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Category : ミリタリー
露語/英語の兵器パンフみたいな奴で発見したのだがね。ソ連・ロシア開発による地表波OTHレーダなのだが、どうも使い勝手が悪そうなもの。
OTHレーダとは、水平線から先まで見通すための超水平線レーダのこと。西側はOTHレーダに電離層反射を利用したため、短波を使うレーダだと考えられやすい。だが、ソ連・ロシアでは別に地表波を利用したレーダも開発した。長波が地面や海面に沿う性質を利用し、それで水平線の先まで探知しようというものである。
地表波OTHレーダ"PODSLINUKH"だが、探知距離が微妙なのが特徴。見つけた資料だと、小型艦(1,000トン以上)で200km、大型艦(7,000トン以上)だと300kmとなっている。探知距離は水平線は超えているものの、極端に長いものではない。もちろん、通常型のレーダであれば、200km先にある水上目標を探知するのは容易ではない。レーダ高も富士山頂程度まで持ちあげなければならない。この点、"PODSLINUKH"レーダは有利かもしれない。
しかし、敵艦隊が距離200kmまで接近されて、それでようやく気づくのでは遅くないか。昭和20年の日本でも、もう少し先まで航空哨戒していた。そこまで接近されて気づいたのでは困るだろう。しかも、艦種もわからない上に、距離はともかく、方位分解能も悪いから、進行方向も速力も直ぐにはわからない。哨戒機を沿岸沿いに飛ばしたほうが余程役に立つだろう。"PODSLINUKH"は哨戒機をバック・アップする立場かもしれないが、有効性はあまり高いものではない。
この"PODSLINUKH"、 ネットでググルと http://www.idelf.ru/en/site.xp/057054048.html?print=1 が出てきた。今となってはEEZ200マイルを監視する用途で売り込もうとしているらしい。だがね、距離15-300km、方位100~120度だと、移動により広範囲を哨戒できる監視機や、実際に取り締りもできるOPVを派出したほうが確実である。
OTHレーダとは、水平線から先まで見通すための超水平線レーダのこと。西側はOTHレーダに電離層反射を利用したため、短波を使うレーダだと考えられやすい。だが、ソ連・ロシアでは別に地表波を利用したレーダも開発した。長波が地面や海面に沿う性質を利用し、それで水平線の先まで探知しようというものである。
地表波OTHレーダ"PODSLINUKH"だが、探知距離が微妙なのが特徴。見つけた資料だと、小型艦(1,000トン以上)で200km、大型艦(7,000トン以上)だと300kmとなっている。探知距離は水平線は超えているものの、極端に長いものではない。もちろん、通常型のレーダであれば、200km先にある水上目標を探知するのは容易ではない。レーダ高も富士山頂程度まで持ちあげなければならない。この点、"PODSLINUKH"レーダは有利かもしれない。
しかし、敵艦隊が距離200kmまで接近されて、それでようやく気づくのでは遅くないか。昭和20年の日本でも、もう少し先まで航空哨戒していた。そこまで接近されて気づいたのでは困るだろう。しかも、艦種もわからない上に、距離はともかく、方位分解能も悪いから、進行方向も速力も直ぐにはわからない。哨戒機を沿岸沿いに飛ばしたほうが余程役に立つだろう。"PODSLINUKH"は哨戒機をバック・アップする立場かもしれないが、有効性はあまり高いものではない。
この"PODSLINUKH"、 ネットでググルと http://www.idelf.ru/en/site.xp/057054048.html?print=1 が出てきた。今となってはEEZ200マイルを監視する用途で売り込もうとしているらしい。だがね、距離15-300km、方位100~120度だと、移動により広範囲を哨戒できる監視機や、実際に取り締りもできるOPVを派出したほうが確実である。
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韓国のLSD、ドクト艦がCIWS配置に欠陥ありとされている。CIWS射界に、甲板に置いたヘリが引っかかるという話だが。特段、大問題があるとも思えない。
まず、基本的にCIWSは艦艇の内側には向かない。対艦ミサイルの類は海側から真っ直ぐに突っ込んでくる。垂直方向に運動したとしても、CIWSは常に外舷側に射撃をする。艦艇側に向けて射撃することはない。
