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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2015.12
31
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01:47
Category : 未分類
3日目(31日:木曜日) 東 ポ 16a 隅田金属です

 新刊 ドイツ対豪機雷戦 (第一次・第二次大戦) 599円
 新刊 機雷の神様 垂直磁気感応          199円

2015冬コミとパンフ

…今気づいたけどパンフの表紙「垂直磁気感応機雷」だね。今更治すの無理だけど

あと旧刊を5種類くらいです
2015.12
30
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TB:0
01:55
Category : 未分類
新刊できました

新刊完成

3日目(31日:木曜日) 東 ポ 16a
隅田金属です
2015.12
28
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13:16
Category : 未分類
全く何も書かないののナンなので。

冬コミ同人の進捗状況は、目下原稿の推敲中です。図版はそこそこ用意しているので、今日中にPDFを作ってコンビニで印刷できるでしょう。火水で製本し、空いた時間に垂直感応機雷のパンフがつくれるかといったあたり。まあ、ドイツ対豪機雷戦の本はまず出るということです。当日自動車事故を起こさなければ大丈夫でしょう。

ダメだったら「かわいそうなかな子」か「諸星きらりは菩薩である」でごまかそうと思っていましたよ。

後者なんかオリジナルを読んだことないけど、なんとなく2時間でデッチ上げできると思った。自ら仏になるのではなく衆乗の救済を求める姿はまさに菩薩であるとか、劇中や同人展開を含めての生きることに苦しむPを救う件の御利生とか、ササ菩薩みたいなどうでもいい話とかで4000字は書けると思った。行数が余れば「杏の存在は維摩詰に相当する」とかで脱線させればいいし。

ちなみに冬コミは
・3日目(31日:木曜日) 東 ポ 16a です
です
2015.12
22
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18:23
Category : 未分類
 東洋経済オンラインに「南氷洋での調査捕鯨は、百害あって一利なし オーストラリアとの同盟強化のほうが重要」を書かせてもらいました。軍事研究の翌年売り分と、JAPAN IN DEPTHの新年分も納品しましたので、あとは同人ということです。


 今回の表紙です。色がキツイのはCMYKからRGBへの変換でアレなだけです。ホンモノは鮮やかで淡い感じに調整します

 フォトショでCMYKのpsdデータを作って、イラレでシンボル入れてaiにして、インデザで文字入れてinddにしたやつです。本番はそれを家のカラーレーザで135kgの紙に焼きますが、下のサンプル画像はEPS出力をJPGにして、その時にCMYKをRGBにしたのでで色がちょっと変です。

 まあ、本文は一文字も書いてないですけど構造はできているので当日までには上がるでしょう。今晩中に「まえがき」と「あとがき」がかければ、あとはオマケみたいなもんなので完成したようなもんです。

2015冬コミ表紙の見本


 その上で余裕があれば垂直磁気感応機雷のパンフ作ろうかと思っています。
2015.12
20
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TB:0
16:51
Category : 未分類
 ドイツの連邦公文書館の収蔵写真って、利用自由ではないんだよね。

 ブンデスアーヒーフ(Bundesarchiv)というものがある。発音は「ぢぬんをぐろぐろ」かもしれないけど、なんせ独語は20年前に学部でやったきりだから勘弁して欲しい。

 だが、収蔵の写真の利用許可は面倒で、webで見られるサンプル写真についても著作権上の複製権は放棄されていない。だからそこで見つけても、商業利用はなかなかできるものではない。もちろん、これはコミケの同人誌での利用も同じだ。

 で、ある萌えミリイラスト集の予告には、そこのwebページで見つけた覚えがある白黒写真が使われている。あの面倒くさい連邦公文書館との交渉をよくぞやったものだと感心する次第だ。フランスの武官や国防省もそうだったが、英語で送ると後回しにされる。企画の責任者は、ドイツ語が達者なのだろう。

 だがね、写真に出展が提示されていない。通常、公文書館等の利用許可には、写真で出処を提示するようにと示されるものだ。それがないというのはどんなものか。巻末に一連を提示するにしても、写真にアスタリスクや米印をつけておかないのは不思議なものだ。

