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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2012.07
30
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13:00
Category : ミリタリー
 岡本喜八の『独立愚連隊 西へ』じゃないですけどね。日本軍は軍旗を取られたら面倒な事になる。そこを逆手に取って「軍旗を捕獲した」って謀略なんかどうですかねえ。

 戦闘中なら、その方面は大変なことになるでしょう。予め偽軍旗を作っておく。新品ぽいのも変だから、破れたり、あるいは房だけになったヤツを作っとく。いくつかの連隊が玉砕したと確認できたあと、まあ高級将校を含むバンザイアタック等でわかるだろうけど、玉砕のあと2-3日目に連隊名不詳としながら、日本軍連隊旗を捕獲とやればね。日本陸軍にチョットしたパニックを起こせるのではないですかね。

 その正面で戦闘が継続中なら、日本軍も壕内で隠れているわけにはいかなくなるんじゃないかと。名誉とか、そういった無形のものに努力を注がないといけなくなる。また、司令部、特に指揮官や参謀長を軍旗問題で頭いっぱいにさせられる。今後を案じて、軍旗だけを下げるようなことをすれば、日本軍の士気も低下するでしょう。

 デマを流してもいいでしょうね。 
「玉砕命令を疑問視した連隊長が『玉砕』を宣言して降伏」
「部下の無駄死を案じ、連隊旗手が投降」
「非内地人指揮官が内通」とかね。

 もちろん、戦闘が終わった島で謀略かましても、効果はあるでしょう。戦地にある各連隊が無駄に軍旗を護衛するようになる。布切1枚の連隊旗に、貴重な将校資源ほかを費消させられる。また、兵隊や国民士気を低下させる材料にもなる。士気阻喪をもたらすことができるかもしれれない。

 日本陸軍が対抗策を講じても損もない。例えば連隊じゃなくて、大隊編制を主流にする。留守部隊に軍旗を残すとかやっても、デマを流すこともできるでしょう。
「俺たちは死んでも、軍旗は残るって寸法だね」とか、
「旗手は後方勤務で昼寝しながら勲章貰う仕組み」とかねえ

 ま、対日宣伝で、本統にやっていたかもしれないけれどね
2012.07
29
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05:33
Category : コミケ
 前に描いた夏コミ報告、日付と場所が抜けていました。

 12日(日)東R05-b 隅田金属です

2012_07_20_表紙_ネット用

 で、トータル・イクリプスを見て、さらに原作にハマったので、TARITARIから変更。例によって設定や兵器だけが活躍するカン違い話だと思っていたのですけどね。

 そもそも、女の子が戦うアニメだと小馬鹿にしていたのですが、そこで裏切られた。1話の「女の兵隊/毛虱と娘軍」で、肝を抜かれましたよ。オリジンがエロゲーとは聞いていたのですが、ヒロインたちが仲良く役者を買いに行って、仲良く姉妹になった挙句、仲良くオマケまでもらってしまうエロ喜劇だとは思いませんでした。
 2話でも、腰が引けた整列した時の言い訳「ちょっと痒くて」「あと膿も…チョットだけ、ほんのチョット」を聞いて、こいつらにウツされたらタマランという女中隊長の顔とかね。原作の小沢昭一「トータル・イクリプス -死んだら神様-」を買ってしまうほどハマりました。

 方向転換した3話からも素晴らしい。先任将校として道化を演じながら「空気に操縦される国連軍」を醒めた眼で見つめる初級士官、唯依の視点が『マブラヴ』他作品とそのファンが持つ「空気に酔ってしまう」病理を痛烈に批判しているのが素敵です。
 なんせ、他の『マブラヴ』って、抽象的で説明風なセリフばっか。設定への稠密性への執着だけで、それ以外はスカスカ。『FATE』と同じで内輪向けですからね。

 今週のタリサのエピソードに萌えてしまったこともありますね。タリサが同郷の整備兵にノーズアートを頼んだら、よりによって屹立し汁を放つブータンの魔除けを描かれてしまう。ここまでなら喜劇ですが。それをユウヤに見られてしまうことで悲劇になります。夜になってなお、泣きながらククリでノーズアートを削るタリサに萌えを感じてしまいました、ハイ

 楽しみなのは「アルゴス小隊本部いまだ射撃中」ですね。原作、金語楼「トータル・イクリプス -そして戦争が終った-」で先読みしたのですが、オペレータ3人娘が「ギャップ調整適切ならざるなきや」「ベルトリンク捻じれあらざるや」と唱え、「1234、2234」と八点射をするところ。「フェーベ、お前、誕生日だっていってたな」と尋ねると「ハイ16になりました」と答えるところは、本来のクライマックスを、ラストエピソードを食ってしまうほどの名カットになるでしょう。

 ま、ラストエピソードの「篁中尉ドノ、光ファイバが切れかけてませんか」からの「経験したことのないフワフワした操縦感覚だな」もいいんですけどね。
2012.07
28
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13:00
Category : ミリタリー
 観閲式と観艦式、毎年陸海空いずれかが持ち回りでしてるけど、義務的にやるのは無駄だね。やるなら国家行事とか、皇室慶事でやれと。毎年やるのは無駄の極みだろ。

 観閲式も、国民が見えないところでグルグル回っても大した広報効果は見込めない。首相と防衛相を満足させるだけの行事ではねえ。

 特に行進訓練が無駄の極み。海自の場合だけど、参加部隊は6週間位、その訓練につきっきりになる。下総基地にで教育期間中の学生を300人くらいを使うのだが、その間、術科教育は捗らない。やることはパチンコ行進曲にあわせて手足を動かすこと。あとは巨大三角定規で担銃の角度をあわせることくらい。自衛官の給料は一般公務員より高いのだが、それを戦争の役には立たない事に浪費しているようなもんだ。

 観閲式1週間前になると朝霞で集合訓練。陸海空自衛官と防大生4000人を1週間拘束する。まあ、防大生はそういうものだろうからいいけどね。その間、陸海空自衛官は無駄遣い。観閲式は終わっても代休処理もあるので後にも祟る。

 観閲式やるなら、自衛隊設立◯◯年みたいなケチな名目じゃだめ。国家行事、皇室慶事で皇居一周する位やらなきゃ意味ないよ。戦車の類も自走させればいい。ワダチなんか、終わったあとにとりあえず常温合材詰めといて開放、それから道路管理者と自衛隊施設部隊で2晩位かけてオーバレイするとか決めときゃいいよ。

 観艦式もあまり意味もない。国民に見えないところで、単縦陣でスレ違っても意味ない。陸上行事もやらないんじゃ華がない。己は海自50周年記念行事で乗員・指揮官広報※ 担当したけど、あの時みたいに、東京に制服着た将兵を出歩かせんとお祭り感もでない。

 ただ、観艦式は大した訓練は要らないところが楽。対潜戦術として先行する艦艇の航跡上を走るとかやる。「前の航跡(アト)ヨウソロ」って奴だ、あの程度は困難ではない。訓練期間もほとんど不要。海自は一発勝負が得意で、お稽古(立付:たてつけという)2-3回だけで実施するから拘束期間は短い。

 ただね、もちろんカネはかかる。艦隊集合そのものなので、燃料代、航海日当が膨大になる。港も横須賀に入りきれない分は、東京、横浜、木更津、館山、下田の港湾施設まで使うので、埠頭使用料も掛かる。

 大枚はたいてやるなら、艦艇も陸岸から見えるところにギュッと停泊させて、屋台船の見物を出るくらいにしないと無駄だね。日露戦争勝利の記念観艦式なんか、捕獲艦を見世物にしたり、アジア中から列強艦隊を呼び寄せたから見物も押し寄せた。正規拝観者は商船に乗ってきたが、屋台船ほかもイッパイ出た。岸にも野次馬が集まったという。

 外国艦艇呼ぶなら。陸上でもお祭りにするとかね。賑わい出すため、東京市内に制服着た奴を遊びに出させろと。飲み物は一杯目がロハとか、外国軍人で制服着ていれば東京市内の鉄道はタダとかね。ボストンで観艦式やったときなんかそんな感じだったよ。

 まあ、なによりも意味不明なのが、航空観閲式。あれは意味が無い。よりによって百里の田舎でグルグル飛ばして何になるんだろ。やるなら、東京で、しかも皆が見えるとこで飛ばさないといけない。東京オリンピックみたいに、スモークで絵を描くとかさ。まあ騒音もあるから、都心でやるわけもいかないだろうけどねえ。有明あたりを検閲ポイントにしてフライパスならできるだろう。東京湾上ならアクロバットもできる。何かあっても気兼ねなく脱出してもらってOKだ。