ただしドクト艦では、後部にあるCIWSが内側に向かうこともある。正確に言えば、甲板を跨いで射撃する。後部右舷にあるゴールキーパーは、左舷方向から艦尾方向に向けて射撃をする時、甲板を跨いで射撃をする。そして目標が超低空である場合には、俯角をかける必要がある。この際に、ヘリが駐機されていれば撃ちぬいてしまうかもしれない。
ただ、後部CIWS俯角問題も、射界制限をつければ解決する。艦載砲には射界制限機構がある。上部構造物や甲板を撃ちぬかないようにするものだ。その角度は砲が指向しない、あるいは、その向き、角度であれば射撃ができないようにする仕組になっている。射界制限機構を調整すれば後部CIWS俯角問題は解決する。艦尾ではないが、英国のインビンシブル級、オーシャン級にある艦首CIWSはドクト艦と同じ配置である。だが、射界制限機構により、自艦を射撃するような問題はない。ドクト艦も後部CIWSについて、具体的には、後部CIWSは左舷から艦尾方向にかけて俯角を制限すればよい。
後部CIWS水平面が低すぎ、背の高いヘリが干渉するなら、ヘリ繋止場所を変えればよい。甲板を跨ぐとき、銃身が水平でもヘリに引っかかるならば、後部CIWS射界にヘリを繋止しない。超低空を飛翔する対艦ミサイルを迎撃するには、CIWSは俯角を掛けなければならない。このとき、左舷外舷側や、艦尾ギリギリにあるヘリコプターに干渉するならば、そのヘリをアイランド側に寄せればよい。
繋止中ではなく、離着艦位置へのヘリ移動も問題にするなら、CIWSを変更すれば良い。重くて不便なゴールキーパーを軽量なファランクスに改め、高い位置や艦尾スポンソンに据えればよい。ゴールキーパーは、甲板下に砲塔構造が必要であり重い、このため、高い場所や簡易なスポンソンには載せられない。対して、ファランクスは軽量簡易であり、どこでも載せられる。ファランクスなら新品でも中古でも、容易に調達できるので難しくない。後部CIWSの位置を変更しないのなら、台でもつけてCIWSを嵩上げすればよい。場所を変えても良い。艦尾に簡易なスポンソンでもつけて、そこにファランクスをチョン載せしても解決する。
いずれも大した問題ではない。載せ替えも小改修で済む。筋が悪いのは、ゴールキーパーを選んだ点だろう。威力に眼が眩んで、設置場所を選ぶ重量級CIWSにした結果生まれた問題である。低い位置や、比較的内側に置かざるを得なくなり、今回のような俯角問題や、狭射界といった面倒がおきた。ゴールキーパー普及がイマイチであり、どうしてもファランクスに勝てない理由はここにある。
まず、基本的にCIWSは艦艇の内側には向かない。対艦ミサイルの類は海側から真っ直ぐに突っ込んでくる。垂直方向に運動したとしても、CIWSは常に外舷側に射撃をする。艦艇側に向けて射撃することはない。
ただしドクト艦では、後部にあるCIWSが内側に向かうこともある。正確に言えば、甲板を跨いで射撃する。後部右舷にあるゴールキーパーは、左舷方向から艦尾方向に向けて射撃をする時、甲板を跨いで射撃をする。そして目標が超低空である場合には、俯角をかける必要がある。この際に、ヘリが駐機されていれば撃ちぬいてしまうかもしれない。
ただ、後部CIWS俯角問題も、射界制限をつければ解決する。艦載砲には射界制限機構がある。上部構造物や甲板を撃ちぬかないようにするものだ。その角度は砲が指向しない、あるいは、その向き、角度であれば射撃ができないようにする仕組になっている。射界制限機構を調整すれば後部CIWS俯角問題は解決する。艦尾ではないが、英国のインビンシブル級、オーシャン級にある艦首CIWSはドクト艦と同じ配置である。だが、射界制限機構により、自艦を射撃するような問題はない。ドクト艦も後部CIWSについて、具体的には、後部CIWSは左舷から艦尾方向にかけて俯角を制限すればよい。
後部CIWS水平面が低すぎ、背の高いヘリが干渉するなら、ヘリ繋止場所を変えればよい。甲板を跨ぐとき、銃身が水平でもヘリに引っかかるならば、後部CIWS射界にヘリを繋止しない。超低空を飛翔する対艦ミサイルを迎撃するには、CIWSは俯角を掛けなければならない。このとき、左舷外舷側や、艦尾ギリギリにあるヘリコプターに干渉するならば、そのヘリをアイランド側に寄せればよい。