 また、写真のサイズも不思議である。利用許可が出ればリサイズされたデータではなく、オリジナルのデータにアクセスできる。35ミリフィルムをスキャンしたものなら、最低でも3000×2000にはなるはずだ。それなら350dpiでも8×6センチ近くまでイケる。だが、見本の写真はどうみても3×5センチ程度でしかない。もしかしたら、通信回線がISDNかなにかで巨大なオリジナルをダウンロードできないから、サンプルデータをそのまま焼いたのかもね。

 もちろん、著作権はクリアしているはずだから、邪推はしないよ。ただ、昔の戦車雑誌なんかだと勝手に使った例もある。もちろんいまどきない話である。また、世間には旧軍写真等について、ヤフオクにかかった奴のサンプル画像を拾って、それに収蔵印をつけてネットで提示する例があるという。実際に無断利用したらそれに近いか、それ以上に悪質ではないかね。まあ、商売人ならばそんなことをするはずもないけどね。



 まー、DDRをソ連の重圧から市民を守る存在というのもね。『ドイツ民主共和国領土内におけるソヴィエト軍の暫定的駐留に関連する諸問題に関するソヴィエト社会主義共和国連邦政府およびドイツ民主共和国の協定』を見る限り、連中はソ連と交渉できる立場ではないし、実際にはほっとくと崩れる人工国家を維持することに汲々としている。ポーランドの政府、軍隊、党、教会、連帯と勘違いしているのではないかなあと思うよ。もしかしたら日本外務省欧亜局の翻訳や解釈が間違えているのかもしれないけどね。

 なによりも、西独をかつての同胞だなんて考えていない。冷戦期でも同じドイツで、同じドイツ人と考えていたはずなんだがね。その辺り自信を持って言い切る根拠があるんだろう。まあ「ぢぬんをぐろぐろ」レベルの己にはわからないことだ。
2015.12
16
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11:52
Category : 未分類
 姓名判断ほど胡散臭いものもない。漢字の画数で人生が影響するなら西欧人はみんな同じ運命をたどるのだろうか?

 笹原宏之先生が姓名判断の奇妙さについて言及している。幽霊漢字を見つけた人で、大学院の時に講義をとっていた。

 集英社の『kotoba』最新号の記事「漢字は変わり続ける」がそれ。

 漢字の画数は時期や地域、気分で変わる。並行して使われる異体字や俗字もある。考えてみても、そもそも大元が象形文字なのだからオリジナルに画数も書き順もあるはずもない。

 それを姓名判断にしたのも昭和初期の話に過ぎない。熊崎健翁が始めたものだ。だが、ひとこと「そもそも統計すら取っていないだろう」と一刀両断している。確かに姓名判断には有名な人の名前を挙げ、素晴らしい画数の組み合わせとしているが「この組み合わせにすればホニャララ能力。ホニャララ運があがる」といった話はない。

 その点で血液占いにも劣るものではないかね。血液型では、キチンと血液型と性格をこじつけている。その血液型の時の有名人を探して、そのグループに共通するだろうイメージを考えだして提示している。

 姓名判断にはそれはない。易経を元にしたものとはされているが、その画数組み合わせではどのような運命が待っているかを提示できないし、運なしの人を集めて共通する組み合わせもみつけだすこともできない。

 まー、本当に画数で人生が決まるなら、非漢字圏の人たちはどうなるのかだけどね。インドや韓国を含む各種のアルファベット文化圏の人たちには運不運は存在しないということになるのではないかな?

 あと、欧州には使える名前が決まっていた時期もある。聖書に出てくる名前しかだめといったものだ。その国であれば人名と運命の相関関係がとれるかもしれない。まあ、運命の測定がアレだけど、人口中のその名前と、宝くじの当選者名とか、第一次世界大戦での戦死者の数の統計取ればいいんじゃないのかね。

 ただ一つ言えるのは、珍名は目立つので人間関係の圧力から一部に集まる現象とかはあるかもしれない。学校なんかでも目立って、成績上位に入ると注目されるようになり、それで頑張るといった負のフィードバックにはいるから、東大合格者とか博士号の取得者には珍名が多いかもしれない。



