(さらにド文系)が「何が起きているのかは分からんけど、今まで考えられていなかった事態が起きているのは間違いないし、直ぐに収束する話でもない」と言っていたこととペアで覚えていたよ。

 まあアレだ、ベタな創作で「……さまのタタリじゃ、行っちゃならね」で助かる爺ィと「何故だ、計算は正しいはずなのに」といって自滅する野心家の差みたいなもんか。もちろん前者は「数学できんで何が悪い」という、己等の無学な私大文系で、後者は国立理系の黙ってろさんだけどね。
2014.01
30
CM:5
TB:0
12:59
Category : 未分類
 議会にノータイで出ることと、自衛隊の接触事故は、どちらがヨリ重大な問題であるのだろうか?

 佐藤正久さんは、ノータイは重篤な問題で責める必要があるが、接触事故は練度が高く拍手を送るとのことだ。これは政治的立場から敵味方の扱いに差異をつけるダブルスタンダートそのものである。

 佐藤さんは、山本太郎さんがノータイであることを否定し、責めたてている。後に取り消されるのだが、開会式で
天皇陛下のお名前を出して批判していた※。後に誤報と判明して取り消しているが、ノータイである程度で責めることは変わっていない。
佐藤正久‏@SatoMasahisa
なお、山本議員は24日10時からの本会議にタートルネックというラフな服装で出席しており、この件については引き続き参議院の議院運営委員会でも問題視、対応を検討中。
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/428390657472741377
しかし、どうみても取るに足らない問題である。仮に開会式でノータイであっても、それは個人の常識を疑う行為にすぎない。そうであれば軽蔑すればいい話である。それを叩くのに
至尊のお名前を持ちだすことは何事だろうか。むしろ、佐藤さんが山本さんを嫌っている程度の俗事に
今上を持ち出すほうがよほど失礼ではないか。


 対して、佐藤さんは接触事故では、何も考えずに問題ないと肯定している。兵隊あがりだからか、自衛隊のやることには無批判であり、ヨイショするだけといった立場か透けて見える。
佐藤正久‏@SatoMasahisa
ブルーインパルス、厳しい訓練の中、接触しても帰還した。見事、拍手を送ります。凄い!この練度の高さが、有事即応の自衛隊の軸であり、肝です http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140129/t10014856521000.html …
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/428526933337321472
 確かに事故なしで機体を持って帰れたことは「良かった」かもしれない。だが、今回「高練度である」と褒めて幕引きを図ろうとするその態度と、ノータイごときにガタガタいう態度は、政治的立場から敵味方の扱いに差異をつけるダブルスタンダートそのものである。※※


 ちなみに、中華民国軍事史の専門家、じょーじさんにこの話をしたところ
コッチのほうが・・・いつからNHKは情報戦の一翼を担う存在にw これはNHKの信用力を中国国営放送のプロパガンダ並に劣化させろという「反日」政策にしか思えませんねえ・・・ https://twitter.com/SatoMasahisa/status/428446453581639682
と佐藤さんにある別の問題点を指摘していた。


 NHKは情報戦機関ではないが、プロパガンダ機関としての利用を考えても、経営委員と新会長にオトモダチを据えて情けないことにしてしまった現宰相を佐藤さんは責めるべきだと思うのだがねえ。



※ 後に取り消されたとされた中味は、次のようなものとされている。

山本太郎議員、懲りていない。今朝の自民党国会対策委員会、議院運営委員会理事から報告。
1月24日天皇陛下をお迎えしての国会開会式、山本議員はネクタイをせずにタートルネックで本会議場に入り開会式に臨んだ由。
議院運営委員会でも問題視、対応を検討中。ズボンも黒のジーンズのような感じだった
(http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news/1390969174/で、それを再録したのがhttp://www.kimasoku.com/archives/7522193.html)

※※ しかし、曲技飛行が本来はする必要のない危険を侵していることは自覚していない。本質的には空自が予算獲得そのほかで応援団を確保し、入隊希望者を集めるための人寄せパンダに過ぎない。

※※※ ゆうゆうワイドが終わるまでに書けたよ。いや、30分でも書けるもんだねえ
2014.01
29
CM:5
TB:0
12:28
Category : 未分類
 昼のニュースで見つけたので、今日2本目。

 津軽海峡でROVを亡くしたらしいが、原則的にはコレ、艦長の個人弁済になる話なんだよねえ。

 「にちなん」のROVが見つからない。「海上自衛隊:津軽海峡で無人潜水装置紛失 調査委を設置」※※ だが、その中身や何をやっていたのかは知らない。だが、紛失の責任は原則的に艦長にある。艦長は艦艇の管理者であり、何を無くしても、壊しても艦長の全額弁済が基本である。

 昔は、訓練用水中標的をよく失くした。己の時代には、対潜戦のお稽古で使う標的は50万だが100万円だかの使い捨て標的になっていた。だが、それ以前は3億するような再利用型標的を使っていた。その標的は結構なくす。回収できないと、艦長の責任になり、請求書がくるので困って、使い捨てにしたという話である。

 もちろん、実際に艦長が支払うことはない。艦長は不可抗力の理由で喪失したと申し立てて、そりゃ不可抗力ですなと認定を貰って免責になる。

 だが、艦長個人が責任を負う仕組みであることは代わりはない。だから、下のクラスに対して、普段は自分は豪傑だと装っていても、国有財産にリスクのあることはあんまりやりたがらない。

 まあ、それが乗員にも適用されればなおよろしいのだが、人間は国有財産ではないので乱暴に使う人がいる。(もちろん、大事に使う人も多いよ) 結構、人間を亡失したり壊したりするのだが、艦長個人が責任を負ったという話はあんまり聞かない。※※



※ 「海上自衛隊:津軽海峡で無人潜水装置紛失 調査委を設置」『毎日新聞』(毎日新聞,2014.1.29) http://mainichi.jp/select/news/20140129k0000e040132000c.html

※※ ある艦艇で、潜水員を1人潜らせた話なんか「機械と人間とどっちを重視するか」問題の好例かな。ある艦艇が◯◯沖の外洋でスクリューにロープか何かを巻き込んで動けなくなった。艦長はその状況を確認したい。だから水中確認をさせようとしたのだが、その艦艇には、ダイバー資格を持っているのは、長年潜っていない幹部1人しかいなかった。本来なら二人以上で潜らせるのだが、機械を重視するためか1人で潜らせてしまい、ダイバーが嘔吐かなにかで死亡事故になった話。
 乗り合わせた司令(上司)は「危険だからやめておけ」と何回もアドバイスしたのだが、個艦指揮権の問題だと艦長がやらせたらしい。「原因わかっても復旧できなきゃ意味ないだろ、無駄な危険だぞ」とかいったのだろう。「司令がヤレといって艦長ができない」と抵抗する通常のイメージとは逆の構図の事件があったね。
2014.01
29
CM:4
TB:0
12:00
Category : 未分類
 台湾が新中国と直に話を始めるらしい。時事通信「対中担当閣僚、来月11日に訪中=南京で初の正式会談-台湾」によると、2月にも政府同士で話し合うとのこと。※

 中国と張り合う方針は、外交でも相当形勢不利ではないのか。アレ内閣の「自由と繁栄の弧」やら「安全保障のダイヤモンド」とやらで、中国包囲網云々も、当然上手くいっていない。表面上だけでも付き合ってくれるのは、あんまり信用できないインドだけ。そのインドもシン首相もそろそろ交代する。

 対して、中国は台湾取り込みに一歩進んだ。他にも中国は韓国とも協調関係を確立しつつある。米国とも「日本のアレ指導者はどうしょうもないね」といった共通認識を作りつつある。逆に日本が包囲されてんじゃないのかね。

 実際のところ、内政も上手く行ってないからねえ。アベノミクス(自分でよく言えるものだ)とやらも、実際は輪転機を回して、公共事業を増やしただけの話だ。カンフル剤そのもので、そりゃ当座は景気が良くなるだろう。だが、日本経済の体質は全然変わってない。対症療法は自転車操業のようなものだから、いつかコケる。外国人労働者導入も自分が政権にいる間の、当座だけ良ければいいという頭だろう。

 経済体質がよくなる見込みもない。第2、第3の矢とやらも、「医療品のネット販売」程度しか出ていない。ケンコーコムでロキソニンやらガスター20を買える程度で経済が復活するわけもないだろ。

 安倍外交やら内政にある不振を糊塗するため、外遊に逃げるのだろう。第三世界に外遊して、外交が巧く行っているようにゴマかすだろう。アフリカやら中南米やらに円借款をバラ撒きに行くのではないか。「何百億円払う」と景気良くいうが、どうせ自分の身銭じゃない。実際の負担、支払いの過半は自分の内閣じゃないからなんとでも言えるわけだ。
 だいたい、戦略的という言葉を勘違いしているようにも見える。軍事・外交的な包囲網作るというよう、ゲームの盤面の話レベルの頭しかないのだろう。実際には、盤面の外まで含んで、将来的に有利な環境を作るって意味なのだがね。アレ宰相やらそのオトモダチは、コマの、石の取り合いしか見えてない感がある。その石もインドやらオマーンやらモザンビークじゃあね。フィリピンなんか枯れ木で作った山の賑わいなんだがねえ。

 それこそ、戦略的に見れば、韓国と台湾を中国から引き剥がし、米国を中国へのリップサービスを止めさせることが重要なんだがね。

 韓国なんか道具だと思えばいいじゃない。相手が何言っても表向きに政府は放置しとけばいいよ。わざわざ靖国社にいって中国方に追いやることもない。

 台湾も引き付けたいなら、英国が英連邦諸国にやってるみたいな自国民待遇でもしなけりゃ無理じゃないかね。台湾人の気持ちなんかどうでもいいから、新中国と離隔させるにはそれしかないだろ。沖縄周辺での漁業権で譲歩したところで 中国の富源には敵わない。

 米国にも、アジアでの金儲けに寄与します、中国と厄介起こしませんと言わなきゃだめなんじゃないのかね。まあ安全保障で強硬なことをすれば米国が喜ぶというのは、あまりに昔の頭じゃないのかねえ。辺野古移転が上手くいくなんて言っても、喜ぶのは海兵隊と、共和党の中の対中強硬派くらいだろ。オバマ大統領とってはそんなのどうでもいい問題だね。

 今年のAPEC(ホスト中国)で習近平と馬英九は多分、握手する。そうなれば対中強硬しか売り物のない安倍外交は相当に打撃じゃないかね。大陸側指導者と台湾側指導者として握手して、敵対状態の終了とかやられたら困るだろ。日本に戦略的利益を与えていた、形だけの中台対立、台湾宙ぶらりん状態がなくなるわけだから。

 まあ、その時も必死に表面上は打撃を受けていないように見せると思うよ。本人は強がってインドあたりに行って、円借款と引き換えにリップサービスを貰うんじゃない?。それを成功と言って、オトモダチの幇間衆や翼賛新聞やネトウヨが連呼するんじゃないかと思うぞ。