繋止中ではなく、離着艦位置へのヘリ移動も問題にするなら、CIWSを変更すれば良い。重くて不便なゴールキーパーを軽量なファランクスに改め、高い位置や艦尾スポンソンに据えればよい。ゴールキーパーは、甲板下に砲塔構造が必要であり重い、このため、高い場所や簡易なスポンソンには載せられない。対して、ファランクスは軽量簡易であり、どこでも載せられる。ファランクスなら新品でも中古でも、容易に調達できるので難しくない。後部CIWSの位置を変更しないのなら、台でもつけてCIWSを嵩上げすればよい。場所を変えても良い。艦尾に簡易なスポンソンでもつけて、そこにファランクスをチョン載せしても解決する。
いずれも大した問題ではない。載せ替えも小改修で済む。筋が悪いのは、ゴールキーパーを選んだ点だろう。威力に眼が眩んで、設置場所を選ぶ重量級CIWSにした結果生まれた問題である。低い位置や、比較的内側に置かざるを得なくなり、今回のような俯角問題や、狭射界といった面倒がおきた。ゴールキーパー普及がイマイチであり、どうしてもファランクスに勝てない理由はここにある。
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ロシアは、まともな対機雷戦はできないね。
ロシアの対機雷戦装備はあまりにも古過ぎる。ロシア語/英語で併記されている装備カタログの類を見たのだが。新型艦でもソナーは2世代は前のまま。処分手段は非現実的なものも残る。無人艇もあまり期待できない。
まず、ロシアの対機雷専用ソナーは、あまりにも貧弱なまま。ソーナーには機雷捜索モードだけで、機雷識別モードはない。低周波数で、比較的長距離目標を探知できすはずだが、高い周波数で捜索する英仏ソーナーよりも探知距離は極端に短い。ディスプレイも、黄色っぽい、球面切り取ったような10インチ位のが一個あるだけ。ソーナーを使っても、機雷は見つけやすいとは思えない。乗員も疲労で、あまり長い時間は捜索できない。識別ができないので、UUVの類を出していちいちTVで確認するとしたら手間がかかって仕方がない。昔は照明付きTVカメラを海底近くで曳航するつもりだったようだが、陸岸近くなら、雨でも降れば海底では泥が舞い上がるから使い物にならない、使えないアイデアにすぎない。
処分手段として海底導爆索とかあるが、それでは機雷は処分できない。機雷は結構、爆発に強い。別の機雷との離隔距離は、今のスウェーデン機雷が25m。導爆索の威力では、偶然、乗っかることのできた機雷の感応機構をオシャカにできるかどうかだ。そのような装備を制式化した意図がわからない。上陸海岸にある簡易な水中障害物も、鋼製やコンクリート製は破壊できない。
ロシアの対機雷無人艇も、掃討艇や掃海艇を代替できるものではない。ドイツのゼーフント、スウェーデンのSAMの類で、ゼーフント、SAMと同様に、本格的な対機雷艦艇の仕事はできない。しかも、有効水深は30m以下と記載されている。実際には、内水河川用だろう。
ロシアは、対機雷戦できないとみて良い。ロシアがもつ対機雷戦戦力でできるのは、繋維機雷を繋維掃海する位ではないかね。でも繋維掃海なら、漁船でも、魚雷艇でも、大発・LCUでも、極端に言えば内火艇・モーターランチでもでも可能だからねえ。
ロシアって、対機雷戦をどーするつもりなんかねえ。新型の対機雷戦艦艇を作ったようだけど、中身がどうしようもなければなんの役にも立たない。仏作って魂入れずではないかと。フランス製のソナーでも買えばいいのにと思うよ。対機雷戦ソナーくらいなら、売ってくれるだろうさ。
ロシアの対機雷戦装備はあまりにも古過ぎる。ロシア語/英語で併記されている装備カタログの類を見たのだが。新型艦でもソナーは2世代は前のまま。処分手段は非現実的なものも残る。無人艇もあまり期待できない。
まず、ロシアの対機雷専用ソナーは、あまりにも貧弱なまま。ソーナーには機雷捜索モードだけで、機雷識別モードはない。低周波数で、比較的長距離目標を探知できすはずだが、高い周波数で捜索する英仏ソーナーよりも探知距離は極端に短い。ディスプレイも、黄色っぽい、球面切り取ったような10インチ位のが一個あるだけ。ソーナーを使っても、機雷は見つけやすいとは思えない。乗員も疲労で、あまり長い時間は捜索できない。識別ができないので、UUVの類を出していちいちTVで確認するとしたら手間がかかって仕方がない。昔は照明付きTVカメラを海底近くで曳航するつもりだったようだが、陸岸近くなら、雨でも降れば海底では泥が舞い上がるから使い物にならない、使えないアイデアにすぎない。
処分手段として海底導爆索とかあるが、それでは機雷は処分できない。機雷は結構、爆発に強い。別の機雷との離隔距離は、今のスウェーデン機雷が25m。導爆索の威力では、偶然、乗っかることのできた機雷の感応機構をオシャカにできるかどうかだ。そのような装備を制式化した意図がわからない。上陸海岸にある簡易な水中障害物も、鋼製やコンクリート製は破壊できない。
