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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
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2017.11
30
CM:7
TB:0
13:34
Category : 未分類
 毎日新聞の記事に原子力研究開発機構が不満を述べている。

 29日付記事「もんじゅ設計廃炉想定せずナトリウム搬出困難」(毎日)に対する「平成29年11月29日付毎日新聞における「もんじゅ」に関する報道について」である。

 毎日記事は次のように指摘している。
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。
[中略]
原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。
https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/001/040/162000c


 それに機構は次のように反論している
これらについては、技術的に可能であるにも関わらず、あたかも原子炉容器からナトリウムを抜き出すことが極めて困難であり、かつ、あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするものであり、更には事実関係を十分に取材せずに掲載されたものであることから、当機構としては甚だ遺憾であります。
https://www.jaea.go.jp/about_JAEA/article/2017/112902.pdf



■ 噴飯な反論

 だが、その中身は噴飯だ。

 まず「技術的に可能」(機構)とは面白い言い方である。つまりは「容易である」と言えない、「処理法が確立している」とも言えない内容の裏返しでしかない。

 その言い方に倣えば高速増殖炉も核燃料サイクルも「技術的に可能」(機構)となる。

 ちなみに「もんじゅ」も核燃料サイクルも原子力研究開発機構が担当していた事業である。前身にあたる動力炉・核燃料開発事業団が担当していた。「もんじゅ」が失態や回転しないサイクルの体たらくは御存知の通り。まずは「自分のケツを拭いてから文句を言え」といった中身だ。

 また、「原子炉容器からナトリウムを抜き出」しについて「あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするもの」(機構)もなかなかだ。

 毎日記事を否定するなら「配慮している」となるからだ。本当に配慮していれば「『もんじゅ』はナトリウム抜き取りの準備をしている」といった反論となる。

 つまり「配慮を怠ったかのような印象」(機構)は、結局は配慮していなかったことを示しているものだ。要は「『なすべき措置を怠った』のではない。『法的義務のない措置を実施しなかっただけ』」と言いたいのだろう。


■ 理系カルトの原子力ヨイショ

 もっと面白いのは理系カルトのヨイショだけどね。

 例えば大貫剛さんの発言がそれ。
大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
何のことはない、もんじゅは廃炉を考慮していないので一次系ナトリウムの抜き取りが不可能という毎日新聞の報道は、全くの誤報だとJAEAは断言した。どういう経緯であのような記事になったのか、毎日新聞は説明するべきだ。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935919122965135360

大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
ナトリウムの抜き取りが可能な管は存在していて、その管を使っても炉内に残るナトリウムは1m3程度。一次系ナトリウムの線量は低く、人が近寄れないレベルではない。JAEAの説明が正しければ毎日新聞の大誤報ということになるが、新聞社にも説明責任はあるのではないか。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935920023415152640


 原子力機構の言っていることを信用し切るあたりは不思議なものだ。「廃炉を考慮していないので一次系ナトリウムの抜き取りが不可能という毎日新聞の報道」(大貫)「毎日新聞の大誤報」(大貫)と述べている。「JAEAの説明が正しければ」と逃げを打っているがそのようなものだ。

 だが、実際に抜き取り出来なかったらどうするのだろうかね。

 毎日記事が正解の可能性もあるからだ。

 その点で言えば、大貫さんの発言は面白い内容になっている。例えば90年代に「『もんじゅ』はクソ原子炉なので実用運転は不可能」といった新聞記事に、やらかした動燃の発言を元に「それは新聞社の大誤報」と発言するようなものだからだ。

 このあたり、公式発表を正解と考える(自称)航空宇宙クラスターの人々の性質が窺える。

 彼らは「物事には正解がある、僕たちはその正解を知っている」と考えているお理工さんである。

 だから公式に正確に騙される。正解と信じており発表の中身を自分で判断しないからだ。

 なによりも批判的に読めない点は致命的である。今回なら「技術的に可能」の意味するところを汲み取れない点は全くそれだ。飛行機やらロケットやらのメカやピコピコのプログラム言語には詳しいのだろうが、自然言語のニュアンスは詳しくないのだろう。
2017.11
27
CM:5
TB:0
01:46
Category : 未分類
 菊地真さんがユニークな主張をしている。「経済成長できなければ経済縮小してしまう」といったご意見である。