※ 記念写真集『海上自衛隊創設50周年』で「楠木正成の銅像前で、記念写真をとるロシア水兵」(56p)の写真撮ったの己。もちろん源文マンガの構図へのリスペクトw アレ、私物コンタックスT-2と、私物リバーサルで撮影したんだけどね。「ロクな写真がないから寄越せ」と言われてポジを持ってかれたよ。
 ああ、皇居前広場で環境省の守衛に文句言われたのも思い出した。某国の将兵が、昼の礼拝前に水道で手足を清めていたのを咎められた。「オレは元空挺の曹長だ」とか訳の分からない凄みかたをしてきたけどね。「彼らは公務上陸の扱いだよ」といっても理解しなかったのが悲しかった。あのオトッツァン、アルゼンチンのTVクルーにも文句言ってたなあ。
2012.07
27
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊の短靴、世間一般で言う革靴だが、どれもプアにすぎる。「短靴」は「たんか」と呼ぶが、特定集団しかつかわない位相語。三自衛隊ともに短靴がある。陸空なら、制服を着た時に短靴を履く。海は制服と作業服ともに履く。短靴には、プレーン・トウ(陸空用・海曹士用)、ストレート・チップ(海幹部用、黒と白)があるが、低品質なことに変わりはない。マズイことに、色と形を合わせないといけないので、私物も似たような品質になっている。アレはどうにかしたほうがいい。

 なんといっても通気性がなくて直ぐに蒸れる。人造皮革なので湿気はほとんど吸わない。熱容量?が小さいせいか、履いてすぐに体温同等の不快な温度となる。それでいて結構歩いて、場合によれば走るので、中の温度は直に高くなり、汗で蒸れてヌルヌルになる。

 またゴム靴底が薄いのも困り者。フニャフニャのゴムなので、地下足袋やらタビ靴と同じで長い時間歩くもんじゃない。土踏まずがすぐに疲れて来る。釘なんかは踏み抜くだろう。滑りやすいのにも閉口する。靴底はほぼノッペラボーなので、濡れたら階段金物で滑る。パイプでできた梯子を登り降りするにも滑って危ないことこの上ない。己は高いところにあがるときには、コッソリ地下足袋に履き替えていた。

 そもそも、壊れやすい。薄い合成皮革は糊留めされているだけ。滑走路用の融氷液をこぼしただけでバラバラになった。あの短靴で火の中に入れるか怪しいもの。本番で防火衣・防火靴を指定されているもの以外は、あの靴と作業服で戦闘服装(陸戦服装とは違う)として防火防水もやることになっている。しかし、本番で使えるほど丈夫には見えない。

 なんにしてもプア。特にねえ、通気性がどうしようもない。朝の課業整列の段階で中がヌルヌルしている。皆が事務所に戻って最初にやるのは、靴と場合によれば靴下脱いでサンダルに履き替えること。己は部外者がいなけりゃ竹皮わらじを履いてたよ。木工で足置き台とファンをつけているのも見たことがある。しかし、うるさいところは、脱靴に文句をつけてくる。勤務中は履いてろなんて強制すれば、そりゃ、伝染病蔓延の原因になる。プールや風呂で病原体を貰ったあとで短靴を履くのは、養殖しているようなものだ。

 短靴を履かないで済むのは幸せである。陸空であれば、野戦服作業服なら長靴半長靴になる。海でも曹士は官品ズックがある。官品ゆえにプアであるが、履き心地は悪くはない。曹士は作業靴やスニーカーを履いても黙認される。しかし、幹部だと見つかるとうるさい。練習艦では私物の黒チロリアンを履いていて副長にネチネチいびられた。某飛行隊の屋根見るときに、滑るとアブナイので地下足袋履いていたら司令に見つかり、所属と関係ないのに怒られた。釈然としないのは、飛行服の司令が飛行靴はいていることだったねえ。

 短靴は本番使いも普段使いにも向いていない。本番なら火や薬品、切り裂きに強いブーツを履いた方がいい。なに、丈夫で火に強ければゴム長状でも構わない。防研いく中途にある、小林防火服の防火靴みたいなヤツのほうがよい。ヒモも金物もないので履きやすいし壊れない。逆に普段使いなら、ズックやスニーカー着用を拡大したほうがいいよ。なによりも伝染病予防になる。実際に准尉さんやトッツァン幹候出身は結構履いていて、黙認されているんだから服装容儀の問題もないだろう。
2012.07
25
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊体育学校は、もう役割を終えている。廃止か縮小、移転を考えたほうが良い。少なくとも、スポーツ大会専用選手を抱えておくこともない。東京オリンピックから50年、いまさらメダルとって国威発揚という時代でもない。大学や民間企業も選手を多く抱える時代である。国が旦那になる必要もない。

 自衛隊でスポーツ選手を抱えても、メリットはあまりない。概ね高校卒業で採用されるが、以降はその競技に専念させる必要があるので術科教育を受けない。有事に部隊へ廻しても、使い道が限定される。30近くなって部隊に回ってきても配置に困る。術科技能もなく、事務ができるわけでもない。パソコンも全く駄目というタイプも少なくない。もちろん、体力はある。その上でヤル気が横溢している子は、積極的にマークを取ろうとする。特警隊や機上整備員といったエリート課程に果敢に目指す子もいる。しかし、そうでもなく、マークなしで漫然と暮らす子も少なくはない。

 そもそも見込みの立つ選手はあまり自衛隊に来ない。自由もないのに来たがるはずもない。体育学校は外に較べて自由がない。一般部隊以上に交通事故を恐れている。選手には免許を取らせない。持っていても公用車・私有車をとわず運転させない。営内生活でも、普通の部隊以上に精神論ばかりなので息が詰まる。選手からすれば、大学なり実業団なりの方がよい。また、設備も自衛隊は見劣りする。趣味射撃で体育学校の10mと50mを使ったことがあるのだが、戦前の厩舎のようにどうしようもない建物。電子標的どころの話ではない。10m標的なんかは、紐ついた標的をハンドル廻して動かすタイプ。隣にある陸自の、電子化された300m射場(拳銃射撃は紙でやるけど)とは大違いである。

 メダルとっても、利益になるわけではない。円谷の時代とは違う。オリンピックでメダルを取った、それが自衛隊体育学校であるといったところで、隊員の募集が好転することもない。昔とは価値観も変わっている。オリンピックやら世界大会やらへの関心も大きく薄れている。すでに日本人はオリンピックや世界選手権に一喜一憂しない。ロンドンオリンピック寸前だが、笛吹けど踊らない状態である。北京オリンピックの時もたいして盛り上がらなかった。仮に日本人が金メダルをとっても、熱狂には至らない。「良かったね」で終わりになる。オリンピックや世界選手権未満である国体となると、誰も興味を持たない。体育学校の選手は結構優勝しているが、そんなことは誰も知らないし、どうでもいい話である。

 体育学校は廃止か縮小した方がよい。自衛隊は人で不足であり、予算も減る傾向にある。無駄な配員、予算は減らしたほうが良い。また、体育学校は朝霞の駐屯地にある。東京区部の境であり、地価も高い。例の柔らか舗装のトラックとか、床と面一になった屋内プールといった金のかかりそうな設備も多い。見たことないが、近代競技に向けて馬も飼っているという。道の向こう側、演習地にあるプアな射場にしても面積は大きい。安く済むものでもないし、地価の高い東京に置く必要もない。敷地は部外道路に面し、350×350m程度はある。普通財産に落として、売り払えば国の収入になる。土地を求める民間も助かる。一般隊員への体育・格闘教育は富士学校なり1術校なりに委託すればいい。

 体育学校を移転するのもいいだろう。潰れた大学の体育設備を流用すれば充分である。少子化で潰れそうな大学はいくらでもある。首都圏なら、土地が安い群馬栃木茨木山梨の山沿い、あるいは温暖な九州四国あたりで大学が潰れるのを待って、体育施設を買えば良い。予算は朝霞の土地を売っぱらった特特会計でお釣りがくる。人情素朴で風光明媚、空気も水もキレイで悪所や誘惑もないから練習も捗る。必要性はわからんが、都内にこだわるにしても、自前の敷地と警備はいらない。体育学校には有事の活動も、守るべき秘密もない。適当な雑居ビルと寮を借りて押し込めばそれでいい。荒川か多摩川の河川敷をグランドにして、お稽古させればいいだろう。水泳とか鉄砲も、都、区、大学以下には設備がたくさんある。それを利用させてもらえば充分である。
2012.07
23
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17:50
Category : ミリタリー
 ロシアは太平洋では、ゲームのプレイヤーとして振る舞えない。ロシア通を自称する方は、ロシア海軍は無視できない戦力である(http://twitter.com/rybachii/status/204155401510469633)と主張している。また、常に現今のロシア情報に眼を通せば、ソ連時代や90年代後半とは大きく異なっている(http://twitter.com/rybachii/status/226884670304964608)とも主張している。しかし、ロシア太平洋艦隊は、質的にソ連時代と変わらない。また、量的には90年代末と大差はない。ロシア艦隊は太平洋では、影響を与えられない存在に留まっている。特に各国が海軍力に投資している東アジアでは、質、量とも劣勢にある。

 ロシア海軍通を自称する高町紫亜さんは、ロシア海軍を軽視する風調に異論を唱えている。精力的に現地メディアによるロシア海軍情報を紹介しており、その独自情報は極めて貴重であるといえる。ロシア海軍に関して調べるときには、高町さんは無視できない存在であり、評価すべきであるだろう。

 しかし、ロシア海軍が今ある地位については、直視していないように見える。外国通は、その国を弁護する立場になる。明治以降、駐在員や留学生、研究者が捕らわれた陥穽に囚われてしまう。ロシアへの愛ゆえか、ロシア海軍力の限界については眼を瞑る傾向にある。