※ 「対中担当閣僚、来月11日に訪中=南京で初の正式会談-台湾」『時事ドットコム』(時事通信,2014.1.28)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014012800622
2014.01
28
CM:2
TB:0
12:00
Category : 未分類
 軍隊や兵器の話ではなく、戦時下での言論取締についてです。昨日売りの3月号ですので、よろしければ読んでください。

 特定秘密保護法の時流に乗っかった形ですが、書いたのは法律でモメる前です。まあ、恣意的な運用をしたのは特高や憲兵隊ではなく、おそらくは検察ですね。検事局の思想検事の仕業じゃないかと。

 東アジアでは司直の権力が強い。「日本だけでなく、韓国でもそうだ」と朝鮮研究のエライ人、木宮先生がおっしゃってました。「韓国のモノホンのエリートは軍隊に行かない、検察に行く」とも。日中比較の話で、中国研究の劉傑先生(副査やっていただいたのです)も「東アジアの政治ゲームで検察は必ず出てくるよね」とも。

 日本の検察が時流を利用して政治的に振る舞うのも、平沼以来の伝統ですしね。まあ、平沼はロクなもんじゃない。重心としての政治的振る舞いもそうですが、やっていることもみみっちいのがナンですな。戦時下で偉そうなこと言う割には、右翼を使嗾したり、空襲に備えた建物疎開で身内の例外措置を求めたりしてますからね。内務省あたりには「またヒラヌマか」みたいな感覚がありますよ、ウン。

 今でも検察は政治的に振る舞ってますしね。もっと指揮権発動やってもいいでしょ。アレをやらないと起訴権の独占が統帥権の独立になりますからねえ。

 話が脱線しました。あとは、来月に別の雑誌で軍艦モノを一つ出させてもらう予定です。そのあとは、いま書いて居ますが、多分四月売りから前後編、あるいは前中後編と言った形で短期に連続したものを書かせて頂く予定です。
2014.01
27
CM:1
TB:0
12:00
Category : 未分類
 帆走利用については、研究するのは悪いことではないのかもしれないが、実用性は望めないものだ。

 「帆とエンジンのハイブリッド、次世代帆船開発中」で、帆走併用船の研究が報道されれている。

 しかし、これは1980年代にもやっている。機械じかけの帆をコンピュータ仕掛けで開閉し、エンジンの補助を行わせる船としては新愛徳丸があった。だが、結局は実験の域は出なかった。

 帆装併用には、建造コストの問題、運用性の問題、エンジン改良との競争での問題があるのだろう。

 建造コストの問題としては、帆走装備はどうしても高価となる点である。基本的に、今日の商船は消耗品であり安い。エンジンとシャフトと舵廻りを除けば、結構ぞんざいに作ってある。船体はタダの箱だと思えば良い。それに高価な帆走装備を何本も甲板の上におき、下部にも同じ数の支持構造を作るのでは建造コストがかさみすぎる。

 また、運用性でも問題がある。甲板上の帆や、船体内の支持構造が荷物の積み下ろしの邪魔をする。船舶輸送のコスト計算では、積み卸しの荷役作業のコストが燃料代と同じ位かかっている。荷役が難しい商船は、燃料を食う船と同義である。また、帆走装備によって搭載容積を減る点もある。船体の大きさの割に荷物を搭載できない商船は、経済的に効率が悪い。

 この2点については、ライフ・サイクル・コスト全体で見ないとならない。帆走によって燃費が3割減っても、減価償却や運航コストが3割増えるとか、荷物搭載量が3割減ったのでは意味が無いのである。

 将来的なエンジン改良との競争に勝てるかも微妙である。燃料費削減の方法としては、エンジンを改良する方法がある。今の船舶用低速ディーゼルは技術的限界、カルノーサイクルに相当近似しているかもしれない。だが、エンジン側にもコスト的に競争する余地がある。例えば、安価な低質燃料の利用がそれだ。極端な話、褐炭の微粉炭といった劣悪燃料でエンジンが回るようになれば、帆走装備が勝てるかは怪しいだろう。

 もちろん、研究するのは悪いことではない。だが、帆走が現実に経済性をもって使えるかどうかについては、懐疑的になるのである。



※「帆とエンジンのハイブリッド、次世代帆船開発中」『ヨミウリオンライン』(読売新聞,2014.1.26)http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140126-OYT1T00270.htm

※※ どっちかというと、水中グライダーで潜水タンカーを作る”Slocum glider”のほうがヨリ夢があるのではないかね。
2014.01
26
CM:3
TB:0
11:40
Category : 未分類
 公共事業のために外国人を低賃金で働かせるというのだが、アベノミクスとやらはよほど賃金を上げたくないらしい。

 いろいろ報道されているが、外国人労働者を連れてくる話がある。毎日新聞によると
建設現場の人手不足の解消に向け、外国人労働者の受け入れ拡大を検討する閣僚会議を首相官邸で開いた。3月末までに緊急対応策を決め、2015年度をめどに建設業で働く人材を増やしていく方針を確認した。
「外国人労働者:『拡大』へ 建設現場の人手不足で」『毎日新聞』http://mainichi.jp/select/news/20140124k0000e010169000c.html


 これは、好景気が賃金を上げると主張している、アベノミクスとやらと矛盾している。まず、自分の経済政策をアベノミクスと自称するマヌケさはおいておく。だが、建設労働者の賃金を低く抑えようとする点で、従来の説明と矛盾する。

 去年、通貨供給量を増加し、訳の分からない財政出動をした理由は、国民経済が直面していたデフレから脱却することが目的であった。現宰相が主張していたのは、賃金や可処分所得が減少するデフレ・スパイラルからの脱却であった。

 賃金上昇を起こすための政策であったはずなのに、政策的に賃金を抑えるというのは、自家撞着だということだ。結局は、支持母体への利益誘導だというわけだ。いまさら公共事業を増やすのも、そこでの人件費を抑制するのも、建設土木業の経営者を優遇するだけの措置である。

 結局は、その思想と同じで戦前回帰だけではないのかね。意図してかどうかは知らないけれども。

 実際に戦前は労務者の時代だった。工場でも建設業でも、現場は使い捨ての日雇いで回っていた。企業のオーナーは人件費を圧縮することだけに血道を上げており、科学的経営もなにもなかった。現宰相現政権は、その時代に戻そうとしているわけだ。

 だが、使い捨て労務者に高品質とか信頼性は期待できない。戦前でも高品質・高信頼性の工場は直接雇用と福利厚生を重視していた。戦後の高度成長も、直接雇用の増大や福利厚生の充実の結果でもある。

 逆に、低賃金、低待遇だと、冷凍工場の農薬混入みたいな事態が増えるんじゃないの。建設土木だと、労働者段階だと生コンにコーラ混ぜるとか、アスファルト打つ前の路盤に水撒くとかね。現場管理段階だと、検査手抜きとか起きるんじゃないかね

 なんにせよ、公共事業を受注する企業の都合に親切な政策である。公共事業を受けても安い人件費では利潤がでない。だから、業界の言うがままに安価な単純労働力を海外から輸入してやる。まあ、やることはネトウヨ宰相というよりも、バナナ共和国の大統領に近いものがあるよ。
2014.01
25
CM:1
TB:0
01:21
Category : 未分類
 一体何を適切に導くのだろうか?

 商業主義で有名なIOCが、東京五輪の準備委員会に森喜朗元首相を就任したことを指して「適切に導くのだろう」と評している。※

 何を適切に導くかというと、IOCにも金が落ちるように「適切に導く」ことだろう。

 IOCは金がかかることを要求している。運動会の競技場ごときに開閉式の屋根を掛けろとか言っている。キャッシュバックでも取るつもりなのだろう。江戸時代、日光例幣使がやったパタリ場と同じことをやれば、例えば監修やら検査名目で金はいくらでも抜き取れる。そんな戯言に付き合う必要もないのだが、金がかかればかかるほどいい文科省は唯々諾々と従っている。

 文科省は「節約して1699億円に縮減した」とか言っている。だが、実際には1699億円を予算要求できるとホクホク顔である。いつもの大目に吹っかけて、減額して安く見せるゴマカシにすぎない。もともとは1300億だったことからすれば、膨らんでいることに違いはない。だいたい建設土木で計画額よりも安くなることはまずない。途中でどうせ「どうしても増額が必要」とか言い出すのだろう。

 これがスポーツ利権というものだ。そして、そのスポーツ利権の親玉が準備委員会の会長になったのも露骨な話だ。実際に、国立競技場にも森さんが関わっているという話もある。※※ 商業主義が強く、どこの国の監査も受けないIOCとしては、非常に相性の良い相手なのだろう。

 まあ、細川さんが新知事になると、この辺りで横槍を入れるという話もあるので、それを期待するだけか。



※ 「IOCが森会長歓迎「適切に導くだろう」『ニッカンスポーツ・コム』(日刊スポーツ新聞,2014.1.24)http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20140124-1248506.html

※※ 「東京五輪メーンスタジアムのずさんな計画 裏に森元首相〈AERA〉」『Yahoo!ニュース』(Yahoo Japan,2014.1.24)http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140124-00000009-sasahi-soci&pos=4

※※※ 森さんが総理大臣の時には、『朝雲』の連載マンガでスポーツマン云々で褒めちぎる話があった。ちなみに神の国発言のあとの話である。まあ、宰相の器でもなく、露骨な利益誘導の人かね。北陸新幹線とか。
2014.01
24
CM:6
TB:0
12:07
Category : 未分類
 下手な新造艦よりも、ペリー級のほうがよい。

 台湾がペリー級を買い増す話がある。"Taiwan to get 2 Perry-class warships in 2015; will buy 36 AAV-7 assault amphibious vehicles"
によると、2015年に中古艦を2隻ほど買い増すらしい。価格は2隻で52億台湾ドル※※と、1隻あたり80億と相当安い買い物。ペリー級は建造費ももともと安いから、破格ということもないのだが、同価格ではミサイル艇クラスしか買えないことを考慮すれば、いい買い物である。

 ペリー級は使える軍艦である。ヘリを2機搭載でき、強力な防空能力を持つ。対水上戦でみれば、対艦ミサイルを一発しか発射できない点や、威力に欠ける76mm砲といった問題もある。だが、これは対艦ミサイルを積み増せば済む問題である。オーストラリアのようにSM-2やESSMを装備して防空能力をさらに強化することもできる。

 実際、LCSよりも使えるのではないか? LCSはどうみても失敗である。機械的には優れていても、LCSでしかできないことがない。逆に、LCSにできる事は、ペリー級にもできる。対高速艇は機関砲と対戦車ミサイル程度で果たせるし、ミゼットサブや人間魚雷に対しても20ktも出せばまずは無効化できる。対機雷戦は、まずはどっちもできない。

 台湾としては、新造艦を買うというオプションはない。まず、海外にペリー級よりも優れた軍艦はそうそうない。あってもイージス艦クラスで、台湾に売ってくれるものではない。そして、捨て値で売られているペリー級を、大金出して新造する必要もない。もともと台湾には、大規模な造船業はない。韓国とは異なり、背後に製鋼業がないので、自前で軍艦を建造できない。成功級の鋼材も、おそらくは日本製あたりだったのだろう。

 台湾は、ノックス級を全部ペリー級に置き換えるのだろう。ペリー級へのESSM装備そのほかは分からない。だが、蒸気艦であり人手が必要で、ヘリ運用能力が限定されるノックス級に対して、ペリー級は明らかに優れている。

 それどころか、ペリー級が増えると、最新新造のラファイエット級がお荷物になるだろう。ラファイエット級に実用性はない。ミラージュ2000と同じで、アメリカへのあてつけで買っただけである。対空ミサイルをチャパレルから天剣Ⅱに変えようとしているが、その程度では使い難いままである。

 日本も、ヘンテコなLCSとやらを買うのなら、中古のペリー級を分けてもらえばいいんじゃないのかね。あきらかに「あぶくま」よりも優れている。下手をすると「ゆき」、「きり」よりも優れている部分もある。



※"Taiwan to get 2 Perry-class warships in 2015; will buy 36 AAV-7 assault amphibious vehicles""Consortium of Defense Analysts"http://cofda.wordpress.com/2013/11/23/taiwan-to-get-2-perry-class-warships-in-2015-will-buy-36-aav-7-assault-amphibious-vehicles/

※※ 台湾ドルと読むのが通例だが。正しい表記だと52億圓。圓=円、円=元だから、52億円と読んでも、52億元と読んでもいいのだがねえ
2014.01
23
CM:2
TB:0
12:00
Category : 未分類
 マクドナルドは発展途上国向けの商売ではないか?