ロシアの対機雷無人艇も、掃討艇や掃海艇を代替できるものではない。ドイツのゼーフント、スウェーデンのSAMの類で、ゼーフント、SAMと同様に、本格的な対機雷艦艇の仕事はできない。しかも、有効水深は30m以下と記載されている。実際には、内水河川用だろう。
ロシアは、対機雷戦できないとみて良い。ロシアがもつ対機雷戦戦力でできるのは、繋維機雷を繋維掃海する位ではないかね。でも繋維掃海なら、漁船でも、魚雷艇でも、大発・LCUでも、極端に言えば内火艇・モーターランチでもでも可能だからねえ。
ロシアって、対機雷戦をどーするつもりなんかねえ。新型の対機雷戦艦艇を作ったようだけど、中身がどうしようもなければなんの役にも立たない。仏作って魂入れずではないかと。フランス製のソナーでも買えばいいのにと思うよ。対機雷戦ソナーくらいなら、売ってくれるだろうさ。
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海自が要望している新輸送機は、余ったP-3Cを改修すればいいんじゃないのかね。
読売新聞※によれば、海自が中古C-130を買うと言い出した。YS-11輸送タイプ後継としてC-130中古品を6機買うとの由である。
この記事、観測気球ではないのかね。この時期、省庁は要求したい新事業をマスコミに伝える。その反応を見て新事業が持つ可能性を判断する。押せそうか。押せないにしても、下方修正するか、今年は無理と他日を期すか、今後も無理と諦めるか。昔、海自は空中巡洋艦構想を発表した。厚木に10機、那覇に10機と具体的な数字まで出していたが、もちろん後には何も続かなかった。
観測気球であれば、最大に欲張った要求をする。それが、大型機C-130としたところだ。(機数6機は、今まで調達したYS-11と同じ) さすがにC-17は要求していない。海自航空輸送部隊(61空)で、世界中どこでも行ける飛行機では、贅沢だと総スカンを食らって更新そのものが危なくなると踏んだのだろう。アデン湾へ、ジプチまで展開している以上、要求する理由は立つ。海自も、本来ならばC-17なり、767なりをフッカケたい。しかし、過剰要求への反発や、海自が好まない国産機、しかもいつできるかわからないC-2あたりを押し付けられる方向に持って行かれるのを恐い。
YS-11よりも大きく、航続距離が長い飛行機が必要であることは理解できる。しかし、本当にC-130を買う必要はあるのかね。確かに、現有YS-11と同等では困る。YS-11は、実用上では硫黄島で航続距離がギリギリ。南鳥島までは、理論上はいけるが、運用上は到達できない。荷物もあまり積めない。YS-11は、機体側面にある比較的小さな貨物搬入口に入るものしか搭載できない。そもそもコミューターであるので、荷物を積むことには向いていない。
しかし、わざわざC-130を買わなくとも、海自にはYS-11よりも大きく、航続距離も長い航空機が余っている。余剰P-3Cを、輸送型にすればよい。もともとP-3Cは旅客機である。C-130と違い与圧もあり、人員輸送にも向いている。胴体直径も出力もYS-11よりも大きく、航続距離も比較にならないほど長い。荷物を搭載しての南鳥島無給油往復も容易である。フェリー状態であれば、4830nm※※と厚木-サンディエゴ間を直行できる。中途、エンジンを1台停止し、3/4にすれば、充分に到達できる距離である。保安上問題があり、許可されないだろうが、2台停止し2/4とすれば§ジプチまでいけるだろう。
大重量で嵩高な物資は、従来通り空自に依頼すれば良い。大重量で嵩高な物資とは、故障に対応するための航空機予備エンジンやヘリコプター用ローターブレード、格納箱に収められたミサイルや短魚雷、機雷である。調整に時間を要するといった問題を重視する向きがあるかもしれない。しかし、それは本来運用で解決する問題である。「海空自での航空輸送は統幕で統制する」とすれば解決する問題である。
YS-11後継機は、P-3C輸送型で充分である。P-3Cを輸送型としても、ランプがない§§、不整地離着陸能力に欠ける点は不利であるが、海自が行う飛行場間輸送であれば大きな問題ではない。逆に、水上レーダだけでも残しておけば、簡易な哨戒機としても使える。パイロンやラックを残しておけば、対艦攻撃や機雷敷設にも使える。サイドワインダーでもつけておけば、役に立つかはわからないが、輸送中での空対空自衛戦闘もできるだろう。