 ロシア艦隊は、ソ連時代と同一ではないと主張されている。しかし、質的には20年前のソ連海軍と同一水準に留まっている。ロシア海軍の主力水上艦はソ連時代、70末-80年初頭とほぼ同じ構成のままになっている。当時の艦艇から50-60年代に建造された旧式艦が退役しただけで、新鋭艦が追加されているわけではない。実際にロシア海軍の大型水上艦を見れば、最新艦はいまだにソブレメンヌイでありウダロイのままだ。これら大型水上艦の全て、そして原子力潜水艦は過半が70-80年代に起工され、老朽しつつある。ソ連崩壊以降に完成した艦艇は、通常潜水艦の半分程度と、コルベットの代用品として使われているミサイル艇程度にすぎない。

 艦艇数も、今でもソ連崩壊後のどん底期と大差はない。ソ連太平洋艦隊で比較すれば、90年代後半も今も大差はない。ミリタリーバランスの数字はその点を明瞭に示している。87年には、ロシア太平洋艦隊は軽空母2隻を含む88隻の主力水上艦、133隻の潜水艦を保有していた。しかし、95年には主力水上艦と潜水艦は49+51隻、2000年には10+16隻、最新の2012年版では9+21隻に過ぎない。沿岸防衛用の小型艇にもかつての面影もなく、増勢の見込みもない。戦後、ソ連海軍は1000隻程度の魚雷艇・ミサイル艇を建造した。コマール級やその原型であるP-6/8/10魚雷艇は600隻以上、オーサ級も400隻以上建造された。しかし、どん底期に大きく減勢し、そのままである。現在、ロシア海軍が保有する後継艦艇、ナヌチュカやタランテルは合計しても50隻程度にすぎない。そして増える見込みもない。

 ロシア海軍は、太平洋ではプレイヤーとして振る舞えない。同じくミリタリー・バランスの数字で比較してみよう。2012年の段階で、米海軍は空母12隻を含む115+71隻、海自はヘリ空母2隻を含む46+18隻、中国海軍は雑多な旧式艦も含んでいるが76+59隻である。ロシア太平洋艦隊は、脅威になるような存在ではない。

 高町さんは、ロシア海軍の細かい情報に接するあまり、近視眼的になってしまっている。折々に発表される将来計画その他の情報により、ロシア艦隊は強大な戦力を保有するだろうと考えているのだろう。しかし、それは微分的な判断に過ぎる。ロシアの経済、財政支出の構造を長期的傾向を見ると、かつてのソ連海軍まで行かないまでも、大海軍を建造し、維持する能力はない。

 結論としては、ロシア太平洋艦隊は、これからも無視できる水準である。長期的展望に立てば、そのような結論になる。これは高町さんがいうように、「豊富な[ロシア現地]情報が入手できる現在」であっても、『情報力』があっても(http://twitter.com/rybachii/status/226887180235177984)変わらない結論である。



 予約投稿の日付間違えていたのに気づいたので、手動投稿しました。
2012.07
21
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13:00
Category : 未分類
 中国は第二列島線そのものに野望を持っているわけではない。最近の中国脅威論では「中国は第二列島線までを勢力圏にする」と主張している。しかし、本気にしてもしょうがない話である。

 第二列島線は、あくまでも米海軍邀撃構想で出てくる地名に過ぎない。中国の構想は、来襲する米艦隊をなるべく遠くで撃破しようとするものに過ぎない。戦前に日本海軍がやろうとした漸減-決戦と同じようなものだ。第二列島線にある島嶼を自国領域に含めるとか、その海を利用するためではない。

 そもそも、米艦隊邀撃のため、第二列島線を占領したのでは割は合わない。攻略、占領、維持を行うだけで外洋海軍力をすり潰してしまう可能性が高い。攻略部隊を送ることができるか疑問である。送ったとしても、叩かれる可能性が高い。太平洋戦争で日本が占領したウェーク島のようなものである。奇跡的に占領できても維持・活用は難しい。

 第二列島線は目安に過ぎない。そこから先では、将来でも組織だった海軍戦力運用ができないだろうという中国の見積りである。第二列島線で防御しようとするものではない。

 実際には、決戦を挑むのは第一列島線から少々外側といったあたりだろう。邀撃の本番があったとしても、あまり離れると大陸沿岸から行動する攻撃機部隊が参加できない。そういったところで、水上部隊だけで行動しても有効な打撃は難しい。潜水艦も、確実に接敵させるなら、判明した米艦隊針路上に移動しなければならない。あまり前に出すと、決戦のときに遊兵になる。

 中国海軍は米海軍邀撃を意識している。そのため、第一、第二列島線といった地名を挙げて議論をしている。しかし、議論で列島線として言及されても、それを自国領域に含もうとする、領土的野望と見るのは短絡的である。
2012.07
20
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23:55
Category : コミケ
 夏コミに『長江鉄道橋 - 鉄道網、河川通航、石炭輸送、中国の急所 -』を出します。

2012_07_20_表紙_ネット用
indd→EPS→PSD→JPGで作ったファイルなので、色合いはアレですが、刷るときに調整します


 まえがき、あとがきは、『はがない』『這いよれ』=『金語楼の◯◯』『ひばりの××』だなというのと
 TARITARIあたりですかね。女教頭も、昔は優しい娘だったのに…
2012.07
19
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TB:0
20:57
Category : ミリタリー
 オスプレイは強引に飛ばして、基地問題を激化させることになるのだろう。日本政府が問題を解決するには、沖縄の県知事、宜野湾市長を切り崩すしかないが、振興策といった金では転ばない。知事、市長を取り込むには、基地問題、特に配備される普天間での具体的改善が必要になる。もちろん、県民、市民が基地被害が低減したと納得できる内容でなければならない。

 日本政府には、問題を具体的に解決するオプションはない。オスプレイについての問題は、技術的なものではない。「もし、沖縄のような市街地に墜落したら大変なことになる」というものだ。そう思われるほど、オスプレイは分が悪い。なんといっても、ヘンテコな新機軸を導入しようとして、試作段階でポコポコ落ちている。日米が安全だと言うわりには、寸前に連続で落ちてしまった。心証は悪い。日本政府は技術的に説得しても無駄である。そもそも基地問題で信を失っている。信用してもらう手段がない。

 米側にも、問題解決に資するオプションは少ない。技術的な説明は、日本政府は納得させられるが、沖縄側をなだめる効果を持たない。兵器を愛するあまり、オスプレイの安全性を理解しない人々を責めたてるのは論外である。

 日本政府による知事、市長切り崩しを助けるにしても、出せるような助け舟はない。普天間での問題低減策が必要だが、得られるものはオスプレイ運用可に過ぎない。それでは普天間返還は飲めない話だ。一部返還でも、小面積では火に油を注ぐようなもの。飛行場西北側をゴッソリ返還するくらいか。航空法の転移表面で大したことには使えない土地だが、面積の1/3を返せばどうにかなるかもしれない。ただ、これでもオスプレイ運用で引き渡すには高すぎる。米国、海兵隊にとって大きな代償であり、役人レベルでは決心できない。

 弥縫策としては、オスプレイに限って嘉手納、あるいは那覇での運用にするかといったあたりか。基本、市街地上空は飛ばないとすれば、反対は多少収まるかもしれない。しかし、これでは「今後、普天間を作戦基地として使わない」と言ってしまうようなものだ。米側としては、代替条件なしで普天間返還を進める話に繋がる。やはり決心できないオプションになる。

 とはいえ、日米政府が何もしなければ、反対運動は今よりも大きくなる。すでにオスプレイは政治問題になっている。岩国への荷揚と、それほど大規模にはならないだろうが岩国での抗議行動はニュースで大きく扱われている。連日のニュースは、沖縄で8月にある、保革を横断した県民大会をホットなものにする。参加者を大きく増やす呼び水となる。基地問題との連結もある。2010年や2007年の県民集会の比ではなくなるだろう。とはいえ、日米政府には具体的な対策は立たない。

 オスプレイ問題は、基地問題と表裏である。基地問題解決に資する方法が出ない限り、解決する見込みはない。いまはそれができる見込みはない。

 基地問題含めての最終解決は、普天間基地返還しかない。だが、それができる見込みもない。県内基地の数が減らない辺野古移転も無理な話である。すでに行き詰まっており、努力している姿を見せるものにすぎない。これからを見ても、ジュゴンで揉める可能性も高い。本土移転も無理である。移転先は誰も賛成しない。嘉手納統合か、国外移転しかないが、権利を持つ海兵隊が抵抗する。日米共に判断できない状況にある。

 そして、なんだかんだで無理矢理に運用するのが一番良くない。前にも書いたが、一番ヤバイのが「パパママバイバイ」の再現である。その時は理屈ではなく、感情が爆発する。地元が危険であると反対しているのに無理矢理に飛ばして、墜落事故で死者がでたら、問題は沖縄だけにとどまらない。普天間、海兵隊だけではなく、嘉手納、岩国、厚木、横田、三沢にまで伝播する。厚木、三沢まで揺れれば、優先度の高い米海空軍の駐留にも問題が波及してしまう。海兵隊どころの話ではない。オスプレイは八方塞がりである。