 江戸川橋のマクドナルドが潰れて、隣のビルにあったドトールが引っ越していた。あそこにそれほど客が入っているのを見たこともないし、あの価格で儲かるものでもないように見える。潰れるのも納得したものだ。

 最近どこで見ても、マクドナルドに客はあまり入っていない。まず、急に食べたくなる類の食い物でもない。値段を安くしたところで、まずは食べたいものでもないので客は入らない。また牛丼屋と同じで、回転率あげるので席も机も狭く作っている。行くとこがないので、入っても狭い。狭いので行こうとも思わないからだろう。

 外から見ているだけだが、大人はあまり入るものでもない。多少高くとも、食べるなら他においしいものがある。出先で腰を下ろすにしても、多少、お金を払っても、喫茶店のチェーンか何かのほうがよい。

 店にはいるのは、子供くらいか。それも安いということではいる始末である。食べたいというので入るわけではない。当世の子供は舌が肥えている。他においしいものが一杯あるのは承知している。

 マクドナルドは、二流以下になったということだろう。行きたくて行くところではない。金がないから行くところに過ぎない。

 マクドナルドは、もう日本では儲かる商売ではない。すでにマクドナルドへの憧憬はない。安い外食に「行きたい」という気持ちもない。ハンバーガーなら、食べたいという客が来るモスがある。さらに高級なフレッシュネス・バーガーやらクア・アイナがある。

 マクドナルドは発展途上国向けの商売だったわけだ。高級と考えられる舶来を、現地の収入でも食べられる。一種の背伸びができる点で、豊かになりつつある日本で当たった商売である。豊かになった日本では、当たるものではない。

 マクドナルドは日本で商売するのは終わりにした方がいい。いまだ出店を続けているようだが、出しても売れるものでもない。藤田田の時代ではない。マクドナルドを食べることはファッションではないし、安く作っても実入りは少ない。撤退を考えたほうがいいのではないか。
2014.01
22
CM:1
TB:0
12:00
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 爆風だけではなかなか死なないのだろう。

 昭和33年の朝日新聞で発見したのだが。バスの中でダイナマイトで自爆した人がいる。1958年5月27日「バスの中で爆薬自殺」なのだが、隣にいた車掌が巻き添えでなくなった以外は、軽傷と無傷しかいない。

 これは鳥取での話である。事実関係を述べるのは趣旨ではないので細かいことは書かない。概略だけ示すと、バス会社をやめた元車掌が、その職場であてつけ自爆をしたというものらしい。24歳の元車掌が、車掌からマッチを借りてダイナマイトに点火、自爆した。
 ただし、即死は元車掌の本人だけ。巻き添えの車掌さんは即死ではなく、それ以外は運転手がガラスの破片で軽傷。乗客4人は無傷であった。おそらく、時期から窓を開けていたのだろう。爆圧が抜ければ爆風は怖くないという。弾殻や破片を準備しない限りは、ダイナマイトでも威力は見込めないということだ。

 ダイナマイトも土木用であって、ガス発生量や爆圧は大きいが、爆速は遅い。戦闘用の爆薬ではなく、密閉させなければ威力は少ない。二昔前の映画では、代表的な爆薬としてよく登場したが、実際には…といったところか。

 そもそも、今ではダイナマイトは使わない。重機があれば重機で済ませる。これは解体や地山の切り取り、トンネル工事でも重機ですませる。仮に破壊用の資材を使うにしても、解体なら膨張する静的破砕剤を使うし、地山やトンネルならANFOやらスラリーを使う。ダイナマイトを使うことは相当少なくなっている。

 実際に、ダイナマイトなど見たことはない。昔入手した陸自の方の教範には書いてあるが、海自ではまったくない。桜だの桐だのという名前も聞いたことはあるし、多分円筒形をしているのだろうと見当はつくが、どういう大きさでどういった重さであるかは知らない。

 そういえば、昭和20年代に出た海軍設営隊の本には、粉末木炭(懐炉灰)に液体酸素を浸潤させれば桐相当のダイナマイトになるという話があった。だが、今からすれば桐相当の威力やらが、全く見当がつかないものだ。



※ 「バスの中で爆薬自殺」『朝日新聞』(朝日新聞,1958.5.27)p.5
2014.01
21
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12:00
Category : 有職故実
 安重根に対してテロリスト云々は、言うだけ揉める話ではないか?

 官房長官は安重根を『わが国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだ』と述べたという。
菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、伊藤博文元首相を暗殺した朝鮮独立運動家・安重根の記念館が中国東北部のハルビン駅に開設されたことについて「極めて遺憾だ」と不快感を表明した。[中略]菅長官は、安重根について「わが国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだ」と指摘。
「菅長官『極めて遺憾』=安重根記念館、中韓に抗議」『時事ドットコム』(時事通信,2014.1.20)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014012000307


 しかし、韓国からすれば救国のために戦った英雄を、テロリストと呼んでいい事はあるのだろうか? 菅長官の言っていることは、フィリピンのホセ・リサールや、インドネシアのスカルノ、ベトナムのホーチミンをテロリストと呼ぶようなものだ。

 第三国の立場に立って見てみれば、余計な一言以外には見えない。例えば、スペインの内閣が、フィリピンに対してホセ・リサールをフィリピン独立を企んでいたテロリストと呼んだ。オランダの内閣がインドネシアに対してスカルノを内乱を起こしたテロリストと呼んだ。フランスの内閣がベトナムに向かってホーチミンをベトコンとして蜂起したテロリストと呼んだ。そのように考えて見ればよい。余計な一言以外の何物でもないことがわかるだろう。思っていても言うべきではない言葉はあるものだ。

 テロルについても、今の眼で見てはならない部分もある。

 まず、侵略され併合された国で、実力での独立運動を起こすということは必然的にテロルになるという問題がある。併合した側は、併合国から独立のための戦いの権利を奪う。そこで抵抗運動を行い、それが侵略国によってテロルとしただけの話ではないか。

 そして韓国は独立を果たし、日本も国交を結んている。独立を認めた以上、独立運動に関連する諸要素にグチグチ文句を言うべきではない。抵抗権と同じである。国家転覆罪に既遂犯はないようなものだ。革命が成就すれば、国家転覆罪は適用されないのである。

 また、当時は独立運動としてのテロルが流行った時代である。19世紀後半から20世紀前半は、独立運動はテロル=暗殺であり、一国で民族主義者による暗殺が起きると、それが新聞報道等により、世界中に流行していた時代であった。ナショナリズムの勃興と、近世帝国の崩壊の過程、電信や新聞の発達は同時である。民族主義者による暗殺がおきると、世界中の植民地で模倣される。その中で安重根を見れば、民族主義者として独立運動に殉じたとしか言えない。

 だいたい、独立運動家が暗殺しまくったのは、日本も同じである。薩長ほかの討幕運動は暗殺しまくりであるが、彼らはテロリストとは呼ばない。革命戦士として靖国神社に祀られている。革命が成就した後で、あるいは独立したあとでは、テロリストと呼ぶべきではない。

 このような事情を見れば、官房長官の発言は穏当ではない。日韓関係についてもそうだが、日本による植民地支配の頭のままで昔を見ているようにしか見えないのである。

 なんにしても、世の中には思っていても言わないほうがいいことがあるというものだ。
2014.01
20
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Category : 未分類
 金で頬桁ひっぱたけば、自尊心に火も付くだろう。名護で基地反対派が勝つのも道理じゃないのか。

 2002年位に防衛施設局に出向(防衛庁内だけどね)していたのだが。その時のキャリアの土木課長が沖縄局に送られていたのを思い出すよ。その後、海面調査しようとして漁船の抗議活動でできなくなったテレビに出ていた。

 現地の反対運動は強い。県知事の埋立免許が下りたから、辺野古ができると言うのは相当に甘い話だったということだ。だいたい、市長が本気で抵抗すれば着工も難しい。建築物の許認可やら、普通河川やら、私道の使用許可といった権限は市長が持っている。

 前例もある。ベトナム戦争に反対するために、横浜の飛鳥田市長が市道を使わせず、1ヶ月以上遅滞させた前例もある。江東区のゴミ戦争も同じだ。区議や市民が道路を封鎖してゴミの搬入を止めさせている。当時、市内の区長は役人だったので区長は表に出てこないが、いまなら公選区長が出てくる話である。

 もちろん、金で解決する方法もある。県知事と同じように札束を積み上げてもいいし、全部を海側から運ぶ方法もある。建築物は作らず、横須賀にあるようなバラック船を横付けしてもいいだろう。

 だが、市長の後にも問題は残っている。ジュゴンの問題がそれだ。普天間周辺には、北限のジュゴンが棲んでいる。おそらく、日本で唯一残ったジュゴンである。

 日本に残る数少ないジュゴンとなると、無視は難しい。要は、トキと変わらない。昔、ジュゴンは食っていたとか、世界中どこにでもいるという意見もあるだろう。だが、昔、トキは食っていたし、中国にもいる。カワウソ、オオカミも同じである。粋がってそういう言い方をする人もいるだろうが、今、トキやカワウソ、オオカミについてそう言及できるかは怪しい。

 ジュゴン問題はまだ火がついていないが、火がつくと大変なことになるということだ。
 まあ、そこまでして海兵隊にヨイショして、辺野古を作らなければならない理由も分からない。

 別に海兵隊は必要でもない。安全保障上、沖縄に米軍は置いておきたいというのはわかる。中国と直接対峙する正面である。また、日米が望む台湾宙ぶらりん状態を維持するためにも必要である。日米には、台湾が新中国にくっつかないように邪魔する必要※もある。ただし、それが海兵隊である必要はない。抑止力(あるいは中国海軍力封じ込め)であれば嘉手納の米空軍と米海軍航空部隊で十分である。