経費節減だけを考えれば、P-3C輸送型が一番安価である。しかし、防衛省も海幕も役所である。官僚が持つ性向として、安いもので良いとは言わない。常に能力が高いもの、新しいものを欲しがる。既存P-3Cを改造すればいいとは、官僚は最初に言いだすものではない。今は要求でフッカケる段階で、それがC-130を新規導入する話である。P-3C輸送型は、譲歩する段階で出すタマだ。
P-3C輸送型は、実際に出てくる可能性のある話である。ここ20年の、海自への追い風からすればC-130は認められる可能性も高い。しかし今回、観測気球をあげたC-130がダメだったときには、P-3C輸送型も俎上に上がるだろう。C-130以外の輸送機に代替案はない。南鳥島や硫黄島まで往復できる、枯れて、手馴れた輸送機はない。中古C-130と同じ程度のお金で調達できる航空機もそうそうない。価格同程度で新品だと小さい機体になる。それはそれで構わないのだろうが、航続距離が短くなってしまう。また、少数機導入で整備補給に面倒も起きる。それならばP-3Cを改造した方が良いわけである。予算要求で海自は融通無碍である。おそらく、オプションで持っているだろう。
※ 「中古のC130輸送機、海自配備へ…輸送力増強」『YOMIURI ONLINE』(2011年9月6日 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110905-OYT1T01172.htm
※※ Lambert,Mark,Jane's World Aircraft 1994-95 (Jane's Infomation Group,Surrey,1994)p.557
§ もちろん、2/4で飛行した場合にはエンジンが一台止まれば墜ちる。やるとしても非常事態で、通常は許されないだろう。
§§ C-130であれば機雷敷設にも使いやすいのかもしれない。円筒形の機雷なら、貨物室に横に並べて縄で固縛しておく。ランプを開けて、敷設順にナイフか何かで縄切って、蹴飛ばして転がし、投下すればよい。もうすこし上品にやるにしても、貨物室にハマる機雷投下軌条を用意しておけば、C-130は特に改造しなくとも、容易な機雷敷設が可能である。
読売新聞※によれば、海自が中古C-130を買うと言い出した。YS-11輸送タイプ後継としてC-130中古品を6機買うとの由である。
この記事、観測気球ではないのかね。この時期、省庁は要求したい新事業をマスコミに伝える。その反応を見て新事業が持つ可能性を判断する。押せそうか。押せないにしても、下方修正するか、今年は無理と他日を期すか、今後も無理と諦めるか。昔、海自は空中巡洋艦構想を発表した。厚木に10機、那覇に10機と具体的な数字まで出していたが、もちろん後には何も続かなかった。
観測気球であれば、最大に欲張った要求をする。それが、大型機C-130としたところだ。(機数6機は、今まで調達したYS-11と同じ) さすがにC-17は要求していない。海自航空輸送部隊(61空)で、世界中どこでも行ける飛行機では、贅沢だと総スカンを食らって更新そのものが危なくなると踏んだのだろう。アデン湾へ、ジプチまで展開している以上、要求する理由は立つ。海自も、本来ならばC-17なり、767なりをフッカケたい。しかし、過剰要求への反発や、海自が好まない国産機、しかもいつできるかわからないC-2あたりを押し付けられる方向に持って行かれるのを恐い。
YS-11よりも大きく、航続距離が長い飛行機が必要であることは理解できる。しかし、本当にC-130を買う必要はあるのかね。確かに、現有YS-11と同等では困る。YS-11は、実用上では硫黄島で航続距離がギリギリ。南鳥島までは、理論上はいけるが、運用上は到達できない。荷物もあまり積めない。YS-11は、機体側面にある比較的小さな貨物搬入口に入るものしか搭載できない。そもそもコミューターであるので、荷物を積むことには向いていない。
しかし、わざわざC-130を買わなくとも、海自にはYS-11よりも大きく、航続距離も長い航空機が余っている。余剰P-3Cを、輸送型にすればよい。もともとP-3Cは旅客機である。C-130と違い与圧もあり、人員輸送にも向いている。胴体直径も出力もYS-11よりも大きく、航続距離も比較にならないほど長い。荷物を搭載しての南鳥島無給油往復も容易である。フェリー状態であれば、4830nm※※と厚木-サンディエゴ間を直行できる。中途、エンジンを1台停止し、3/4にすれば、充分に到達できる距離である。保安上問題があり、許可されないだろうが、2台停止し2/4とすれば§ジプチまでいけるだろう。