 結局は、海兵隊を泣かせるしかない。普天間と海兵隊は喉に刺さった棘のようなものである。対症療法に努めているが、棘はほっといて取れるものでもない。海兵隊を泣かせられるのは、米国防長官か米大統領かしかない。しかし日本政府が口先で説明しただけでは駄目で、その理由付け、裏付けとなる状況が必要だろう。例えば、米高官、あるいは大統領が現地に来た時に、現地の民意を見せるとか。解決を求める大群衆のデモで迎える。あるいは、住民投票等で、絶対的な数字を見せつける。なんにせよ、普天間維持は不可能、あるいは日米関係を大きく損なうと認識したら、一晩で状況は変わる。国外移転でマリアナに下がるか、中国に見せつけることを重視するなら、嘉手納統合あたりに決まる。
2012.07
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20:05
Category : 有職故実
 昨17日、北朝鮮の金正恩氏が元帥に昇任されたとの由。「金正恩氏『共和国元帥』に 北朝鮮、「重大報道」で発表」とする報道がありました。その政治的効果や日本への影響は置いておきましょう。それよりも気になるのが「共和国元帥」って称号ですね。

 元帥に形容詞をつけると「何だかねえ」となりませんか。ゲーリング「国家元帥」とロンメル「元帥」(別にマンシュタインでもいいですけど)だと、前者はショボく見えるものです。「ソ連邦元帥」とか「ソ連邦英雄」は、ショボくは見えないけど、粗製濫造が見えてくる。権威を大安売りしてインフレになった感もあります。

 金さんの「共和国元帥」は、むしろ素「元帥」よりも有難くない。それがつくことによって、却って品下る感じでしょうか。まあ、博士と名誉博士に似ている。名誉博士は該当分野では必ずしも専門的な知見はありません。同じように、共和国元帥は軍隊運用にはタッチできない感じもします。

 まあ、北朝鮮としては国家慶事のようですので、人民にはチョコパイか、北朝鮮で作った日本製タバコでも特別配給されるのでしょう。
2012.07
18
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13:00
Category : ミリタリー
 どう屁理屈こねても、海自は新造艦に「みかさ」を使うことはできない。というのも、横須賀にある三笠は、防衛省の現役艦船になっている。周囲は埋め立てられ、いまさら実際には浮かぶかどうか怪しいし、動力もないが、そういうことになっている。同じ名前はつけられない。

 三笠の分類は防衛省雑船。軍艦でも、護衛艦でも、自衛艦でもない。帳簿上では、簿価60万円程度のポンコツ扱い。正確に時価を反映しているわけではないが、まず鉄くず価格。そこに目につくほどの維持費を毎年突っ込む。

 当然、会計検査院には毎回突っ込まれる。ただ「三笠はご存知の三笠ですよ」と言って、現物見せて、理由が示せるのでそれで終わり。だれでも知っていて、保存にも肯定的なので説明しやすい。検査院も、立場上文句言わないといけないけど、金突っ込むことは当然だよねって頭だからホントに事務的。というか、現場視察も半分は物見遊山なんだろう。出張してくる検査院の内、半分くらいは他省庁からの出向。強いて何かを探すつもりもない。出向してきた人は「飛行機乗りますか」、「護衛艦に乗って日帰り航海を見ませんか」という現地検査(w)にも乗ってくる。現物見せてる間は、帳簿や、目につかないところに隠してあるヤバイもんを検査されないので好都合だった。

 雑船三笠は、三笠保存会に貸し出している。しかし、あの入場料で維持されているわけではない。防衛省の持ち出しになっている。入場料は人件費にも満たない、電気代くらいじゃないのかね。

 三笠に乗ると、至る所に明治海軍のオーパーツ、高度技術の粋が見られる。美しい電気溶接の仕上がりや、伝統ある航空障害灯も再現されている。その理由は、全部戦後に作りなおしたからにほかならない。実際、上甲板は1/1フルスクラッチ。司令塔まわりが無垢の鋼ではない、特殊鋼鍛造でないのは仕方がないこと。木甲板は昔の造船ではなく、建築のやり方で取り付けられている。オリジナルを見たければ、艦内保存会事務局あたりの天井かな。グラスゴーとか押印されたフレーム鉄材が鋲接されている。実は「グラスゴー」もフルスクラッチだったらシャッポを脱ぐよ。

 修復・維持には膨大な費用が掛かる。返還後に集まった膨大な寄付金も原資であるが、それ以降は海自の予算でどうこうしている。返還以降、海自は持ち出しで痛んだ場所を取替えているわけです。

 このように、海自は明治資産を財産計上して、大金突っ込んでいる。三笠や幹部候補生学校なんかがいい例だ。それに国民は文句を出さないどころか、逆に支持している。これは海軍と海自の広報上手、戦争中・戦後のイメージ戦略の勝利なんだろうね。

 戦争直前に急造したテキトー建築、海兵生徒館を全く同じデザインで作りなおすのはやりすぎだと思ったけど。そろそろ、な70期前後の爺様のリクエストに抗せなかった。70期に近くなると、急に「命とは何か」みたいな精神性が高くなる。海兵美化もスゴイもんだ。特に77期の、殴られていない78期は海兵じゃないって差別とかね。理不尽や殴られた思い出が美化されている不思議なんだが、それを後世に託すこともないだろうに。

 まあ「ゆきかぜ」が返還されてたら、あんな感じになったんじゃないのかね。どーにかして旧軍状態に戻す。ロケット弾貫通孔まで再現するフルスクラッチとか。無理矢理に学生隊舎とか講堂にして、文字通り甲板掃除させるとか。そーなると甲板士官泣かせになるか。
2012.07
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13:00
Category : 有職故実
 昭和の聖代の話だけれども。

 夏のアイスは、どのような商売でも節操無く置いていたような気がする。小遣い稼ぎ程度なのだろうが、コンビニ以前には、小規模酒屋、文房具屋、本屋、タバコ屋には、「雪印」とか「明治」と書かれた冷凍庫がおいてあった天端がアクリルでできたスライド式の蓋になっていて、中身が見える仕組みなのだが、たいていは結露で曇っていて、蓋を開けないと中身は確認できなかった。それを店内に持ち込んで会計という方式だった。

 軒先や、入ってすぐの三和土(コンクリートだけど)といった、会計をする場所からは離れたところに置いてあったが、それは冷凍機からでる排熱や、霜取り他のドレン嫌ってのことなのだろう。軒先においてある冷凍庫には、場合によると車輪がついており、仕舞うときには屋内に引き込む店もあった。外に置きっぱなしにするためか、ドア部分に南京錠を掛っておけるようにしたものもあった。

 中身のアイスも、最高でも100円程度だった。昭和53年には、今の名糖ホームランバーと同一形状の四角いアイスが1本15円だった記憶がある。竹ひごの先についた親指大のアイスが5本か6本で50円だった。おそらくコカコーラとは関係ないが、ロゴカラーを拝借したコーラバーといったものもあった。もち手の棒が2本ついており、割ると二つになるタイプである。アレは今でもあるのだろうかね。それからすると、ガリガリ君の類は、ポッ出だろう。昭和末期の赤城氷菓は、透明で薄いプラスチックに入ったかき氷状の氷菓。容器の底、後には中心部にアイスクリームを埋め込んだタイプが主力商品だった。

 アイスの紙容器は、フタのついたタライ状である。そのタライの内側をめくると、そこに当たり外れが印刷されたいる。そんなアイスがあった記憶がある。そういえば、アイスの容器も変わった。昔はタライの内寸にフタが収まるように作られており、フタから舌状に伸びた取手を引っ張って開封した。フタの裏にはアイスが付着していて、カニ味噌のごとく珍重したものである。しかし、最近のフタはタライの外側にはまる方式で統一された感がある。

 現今では、アイスはコンビニかスーパーでなければ買えないものになった。小さい店には降ろさなくなったのだろう。そのアイスも名だたる大資本製造で、単価は概ね100円を超え、棒アイスのクセに200円以上も珍しくない。50円玉握って子供が買いに来るのではなく、大人が弁当を買うついでに購入するものになった。

 炎天下に屋外で遊んでいる子供も見ない。冷房が効いた屋内で携帯ゲーム機をやっている。アイスを渇望する。そういう気持ちにはならないのだろうねえ。そもそも子供も減ったから、アイスが大人向けにシフトするのも当然か。
2012.07
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Category : 有職故実
 古いInternational Defence Reviewに「日本はイージス艦としてゆきかぜ級3隻を発注しており、合計8隻まで建造するかもしれない」とあった。IDRの1991年8月号、849pのキャプション。

 当時、ゲームでも「ゆきかぜ」「はるかぜ」だったのよね。太平洋戦域での東西通常戦を扱った『バトル』で出てくるイージス艦がそうだった。DDGは「-かぜ」で、画期となるイージスなら、殊勲艦・幸運艦を選ぶもの。そうなると「ゆきかぜ」は鉄板だったのだがね。

 しかし、実際には「こんごう」だった。ま、画期的であるため、国名採用以前に主力艦だった「三笠」※や「浅間」で代表される山名を復活させたわけだ。

 全通甲板式のDDHが旧国名になったのは、空母への布石だったのかね。「おおすみ」や「いせ」で採用された全通甲板は、半分冗談、半分本気で「国民の眼を慣らさなきゃいかんからね」と言われていた。特にDDHの旧国名は、「スゴイものを作りましたよ」と認識させる。将来的には空母も作るだろうねと予想させて慣らすための布石だったかも。