 ほかに記事の中でおもしろいのは、渋谷の「渋」の四点チョンチョンは「スクランブル交差点」といったイメージを出した例があるというやつかね。

 塁や摂に共通する部分だが、あれは繰り返しの省略。昔は森、品、晶みたいな三段重ねでもつかっていたが、戦後は標準の漢字の制定と、活字文字の規範化でなくなった。

 今、全くつかっていないのは「州」の字か。あれは「力」を三段重ねにして、下の二つをチョンチョンにしたものは明治期海軍文書や斎藤実文書で結構読んだ覚えがある。



*   笹原宏之「漢字は変わり続ける」『kotoba』(集英社,2015.12)pp.176-179.
**  先生が面白いのは「漢字検定不祥事のあと、立てなおしで協会に入ったのだけど、まあ意味のない検定だよね」というもの。
    日本語と漢字の研究者の目から見て、使わない用例を覚えさせるとか無駄、そもそもその組織だけとか
    一人だけでしか使っていない用法がある。それを問題に出してもクイズでしかないといったもの。
    己の商売だと軍事関係の◯◯検定もおなじようなもんで金儲けのクイズにすぎないよねえと。
    毒も薬もない戦史検定もそうだけど、防衛調達知識検定なんて予決令の解説本買って読んどけといったものでしかない
2015.12
09
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12:29
Category : 未分類
 防衛省の説明を鵜呑み、コピペしているだけなのだろう。

 産経、石鍋圭さんの「海自「あきづき」型護衛艦 イージス艦に匹敵する防空能力有する艦隊防空の要 南シナ海で米海軍と共同訓練も」記事での「あきづき」型評はそう見える。

 「イージス艦に匹敵する防空能力の高さ」(石鍋)と述べているが、なぜそう判断しているのかは書かず、記者がそう理解しているかは怪しい。そういうのも
対空ミサイルには発展型シースパロー(ESSM)を採用。水上打撃力に優れる主砲Mk41VLSから発射される。魚雷発射管や魚雷防御装置、高性能20ミリ機関砲なども備える。
と列挙しているあたりから、「あきづき」や護衛艦そのものについて調べていない雰囲気が疑われるためだ。

 「水上打撃力に優れる主砲Mk41VLSから発射される。」(石鍋)は、主砲の5インチ砲Mk45と垂直発射装置のMk41を混同している。そして両者とも特に水上打撃力に優れているわけではない。

 もちろん、聞き間違え書き間違え程度のレベルである。

 だが聞き間違いなら、広報あたりから聞きかじったことを確認せず、そのまま引き写している点で品質に問題がある。(これは「フェーズアレイ・レーダー」(石鍋)といった表記のあたりからも伺える)

 そうではなく、書き間違えや推敲段階での混乱なら「水上打撃力に優れる」と評している部分や「あきづき」型で特に優れていない「魚雷発射管」以下の列挙部分を残す点で、本質がわかっていない。

 このあたりからみると、その防空能力評も自身で導き出した、あるいは本当にそのように理解して書いているかも怪しく見える。実際の記述をみても
あきづき型の特徴は、イージス艦に匹敵する防空能力の高さにある。イージス艦が北朝鮮などの弾道ミサイル攻撃の警戒に当たっているような状況下では、航空機や潜水艦などによる攻撃への備えが手薄になる。あきづき型はその弱点を補完すべく、護衛隊群の防空機能を担う。

とある。だが、これは「あきづき」型の要求段階で高級化させる理由として使ったものであり、現状では異なっている。実際にイージス・システムは後の改修によって弾道弾警戒中でも航空機や潜水艦に対処できるようになったためだ。

 このあたりも、海自に無難なことだけをいわれ、それを批判的に読み解かず、そのまま丸飲みで信じて記事にしているように見える。そもそも産経の記事で政府方針、特に治安維持や安全保障に対して批評的な検討を与えている形跡はない。名前と数量以外はアテにならない公式発表をそのまま転載しているようでは、ただのスピーカーでしかない。その中身も聞いた中身から劣化しているようではスピーカーとしても性能が不足している。
2015.12
08
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15:34
Category : 未分類
 銃砲弾の国産を守れと言い出すのは、日本の養蚕を守れというような時代遅れである。佐藤正久さんは「防衛産業を守れ」といって銃砲弾の生産ラインまでも防衛予算で保護しろと主張しているが、それは農林族がいまさら「日本農業を守れ」といって養蚕までも国家が保護しろといいだすようなものだ。