大重量で嵩高な物資は、従来通り空自に依頼すれば良い。大重量で嵩高な物資とは、故障に対応するための航空機予備エンジンやヘリコプター用ローターブレード、格納箱に収められたミサイルや短魚雷、機雷である。調整に時間を要するといった問題を重視する向きがあるかもしれない。しかし、それは本来運用で解決する問題である。「海空自での航空輸送は統幕で統制する」とすれば解決する問題である。
YS-11後継機は、P-3C輸送型で充分である。P-3Cを輸送型としても、ランプがない§§、不整地離着陸能力に欠ける点は不利であるが、海自が行う飛行場間輸送であれば大きな問題ではない。逆に、水上レーダだけでも残しておけば、簡易な哨戒機としても使える。パイロンやラックを残しておけば、対艦攻撃や機雷敷設にも使える。サイドワインダーでもつけておけば、役に立つかはわからないが、輸送中での空対空自衛戦闘もできるだろう。
経費節減だけを考えれば、P-3C輸送型が一番安価である。しかし、防衛省も海幕も役所である。官僚が持つ性向として、安いもので良いとは言わない。常に能力が高いもの、新しいものを欲しがる。既存P-3Cを改造すればいいとは、官僚は最初に言いだすものではない。今は要求でフッカケる段階で、それがC-130を新規導入する話である。P-3C輸送型は、譲歩する段階で出すタマだ。
P-3C輸送型は、実際に出てくる可能性のある話である。ここ20年の、海自への追い風からすればC-130は認められる可能性も高い。しかし今回、観測気球をあげたC-130がダメだったときには、P-3C輸送型も俎上に上がるだろう。C-130以外の輸送機に代替案はない。南鳥島や硫黄島まで往復できる、枯れて、手馴れた輸送機はない。中古C-130と同じ程度のお金で調達できる航空機もそうそうない。価格同程度で新品だと小さい機体になる。それはそれで構わないのだろうが、航続距離が短くなってしまう。また、少数機導入で整備補給に面倒も起きる。それならばP-3Cを改造した方が良いわけである。予算要求で海自は融通無碍である。おそらく、オプションで持っているだろう。
※ 「中古のC130輸送機、海自配備へ…輸送力増強」『YOMIURI ONLINE』(2011年9月6日 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110905-OYT1T01172.htm
※※ Lambert,Mark,Jane's World Aircraft 1994-95 (Jane's Infomation Group,Surrey,1994)p.557
§ もちろん、2/4で飛行した場合にはエンジンが一台止まれば墜ちる。やるとしても非常事態で、通常は許されないだろう。
§§ C-130であれば機雷敷設にも使いやすいのかもしれない。円筒形の機雷なら、貨物室に横に並べて縄で固縛しておく。ランプを開けて、敷設順にナイフか何かで縄切って、蹴飛ばして転がし、投下すればよい。もうすこし上品にやるにしても、貨物室にハマる機雷投下軌条を用意しておけば、C-130は特に改造しなくとも、容易な機雷敷設が可能である。
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魚雷発射管から発射する対艦ミサイル(USM)って、使いにくいものではないかね。
ハプーンUSMやエグゾゼUSMは、通常魚雷発射管から発射できる。直径30センチ程度である対艦ミサイルをカプセルに封入し、そのカプセルを53センチ発射管から撃ち出す仕組みとなっている。
USMは、潜水艦による水上艦船襲撃を変化させるものと考えられていた。ハプーンUSMやエグゾゼUSMは80年代に登場する。当時、USM登場により、魚雷は時代遅れになったというような極端な話もあった。
しかし、その後、USMはあまり注目を受けなくなった。実際に、90年代以降、USMはあまり強調されていない。潜水艦による水上艦船襲撃が話題となっても、魚雷が主用される前提である。このあたりで熱は醒めたのだろう。
USMは使いにくいのだろう。USMは大遠距離でも攻撃できるメリットがある。しかし、デメリットもある。大射程であるが、潜水艦が持つ捜索能力ではカバーできない。遠距離であるので、目標を視認できない。同じ理由により戦果も確認できない。発射位置が丸分かりになる可能性がある。水上艦船側にリアクション・タイムを与える。威力も小さい…。USMが持つメリットは、大遠距離で攻撃できる1点に過ぎない。大して、デメリットは多すぎるのである。