 そして、海兵隊は嫌われている。なるほど、犯罪発生率は陸海空軍と変わらないかもしれない。しかし、歴史的記憶が強すぎる。また、海兵隊は沖縄をショバと勘違いしている。時折、自分たちが取った島、降伏させた国だという本心が見え隠れするのである。「ビンのフタ」発言がいい例だろう。

 海兵隊は、どっかに国外に引っ越して貰ったほうがよい。フィリピンあたりに押し付けられればいいのだが、思いやり予算に依存体質の米軍はそれを飲まない。海兵隊も贅沢したいので日本国外に行きたがらない問題もある。一番悪いのは、それを安全保障云々で甘やかすことだろう。正直、海兵隊よりも艦隊と航空部隊を送ってくれといえばいいのだけれどもね。



※ もちろん、台湾人がどう考えているなんてことは関係ない。今のところは自由と独立を愛する台湾人が多く、それを支援するという大義名分がある。だが、経済的利益から新中国に合流したい台湾人が増えたとしても、結局は安全保障上からは邪魔をしたいことは代わりもない。

※※ 海兵隊の兵隊はねえ、なんつーか機械じみているんだよねえ。相手が士官ってだけで安全太郎みたいな敬礼するのがアレだった。そして、相手が上級者でなければ、日本政府職員でも馬鹿にしたような行動をする。
 現場で、海兵隊の下士官兵が露骨に非協力的になるので、一回背広の上を1尉階級章つけた海自ジャンパーに変えて仕事したことがあるよ。相手の中隊長が大尉だったから覿面だったが、同時に「なんだかなー」とも思った。
 米海軍や米空軍ではもっと打ち解けるし、協力的なんだけどね。

※※※ 県知事も次の選挙ヤバイんじゃないのかね。日本政府と戦うことで政治的パワーを得ていたあたり、沖縄知事は、蒋介石と同じでしょ。埋立免許を与えたことで、そのパワーを大きく失うわけです。KMTの支持しかない蒋介石が脆いように、LDPの支持しかないガバナーも厳しいんじゃないかとね。
2014.01
19
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17:51
Category : 未分類
 弾庫で思いだしたが、武器庫に似たものについての相談も受けたことがある。

 ひとつは、◯◯においてある小規模基地の火薬保管庫整備。そこには弾庫がないので、一般家庭同様に、弾薬は800発しか保管できない。だから簡易な火薬庫を整備してくれというもの。

 簡易な火薬庫は知事許可なので、都道府県に話に行ったらすぐに許可の取り方を教えてくれた。ロッカー程度でいいということなのだが「じゃあ己の家の弾薬ロッカーで、何故800発しか保管できないのか」といいたくなったよ。まあ、保管しても600発だけどね。

 もう一つは音楽隊からの要求。横須賀音楽隊なのだが、木質の楽器を保存する保管室を作りたいといわれた。「こっちから(サボりも兼ねて)行くからいいよ」と言ったのだが、先方が恐縮して、三浦半島の反対側から准尉サンか先任が見えて相談をしていった。時間調整でお茶でも飲んでいて、その案内なのか、人事にいた音楽員曹長さん(割りとよく一緒にOP当直に立っていた)も一緒。ついでだから座って行きなさいよと話を聞くのだがね。まあ、どっちもどうしていいものやら分からない。

 一般的な「相場がないよね」というと、「他所でもないですね」という。民間での保管庫のカタログかなにかというと、楽器が多すぎるのであんな指物程度じゃ収まらないとのいう。じゃ「温湿度を一定にする」とか「日光が当たらない」とかそういった条件調べてというと、人事の曹長さんが「まー、あたしらチンドン屋なんで、そこのあたりはよくわからんですねえ」とのこと。

 まあ、曹長さんにはいろいろお世話になっていたこともあった。だから「じゃ、博物館の保管庫と同じ条件で、適当にドガチャがした数字を見つけるからあとは、配置場所と間取りのポンチ絵と、楽器数とポンチ絵と必要性を書いてくれ」といった。ポンチ絵があればこっちで作図する。設備とかの引き回しもこっちで勝手に書く。(どうせそのとおりには出来ない) という話になった。

 で、音楽隊のオトッツァン、これで木管の武器庫ができると喜んでいるのだが。それで勘違いされても困る。「できるのは要求資料だけ、あとは隊長からプッシュしないと絵に買いた餅、具体的にどう困るかを針小棒大にして極端に伝えさせろ」と、己と人事の曹長さんから2プラトーン攻撃を掛けといた。ついでに音楽隊の地面持ちの教育隊司令にも泣きつけとね。



 そいや、幹部候補生学校の武器庫、どうみても昔の便所だろうと思っていたのだが、結局調べようと思って調べていないことを思い出した。いつも小銃とトンプソンの2丁持ちで往復したことを思い出すよ。小銃の正規番号は忘れたが、テプラで貼った非正規の小銃番号84番だった。
2014.01
19
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17:27
Category : ミリタリー
 どこぞの航空基地で、弾庫を整備したいという相談を受けたことがある。

 航空装備から機雷を入れる弾庫で困っているという話なのだが、どう困っているのかを具体的に説明できない。それが出来ないとこのような点で困るというストーリーを作らんといけないのだがね。

 で、言われたのが「機雷が雨水に濡れて壊れる」。実際に雨水に晒せば壊れるんだろうけども、理由にはならないと思ったよ。



 まあ、今から思えば機雷缶だけを別に保管すればいいと思うんだけどね。機雷は、モノによっては使うまで炸薬は別保管というタイプもある。炸薬(と信管)を別にすればタダの容器なので、火取法の制約は受けないだろう。そうすれば、どこで保管してもいいと思うのだけれども。
2014.01
18
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12:00
Category : 未分類
 役人の作るスローガンほどわけのわからないものもない。オリンピック関連では、文科省の「夢ビジョン2020」とやらが、具体的にどうして欲しいのかが全然わからない。『オリンピックの感動に触れる。私が変わる。社会が変わる。』とは何者かね。

 もともと役人の作る標語にはろくなものはない。埼玉県の警察だといきなり「0102運動」とか書いてあるが、あれは何を言いたいのか全然わからない好例である。そのたぐいには例に暇はない。

 オリンピック関係でも役人は訳の分からない標語だかスローガンだかをつくろうとしている。それが「夢ビジョン2020」である。その訳のわからなさは、PDFを見れば一目だろう。エディトリアルというか、タイポグラフィー的に、何が主張したいのかが全然分からない。

 ただし、やりたいことはわかりやすい。要はオリンピックに金を使わせろというものだ。
●メダル最多獲得(ロンドンから倍増の80!)
●世界水準のトレーニング施設。オリンピックツーリズム
「夢ビジョン2020」(文科省,2014.1.14)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/01/__icsFiles/afieldfile/2014/01/17/1343297_01_2_1.pdfより
金メダルの獲得数で「感動に触れる。私が変わる。社会が変わる」ので、だから金を突っ込むと言っているわけだ。

 今どき金メダルの数を競ってどうするというのか。旧ソ連や東ドイツのように金メダルごときで国威が発揚されるという頭なのだろう。確かに、ソ連も東独も金メダルは量産したかもしれないが、政治はアレで、経済は無茶苦茶になり、結局滅びた国である。その真似をしようといいだすのも、今更な話である。

 それのために世界水準のトレーニング施設を作るというのだが、どう考えてもその金は別に使ったほうがよい。文部科学行政でナショナル・トレーニング・センターの類を作る金があれば、私学補助金なり奨学金に回したほうがよほど気も効いている。

 そもそも、世界水準のトレーニング施設を作ったところで、体罰によるトレーニングでは意味は無いだろう。世界水準云々するなら、柔道にも金を渡すのだろうが、あの柔道に金を呉れてやることは国民感情に反するだろう。まずは私されるのがいいところではないか。

 そんなに金メダルが欲しいなら、もっと直截的な方法を取ればいい。文科省が所掌している国体のやり方を導入すればいいだろう。国体では常に開催県が優勝していたという。その方法は選手の開催県への輸入だったという。同じように、金メダルが欲しいなら、海外から金メダル選手を輸入したほうが速いし確実だと思うが、如何か。
2014.01
17
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Category : 未分類
 原因は泥沼の日華事変にある。それで国際地位は低下し、オリンピックもできなくなった。それをオリンピックをやめたから国際地位が低下したというのは、頭の悪い人間を騙す言い方に過ぎない。

 読売「脱原発、五輪返上論…細川氏発言に関係者困惑」だが、要は原発再稼動したい、オリンピックで税金でうるおいたいサイドの泣き言にすぎない。

 そもそも、文部官僚のいうことなどアテにならない。彼らはオリンピックで利益だけを得られる立場にある。国帑を溝に捨てるような東京五輪であっても賞賛する立場にある。真面目に聞く話ではない。

 その官僚が、オリンピックをやらないと日本の国際地位が低下するとかマヌケを言っている。
文部科学省幹部は「五輪返上となれば、国際的な信用を失い、東京では当面開催できなくなる」と懸念する。実際、1940年に開催を予定していた東京五輪は、日本が日中戦争を理由に辞退し、日本の国際的地位を低下させたという痛恨の歴史がある。
「脱原発、五輪返上論…細川氏発言に関係者困惑」『YOMIURI ONLINE』(読売新聞,2014.1.17)http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20140117-OYT1T00170.htm
日本は発展途上国ではない。オリンピックを突っ返したところで現実的には何の痛痒もない。喪うと言われる国際地位とは、金メダルの数で示されるようなどうでもいい地位に過ぎない。

 オリンピックをなくせば、無駄遣いは相当に減らせる。そもそも、スポーツ関連支出は無駄遣いそのものである。新国立競技場やナショナル・トレーニング・センターは、経世済民の役には全く立たない。

 この点でも、記事では主客が転倒している。オリンピックがなくなるとスポーツ予算が無駄になるのではない。もともと無駄遣いである255億円を確保したいために、オリンピックを必要としている点が問題なのである。
さらに、2020年五輪に合わせた新国立競技場やパラリンピック選手用のナショナルトレーニングセンターの建設構想などの全面的な見直しも不可避となる。政府の14年度予算案は過去最大の255億円のスポーツ関連予算を計上したが、「五輪がなくなれば、『無駄遣いだ』と批判されかねない」との声もある。
同上


 原発再稼動も、オリンピックも、国の金を使って、一部のセクターを儲けさせようというものにすぎない。どちらも経済的に割に合わないことは目に見えている。その負目を国民に負わせて、儲けだけを配分するほうが問題である。



 まあ、細川にやらせればいいんじゃないのかね。細川も、隠遁20年のあとだし、老い先ある面でもない。生き恥晒すこともしないだろ、まあ社稷のために死ねるわけだから、脱原発で東京都長官やらせてもいい。

 死に花を咲かせるいい機会だとおもうよ。アンサンレジュームに堕した安倍以下右派しかいない自民党への面当てと、バックラッシュそのものだった石原-猪瀬の方針を元に戻せば、在職中に死んでも満足だろうよ。
2014.01
17
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12:00
Category : 昭和の新聞
 昭和24年の新聞で見つけたのだが「降伏四周年・マ元帥声明」が、まあ占領終わった後の事を考えていない。朝鮮戦争前であるものの、そろそろ対日講和という話も出始めた時期なのに、頭のなかはフィリピンや日本の総督のままなのだろう。