 佐藤正久さんが「国防議連: 防衛生産・技術基盤を守れ!」と訴えている。だが、その内実はまったくそれだ。国産弾薬を守れといっているが、情緒的なものにすぎない。いまさら養蚕、コンニャク芋、テンサイを完全国産しろといいだす時代錯誤に過ぎない。

 佐藤さんは、ダイキンと日本工機に落ちる弾薬購入費の削減を憂いている。
実際、陸上自衛隊の「弾薬購入費」は、平成26年度と平成28年度予算案を比べると、2年間で30%減少することが見込まれています。金額にして200億円です。
http://ameblo.jp/satomasahisa/entry-12102721321.html[レイアウト上から改行を除いた]
2年間で30%もの予算が減らされるということは、こうした企業[日本工機]の経営に危機的かつ直接的な打撃を与えます。[中略]ベンダー企業が一社でも撤退・倒産すると、“弾”そのものが製造できなくなるのです。“弾”を自国で造ることもできずに、どのようにして、この国を守るのでしょうか。
同上[改行は省略]


 だが、単純な砲弾や機銃弾を今までどおりに製造してどうするのだろう? 「2年間で30%減少する」(佐藤)、「金額にして200億円」(佐藤)と述べている。つまり陸自はこれまで毎年300億円を弾薬購入にあてていたことになる。そこから3割減、2年で200億の減であればそうなる。

 弾薬には冷戦時代からの莫大なストックがある。自衛隊も他国同様に物持ちはよい。弾薬庫には20榴や15榴から小銃弾・拳銃弾まで60年間積み上げてきた膨大な在庫がある。中には45口径や30-06も含まれている。戦争はやっていないし、平時の訓練でも大した量は撃っていないので在庫は積み上がるだけだ。

 実際に仕舞う場所もないことが問題となっている。一部は口約束で製造側に保管させており会計検査院の指摘を受けている。この状況でさらに弾薬を購入してどうするのだろう?

 この状況で、単純な砲弾・小火器弾薬の調達を減らしても何も起きない。ダイキンや日本工機(あと旭精機)に発注しているのはそのような弾薬だ。

 他社のミサイル、高性能弾薬化は残りの200億/年で相当量を調達できる。また砲弾関係の高性能化は改修でも対応できる。野戦砲であれば既存弾殻と炸薬はそのままにして、別保管であとづけする信管部だけを更新すればよい。榴弾の弾殻や炸薬に技術進歩はない。実際に機雷はそうしている。

 そもそも現状の弾薬製造ラインの維持は、最悪時を想定した戦時弾薬製造に合致しているのだろうか?

 佐藤さんは次のように述べている。
予算が減らされるということは、こうした企業の経営に危機的かつ直接的な打撃を与えます。[中略]熟練工の維持も厳しく、ましてや後進の育成などは手も回りません。先細る一方です。[中略]ベンダー企業が一社でも撤退・倒産すると、“弾”そのものが製造できなくなるのです。
同上[改行は省略]


 野戦用の銃砲弾について「熟練工の維持」(佐藤)ができないと「“弾”そのものが製造できなくなる」(佐藤)体制では、戦時の弾薬生産は覚束ない。少なくともダイキンや日本工機に発注される程度の銃砲弾薬は、規格化された仕様に基づき、自動化された生産ラインで素人が作業しても作れるものでなければならない。熟練工と徒弟的養成を必要とするラインを維持しても仕方はないものだ。

 そもそも単純な製品は輸入でもよい。必要なのは戦時生産用にラインである。その維持費だけを出して、通常使用分の損耗は海外製の購入でも構わない。

 佐藤さんのいう国産弾薬を守れというのは、不要となったものを「維持して無駄遣いしろ」というものだ。他の産業は国際競争に晒されているなかで、防衛産業だけを特別視し、単純な銃砲弾生産まで乳母日傘で守れという。これは防衛関連セクターの利益かもしれないが、国家の利益ではない。

 佐藤さんは兵隊上がりで防衛の専門家を自任しているが、その政策の方向は防衛関連分野を甘やかし、既存の体制を維持しようとするものにすぎない。防衛は防衛でも、組織防衛の専門家なのだろう。
2015.12
04
CM:3
TB:0
13:18
Category : 未分類
 新多用途ヘリそのものは別になんでも構わない。AW101(CH-101)でもS-70(UH-60)でも、それ以外でも構わない。辞退したNH-90でもいいし、売れている話はないがS-92でもよい。実際に米海軍は役務契約でシュペルピューマを使っているが問題はない。