 そういえば、DDHの時には普通は回ってこない名前アンケートが回ってきた。DDH名はそれなりに大事だったのかね。無記名だし、何書いてもいいと言われたので「うねび」「しなの」「むつ」と書いて提出した。でもま、直前の下馬評が「ながと」で「どういう根拠で旧国名なのかね」と思ったよ。まあ二番鑑が「むつ」だと、2隻分不吉だから回避されたんだろうね。

 DDHが「ひゅうが」と決まった時には、某所で当直士官やっていた、昼休み時間だったかね。進水が8月なので、暑さに負けて居眠りしてた。ヒマな時間なので、即応体制なら怒る人もいない。そこにアラームがなって◯◯◯(電報だね)が届く。内容が「電話帳に『181 ひゅうが』を足すよ」ってどうでもいい内容。ぼんやり頭だったので、何のフネか全く分かんない。報告するほどのものでもないが、赤鉛筆でアブストラクトをつけなければいけない。でも、DDHである確認をつけるまでに往生した。

 国名も苦しいが、潜水艦の吉祥動物ってカテゴリーはなお苦しいと思った。もともと、龍、鳳凰、鯨ってカテゴリーは、非戦闘艦の二流品、母艦につけるものだった。航空母艦が戦闘艦になっちゃったものだから、どうにか付けたかったのだろう。しかし「けんりゅう」はないもんだ。旧海軍には、福竜というラーメン屋みたいな由緒ある名前がある。同じつけるならソッチの方が面白い。ちなみに清から捕獲した水雷艇の名前をそのまま使用したもんだ。スコードロン・キャップはひっくり返した「福」でいいんじゃないの。
2012.07
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07:27
Category : ミリタリー
 高新6号の記事が日本のニュースになっている。筆者は梁天仞さんで、発表は『鏡報』7月号。しかし、「P-3Cよりも高性能」というところだけを切り取った残念なもの。

 記事には他にも面白いところがある。たとえば「美製P-3C満布中国周辺上空」以下では、哨戒戦力が絶対的に不利なのでどうしようもないとか、「日本天天出動P-3C監視中国艦船活動」と日本は毎日中国を監視しているといった現状認識(事実だけど)が述べられているところ。日本は100機も持っていてズルい「世界上擁有最多P-3C[略]100多架P-3C」という羨望が見えるところ。海自保有数は自衛の域を超えてる、中国への野心を看取れるよねという「日本擁有遠遠超出自身防衛需求的P-3C、狼子野心昭然若喝嗎」まで飛躍しているところ。特に最後の日本脅威論は、まずは読者への迎合、あるいはリップサービスにしか見えない。過剰に愛国心に富んでいるだろう一部ミリオタや憤青は、日本のお仲間同様に脅威を煽ると喜ぶのだろう。

 また、景気のいい部分も興味深い。梁さんは「『高新6号』的監控範囲可覆至第二島連」と、高新6号量産の暁には第二列島線まで哨戒できると主張している。たしかに、平時に物理的には哨戒できるかもしれない。だが、航空自衛隊機(海自固定翼機もやるかもしれない)による平時の監視/圧迫/追跡といった問題がある。なんらかのトラブルが起きても、東シナ海の向こうには降りられる味方根拠地がなく、落ちても味方救難手段がない所も、遠く第二列島線までの進出を難しくする。なにより、戦時には見つかれば落とされてしまう。実際には、太平洋にでる段階で高いハードルに行き当たる。その先、遠く第二列島線までを日常的に哨戒するのは容易ではない。梁さんは、計画機数は100機以上とも述べている。だが、空母とその護衛艦を新造し、潜水艦を建造しなければならない中国海軍には少々重荷ではないのかな。

 そして、高新シリーズ全体の紹介がある。梁さんは最後に「運-8」輸送機をベースとしたシリーズを紹介している。高新シリーズは、1号-6号までの6種存在し、海空軍に使用されているといった内容である。
「高新1号」が合成開口レーダを積んだ偵察機。巡航ミサイル誘導のためのマッピングに使うとしている。
「高新3号」は、電子情報収集機としている。具体的な役割としては、対輻射誘導(レーダ波に向かっていくヤツ)に必要なレーダ波収集を挙げている。ミサイル名は、「YJ-91[超音速]対艦ミサイル」としている。
「高新4号」は、空中指揮型、あるいは偵察機ではないかと梁さんは推測している。とにかくアンテナだらけなんだそうだ。

 で、高新2・5・6は「本文で紹介したから省略する」とのこと。本文では「高新2号」を海軍用電子偵察機、「高新5号」は、キャプションで「空警-200そのものである」と述べている。そして「高新6号」が、今回ニュースになった哨戒機。また、別に「運-8海上巡邏機」についても本文で僅かに言及している。



※ 梁天仞「6大高新戦機震撼問世」『鏡報』420(鏡報文化企業有限公司,香港,2012.7)pp.80-82.

 あと気になるのが、P-3スキーという言葉。キャプションで、ロシアのIl-38を「也被称為『P-3斯基』」と書いている。だが。「P-3スキー」って言い方も珍しいなと思う。どっちかといえばオライオンスキーだろうけどね。しかし「P-3斯基」「獵戸座斯基」とググってもでて来ないのでなんとも言えない。確かにIL-38はP-3Cソックリなわけで、「口語ではそういう言い方をしている」という話なのかね。

高新6号そのもの関して → 、「新型哨戒機、高新6号」
2012.07
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Category : ミリタリー
 自衛隊も役所なので、今ある仕事を死守しようとする。アウトソーシングについて調査した時には、花壇の水やり程度の仕事でも「如何に必要であるか」を力説したもんだ。2007年だったか、調査の時は気楽な共通職域で、当初はその仕事をクローズする要員だった。後に特殊警備隊で起きた殺人事件でクローズは立ち消えになったけどね。まあ、調査の時には、己は「別にアウトソーシングできるよ」と回答した。調査に来た海幕の人事課だかは「最低のオミヤゲができた」と喜んだ。海自全体で「アウトソーシング不可」は無理。ポストで10個程度、50人くらいはできると言わないと困るだろ。でも、組織の論理で最終的には「お前の仕事はアウトソーシングできない」という結論にされた。まあそんなもんだろう。

 でもねえ、見た限りだけど、アウトソーシングできる部分は結構あるのよね。

 航空機整備なんかそう。練習機なんかは、今でも一部は委託しているが、100%ぶん投げて大丈夫だよ。請けるところもある。ジャムコなんか既に一部を請けている。なんせ、海で航空整備やってたOBが大挙して就職しているからねえ。徳島ジャムコなんて同じ飛行場にある。徳島にあるTC-90は徳島ジャムコに100%投げても大丈夫。TC-90んなんて単純な機体整備、エンジン整備、計器整備しかない。それよりも簡単な小月にあるT-5も完全に投げていい。木更津のLC-90もそうだろう。列線整備も投げていいんじゃないの。練習機の類だから、時間外はほとんど動かない。仮にあっても大したものでもない、その時は他職域連れてきてみんなでやればいい。

 燃料搭載もぶん投げて大丈夫。航空機、艦船どちらもそう。給料が高い自衛官、多少安くても技官がやらなくても問題ない。燃料の受け払い、品質といった管理も委託に支障ない。難しくない上に、人数にのわりに仕事は少ない。なんせ、ヒマがあれば覆土式タンクほかの草刈りをやっている。官側は1日1回燃料検査をすれば充分だろう。艦船への燃料補給は港務隊の仕事で、タグ支援もあるが、アレも自衛官である必要もない。

 ぶっちゃけ、正門他の警備もアウトソーシングして大丈夫。仕事は隊員の身分証、営外居住証のチェック、業者入門の手続きが9割9分。残り1分は、指揮官出入の堵列員で、並んで捧げ銃をやるだけ。警備というほどのこともない。隊員が持っている身分証も、政府IC入りに切り替わっている。通行は、鉄道の自動改札みたいな奴で充分。業者出入はそれこそ民間警備会社に投げればいい。日常の堵列は、道路工事の安全太郎君みたいに、堵列太郎君つくれば良くね? 腕と顔が動くマネキンに、モデルガンくっつけるだけだから50万でできるだろ。あるいは、液晶モニタに堵列太郎を表示させて終わりでもいいよ。

 だいたい、正門の警備要員にはそれほどの能力は期待されてない。総監部ほか艦船部隊の警備なんか、生きた海曹の捨て所になっている。艦艇では、本当の警備は舷門になっている。だから、基地のゲートに気の利いた人はいない。40代3曹とかゴロゴロしている。港湾ゲートは自衛官を立てる必要もない。機関官衙での門番は、戦前は雇人である警衛手がやっていた。今でも大湊正門なんかは技官がやっている。航空部隊は、真面目で気も利くけど、あれも初任海士があたるもので、やはり習熟は要らない。責任者で自衛官を一人置いとけば、あとは民間警備会社で充分だよ。工事なんかだと、受けた会社に工事門を任せているけど、何の問題もない。