 日本は人口縮小から経済成長は見込めなくなっている。なによりも生産年齢人口の縮小により規模は大きくできない。これは仕方がないことだ。

 だが、それに対して菊池さんは不思議な反発をしている。それが以下のツイートである。
きくT(11/28ベアーズ12/3高松‏ @kikumaco
経済成長を諦めるということは経済が縮小して経済弱者の困窮が悪化するということ。経済成長否定論者は経済弱者に冷淡
前原誠司‏認証済みアカウント @Maehara2016
昨日、京都精華大学で慶應義塾大学教授・井手英策先生の講演会がありました。先生の「成長に頼る時代ではなくなった」との認識の下、「国民が抱える不安を解消するために、みんなの税でみんなを支え合う」という考えが、日本を変えること出来ると確信をしています。→続

https://twitter.com/kikumaco/status/934287188706992129


 なによりも不思議なことは「成長できなければ縮小する」といった理解だ。経済成長の反対語は経済縮小である。それから「経済成長できなければ経済縮小するだろ」と憤る姿勢はなかなかだ。

 特に「経済成長否定論者は経済弱者に冷淡」(菊池)はいえたものではない。人口減少下で現状維持しようとする努力を否定するものだからだ。

 なぜそのような発言をするか?

 まずはOX式試験教育の弊害だろう。状況にはグラデーションがある。経済成長も高度成長から低成長、停滞、経済縮小、経済崩壊と連続している。だが、計算機科学のお理工さんなので経済成長があるかないか。なければマイナス成長と短絡して「経済成長しなければ死」と言い出したものだ。

 ちなみにその後に現状の経済政策を肯定している。
きくT(11/28ベアーズ12/3高松‏ @kikumaco
金融緩和が続くなら大丈夫ですね。誰が続けてくれるのかが問題ですが
https://twitter.com/kikumaco/status/934449891262177280


 本来なら「金融緩和を5年続けて何の成果もないだろ」とか「金融緩和を続けて資金供給しても資金需要は全然増えてないだろ」と考えるものだ。

 なによりも金融緩和を続けても経済成長しない理由を聴きたいものだ。「経済成長を諦めるということは経済が縮小して経済弱者の困窮が悪化するということ。」(菊池)のスタンスで「金融緩和が続くなら大丈夫ですね。」(菊池)と述べる以上、金融緩和をすれば経済成長しなければならないはずだが、現状はそうなっていない。



 まー、理系カルトの発想は単純だからね。まずは「現状は何でも正解」。航空宇宙クラスタ自称や、と学会系の科学技術屋さんは現実に実施されている施策が最適解だと勝手に信じている。

 談志の「現実はリアル」そのもので「リアルであるから正しい」と勝手に信じ込んでるんだろう。電力政策も宇宙政策も全くそれ。リアルの精緻なディティールに執心していて全体が見えないわけだ。まあ、30年近く前に20代30代でそれを言うのはまだいいが、五十郎やら六十面提げてそんなことを言ってるのでは救いようはないもんだ。
2017.11
23
CM:9
TB:0
17:34
Category : 未分類
 新型護衛艦が高性能にならないことに怒ってどうするのだろうか?

■ 統合マストが作れない話

 清谷信一さんがセンサーの問題について言及している。
清谷信一‏ @skiyotani
■市ヶ谷本日の噂■
海自の30DDは火器は充実するが予算不足でセンサー類が時代遅れで、ダメダメだが3隻目からヘリ型UAVを搭載するとの噂。
https://twitter.com/skiyotani/status/932730739208187904


 おそらくは国産だと統合マストが上手く作れない問題だ。世界を知らない国産某社が「我が社が作れなければどこも作れない」と大見得切ったという。その話をある程度の規模の勉強会で聞いたことがあるからだ。


■ 安価な護衛艦に高級センサが付かないことに怒る自称軍クラ

 それに無根拠に噛み付く反応がある。ヨナトさんの意見がそれだ。
ヨナト@F-XはF-2増産一択‏ @Yonato4710
まぁ、清谷センセの言う事は端から信用していないしな。つか「30DDは予算不足でセンサー類が旧式なんですよ~(^o^)v」ってどういう意味や。世代的にはつゆき型DDやあぶくま型DEと同様と言いたいんかクソだわけが。
https://twitter.com/Yonato4710/status/932764085967450113


 なぜ安価な護衛艦に強力センサが付けられると考えているのだろうか?