 そのヘリについて特別防衛監察はどのようなものか? もちろん具体的な発表はないので、何かが分かる話ではない。だが、その上で想像すれば その「疑い」として一つ考えられるものとしてはまずは「先に調達する機体を決めて、評価項目を作っている」といったものだ。


■ S-70(UH-60)対AW101(CH-101)か?
 「調達機体の先決め」が問題化する場合、考えられる構図は二つある。

 まずはS-70対AW101の対立である。有力2者の対立であり、1者がもう1者への有利な取り扱いを「不公正」というものだ。もしそうだとすれば、やっていることは推測しやすい。大概は次のとおりとなるだろう。
 
 S-70(UH-60)にしたいなら、最初に配点をそう操作する。輸送力よりも価格や運動性能、既存整備体制との調和についての配点を高めにする。

 AW101(CH-101)にするなら同様に輸送力を優先すればよい。価格や整備体制との調和を後回しにする。

 もちろん、実際にどうなっているかは分からない。上の二つはあくまでも推測である。

 だが、その中でありそうなのは、前者ではないか? 

 なぜなら、UH-60であれば大きな国産利権があるためだ。それで利益を受ける人々、防衛産業や防衛省側の関係者は多い。配慮するとすれば、そちらではないかといった印象はある。

 逆に、CH-101(AW101)を推す勢力はそれほどはない。ほぼノックダウンなので防衛産業にはあまり旨味はない。そもそも欧州系ヘリであって、民生で強いので防衛産業や防衛省側にそれほどの繋がりがない。

 仮にCH-101を推すとすれば組立会社の救済に絡めたものか。ここは陸の新型ヘリも失っている。


■ NH90辞退:検察・検査院・参入障壁対策か?
 問題化について、考えられるもう一つの構図はNH-90の辞退に起因するものだ。

 実際に「なぜユーロコプターを除外されたのか」といった疑問は生まれる。NH-90はAW101と同じ有力候補であった。ランプ付きの輸送型であればS-70(UH-60)よりも有利にある。だが、そこが「不明朗な調達政策」を匂わせて辞退している。

 その理由を防衛省も精査する必要がある。「いま、防衛省が自力でやらないと検察や会計検査院に狙われる」ためだ。両者に踏み込まれたら、ただではすまない。

 あるいは「貿易上での参入障壁の疑いを晴らすためにやる」といった側面も考えられないものではない

 日本の航空装備調達は、欧州から見れば「呼ぶくせに調達しない」ように見える。戦闘機選定ならジャギュア、ビゲン、トーネード、ユーロファイター、練習機ならピラタスのPC-7がそれだ。調達候補のように見せかけて、実際は当て馬扱いにある。

 その辺りを欧州に「不公正な参入障壁がある」といわれないように、予防的にアリバイを作ろうというものかもしれない。


■ あくまでも推測
 いずれにせよ、上記はずべて推測である。現状では、実際にどのような事態があるかわからない。

 そもそも特別監察をしたからといって不適切な手続きや犯罪の事実があるわけではない。特に最後に述べた参入障壁の疑いを晴らすためなら「問題なし」で終わり「監査を受けた事実から今後このように改善する」あたりで終わるかもしれない。

 ただ、監察まで至る理由として考えられるのはこの程度だ。

 わからないものを、わからないなりに考えればそうなる。もちろん、この他にも想像しなかった事態があるのかもしれない。難しい天気でも天気予報屋は「明日の天気は分からない」とはいえない。軍事ライターの商売をしているので「どのような事態が考えられるか」をいわれれば、外れることも覚悟でこのように答える。



* 関東大震災の当日でも中央気象台長(今の気象庁長官)は、職責であり、中央官庁が動いていることを見せるために「天気予報を出せ」と指示を出した。通信が断絶して気団解析できないなか、観天望気で予報を出したという。藤原咲平さんの話だと思っていたら、当時は岡田武松さんが台長だった。
2015.12
03
CM:5
TB:0
13:00
Category : 未分類
 思想的な立場は置いても、産経は記事そのものも質が低い。