 こういったところから、潜在的な余剰人員を見つけて、艦艇や一線部隊に廻せばいい。ただ、引き抜かれる部隊が承知しない。鳥瞰すれば、優先度の低い部隊から高い部隊に人を移動させることには異論はない。しかし、優先度が低いと言われた部隊は必死に抗弁する。その上級部隊も擁護に努める。その上級部隊の重要性も問われ、将官、指定職以下のポスト維持にも関わるので、海幕も内局も余剰人員が居ることを認めようとしない。だいたい、役人のロジックでは、余剰人員がいたことを認めることはまずできない。担当している艦艇航空機、装備品が退役、廃止されるまでは、人員配置はいじれないわけだ。

 人手は省く余地は結構ある。一番人手が足りない海自でも、正面戦力に障らず、人出を抽出する余地はある。まだ余裕がある空自、人が余っている陸自なら、もっとあるだろう。人件費も減らすこともできるわけだ。しかし、役所だから、規模縮小を伴う削減は絶対に認めない。阿呆な仕事を汲々として維持しようと頑張ってしまう。役所自身に役所の改革をさせるのは無理なもんだ。外からガツンとやらないと駄目なんだろうねえ。
2012.07
13
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Category : 映画
アマゾンでキャプテン・アメリカのポスターを見っけて不図ね
まず、キャプテン・アメリカはベトナムに行っていないらしい

でもねえ、70年代の映画なら
・ 南ベトナムの腐敗
・ 米介入の理由付けができない
・ 巻き添えになる市民
で悩まないといけないだろう

まあ、ランソン捕虜収容所強襲に参加するけど
ヘリが故障、オートローテーションで小学校かどこかに着陸
寄せてくるベトナム兵を張っ倒し、文字通り屍山血河を築き
VIPを保護しているらしい敵を踏み潰そうとすると

…アンクル・ホーがいるんだろうな
で、ホーのオーラに魅入られて動けなくなるキャプテン・アメリカ
ホーおじさんを守れ、と農具で襲いかかる女子供を見て戦意を喪う

乗員他を収容して、後方に帰ると、ソンミ村の事件を知る
これで積極的に戦争しないだろうよ。多分ここで酒とクスリに溺れる

戦場では、敵味方の負傷者を助けるが、誰も倒そうとしない
休みや後方では、市中の病人や傷者をいたわり、お寺お廟を直したりするのだろう

で、BBQを見かけるんじゃないの
私淑していた高僧で、悩みを打ち明け、カウンセリング風を施してくれた恩義もある、
「好きにやらせろ」とニヤニヤする南ベトナム官憲を張り倒し
坊主のところにやめてくれと懇願する

でも、「私はベトナム人を救おうとしている、邪魔をするな」と大喝され
「この年寄り一人を救うよりも、百万のベトナム人を、数万の米兵を救え」
とかいわれんじゃないかね

営倉から出されて、南ベトナムからの抗議で本国に送還されるときには、
酒もクスリも絶っている

本国に帰った時には、ワシントンとかニューヨークで平和運動の先頭に立っている…じゃないかな。ホーおじさんやこの平和行進は、フォレストガンプ/日清カップヌードル方式で、記録画像と合成



今様なら、「山の郵便配達」方式かね
奥地の作戦で少年兵を捕虜にとる、後送中にトラブルで二人きりで後方まで、
10日間位一緒に過ごす、その間に、互いを理解して…かね

最後に、少年兵が南ベトナムに引き渡されることを恐れて、逃がしてやる
この時に、何か象徴的な小道具を渡す、トランペットとか、グローブとかね

でも、すぐに銃声がして、米軍なり南ベトナム軍に少年兵が、なるべく残酷な方法で殺される。
そして、せっかく渡した小道具が泥の中に打ち捨てられ、踏みにじられる

あとはわからない。そのまま終わりでもいいし
EDで、キャプテンアメリカが大暴れして、本国送還、平和運動の先頭でもいいんじゃないのかな

まあ、なんでこんな文章を書くのかわからないけどね



2012年01月01日 MIXI日記より
2012.07
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 オスプレイ配備がニュースでも取り上げられている。新機軸の航空機なので、安全性を不安視する意見が強い。実際に、連チャンで墜落事故を起こしているわけだ。特に、基地周辺自治体でも、保革を問わず配備反対を決議するのは当たり前だろうと思うよ。

 オスプレイ自体は、極端に悪い航空機ということもないだろう。何かの拍子にエライ問題が出てくるかもしれないが、今のところは致命的な問題というものはなさそうではある。

 ただねえ、無理やり配備しても、あんまいいことはない。昔のように、米軍は何をやってもいい時代ではない。思いやり予算も日本はいい顔をしていない時代で、昔なら鉄面皮で隠し通した核持込や裁判権に関する密約も明らかになっている。米軍が安保条約や地位協定でゴリ押しできた時代でもない。

 だいたい、米軍が新型機を持ってくる話に、地元は反対しないわけにはいかない。地元にとって新型機は何の利益にもならない。その上、何のリスクが増えるかもわかったものではない。何かあっても、米軍は運用で斟酌してくれない。とりあえずは反対するというものだ。飛行場の側に住んでいて、リアルに実害があるかもしれんとなると、保革の思想対立なんか吹き飛ぶ。

 特に沖縄は、オスプレイにも強く反対しないわけにはいかない。だいたい市街地化が進んだど真ん中に基地がある。落ちたときに付随被害が出る可能性高い。また、基地問題は進捗していない。日米両政府は解決に向けて積極的に行動しているわけでもない。その現状で、特に米軍米政府だけが利益を得るオスプレイを認めることもできない話だ。地元の意向を軽んじられている現況への不満もある。オスプレイ反対で強硬であることは、地元の意向が重要であることを分からせる手段になる。沖縄は強硬に反対することで、基地問題についても、日米政府にヨリ深刻と認識させることもできる。オスプレイへの反対は、生半可な反対ではないだろう。

 無理矢理配備してもいいこともないだろうにね。保革問わずに反対している状況だもの。無理押しをして、特に沖縄の県民感情逆撫でするほど価値もない。所詮は輸送ヘリの代替品です。急ぐほどのものでもないだろうに。

 日米政府も、半年か1年か、日本国内への配備を見送るとかやってもいいんじゃないの。このままでは無理矢理に配備したことになる。CH-46の寿命云々が真に深刻なら、とりあえずMH-53EとかUH-1Yでしばらく辛抱するとか。米軍も統合化も進んでいるのだろうし、何なら陸軍からCH-47を部隊ごと持ってきてもいいんじゃないのかねえ。米海兵隊にとっては運用性の低下とか起きるかも知れない。でも、そうすれば日本人には誠意が見えるんじゃないのかね。その間にじっくり折衝したほうがいいだろ。納得してくれなくとも、地元の意見も聞いてくれたってあたりで、感情的に宥められる。

 実際に、自衛隊は新型機を配備する場合には、予め折衝をしている。騒音問題が起きそうなら、それなりのケアを約束する。実際に、P-1を飛ばす前にも、地元と細かい折衝をやってるんだようね。いろいろな飛行場で「海自はジェット機を運用しない」と約束していた。だから、事前に了承を貰っている。対象は周辺自治体だけでなく、地元町内会も含んでいる。それぐらいはやったほうがいい。

 なんせ、無理矢理に配備したあとで墜落でもしたら、目も当てられない。市街地に落ちて、巻き添え出したら、日米同盟の深化を止める自体にもなりかねない。巻き添えゼロで済んだ沖縄国際大や九大に落ちたどころの話ではない。どこもが配備に反対している状況である。横浜に落ちたファントムの、「パパママバイバイ」以上の問題になってしまう。

 一番駄目なのは、米軍の提灯持ちの理屈だね。この場合は海兵隊の提灯持ちか。パイロットのせいです、機体は完全無欠です、未亡人製造は昔の話、オートローテーションできないけど問題ないとか言っている。でもそれは提灯持ちの中でしか通用しない話なんだよねえ。しかも、今の機体よりも安全だから地元のためになるって理屈は、火に油を注ぐだけだろ。「お前のためになる」って押し付けほど反発されるものもないもんだ。提灯持ちは「リアリズム」って言葉に酔ってるけど、現実はそんなもんだよ。
2012.07
09
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13:00
Category : ミリタリー
 消費税の話題で思い出したのだが。入隊した時、パンツが買えなくて困ったことがあった。入隊すれば、下着や靴下まで被服は全部支給される。そう聞かされて着の身着のままで江田島に行ったのだが、流石にパンツは支給されなかった。

 入隊二週間、パンツの替えが無いのには閉口した。買いに行けばいいと言うだろう。しかし、それはできなかった。まずヒマもないのだが、そもそも消費税の関係で、隊内の共済売店が2週間ほとやっていなかった。外に買いにもいけない。代休を作って5月連休を稼ぐため、最初の1週間(2週間だったかな)は土日は休みではない。また水曜上陸も許可されていなかった。

 しかたがないのでトランクスを表裏と裏返し、前後とひっくり返した。でも1週間は持たない。結構汗をかくので湿って気持ちが悪い。しかたがないので、洗濯をして乾く間はノーパンで過ごした。古着である幹部作業服は柔らかいので、どうにかなるのだが。ブカブカで固い制服ズボンでは、息子の位置が決まらなくて往生した。あとは寝るときまでには乾かさないといけないのにも困ったものだ。寝る時に作業服ズボンは駄目。「総員起こし」での早着替えでズルをしたことになる。