まず、USMが持つ大射程は、潜水艦が持つ捜索能力では扱い難い。USMは、ジェットエンジンを持つハプーンでは100kmを超えると言われる。エグゾゼでも50kmである。潜水艦は、この距離で目標艦船をソーナー探知することは、まずできない。ソーナーにより潜水艦が水上艦を探知できる距離は、あまり明示されていない。Submarine※で示唆されている限りでは、直接波やボトム・バウンズ(BB)で約10km、コンバージェンス・ゾーン(CZ)で60km程度※※である。BBやCZは海底状況や水深を選び、さらに発生条件も限定される。潜水艦がソーナー探知できる距離は、約10km程度であり、USMが持つ射程を大幅に下回るのである。USMは大射程を持つとはいえ、潜水艦ではその大射程を活かすことは容易ではない。
大射程であるので、目標視認・戦果確認できない点もUSMは不利である。USMによる大射程攻撃では、目標が何であるのか分からない、あるいは直接確認できない。仮に目標が敵であることは間違いなかったとしても、潜水艦からでは、何を攻撃したのかがわからない。そして戦果も確認できないのである。この状況では、潜水艦側は攻撃はしたがらない。
USMでは、発射位置も丸分かりである。USMは海面から発射後、一回大きく上昇してから巡航飛翔に遷る。ミサイルが上昇時期で探知された場合、そして、USMであると判断された場合には、潜水艦は位置が局限されてしまう。魚雷では、概略方位程度しか把握されないが、USMでは点で把握されてしまうのである。この点は、USM攻撃は逆にリスクを負うのである。
大遠距離での攻撃では、水上艦船側にリアクション・タイムを与える可能性も高い。防御側が防空システムを持つ場合、AEWや対空レーダー、ESMを持っていれば、USMは早期発見される可能性は高い。特に、大遠距離から飛翔する場合には、防御側に対艦ミサイル防御を行う時間を与えてしまう。USMは同時発射しても6発が上限である。目標が防空システムを持つ艦隊であれば、6発では無効化されてしまう可能性が高い。また、対艦ミサイルは目視による見張りでも、確認されやすい。その場合、船首尾をミサイルに立てて、投影面積を最低限にする程度は可能である。
そして、USMは炸薬は威力に欠ける。USMは炸薬量150~200kg程度である。命中時には船体表面や、運が良ければ船体内で爆発する。それなりの威力であるが、対水上艦用魚雷に較べれば、威力は相当、小さい。対水上艦用魚雷は、威力が大きな水雷用炸薬を300kg程度装填している。魚雷が中央部艦底で水中爆発した場合には、小型水上艦であれば船体が2つに折れる威力がある。USMは魚雷に較べ、威力は相当小さいのである。
水上艦船襲撃を考慮した場合、USMと魚雷では、魚雷が選ばれるのである。ソーナ探知できる10km程度であれば、魚雷でも充分に到達する。魚雷であれば、被攻撃側は直前でなければ攻撃探知はできない。威力は段違いである。やはり魚雷が選ばれるのである。USMが魚雷に優位に立てる状況は、CZや味方情報による大遠距離攻撃に限られる。だが、CZは条件が限定される。また潜水艦では、味方情報は容易に得られない。USMはあまり使い道がないのである。
USMは使いにくいのである。だから、USMはなおざりにされている。実際にも、USMは新しく開発されてもいない。USMは専用対艦ミサイルは開発されていない。USMは、中身である対艦ミサイルを入れ替える程度に過ぎない。常に新型が開発されている魚雷との差は対照的である。USMは、80年代に「作ってみました」程度であったのだろう。
※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)。pp.106-108に図がある。
※※ Submarinesによれば、CZによる探知幅は55kmから65kmに限定される。CZでは55~65kmの外側も内側も探知できない。また、艦船以外に潜水艦も探知されるが、両者は区別できない。なお、CZによる探知距離は、海域によって異なる。
ハプーンUSMやエグゾゼUSMは、通常魚雷発射管から発射できる。直径30センチ程度である対艦ミサイルをカプセルに封入し、そのカプセルを53センチ発射管から撃ち出す仕組みとなっている。
USMは、潜水艦による水上艦船襲撃を変化させるものと考えられていた。ハプーンUSMやエグゾゼUSMは80年代に登場する。当時、USM登場により、魚雷は時代遅れになったというような極端な話もあった。
しかし、その後、USMはあまり注目を受けなくなった。実際に、90年代以降、USMはあまり強調されていない。潜水艦による水上艦船襲撃が話題となっても、魚雷が主用される前提である。このあたりで熱は醒めたのだろう。