 石鍋圭さんの「海自新型掃海艦『あわじ』 世界屈指の機雷除去能力をフルに発揮できる最新鋭FRP艦」は全くそれだ。至る所がヤッツケ仕事となっている。


■ 30年前には2倍の大きさのFRP掃海艇が出現している
 まずは「巨大FRP船、スゲー」といった評点がヤッツケであり、しかもズレている。海自対機雷戦艦艇のFRP化は20-30年遅れである。その遅れにきづかないか、あるいは目をつぶってそう書くあたりが志も質も低い。
 すでに諸外国の海軍ではFRPの採用が進んでいるが、海自では中型掃海艇の「えのしま」型の2隻にとどまっていた。あわじは全長67メートル、基準排水量690トンを誇り、「えのしま」型から約120トン大型化。海自における最大のFRP製の掃海艦となった。


 まず、大したものではないが「えのしま」型は3隻目が就役している。WIKIで同型艦の数を調べれば出ている。外国の退役艦とか、予備状態、不稼動状態の差し引きではない。単純な書き間違えは仕方がないが、ただ新聞記事としてどうか。

 また「海自における最大のFRP製の掃海艦」というのも不思議なものだ。まず、FRP製の掃海艦は「あわじ」1隻しかないのである。掃海艇を含めても「えのしま」型の3隻が加わるだけ。合計4隻の中で120トン大きいだけである。あまりニュースになるような話でもない。

 また「最大のFRP製」もそれほどの褒め言葉でもない。諸外国にはもっと大きなFRP製の掃海艇、例えば30年前に就役した米アベンジャークラスなら排水量ベースで2倍である。本当は世界最大と書きたかったのだが、それができないので「海自における最大」といった変な形容詞をつけたのだろう。


■ GPS連動も30年遅れ
 また、同様に20-30年以上の遅れたGPS連動を褒めるのも、ヤッツケであり、斯界の事情から大きくズレている。
 やえやま型も深度数百メートルレベルでの掃海作業が可能とされたが、あわじはさらにその上をいくという。また、衛星システムとも連動し、機雷や船舶の精密な位置情報の把握も可能だ。


 ちなみに、英仏は80年代には「衛星システムとも連動」した対機雷戦システムを導入しており「機雷や船舶の精密な位置情報の把握」を実現している。これも日本の乗り遅れた点をヨイショしている見当違いである。

 そもそも、機雷戦の先端分野では西欧諸国は日本に先行している。例えば、今ではUSV(無人水上艇)とSSS(サイドスキャンソーナー)を組み合わせ、針路上を先行させた機雷捜索をしており、まず先端システムでは勝てない。そもそも海自も「別に対機雷戦で最先端は追わないで良い」「できたら買うか模倣すればよい」といった頭にある。それなのに「日本スゲー」に持って行こうとするのは、やはり知らないか、不誠実かのどちらかだ。


■ 遠距離展開能力は一言もふれない
 なによりも「あわじ」や掃海艦の特質である遠距離行動能力に触れないのは不思議なものだ。

 対機雷戦は国際貢献としては期待されている。正直言って日本に期待されており、日本も売り物にできるのは東半球での対機雷戦や洋上補給、海賊対処程度しかない。

 その観点があれば「あわじ」の特性として「海外派遣に向く」と言うべきである。石鍋さんは防衛問題の担当している。その立場からすれば気づいて当然である。だが、この記事にはそれがない。*

 もちろん、海自広報はなかなかそうは言えない。「海外派遣でも役に立ちますよ」程度は言えるが、最初からそれを目的としていますよとは言えない。だから今ではあまり意味のない「大深度掃海のためですよ」と言い添える。

 しかし、新聞記事であればそれを指摘するべきである。これも海自広報がそう言わないから記事にできなかったというなら、やはり考えなしに作ったヤッツケ記事と言われても仕方はない。

 まずは、産経が自称している安全保障重視もこの程度のものだ。広報の行ったことをオウム返しにして「自衛隊スゲー」というのが、防衛問題重視だというのだろう。



* ちなみに筆者は今月の『丸』(11月25日発売)で対機雷戦戦力に「本質は海外派遣」、「今後は、『えのしま』はやめて、全部海外派遣に向く『あわじ』にしろ」と書いた。多少は考えて書けば、主張はともかく焦点はそこになる。