 件の記事は1949年9月2日の朝日新聞(朝刊)1面である。今から見ると、いろいろ示唆深い内容になっている。特に「中共との貿易は空論に近い」や「アジアにキリスト教の理想」は、先を見込んでいない雰囲気がある。

 破竹の勢いであった中国共産党を「共産主義であるから」出先代表であるマ元帥が機械的に敵扱いしていたことは、今から見ると悪手であっただろう。「中共との貿易は空論に近い」理由としては、基本は「共産主義は敵であり、嫌いだから」といった個人的な好き嫌い程度のものだ。しかし、時期的に新中国成立(9月末)の寸前である。既に国府には力はない。大陸の代表者になる政権を相手に、敵扱いは妥当ではない。そもそも、翌年の朝鮮戦争までは新中国は宿命的な敵ではなかったし、国府も絶対守るべき味方ではなかった。

 また、一方的な拒絶で大陸との交易を将来的に難しくするのも、先を見ていない発言だろう。政治体制はなんであれ、大陸の資源にアクセスできないのは経済的に大損である。だから、日本人も共産党支配領域、のちの新中国と交易をしようと考えたのである。日本人の不利益は知ったことではないだろうが。アメリカとしても新中国との交易が出来ないのは、のちから見ると問題だろう。

 キリスト教云々も、のちの失敗を示唆する価値観の表明である。これはマ元帥だけの問題ではない。結局、アメリカのアジア政策はキリスト教価値観で大失敗している。具体的には、朝鮮(当時)の首班に李承晩を送り、任命はフランスであるが、南ベトナムのゴ・ディン・ジェムを支援した理由が、このキリスト教価値観である。結局は、アジアでの政策も、バナナ共和国としての中南米や、フィリピン統治の延長しかなく、キリスト教的価値観の要求、従順な指導者、国民、従属経済が欲しい程度の頭だったのだろう。

 ただ、それを露骨に述べるのは、GHQの親玉としても妥当ではない。マ元帥は
キリスト教の理想がアジアに進出する機会を誂えた占領軍の文化の新運に対するこの上なく大きな功績
「降伏四周年・マ元帥声明」『朝日新聞』(朝日新聞,1949.9.2)朝刊,p.1
と述べている。まずは被占領国やそこの有力者、国民の心情を汲んだものではない。

 このあたりの発言を見ると、後に解任されるのも妥当に見える。結局、頭はフィリピン総督マ元帥のつもりで日本総督になったのだろうが、朝鮮戦争以降、日本の重要性が高まると、将来的に関係を損ね、極東諸国に余計な摩擦を起こしかねない尊大な総督は要らないということか。
2014.01
16
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12:00
Category : エネルギー
 外貨が流出するから原発を動かすというのは、ボルビックを禁止して水道水飲めというようなものか。エルメスその他のブランド品に費やす外貨が無駄なので、国産品を使えというものと同じではないか。

 甘利経済再生大臣の記者会見で、いまどき外貨保護のようなことを言い、だから原発動かせというようなことを示唆している。
(問)国際収支についてお伺いしたいのですけれども、今日発表された11月の国際収支で、過去最大の赤字となりました。大きな要因としては、円安によるエネルギー関係の輸入額が膨らんだことと、輸出がなかなか円安にもかかわらず思ったほど伸びてこないことかと思われますけれども、大臣としては今回の過去最大の赤字という結果についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

(答)これは今までも申し上げてきましたけれども、これからも注意が必要だと思います。貿易収支、経常収支、国際収支、どれも基本は貿易収支の黒字で、その貿易立国の原点が今若干揺らいでいるわけであります。最大の原因は原発全停止による代替エネルギーの輸入、この輸入に円安が拍車をかけているということになります。そして、御指摘の通り、円安で輸出環境がよくなっているにもかかわらず、思ったほどスピーディに輸出が拡大していかない。もちろん輸入の増と輸出の増の関係にはタイムラグがあることは御案内の通りであります。
「甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月14日」(内閣府,2014.1.14)
http://www.cao.go.jp/minister/1212_a_amari/kaiken/2014/0114kaiken.html

 甘利大臣は「貿易収支、経常収支、国際収支、どれも基本は貿易[ママ]収支の黒字で、[今回の赤字により]その貿易立国の原点が今若干揺らいでいる」と、当世ではなかなか聞かなくなった外貨獲得方針を日本の方針だと主張したあとで、今回の赤字の「最大の原因は原発全停止による代替エネルギーの輸入」にあると述べている。

 しかし、これは二重におかしいのではないか。

 貿易立国とは、輸出立国ではない。海外に競争力のあるもの、価値のあるものを売るのと同じように、優れたもの、安いものがあれば海外から買う国である。そこで冬前に燃料需要が増え、原油高や為替で短期的に収支が赤字(9月までは黒字)になったからといっても、日本の経済基盤が傾いたわけではない。

 そして収支に悪いから特定品目の輸入をやめさせようというのも、おかしい。 収支が悪いので、特定品目の輸入をやめるというのは、昔の保護貿易と同じではないか。これは、昭和30年に外貨獲得だけを目的として、贅沢品輸入に規制をかけていた昔に帰ろうというものだ。当時は、外国製エアコンやゴルフクラブは輸入禁止だった。

 それをやるなら、天然ガス・原油以外にも収支を悪くするものはある、それも禁止すればよい。たかが電気を作るのに高価な天然ガス云々という意見があるが、それならたかが水を飲むのにボルビックやエビアンを買う必要はない。国民は水道水飲めといえばよい。エルメスの革細工を買う必要もない、ナイロンのバリバリ財布でも同じである。BMWベンツVWを買う意味もない。カローラかサニーで十分妥当である。そういうのと変わらない。国際収支云々を口にして、◯◯立国が揺らいでいるというのなら、そこまで主張すればよいだろう。

 そもそも、なんでそこまで原発を動かしたいか分からない。電力会社がソロバンづくで原発を動かしたいのは分かるが、なんで政治がそれに付和雷同するのかが分からない。かつてのように、潜在的な核兵器開発能力云々は意味もない。日本は既に膨大な量のプルトニウムを持っている。他には、リスクだけでメリットはない。まずは金でも貰っているのでなければ説明もつかない。

 電力会社もわざわざ高い燃料を買っている疑惑がある。総括原価方式とやらで、電気代が高ければ高いほど電力会社がトクをする仕組になっている。今どき国内炭を購入したり、海外炭も過剰に高品質炭を買っているという話もある。それで原価が高くなれば、利益も大きくできるというカラクリからだろう。原子力も同じ伝で、原価を高くできるからやったという話もある。

 電力所要で国際収支云々を言うなら、そのコストカットをやらせたほうがいい。別に日本で電力を作る必要はない。夏のロシアには電力が余っている。夏季にはロシアから電力を買ってもよい。天然ガスも余っている。サハリンからパイプラインを引くなり、サハリンに日本の発電所を作るなりすれば、冬でも日本に安価に安定供給できるだろう。



※ 「甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月14日」(内閣府,2014.1.14)http://www.cao.go.jp/minister/1212_a_amari/kaiken/2014/0114kaiken.html
2014.01
15
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Category : 未分類
 阿多田島は幹部自衛官には懐かしい名前で、練習船実習で江田島出入の際に始終目標にする島なのだが。そこで「おおすみ」と遊漁船が衝突した、船長さんとお客さんが心肺停止という。(午前11時半の段階)毎日新聞「海自艦衝突:4人乗り釣り船と 2人が心肺停止 広島県沖」

 まだ、状況は全く分からないので何とも言えない。

 だが「おおすみ」側には航海日誌と海図は保全させたほうがよい。事故後に、海自は航海日誌と海図を弄るクセがあるが、これは何の利益も産まない。事故究明に触ることはもちろんである。さらに、隠蔽で不都合を隠せるはずの海自隊員側の防御にも、差し障りがある。このため、どう考えても刑事的には無辜の隊員が長期間の訴訟でつらい目にあっている。

 改竄が裏目に出た例も実際にある。刑事訴訟になった例では、艦艇側の航海日誌と海図が改竄されたため、被告側の防御が難しくなった。傍目に、どうみても刑事責任にはならないのだが、無理矢理な告訴も改竄の結果らしい。そもそも改竄の跡が残る資料では、裁判でも信頼できる資料とはならない。

 海自には、改竄クセがあり、それは航海日誌や海図でも変わらない。入港時に漁網を切ったことを隠すために、その場で航跡を消して、日誌も矛盾しないように改ざんする。艦艇幹部はその話を堂々とする。出来のいい准曹士が自主的にサッサと航跡を消して改ざんしたと自慢気に話すような話は、何人かの同期相当から聞いた。ちなみに同期は己が周辺対策や漁協と近いのを知っているから、その手の話は己にはしない。

 漁民も気づいていて、場合によれば夜間でも漁協側も陸上レーダでプロットした記録をもっている。それを見せてくれたりする。

 だが、海自はその場所を通過していないと航海日誌と海図の航跡でシラを切る。

 漁協は、主張してもくたびれ公事になるのでそれ以上は争わないだけである。切った瞬間を抑えて追尾して海保を呼ぶか、その写真でも取らないかぎりは言うだけ無駄だと知っている。だから不満を抱えつつそれで矛を収める。

 そして、艦艇はこの程度で「上手く誤魔化せた」と自画自賛するのだろう。

 しかし、重大事故は漁網を切った程度では済まない。真面目に調べれば矛盾はいくらでも出てくる。海自部内ではメイキングという言葉がある。偽装改竄の類を指す言葉だが、所詮、実務は海曹士がやる。割と雑なので、結構な不自然はある。そこから徹底的に調べればすぐに矛盾は判明する。重大事故ではそれをやる。

 この辺りを強調して、小賢しい改竄※ はやめろと部内にいえばいいがそれをしない。また、そう説明したところで、実際には現場は今まで大丈夫だったから今回も大丈夫とか、先任がそうしろというからそうするような話になる。それが世間にバレると大変なことになるのだが、本人たちは艦内の狭い世界に生きているので、そこまで考えない。

 今回の「おおすみ」の件でも、現場が余計なことをする可能性がある。場合によれば同じ艦橋にいる当直士官も知らない可能性があるが、それを予め確認し、やったならやったと先手を打って公表しないと、海自への信頼を大きく損ねる結果になるだろう。



※ 本当に隠したいことなら、それをそのままにして、周りに大穴を開けたほうがよい。例えば、不都合なものが写っている写真でもそのままにして、別項目の証拠写真をゴッソリ落としてデータ紛失として、現場調査をさせるようなやり方しかないだろう。
2014.01
14
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Category : 未分類
 冬コミあとがきだけど、時期ものなんで転載します