 今から思えば、官給された運動用短パンなり、冬用モモヒキなりを何で着なかったのだろうかと不思議に思う。あるいは、分隊長※に頼んでも良かったのではなかったかな。理由を話せば買ってきてくれただろう。

 なんにせよ、共済売店も2週間も休むなと。値札を付け替えるだけで2週間以上休業していた。いずれ滅びると思っていたら、本省コンビニの入札で共済は負けたらしい。確かに、外のコンビニの方がよほどサービスもいいよ。

 防衛省共済組合は駄目だねえ。昔、横須賀の売店冷蔵棚にトコロテンが置いてあった。買おうと思ったら「私物で売り物ではない」と怒られたことがある。こりゃ駄目だと思ったよ。共済事務室も、地方はいいのだが、中央は酷いもの。防衛本省にある本部共済が最悪という話は、曹士は幕を問わずにしていたよ。



※ 誤解しやすいが、海の分隊長は幹部がやる。陸だと中隊長相当。まあ、3佐~1尉だね。
2012.07
07
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Category : ミリタリー
 対戦車ヘリ隊って、全国一律に、各方面1個づつ必要なのか。着上陸への危機はない。基本的に戦闘にしか使えない対戦車ヘリは必要性が大きく減っている。

 戦闘用ヘリ部隊は、5個も要らない。各方面隊に一律1個飛行隊は無駄に多い。戦闘用ヘリは、お金がかかる上、平時はまず使えない。高価で使い道も限られた対戦車ヘリ隊を、方面ごとに満遍なく配置するのは、予算の有効利用ではない。

 すくなくとも、本州にある3方面隊に必要な部隊ではない。着上陸も離島云々もない東方、中方(本土西部)、東北方に対戦車ヘリ隊を配属する必要はない。

 北海道にも絶対的に必要な部隊ではない。日本への着上陸は、ソ連時代から相当に困難であった。ソ連時代から大幅に弱体化したロシアには、日本に侵攻する能力はない。防備上、是非とも配置しなければならないということはない。

 九州方面には置いてもいいかもしれない。しかし、その目的は、主に離島防衛になる。使い方も対戦車ヘリとしてよりも、歩兵やソフトスキン、あるいは艦艇や橋頭堡、陣地攻撃に主眼を置くべきである。攻撃ヘリ化といってもよい。

 対戦車ヘリ隊は、2つもあれば充分に足りる。即時対応できる高練度部隊と、バックアップにあたる錬成中部隊にすれば、困ることもない。前者を西方(九州)に、後者を東方なり北方に置いておけば充分だろう。仮に、配置地域以外で使う話になっても、あまり困ることもない。ヘリは機動力が高いので、日本列島内でも自由に移動できる。整備器材・要員も、移動は困難でもない。陸自部隊は野戦部隊なので、移動が前提である。

 対戦車ヘリ隊を漫然と5個保持する必要はない。部隊数を減らし、課題となっている離島防衛や海外派遣への対応を進めたほうが良い。考えつくだけでも、海自が持つ輸送艦ほか、空自輸送機との連携、あるいは民間コンテナ船からの運用、海浜でのDFM/RRRマット等で応急的に設置したヘリパット運用といったものがある。今までどおり、山の中で掩体を作ってバラキューダ被せるよりも優先する任務はある。



 まあ、ゲリコマ対応にも対戦車ヘリはそれほどは要らない。もちろん、有効な戦力ではあるだろう。しかし、ゲリコマ見積数が余りにも過大である。ゲリコマは来ても少ない。捜索はともかく、攻撃に必要なヘリはそれほどの数でもない。

 陸自は過大なゲリコマ見積りをしている。しかし、その根拠は朝鮮戦争でのゲリラ浸透数である。そりゃ、同じ民族、同じ言語と習慣を持っている同士の内戦なら、ゲリコマもイッパイ来るだろう。でもねえ、日本に送り込むゲリコマとなると、周辺国は数を揃えられないよ。流暢な日本語話者であったとしても、非ネイティブは見破られやすい。しかも、日本は相互監視の厳しいムラ社会だから目立つ。

 まあ、ゲリコマ所要で攻撃ヘリが要るなら、各方面に2-4機の分遣隊形式おいとけば充分じゃないの。東方と中部は明野と霞ヶ浦にある分で足りるだろうし。特に東京が不安なら、木更津あたりに2-4機おいとけば済むんじゃないの。対戦車ヘリ隊の規模は要らないよ。
2012.07
06
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Category : 昭和の新聞
 釣り堀に、今は高くなったウナギを放つ。チャチイ竿と弱い針糸、ショボイ餌を500円で貸す。釣り上げられたらその人のもの。それを料理用として時価で、2000円で買い取る仕組み。郡上八幡の鮎釣り-購入方式を釣り堀でやる方法。釣り堀として買い取るのがマズイのならば、道を挟んで向こうにある、全く無関係の第三者が経営する買取窓口で…

 …これ、昭和40年に、警察が警告しているんです(※)よねえ。ウナギじゃないんだけど、釣り堀での賭博類似行為にNGがでている。件の「射幸心を煽る」とか、第三者でも賭博類似とか、釣った人に賞金もダメとか。

 当時の室内釣堀は、昭和50年台のゲーセンに近かったようです。その殆どは、夜23時から午前4時まで営業しています。また、上で述べたとおり、賞金や買取により、支払った料金以上のリターンもあった様子。話に聞いた、10円玉そのものが出てくる、どう考えてもご法度のコインゲームのようなものでしょう。急増の勢いも似ている。昭和40年には釣り堀が急増しています。昭和38年には都内19軒しかなかった屋内釣り堀が、昭和40年に入ってから、半年で368軒まで増えている。当時、都内にある釣り堀は合計539軒ですから、半年で屋外釣り堀の倍の数ができた計算になります。

 まあ、警察に水を差さなければ、モット反映したんだろうね。風営法の範囲に似ているとか、イチャモンつけやすかったのが敗因か。なんにしても、パチンコみたいに団体作って、天下りを受け入れないと駄目なんだろうねえ。


※ 「ふえた釣り堀に警告」『朝日新聞』東京版,1965年8月2日夕刊,6面
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2012.07
04
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22:45
Category : ナショナリズム
 ふと思うことがあったので書いてみた。



 昨日3日と今日4日、領土問題に関するニュースが日本の南北で起きた。ロシアのメドベージェフ首相が国後島に上陸しロシア領であることを宣言した。尖閣諸島では台湾民間船と政府交船が尖閣諸島で日本領海に侵入し、中国領域であると主張した。それに憤慨して、政府の無策云々、政権政党云々する人がいる。しかし、どの政府でも、どんな政権政党でも、現実的に打つ手もない。

 だいたい、領土問題はどうやっても解決しない。

 もともと領有権主張は、水掛け論であり、決着はつかない。日本人からすれば、北方領土も尖閣諸島も日本領であることは自明。私も日本人なのでそう考えている。しかし、ロシア人や台湾人にしても、ロシア領であり、中国領であることは自明であり、疑う余地もない。話し合った所で何も解決しない。北方領土であれば、日本人は「北方領土は千島列島に含まれない」、「火事場泥棒で占領された島である」とする主張が揺るぎないものとしている。対して、ロシア人は「クリル列島に含まれる島」であり、「戦争で獲得した島である」と信じている。想像の共同体とはよくいったもので、ナショナリズムは確信が先に立つ宗教論争と同じだから、決着がつくはずもない。

 そもそも領土は神聖であり、絶対に喪うことが許されない。仮に領有論主張で正邪を納得させたところで、政党側に領土をホイホイ渡す政府はない。これはどの国でも同じ。日本でも、ロシアでも、台湾でも同じ話。どう交渉しても、領土を喪う国民は納得しない。政府・政権は信を喪い、倒される。

 領土交渉をする余地もない。神聖な領土を喪うような交渉、妥協はもともと成り立たない。戦争でもやって、相手を屈服させて、講和条件で領土主張を放棄しない限りは、領土交渉はできないと考えたほうが良い。

 結局、それぞれの政府にできることは、抗議程度しかない。口頭や文書による抗議、政府交船や軍艦を差し出しての示威的な抗議、大使召喚といったように、強度は色々ある。しかし、エスカレーションさせても得るものもない。そもそも、領土問題は解決しないのである。そこで領土以外の関係をこじらせても、得るものもない。

 北方領土、竹島、尖閣諸島といった領土問題は、すでに固定化している。関係国間では、漁業での調整措置、領海侵入や不法上陸での送還措置、コーストガードや軍隊同士の衝突予防措置が、明文か不文律かはともかく、ルールとして成立している。※ 政府も政権も、実質的にこのルールの中で行動する縛りがある。どの政権でも、政権政党でも、ルールの中でできるオプションは限定されている。打つ手はない。



※ このルールに違背したのが、2010年9月の中国漁船抑留、ビデオ流出だね。日本側がゲームのルールに違背したので、中国側もレアアース輸出やフジタ社員拘束をしたわけだ。日本は実績を一個積み上げたわけで、日本の勝ちといえば勝ちなのだが、最終的に解決しないゲームなので、日本人の溜飲を下げただけで、あまり意味は無かったねえ。