 新型護衛艦は性能を下げて値段を下げる装備である。そして現用軍艦で一番カネがかかるのはシステムと武装とセンサーだ。だから、その性能が切り下げられることは当然である。

 ヨナトさんはそれを全く理解できていない。

 さらにいえば、時代遅れでも別段は構わないことも理解できていない。OPVに毛の生えたフリゲートと割り切れば差し支えないからだ。対空戦はESSM以上を搭載しない。対潜戦も艦載ヘリに任せきるならそれで何の問題もない。

 その点からすれば「ゆき」や「あぶくま」と同様である。三次元レーダを付けない、あるいは最低性能とし、対潜戦もバウソーナーを付けなければその程度だ。

 つまり「はつゆき型DDやあぶくま型DEと同様」になっても不思議はない。さらにいえばそれを理解できないにもかかわらず「クソだわけが。」と述べるのは天に唾する発言である。


■ 清谷情報を理解できない軍クラ

 ちなみに「まぁ、清谷センセの言う事は端から信用していないしな。」あたりを言い出す連中である。あまり多くは望めない。

 その情報を拒絶するだけであり、そこから発展して考えるまでを期待するのは誤りなのだろう。

 清谷情報あるいは清谷判断は判断材料に足りる質を持っている。問題意識として充分首肯できる内容である。批判的に読んだとしても、全般の方向性としてはそうなっても不思議はないと評価できる内容である。

 しかし自衛隊ヨイショしかできない軍事マニア層は理解できない。問題意識そのものを許せないためだ。なぜなら防衛省・自衛隊と勝手に自己同一化を果たしているからだ。当然ながら国家安全保障や防衛行政の利益と、防衛産業の利益を切り分けられない。その頭もない。

 だから、ただ拒絶する。界隈での衆をたのんで悪口して馬鹿にする。もとより大元のロジックや構造的問題は理解できないので、実物のディティール程度の部分で否定しようとする。細部に異常にこだわるのは、連中の出自や起源が航空写真屋やら模型屋やら軍装屋だからだろう。アレなオスプレイファンクラブが航空写真家ばっかであるように。

 そして、その後の展開は見ないふりをする。

 清谷判断として示された見通し、例えば戦車戦力の優先順位切り下げはそのとおりに進んでいる。これは軍クラがありえないと拒絶した中身だが、彼らはその後の一切は口にしない。

 ちなみに戦車新造は風前の灯火である。年6両と半ヶ中隊にも満たない年産両であるし、その価格も約13億であり軍クラが国産戦車の価格優位として提示した7億どころの話ではない。



 まー、清谷さん関係で一番面白いのは夜中に悪口を1時間以上電話してくる軍クラの話だけどね。ある高名な軍事研究家から聞いた話なのだが、軍クラの御仁から迷惑電話があったよという。名前を聞くと軍クラ界隈の中で名前を誇っているアレな人間、作家にひっつこうとするビックネームファンの類。電話をうけて延々と清谷さんの悪口を聞かされたという。軍事研究家は婉曲に「先が見えてないなオマエ」といったオーラを伝達したものの、本人は全く気づけていないとのこと。そのあたりの雰囲気センシング能力欠如も、まーアレならそうだろねと。
2017.11
22
CM:6
TB:0
01:21
Category : 未分類
 読んでいて不条理と疑問符だけが浮かぶ安全保障記事は珍しいものだ。

 渡邉哲也さんインタビュー記事「中国、75%の確率で米国と軍事衝突か…最速5時間で米国の勝利が確定」は読めば読むほど疑問符が浮かぶ、ある種の因果関係の狂いをグンニョリと当てつけられる文章になっている。

 その中身はどうでもよい。中国が憎い、北朝鮮が憎いをベースに「危険が危ない」を重ねるだけ凡百記事である。国難宗教系信者と同じメンタリティーをもつネトウヨに国難を訴えるよくあるネトウヨ向け商売である。

 だが、そのデティールは不思議に満ちている。一種怪訝というか、奇妙な感覚を伴う展開となっている。同じ日本語でありながら会話が成立しない。ロジック段階での不整合によるシュールな内容となっている。


■ 日本の土地をどう軍事利用するのか?

 まずは、説明で実現不能な具体化をすすめる怪訝である。

 例の「国防動員法の危険がアブナイ」を振り回している。それはよいのだが、その主張の具体化が不能犯方向に進んでいる。その点でオカシイのだが、足りない部分をはどうなっているかを補って具体化しようとするとグンニョリする。

中国の「国防動員法」という法律があります。
[中略]
 つまり、仮に日本と中国の間で衝突が起きて国防動員法が発令されれば、中国が取得している日本の土地が軍事利用されたり、日本に進出している中国企業や中国人がスパイ化したりする可能性があるわけです。


 まず、日本の土地をどう軍事利用するというのだろうか?

 敵国の土地を民間ベースで取得する。それは可能だ。

 だが、敵地にある以上、軍事利用のしようもない。拠点として利用するにしても、軍隊武器弾薬をどう運び込むのだろうか?