 全くクリフハンガーです。『ゴールデンタイム』に夢中ですが、興味持続のため、毎話最後を宙吊りにするクリフハンガーは古典的な手法です。しかし、いいように弄ばれるのも情けない限りです。でも、最終カットがリンダと万里の写真、それを手にした香子となると、次回の波乱に期待をしてしまいます。今も次回が気になって仕方がありません。

 対して、艦これもアニメ版IS もお歯があいません。萌えとメカと戦闘は混ぜないほうがいい。

 艦これの類は、擬人化が平板にすぎます。個艦のイメージからの性格付けも単純です。ヒネリもない定型的な反応だけ、どうも耐えられません。

 アニメ版IS も同じです。定型的な外国人像で作られたヒロインを並べて、定型的な言動反応しかしません。英国人の作る料理が不味いとする話をよく作れたものです。製作も読者もドイツ人に対する理解が戦争マシーン、ブロッケンJr なのは失笑です。

 アニメ版のIS は、客層に受ける要素を揃えるだけした。発展方向も、ファン層がもつメカと鉄砲と女の子への興味、お嬢様、ツンデレ、元気、不思議系といった、全ての萌要素を揃えることに汲々とするだけです。実際に2 期をみても、5 人のヒロイン達で何かの物語を作るより、更識姉妹といった違う要素を組み込むことに努力するだけです。

 ドンパチを物語の山場と勘違いしてもいます。ロボットモドキでドンパチやってもクライマックスにはなりません。それまでのドラマツルギーがないのですから盛り上がるわけもない。だからアニメ版ISの後半は見ていて苦痛になるのです。

 なぜ原作から不出来なIS 学園編を選んだか怪訝です。IS 学園編はヒロイン山田真耶の物語のついでです。どうして本編『六十四の瞳』をやらないのか。

 初任教諭、山田真耶と学生の成長を描いた明るい前編と、10 年後にある落差の後編は最高でした。前編は気弱な巨乳だけが取り柄の新任オナゴ教師、山田真耶に萌える話ですが、背景には生徒たちの成長にあわせて真耶も強くなり、そして生徒との紐帯も強くなっていく様子が丁寧に描かれています。

 そして後編です。10年後、教育委員会勤務となった真耶は、卒業生の進路調査の仕事に従事します。世間知らずの真耶は、初めて学園の外にある残酷な
現実に初めて向き合うのです。

 「進路でIS を希望する女の子は20 万、IS 専門学校枠は2 万人。だがIS 操縦者資格は世界で2000だけ、さらに世界にあるIS の数は200、IS で食べられるプロの椅子の数は200 しかない…」から始まる千冬主任の説明は、現実世界での「夢を現実」系の厳しさを情け容赦なく突きつけます。そして、卒業生へのインタビューがはじまるのです。

 早くに夢を諦めたものは、平穏な暮らしを送っています。才能からIS を諦め家業についた、のほほんさんは安定した暮らしを続けています。

 200 の枠に入れた者も幸せです。コネで地位を得た箒や、香港出身者への差別隠蔽として席を得た鈴音は成功者です。ドロップアウトした一夏を見下す態度、言動は、上昇した女の傲慢そのものです。

 プロは落命しても手篤い。簪は戦死したが扶助で立派な墓が建っている。しかし「簪は私より出世するとばかり言ってました、戦死昇任でも本望でしょう」と繰返すだけの楯無には悲しいものがあります。

 最終段階で淘汰された者は悲惨です。すでに方向転換できない段階だったシャルロットは、他の職業につく技能も経験もありません。できる仕事はブラックな仕事しかない。軽蔑されるアキバのリトグラフ販売業、その実態はデート商法に身を持ち崩して日銭を稼ぐ毎日です。

 しかし、最も残酷なのは、パイロットになれてもプロになれなかったセシリアでしょう。資格は得たものの、IS の仕事は殆どない。しかし、その誇り、麻薬のようなやりがいからセリシアは逃げられない。浪費癖と実家の没落もあり、セックスワーカーに身を落とす。しかしプライドは捨てられない。インタビューはわざわざ母国にもどり、同情する表情の真耶に「わたくし街娼や労働者向けではありません、社交界でも名誉を認められたコーティザン、高級娼婦ですの」と去勢を張る悲しさです。

 セリシアやシャルの姿は、声優、将棋、音楽という夢を食い物にする教育産業への皮肉です。プロでク食えるのは一握りだけ、それ以外は塵芥と捨てられ、中途半端に残るものには地獄が待っている。

 『六十四の瞳』は、強化失敗で失明したラウラが失意から立直り、鍼按業で人を救う側に転じ社会に居場所を見つける感動の物語と言われがちですが、本質は「夢を現実」系の現代残酷物語です。その残酷さを描いたルポとして評価されるべきでしょう。


「上野広小路で立ってなかった?」(一夏)
著者兼編集兼発行人

文谷 数重 
2014.01
13
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20:38
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 「がれき専用列車、最終便が到着 都の受け入れ処理」の記事に限ったものではないのだけれども。

 がれき=瓦礫って、燃えないもんじゃないのかね。「大火事のあとには瓦礫しか残らなかった」みたいな言い方が本来で、焼却場で燃えるものは、瓦礫じゃなくて木材や可燃性建材の類ではないかと思うのだけども。災害で家屋が倒壊したあとに残るもの=がれき、ってような風潮になったわけだ。瓦礫の本義はともかく、家屋の成れの果てという意味なのだろう。

 ある意味で、缶と似ているかもしれない。缶はもともと甕の一種で、瀬戸物の容器なのだが、CANに引きづられて金属製の缶になった。最初は知恵物が「罐」(やかんのカン)をCANに当て字したのだが、書くのがメンドイので缶とした。ちなみに、缶には「カン」のよみは本来はない。今の中国語でfou3であり、日本語では中国古代音に引っ張られた「ほとぎ」(一応「音読み」なのかね?)である。しかし、今、缶といえばカンとしか読まない。本義から離れて、自販機で飲料を売るときの容器しか思い出さないようなものか。
2014.01
13
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19:10
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 防災は言い出せばカネになるのだが、その中身は精査されない。特に消防が言い出すそれは無駄が多い。前にも書いたが、緩降機やら非常用シュータは全く役に立たない。防災センターの教育もピントが外れている。そもそも消防による指導は確固たる法的根拠を持たないものが多い。結局、消防関連は巨大な利権団体に成り下がっているわけだ。

 火災用の緩降機や非常用シュータを使った例があるのだろうか? 緩降機とは、ヒモをゆっくり繰り出す機械で、ベルトで体を縛ってゆっくり降りるものだ。(これ) 非常用シュータは、小中学校の避難訓練で展示した、火災脱出用のトンネル袋である。(これがわかりやすい)両者とも、実際の火災で使ったという話も、有効だったという話も聞かない。

 そもそも、建築基準法サイドでの防火対策が充実している。このため、火災時脱出用のはしごの類は全く存在価値を失っている。例えば、非常脱出設備を要求されるような建築物では、階段そのものは不燃であることが要求されている。建物の大きさによっては二方向以上の避難経路が要求され、どの部屋からも40m以内に階段にたどり着けるようになっている。そもそも、建築部分は不燃あるいは難燃である。非常用脱出器具を使う前に、通常の経路で避難したほうが速い。

 防災センター要員教育等も、ピントがズレている。ビルごとに必要になる防災センター勤務員は、消防で教育を受けることになっている。東京なら秋葉原(あと立川と池袋)の消防署で教育を受けるのだが、これが噴飯である。

 己も当時は3佐くんだりで実務なんかやらんのだが、予算消化で行ったのだが酷いものだった。だれでも知っている基本的な事を教える部分はまだいい。ただ、電気火災や油火災への対応やら、実際の防火訓練の指導法は?が多い。小規模な油なら水で消える。消火器使用法も、どうでもいいことばかりを教えて指揮を取ることを教えない、というか教えられない。その後に大規模震災対処やNBC防護の話は、まあ担当者として聞けばどうしようもない内容だった。空調停止とか全く教えない。そもそも化学兵器と生物兵器の区別がついていない。

 一番ひどいのは、消防検査をはじめとする、行政指導である。建築での建築確認(対官庁では「計画通知」になる)や完成検査は、いろいろ言われるが納得できないことはない。建築主事の主張はあやふやではない。根拠法規を明確に示し、それに対して抗弁もできる。しかし、消防指導は、人によっていうことが変わる。根拠法規を示せといっても示せず、通例だという。その先に公文で尋ねると折れるか切れるかのどちらかである。だいたい、消防は来ないくせに文句を言う。硫黄島でも消防は散々言う。「じゃあ火事になったら来てくれるのか」というと黙るらしいが。

 消防とその周辺は、碌なものではないということだ。

 だいたい、家が燃えなくなっているので消防には仕事が無い。50年60年の昔は茅葺き屋根や、南京下見のような木造外壁があり、障子や襖といった造作は燃えやすく、その上、屋内で木炭や石炭を使っていた。だから火事も多かった。しかし、屋根が瓦葺となり、外壁もガリバニや窯系素材で不燃になった。屋内も天井材は不燃になり、カーテンやソファーも難燃である。そもそも屋内では火を使わなくなった。IHではまず火事は起きない。ガスも出火時にはバルブが締まる。

 消防は暇なものだから、予防消防で暇つぶしをして余計なことを言う。あるいは、天下りで余計な規制を作ることに汲々としている。家庭用火災報知機はその最たるものだ。まず、今の一般家庭からは出火しない。仮に出火しても、住んでいれば気づく。火災報知機があっても住んでいなければ気づかない。そんなものを1ヶ1万円也で強制するのが、今の消防である。

 消防はある意味、警察よりも性質が悪い。消防には、警察に対するルサンチマンが強い。戦前には消防は警察の一部であったが、警察官ではなかった。しかし、刀を吊ろうとかマヌケなことばかりやっていた。警察のように活躍したい、デカイ顔がしたいという願望がある。それが噴き出て迷惑を掛けるのが、上で述べた非常脱出設備であり、防災センター教育であり、消防指導である。あまり真面目に取り合わない方がよい。
2014.01
12
CM:13
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05:35
Category : 未分類
 JSFさんはな、ぎなた読みが好きならしい。"a very senior general"を「とても上級大将です」と訳して何の違和感もないようだ。

 JSFさんは、それに気づかず、例によって恥を晒している。
JSF@にゃんぱすー‏@obiekt_JP
この襲撃で南スーダン政府軍の「senior army general」が戦死したとBBCの記事にあるんだけど、これは上級大将という意味で本当にいいんだろうか。訳す以上はそうなるんだけど・・・
2014年1月11日 - 9:36
https://twitter.com/obiekt_JP/status/422059531120545794
これは「取材中に待伏せ攻撃されたよ」程度の埋め記事"South Sudan: Under attack outside Bor"※ についての言及である。

 しかし、JSFさんの言う上級大将はどこにも出てこない。『senior army general』(JSF)の単語もない。

 ただ、"a very senior general"「高位の将官」は出てくる。まあ、ぎなた読みすれば、文字のつながりでは"a very””senior general"になる。つまりJSFさんは「『とても上級大将』という南スーダン軍の官名です」と主張していることになるが、御本人が「訳す以上はそうなる」といっているので、仕方がない。