 まあ、次の戦争でケリつけるしかないんじゃないのかな。
 北方領土なら、日ソ国交正常化の時に2島返還で手を打つか、ソ連崩壊のドサクサで4島買い取るかがチャンスだったのだけれどもね。なんにせよ、両者にとっての利益になるシベリア開発は遅々として進まなかったのは損だった。そのうち、中国資本に取られるんじゃないかな。
 その点、尖閣で対立する日中は巧くいったもの。「戦略的互恵関係」という言葉で互いに誤魔化して、仲良くお金儲けをしている。日中両国関係は対立的であり、ドライであるように見える。でも実はウェットであるんじゃないかと己は思っているんだけどねえ
2012.07
04
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13:00
Category : ミリタリー
 国産機は過剰評価されるものだ。中国新哨戒機、高新6号についての中文記事を見つけたのだが、自画自賛に流れている。対潜機としてのハードを褒めるだけで、最も重要なソフトウェアは全く言及していない。分かっていて伏せているよりも、国産に目が眩み、気づかないのだろう。

 中国が開発したという対潜哨戒機、高新6号について香港誌が取り上げている。香港誌『鏡報』7月号、いつもの梁天仞さんの「6大高新戦機震撼問世」※ が取り上げている。これまでは「運-8輸送機を元にした機体である」程度から、一歩進んだ内容になっており、非常に興味深い内容になっている。

 しかし、国産機であるための自画自賛がある。そして、そこにある不利に着目しない点は残念である。

 梁さんは、機体そのものの性能を褒めている。高新6号は、6枚プロペラの4発機で、航続距離は短いものの、巡航速度、最高速度、最大離陸重量はP-3C相当であるという。低空性能も優れているとしている。P-3Cが機内ソノブイ48本しか積めないのに、高新6号は100本搭載できるとも言及している。

 しかし、対潜哨戒機でハードウェアを褒めても仕方がない。P-3Cもニムロッドもオリジナルは旅客機で、しかも古い。それと較べて勝っていても自慢にはならない。低空での運動性能についても、どの程度まで動けるものか。梁さんは「低空盤旋能力」を示しているが、MADを使った低空運動は思ったよりも激しい。潜水艦から離れると磁気以上は探知できないので、低く低く飛ぶ。飛沫がかかる高度60m程度まで下がって右に左に動きまわる。「可以在野戦機場所起飛」ともあるが、脚が長い哨戒機を野戦飛行場で運用する理由もない。「空空導弾、自防能力P-3C相若」とあるが、サイドワインダーの類はどんな機体でも運用できるので、取り立てるほどのものでもない。

 梁さんは、レーダーほかも褒めている。だが、そこに日米機が持っているISARはない。海自機がダンマリでいつの間にかつけている電子光学関連器材もない。P-3にあって、高新6号にないものは少なくない。

 特にソフトウェア、中でもデータベースの遅れは5年10年では追いつかない。

 パッシブでの対潜戦はデータベースとの照合作業になる。潜水艦から発生する音響データ、海洋での音響伝播データが重要になる。極端な話、器材であるソノブイの性能は中国でもどうとでもなる。しかし、音響データはどうしようもない。東シナ海を挟んで対峙する日米海軍、その潜水艦は特に静粛性が高い。潜水艦を見つけるのが難しい。その音響データを収集しなければならない。少なくとも潜水艦と潜水艦以外を聞き分けられるよう、データベース化するには至難である。

 ESM関連もデータベースとの照合である。データベースがなければ、ESM自体は作れても、その方向から電波が来ていることしかわからない。各種レーダの周波数、繰り返し周波数、輻射パターンといったデータを集め、どこの国の、何のレーダ波か。捜索用レーダなのか、射撃用レーダに捕まったのか、あるいはミサイル誘導用であるか。その電界強度と、距離による減衰との関係もはわからない。

 高新6号はそれらしい外形であるが、能力はP-3Cに追いつくものではない。外見や機体スペックはP-3Cなみかもしれない。だが、ソフトウェア、特にデータベースの遅れは、日米に追いつくものでもない。日本ですらP-3Cで使うデータベースの一部は、米国からブラックボックス形式で渡されていた。P-1で対潜機器独自開発を行ったが、背景にはここ20年30年をかけ、日本独自で収集したデータの集積がある。対して、間違いなく中国にはデータ集積はない。頼むロシアにもおそらくない。高新6号は、パッシブ戦やESMでは能力を発揮できない。

 国産装備は盲目的に評価される。そこで優れるものを挙げて賞賛する。しかし、あるべきものがないことは触れられない。これはどこの国でも変わるものでもない。日本でも、F-2を「対艦ミサイルが4発積める、万邦無比の対艦攻撃機」であるように讃えられていたが、80年台にはバッカニアもトーネードも同程度のミサイルを4発積んでいる。「F-16とは全く別物」とも褒めているが、F-16最新型と比べると大差もない。戦車も軍艦も似たようなものだろう。

 国産装備を褒めて褒めて褒めちぎる意見は、どこかに穴がある、アラはある。国産品を賞賛するのは色眼鏡であって、外さないと物事を見誤るのだろうね。



 しかし、『鏡報』も変わったもので、萌え系のページができているのには驚いたよ。大陸系出版社が出した香港誌で、実際には中国人が国内で主張できない話をしているので購読していたのだけれどもね。祈子陽さん作画の「甜甜圏看世界」という、まあ萌え系イラストによる紀行が掲載されている。「哈利法塔的伝奇」というドバイ旅行記なんだがね。香港や大陸のゆとり世代に阿らないといけないのだろうねえ。


※ 梁天仞「6大高新戦機震撼問世」『鏡報』420(鏡報文化企業有限公司,香港,2012.7)pp.80-82.
※※ 作者 甜甜圏,作画 祈子陽「哈利法塔的伝奇」『鏡報』420(鏡報文化企業有限公司,香港,2012.7)pp.102-103.


その他の高新シリーズ(高新1号-高新6号)は、こちらhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-337.html
2012.07
02
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊イメージモデルと称する腕時計がある。でも、アレを付けているヤツ、隊内で見たことがない。まず、自腹で会社の名前の入った時計を買わないね。値段的にも、威信財としては安すぎる。壊していいものにしては高すぎる。

 そもそも官給品ではない。今、自衛隊に官給品腕時計はない。昔は航空要員用にクロノグラフを支給していた。その廃用品(まあ完動品だね)を身内に配っているのが、会計検査院にバレたという話がある。検査院がお茶出し海士の時計を褒めたら、不用品を貰ったと正直に話したらしい。普通、そういうヤツは検査当日は表に出さないのだけれどもね。まあ、それで官給腕時計も無くなったのだろう。実際に、航空要員にクロノグラフが必要かどうかも怪しい。パイロット連中は、地上じゃオメガやベアトリングつけているが、飛行作業があるときにはGショックに付け替えると言っていた。「ぶつけて壊れたら泣くしかないよ」とのこと。

 陸海空自衛隊で認められたオフィシャル品でもない。あくまでも防衛省共済組合とのタイアップにすぎない。共済組合は、防衛省組織ではなく、別人格である。物品販売でのタネにしたいのだろうが、隊員は共済販売品は高いことを知っているので誰も買わない。

 なんにしても「自衛隊をイメージしました」程度のイメージ・モデルなわけだ。自衛隊と無関係の時計に、陸海空それぞれのマークがつけているだけ。USMCとプリントされているだけの薄手のTシャツと変わるところはない。

 だいたい、会社のマークが入った腕時計は自腹で買わないし、嬉々としてつけるものでもない。恩賜金時計、銀時計とは違う。誰でも買うことができる。そもそも隊員でなくても買える。値段が高いわけでもない。威信財にもならない。ぶっちゃけ、その時計をつけていて自慢できるわけでもないし、モテるわけでもない。

 値段がバカ安ければ、隊員価格1980円なら買うかもしれない。ぶつけたり、なくしたりするような所でつけるならいい。しかし、使い捨ててもいい時計に、1万円は少々高い。壊したりなくしたりするかもしれないのなら、カシオやアルバの低価格品を買うものだ。

 あとは、盤面が見やすくないのも問題ではないかな。盤面を制服の色に合わせ、陸は緑、海は白、空は青にしている。そのうち、海モデルは白い盤面に、白文字になっている。まあ実用上に困ることもないのだけれども、趣旨からすれば視認性を高くしなければならない。その点も不徹底なものだ。

 特にクロノグラフ・モデルも、隊員は買わないだろう。腕時計にこだわりあってクロノを買う奴は、舶来かセイコーの高級品を買う。それ以外の人間は、クロノなんか買わない。みんな「針が多くて見にくい」といっている。仕事でストップウオッチ機能が必要なときには、ストップウオッチが準備されている。計算尺なんか、音速や風力計算しか使わないし、使うところには、それも用意されている。

 腕時計と自衛隊員って切り口ならば、4種に分かれる。「クロノ&舶来」、「ソーラー&電波」、「適当に安いやつ」、「携帯があれば不要」。まあ、己は携帯も持たず、腕時計も不要派だったかな。隊内は至る所に時計がある。一部は親時計とシンクロしているので、狂いもない。朝昼夕にはマイクが入る。近場にいる誰かしらは時計を持っている。一人きりでも、太陽の高度や方位、人の動きを見れば、時間は大概わかるもんだ。