USMは使いにくいのだろう。USMは大遠距離でも攻撃できるメリットがある。しかし、デメリットもある。大射程であるが、潜水艦が持つ捜索能力ではカバーできない。遠距離であるので、目標を視認できない。同じ理由により戦果も確認できない。発射位置が丸分かりになる可能性がある。水上艦船側にリアクション・タイムを与える。威力も小さい…。USMが持つメリットは、大遠距離で攻撃できる1点に過ぎない。大して、デメリットは多すぎるのである。
まず、USMが持つ大射程は、潜水艦が持つ捜索能力では扱い難い。USMは、ジェットエンジンを持つハプーンでは100kmを超えると言われる。エグゾゼでも50kmである。潜水艦は、この距離で目標艦船をソーナー探知することは、まずできない。ソーナーにより潜水艦が水上艦を探知できる距離は、あまり明示されていない。Submarine※で示唆されている限りでは、直接波やボトム・バウンズ(BB)で約10km、コンバージェンス・ゾーン(CZ)で60km程度※※である。BBやCZは海底状況や水深を選び、さらに発生条件も限定される。潜水艦がソーナー探知できる距離は、約10km程度であり、USMが持つ射程を大幅に下回るのである。USMは大射程を持つとはいえ、潜水艦ではその大射程を活かすことは容易ではない。
大射程であるので、目標視認・戦果確認できない点もUSMは不利である。USMによる大射程攻撃では、目標が何であるのか分からない、あるいは直接確認できない。仮に目標が敵であることは間違いなかったとしても、潜水艦からでは、何を攻撃したのかがわからない。そして戦果も確認できないのである。この状況では、潜水艦側は攻撃はしたがらない。
USMでは、発射位置も丸分かりである。USMは海面から発射後、一回大きく上昇してから巡航飛翔に遷る。ミサイルが上昇時期で探知された場合、そして、USMであると判断された場合には、潜水艦は位置が局限されてしまう。魚雷では、概略方位程度しか把握されないが、USMでは点で把握されてしまうのである。この点は、USM攻撃は逆にリスクを負うのである。
大遠距離での攻撃では、水上艦船側にリアクション・タイムを与える可能性も高い。防御側が防空システムを持つ場合、AEWや対空レーダー、ESMを持っていれば、USMは早期発見される可能性は高い。特に、大遠距離から飛翔する場合には、防御側に対艦ミサイル防御を行う時間を与えてしまう。USMは同時発射しても6発が上限である。目標が防空システムを持つ艦隊であれば、6発では無効化されてしまう可能性が高い。また、対艦ミサイルは目視による見張りでも、確認されやすい。その場合、船首尾をミサイルに立てて、投影面積を最低限にする程度は可能である。
そして、USMは炸薬は威力に欠ける。USMは炸薬量150~200kg程度である。命中時には船体表面や、運が良ければ船体内で爆発する。それなりの威力であるが、対水上艦用魚雷に較べれば、威力は相当、小さい。対水上艦用魚雷は、威力が大きな水雷用炸薬を300kg程度装填している。魚雷が中央部艦底で水中爆発した場合には、小型水上艦であれば船体が2つに折れる威力がある。USMは魚雷に較べ、威力は相当小さいのである。
水上艦船襲撃を考慮した場合、USMと魚雷では、魚雷が選ばれるのである。ソーナ探知できる10km程度であれば、魚雷でも充分に到達する。魚雷であれば、被攻撃側は直前でなければ攻撃探知はできない。威力は段違いである。やはり魚雷が選ばれるのである。USMが魚雷に優位に立てる状況は、CZや味方情報による大遠距離攻撃に限られる。だが、CZは条件が限定される。また潜水艦では、味方情報は容易に得られない。USMはあまり使い道がないのである。
USMは使いにくいのである。だから、USMはなおざりにされている。実際にも、USMは新しく開発されてもいない。USMは専用対艦ミサイルは開発されていない。USMは、中身である対艦ミサイルを入れ替える程度に過ぎない。常に新型が開発されている魚雷との差は対照的である。USMは、80年代に「作ってみました」程度であったのだろう。
※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)。pp.106-108に図がある。
※※ Submarinesによれば、CZによる探知幅は55kmから65kmに限定される。CZでは55~65kmの外側も内側も探知できない。また、艦船以外に潜水艦も探知されるが、両者は区別できない。なお、CZによる探知距離は、海域によって異なる。