 記事の中味からするとホントに将官かね?という疑問も湧く。モノホンの「高位の将官」がコンボイの護衛に出るものかね。さらに、記事には"generals"なんて、複数形ものも出てくる。
 まあ南スーダンもできたばっかの国で、政府軍と行っても各指揮官は自称将官達で、その親玉程度が"a very senior general"の実態じゃないの。アレだ、中隊長(自称将官)の上の大隊長(中でもエライ将官)ってあたりではないか。

 普通は、そのあたりの疑問は湧くものだが、全く気づかすに、機械的に「政府軍の上級大将」だとか言い出すJSFさんも、見識は相当にトンチンカンであることが伺える。※※

 中小後進国では、General,Admiralの階級は未分化な事が多い。Senior Generalだから上級大将という階級とみなすのは、そのあたりもご存じない。そもそも、英語なら普通はColonel Generalだろう。

 そのうち"7th Fleet,Admiral 某"といった表現を、JSFさんは「海軍元帥某」とか、ぎなた読みで間違えてくれるだろう。普段の会話表現だと、階級にVICEとかREARみたいな限定する表現はつけない。実際に、少佐はルテナンつけないで「コマンダー」と呼びかけるんだが、そのあたりも知らんだろう。



※ "South Sudan: Under attack outside Bor"(BBC,2014.1.6)http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-25627361

※※ スーダンはズーッと英植民地で、英植民地系の軍隊に上級大将とか上級大佐はないもんだと思わないのかねえ。アレはドイツ系かソ連系のよほど強い影響がなければ作らない階級で、軍事顧問団受け入れた程度じゃつくらない。

※※※ いやあ、人の揚げ足を取るのは楽しい。他人様には普段できないことだからねえ。まあ、他人の揚げ足を取るなら、自分が取られても文句もないでしょ。自業自得だ。そもそも、JSFさんとは好き勝手いう関係で、相互主義だからねえ。


オマケ(午前10時10分追加)
 知り合いから教えてもらえたけど、グーグル自動翻訳で、記事の先頭ですらない紹介文読むとそうなるんだそうだ。
 http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-25684317を自動翻訳させると、そこにあった" a senior army general."について「劇的な映像はBBCのカメラクルーは、上級陸軍大将を殺し待ち伏せに巻き込まれた瞬間を示しています。」になる。
 アレだ、見出しですらない紹介文だけを自動翻訳して、本文を全く読まないのがJSFさんってことですね。
2014.01
11
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13:42
Category : 中国
 今の政権は、対中包囲網やらという幻想に深入りし過ぎではないかね。そもそも中国と対立を選択する国は、日本くらいしかない。そこで頑張ったところで、インドあたりに手だまに取られて、孤立するのがオチではないか。場合によれば「日本一国だけの対中包囲網」になるのではないか。

 中国と対立を選択する国はない。

 米国は中国との通商を重視している。安全保障では敵であるが、経済的には仲間である。そして、現今の情勢では中国との安全保障の問題は全く重視する必要はない。経済問題に比べれば、オマケである。米国で対中強硬論を言う人々を見ても、共和党系の一部だけで、まったく力を持っていない。

 東アジア、東南アジアで対立的な選択肢をとる国もない。東アジアで、それなりの力の規模を持つ台湾や韓国も対中融和である。東南アジアでは、対中融和ではない国はない。マレーシアとブルネイが安全保障の分野で警戒しているものの、経済的利益があるので対立までする気はない。あのベトナムでも基本は対中融和である。今、フィリピンは対中対峙をしているが、熱しやすい国なのですぐに方向転換する。そもそも、フィリピンは全くアテにならない。

 南アジアでも、軍事的に対立しているインドにしても、経済的には中国と融和的であり、対立する気はない。シン首相は対中融和派である。日本の首相が来るとリップサービスをするが、それで利益を得られるのでそう言うだけの話だ。そもそも、インドは掌返しが多いので、何を行ってもアテにならない。

 この状況で、日本だけ全面的な対中対立を選択していい事はあるのだろうか? 東アジアは世界経済の成長エンジンである。そこの政治的安定に水を差すなと、世界中に怒られるだろう。

 実際に、アメリカには嫌味を言われている。毎日新聞「日米議連:米側『経済重視を』」が、それだ。
 日米国会議員連盟の中曽根弘文会長らが10日、首都ワシントンで、米政府関係者らとの意見交換を総括する記者会見を開いた。議連側が安倍晋三首相の靖国神社参拝は「不戦の誓いが目的だ」と説明したのに対し、「米側から踏み込んでくる人はいなかった」とし、一定の理解が得られたとの認識を示した。ただ、経済発展を望む声が多かったといい、経済重視路線に戻ることを求める米側の考えがにじんだ。
毎日新聞「日米議連:米側『経済重視を』」(毎日新聞,2014.1.11)http://mainichi.jp/select/news/20140111k0000e030204000c.html


 一番まずいのは、日本が疎外される構図になることだ。嫌味を言われるくらいならまだ良い。しかし、ボッチになってしまうのは避けなければならない。

 その危機はある、中国がAPECに台湾代表を招き、習近平と馬英九が会談する事態がそれだ。中国がやる気になれば、2014年のAPECに馬英九が来る可能性はある。2014年のAPECは中国がホストである。そして、首脳会議でありながら、これまでAPECに台湾指導者を呼ばないのは中国の抗議があってのことである。この点は、野島剛「習近平と馬英九は会うのか会わないのか」に詳しい。※※

 中国は台湾との関係改善を示すことにより、日本の孤立化を印象づけられる。最初に述べたように、両岸関係は対立的ではない。そもそも、中国と台湾には、人も金も自由に往来している。互いの指導者が(野島さんによれば、互いの立場も台湾地区指導者と大陸指導者で調整する話があるらしい)会うことに、政治的な障害はない。

 それをされると、日本は面目を喪う。特に今回の靖国社参拝と絡められて、頑なのは日本だけということになるだろう。





※ 正月に宴会やるんで、靖国社で参拝がてら待ち合わせしたのだけれども。
 大村益次郎の銅像って革命戦士の像だよなあと。毛沢東とか安重根とか金日成あたりと同じじゃないかね。ホセ・リサールとか孫文はもっと上のレベルの人物だし。
 待ち合わせ中に「長州神社の部分は違和感あるよね」という話になった。確かに遊就館の長州征伐の展示も?なわけだ。
 やっぱ、適当な儀式で革命戦士の墓と、長州神社の部分、あとは昭和受難者の皆さんを分離して引っ越してもらったほうがいいんじゃないのかねえ。
 行き過ぎた保守や神社側は神様を外す操作は無いとか行っているけど、神道にそこまでの典礼もそれを禁ずるまでのドクトリンもないから、柔軟にやればいいんじゃない。祝詞みても「美味しいもの一杯用意したから、お互い分離してよ」って言えるよ。
 戦後には、今日では、靖国社は戦死した息子に会いに来るとか、あったことのない父に会いに行く場所であって、党派により政治利用していい場所じゃないね。


※※ 野島剛「習近平と馬英九は会うのか会わないのか」『東亜』(霞山会,2013.12)pp.6-7.
2014.01
10
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12:00
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 連続してZAKZAKからだけどね。

 オマーンに民主主義ってあったのかね? 八木秀次さんが「成果を挙げつつある安倍首相の外交戦」を掲載しているのだが。
 安倍晋三首相は1月中旬にエチオピア、モザンビーク、コートジボワールのアフリカ3カ国を訪問する。直前に中東のオマーンにも立ち寄る。[中略]
「価値観外交」とも呼ばれる外交戦略を展開するためだ。
 「自由」「民主主義」「法の支配」「基本的人権」「市場経済」という普遍的価値を共有できる諸国との連携を深める
「成果を挙げつつある安倍首相の外交戦略」http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140106/plt1401061533003-n1.htm
とある。

 しかし、オマーンには民主主義以下はない。中東に残る専制君主制であって、選挙はコントロールされ、人権や法の支配は怪しい。政党や結社、街頭での政治行動も禁止されている。八木さんの主張する通り「『自由』『民主主義』『法の支配』『基本的人権』『市場経済』という普遍的価値を共有できる」国だろうか?

 もちろん、天然ガスと石油の前にはオマーンの専制体制なぞは些細な問題である。生きるためにはエネルギー資源が要る。それを売ってくれる国なら、ありがたく買わせてもらう立場にある。サウジもそうだが、現体制がアレでも、天然ガス原油を売ってくれるなら、表面上は仲良くしておかなければならない。

 だが、それに気づかず、自由と民主主義と浮かれるのは、何も見えていない証拠だろう。現宰相の外遊は、国内での行き詰まりから現実逃避するための「実績作り」に過ぎない。自由と民主主義と遠い中東・アフリカに行ってインフラの一つも売ろうという話を、よりによって「価値観外交」であり、「自由と民主主義の大切さを再確認する」ものであるとする美談は、贔屓の引き倒しだろう。

 現宰相は、この手のお友達を要職につけて悦に入っている。政治的なスタンスというよりも、反サヨク的感覚の結末として安倍首相を支持する右曲がりのダンディを公職につけて自分に対して喝采させている。岡目にみれば間抜けな戯画である。

 たとえば、八木さんは教育再生実行会議に首相とのお友達パワーで、よりによって有識者として入り込んでいる。

 同様に宰相のお友達の百田尚樹さんは同じようにNHKの経営委員になりおおせている。

 桜井よしこさんが、中教審の教育制度分科会委員になっているのも同じ伝である。

 言いようによっては「保守系人脈」かもしれないが、中身は幇間まがいである。お友達というよりも、世間知らずの金持ち息子に群がる追従者が正しい表現だろう。幇間は傍から見ていると見苦しいまでのヨイショをするが、旦那はその不自然に気づかないという。これは世間知らずの金持ちボンボンと幇間といった構図や、その傍から見れば顔を顰めるほどの安倍首相奉賛、それを真面目に評価して「保守系人脈」として重用する盆暗な三代目といった絵図に完全一致するものである。




八木秀次「成果を挙げつつある安倍首相の外交戦」『ZAKZAK』(産経新聞,2014.1.7)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140106/plt1401061533003-n1.htm
2014.01
09
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12:00
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 ZAKZAKに脇の甘い記事を発見した。「高市氏×山谷氏 ルール無視の中国へどう対応?『日米の連携は重要に』」 ※だが、まあ神がかり右派の、しかも女同士の話なので脇が甘い。批判的に読まれるだろうとは考えていないのだろう。

 一番ひどいのは「安部首相がビルマに行ったから、日ビ関係は大きく改善した」というもの。これは、2011年末にビルマが方向転換したことを全く無視している。

具体的にはこれだ
 山谷氏「実際、かなり多くの国が『中国のやり方は問題だ』と思っています。安倍首相が就任後25カ国を訪問して、共感を広げてきた成果は大きい。例えば、ミャンマーは2年前、海上自衛隊の艦船の寄港を拒否しました。経済などで中国に依存していましたから。安倍政権になって、ミャンマーとの外交関係を再構築し、ODA(政府開発援助)も復活させました。テイン・セン大統領は『海上自衛隊の寄港を歓迎する』と言っています。たった1年でガラリと風景が変わったのです」
「高市氏×山谷氏 ルール無視の中国へどう対応?『日米の連携は重要に』」http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140109/plt1401090727001-n1.htm
ここには、2011年末のビルマ外交方針転換は全く言及されていない。また、参考までに言えばビルマ自身は一言も『中国のやり方は問題だ』と言っていない。

 ビルマは、安倍首相の外交や訪問で日本に靡いたわけではない。ビルマが方向転換したのは米外交の結果であり、西側に靡いたのである。具体的には2011年末にあったクリントンのビルマ訪問で、ビルマはそれまでの中国従属から、西側との関係改善に大きく動いた。

 しかし、ビルマは中国と決別したわけではない。西側との関係改善をしながら、中国との関係も壊さないようにしている。どちらにせよ、ビルマの方針はソロバンずくなものだ。発達のためには西側マネーが欲しいから、民主化に柔軟な方針を示し、関係改善をしただけの話である。同じように中国マネーが欲しいビルマが中国との関係遮断をするわけはない。もちろん『中国のやり方は問題だ』(高市)のような発言は全くない。

 このような前提条件を全部無視して、安倍外交風情でビルマが日本に靡いたとするのは、夜郎自大である。安倍外交とやらでやっているのはバラマキと原発のたぐいのヒモ付き援助、両国首脳同士の選挙対策にすぎない。米国が関係改善をしたあとのビルマに行ったことを示して、安部首相が靡かせたとするのは詐術である。

 そもそも、艦隊の寄港やその拒否も中身をよく見ていない。ビルマに寄港拒否されたのは実戦部隊、対機雷戦部隊であり、寄港を歓迎されたのは親善部隊、練習艦隊である。尖閣でホットになっている日本艦隊の実戦部隊について、中国との関係を配慮して、実戦部隊の寄港を遠慮してもらう話と、どこの国からも文句がでない練習艦隊の寄港を歓迎する話について、高市さんは区別していない。

 このあたり、相当に脇が甘い。ZAKZAKで支持者しか読まないから喇叭を吹いてもいいだろうという頭なのだろうが、やはり女の浅知恵なのだろう。このオバサン二人については、本当に読みたいのは、その本丸は宗教雑誌や集会での座談会なのだが、そちらは現物をなかなか目にする機会がない。まあ、靖国神社の講演録や崇敬会のパンフみたいに相当アレ発言しているはずなのだが。



※ 「高市氏×山谷氏 ルール無視の中国へどう対応?『日米の連携は重要に』」『ZAKZAK』(産経新聞,2014.1.9)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140109/plt1401090727001-n1.htm
2014.01
08
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12:00
Category : ミリタリー
 「ドクトリンを研鑽すれば必ず勝てる」という意見を見かけたのだが、それは「神信心があれば敵の矢弾は当たらない」と同じではないか。

 ここ10年ほどドクトリンという単語を振り回す例が増えた。ドクトリンが優れいている方が戦争に勝つというような、よくわからない主張もよく見る。

 しかし、ドクトリンとは「勝つためにはこうしろ」という、内面の統制にすぎない。トップが定めた、勝つ状況をイメージして、そのようにすれば勝てるという思想統制である。トップがそのドクトリンとやらを強調し、底辺まで普及させるのは、トップが「自分達のイメージの通り動かせば勝てる」という確信を持っているだけの話である。

 そもそも、ドクトリンの本義は、宗教での「教義」であって、自然科学での「法則」ではない。ローマン・カソリック・ドクトリンみたいな使い方が本来である。

 その伝からすれば「ドクトリンを研鑽する=勝てる」という主張は「信心が篤ければ神の国に入れる」「信仰心を高めれば神の国に近づく」と主張することに等しい。

 ドクトリンを研鑽すれば勝てない戦が勝てるようになるわけでもない。小国が超大国と戦争する例を考えればわかりやすいだろう。勝つためにはこの方法しかないとトップが考え、全軍にその思想を浸潤させ、その通りに動かしたとしても、戦争に勝てるとは限らない。

 まずは、宗教的な発想にすぎる。相手があることに、努力すれば勝てるという主張が不思議であることに気づくべきだろう。高校野球でもオリンピックでも、正しい指導方針を打ちたて、それを心底信じ、研鑽すれば必ず勝てるだろうか? そういうことだ。
2014.01
08
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 先の記事「中国新型潜水艦039Cには、燃料電池AIPを搭載している?」であげた想像図ですが、ネット上で見つからないので『鏡報』から批評、研究のため法で認められた範囲で引用します。

 3D図とは、これのことです。
039C想像図
 梁天仞「国産第二代AIP潜艇曝光」『鏡報』438(香港,鏡報文化企業有限公司,2012.1)p.63 より

 この図は、やはりマニアの願望が結実した中身でしょう。繰り返しますが、構造と性能におかしな点があります。

 まず、構造的に奇妙です。

 上の想像図は、潜水艦の耐圧船殻と外殻が一緒くたになっています。潜水艦の外見を覆うのは、整流を目的とした外殻です。その中に円柱形の耐圧船殻があるのですが、この図ではそれが区別されていません。

 また、超音速対艦ミサイル、YJ-83のVLSセルが取り付けられています。今のところVLS発射型の存在は知られていませんが、確かに作る気になれば作れるでしょう。しかし、このVLS配置はありません。これでは発令所から機関部へのアクセスが閉ざされています。

 特にVLSの部分は、マニアの願望の投影です。新型潜水艦には最強の兵器が搭載されているべきだという願望が、VLSを書き込んませたと見るべきです。仮に実際に積むなら、VLS区画の部分について耐圧船殻を延長する(そうすると、全長は64mでは済まない)、その両側に発射筒をつけるのが現実的でしょう。

 3D想像図に付された性能と、ディーゼル装備は矛盾しています。想像図のキャプションではAIPで「水中24節/250海里」と、24ktで10.5時間すっ飛ばせるとか「6節/3000海里」6ktで3000nmといった数字が並んでいる。まず、その数字が怪しいがそれはさておきましょう。同時に「通気管状態:続航力6節/12000海里」とあるのは、現実的ではありませんる。

 水中6ktで3000マイルも航走できるAIPがあるなら、わざわざディーゼルエンジンや補機、燃料はつけないからです。それほど高性能な燃料電池AIPなら、ディーゼルや軽油タンクの部分もAIP燃料に充てて、AIPだけで水中6kt/15000nmを達成するでしょう。

 前の記事を繰り返しますが、039C型そのものは登場しても不思議はありません。また、そこに新型の燃料電池AIPを搭載している可能性もあります。ですが、この想像図のような構造、性能とディーゼル装備の矛盾は、現実的ではなく、マニア願望の投影の結果と見るべきでしょう。
2014.01
07
CM:1
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22:20
Category : ミリタリー
 新中国での報道では、知っているけど正規で書けないので、推測記事にするような例は多い。さらにそれを香港に流して「香港報道によると」と出来レースをやる例も多い。

 香港誌『鏡報』1月号に「国産第二代AIP潜艇曝光」※ といった推測記事がある。梁天仞さんの記事だが、元級の発達型と呼ぶべき新型潜水艦が出たといった内容になっている。

 この記事は、真実を伝える出来レース記事の可能性がある。(もちろん完全な推測で、スカ記事の可能性もある)梁さんの記事は「新中国でのインターネット情報によると」という推測記事の体になっている。

 梁さんは「039Cとでも呼ぶべきスターリング方式AIP潜水艦が登場した」と述べている。

 梁さんによると、元型として知られる039A以降には、今まで2つのサブタイプがある。スターリングエンジンを本格搭載した5番艦以降が039AG「改元級」であり、さらに外殻を改良して26ktだせるようにしたのが039B「新元級」である、と述べている。

 そして、新型の039Cが登場したとしている。梁さんによれば「今までの039Bからさらにセイル形状を改め、中国国産の燃料電池AIPを搭載したタイプと推測される(大意)」といった内容になっている。本当ならば超元級とでも呼ぶのだろうか。

 ただし、このあたりが全部本当であるかどうかは分からない。

 まず新型であるという証拠は、ネット上のセイル基部形状の写真しかない。バージニア級に倣って立ち上がりにアールがついた感じなのだが、これで新型艦であるとまで言い切るのは、難しいだろう。

 さらに、燃料電池式の新型AIP云々については「新型艦だからスゲー、最強」といった願望である可能性も高い。

 国産新兵器については、推測に願望は混じるものである。日本の戦車崇拝者がいい例だが、巨視的に見れば90式と大差ない10式を万邦無比の新戦車であり、90式では戦争に負けるが、10式では負けないといった珍妙な理屈を振るっていた。F-2とF-16でも似たような願望の走出もあったことは、ご存知のとおりである。

 中国の兵器マニアも、同じようなものだろう。梁さんの記事によるとまず、セイル基部の形が違うだけで、新型と断じ、新型ど断じただけで、それで日米に勝てるようなことを述べている。

 梁さんの記事で引用された3D想像図でも、マニアの願望が結実した中身になっている。
 まず、構造的に奇妙である。3D想像図は、潜水艦の耐圧船殻と外殻の区別がついていない。さらに、セイル後方に耐圧船殻と辻褄の合わないYJ-83のVLSセルを密集して書き込んでおり、しかも発令所から機関部へのアクセスが閉ざされているのである。

 3D想像図に付された性能も、理屈から奇妙な数字になっている。ネット想像図のキャプションではAIPで「水中24節/250海里」と、24ktで10.5時間すっ飛ばせるとか「6節/3000海里」6ktで3000nmといった数字が並んでいる。まず、その数字が怪しいがそれはさておく。同時に「通気管状態:続航力6節/12000海里」とあるのが不思議である。

 水中6ktで3000マイルも航走できるAIPがありがら、わざわざついでにディーゼルや補機、燃料をつけるだろうか? それほど高性能な燃料電池AIPなら、ディーゼルや軽油タンクの部分もAIP燃料に充てて、AIPだけで水中6kt/15000nmを達成するだろう。

 もちろん、梁さんが紹介した潜水艦が、実際に第二世代AIPを搭載している可能性もある。最初に述べたように、新中国での報道では、知っているけど正規で書けないので、香港に流して「香港記事によると」と出来レースをやった可能性もあるのである。第二世代AIPを搭載している証拠を出せないから「セイルの形状が違うだろ」とやっていても不思議もない。

 実際に、梁さんは新型弾道弾搭載通常潜水艦、清型の存在をスクープしている。だから、一概にある程度の高性能燃料電池AIPの存在も否定できないのである。

 ただし、その話を聞いて喜んだ中国にもいる国産兵器崇拝者が作った図や性能推測は、あきらかにオカシイと切って捨ててよい。



※ 梁天仞「国産第二代AIP潜艇曝光」『鏡報』438(香港,鏡報文化企業有限公司,2012.1)pp.63-64.
  なお、『鏡報』は新中国系メディアであり、意図して情報をリリースするにはちょうどいい媒体である

※※ 1日発売なので、多分その中身がつたわったのが、年末年始の039C関係の報道ではないのかね?