 それっぽいことを言いながら具体がないのである。それが怪訝の一つだ。

 ネトウヨ商売として抽象的に国防動員法が危険と言いたいのはわかる。だが、それなら危険性を具体化しなければならないが、それが全く出来ていない。

 そこをどうやって軍事利用すると思っているのか、それを想像すると袋小路である。渡辺さんの主張に合わせて考えるとどうしても成立しない。その点でグンニョリしてしまう。


■ 「米中の利害は一致している」のに「米朝開戦」が「日中開戦」とか

 また、ロジックの展開の不整合のグンニョリである。

 なぜ米朝開戦が日中開戦に結びつくのか、それがどうやっても全く理解できない展開となっているからだ。渡辺さんは北朝鮮問題は「米中の利害が一致する」と述べながら最後に「仮に『米朝開戦』が現実になれば、それは『日中開戦』と同義といえるでしょう。」と述べている。

 該当部分を引用すると次のとおりだ
北朝鮮問題を解決するために中国の協力が不可欠なことは間違いありません。しかし、中国は本音では現状維持を望んでいます。[中略]
 一方、北朝鮮問題の解決は習主席の政敵である上海閥および北部戦区の征伐にもつながります。その点では米中の利害が一致するため、習主席の動きが注目されているのです。[中略]
 中国は北朝鮮と軍事同盟を結んでおり、日本はアメリカと「100%ともにある」という姿勢です。そのため、仮に「米朝開戦」が現実になれば、それは「日中開戦」と同義といえるでしょう。


 何回読んでもわからない。

 それぞれの段落内部での整合性は取れている。もちろん、いまさら「習主席の政敵である上海閥および北部戦区の征伐」(渡邊)といったどうしようもない手垢のついた空想を提示しているのはともかくとしよう。内容はともかくロジックとしては収まっている。

 だが、それぞれの段落間に整合性が取れない。なんで結論が「米朝開戦」が「日中開戦」と同義になるのかが理解できない。それまでの段落ならそのような結末とはならないからだ。これもグンニョリである。


■ 誰に聞いたのか何を読んだのか

 軍事的ディティールも事態の整合性がグンニョリしている。

 簡単なことだ。水上艦を潜水艦が追尾するシチュエーションがあり、その水上艦が追尾されているはずの潜水艦をアクティブ探知し続けるシチュエーションが語られていること。それを水上艦が航行の自由作戦に行っているといった狂った事態である。

アメリカが「航行の自由」作戦を展開した際には、追尾した中国の潜水艦がすぐに米軍に探知され、軍艦からピンガー(探信音)を打たれ続けたとされるなど、不備が多いのが特徴です。こうした欠点は、実戦になれば致命的になることが確実です。


 普通、潜水艦が水上艦を追尾することはない。

 まずは速力的に厳しい。在来潜水艦なら無理であるし、原潜にしてもわざわざ静粛速力以上の速力を出さなければならないからだ。

 そもそも、潜水艦で追尾するメリットもない。公然監視としては目立たない。情報収集かねての監視なら自艦から通信ができない。そもそも最初に航行の自由作戦を行う米艦を見つけて接触を続けること自体が難しいからだ。

 追尾されている水上艦が潜水艦を探知し続けたもオカシイ。なぜなら航行の自由作戦を実施中だからだ。その後ろには中国水上艦がシャドーイングしている。余裕綽々といった状況出会ったと言いたいのだろうが、流石にそこでアクティブ戦でコンコン潜水艦を打ち続ける状況はない。

 ある意味、軍事的シチュエーションとしてのエッシャーのだまし絵となっているのである。

 それに比べれば事実誤認は可愛いものだ。
「また、海軍の兵力は未知数です。空母からの発艦実験や発射実験が実施されておらず、まともな演習が行われていないのが実情です。」


 ちなみに全て間違っている。中国海軍の兵力は明示されているし、空母からの発艦も行われているし、各固艦からの実射も行われているし、高度な演習も行われている。


■ 空想の産物でも辻褄をあわせるもの

 なによりも辻褄を合わせようとしない点が奇妙である。

 主張のほとんどは空想の産物である。それは別に構わない。信者さえ納得すればよいからだ。

 だが、普通は辻褄をあわせる。宇宙人の電波のお筆先をみてもそうしている。偽史偽伝でもそうしている。結果、江戸時代の写本に冥王星がでたりするが、自分の知識と矛盾しないようにする。

 それがない点で、文章を読んでいていわく言い難い特殊な感情が想起させられるのである。アレな御仁と話したときのグンニョリ感そのものでもある。


■ 女房擁護の140字でもロジックはグンニョリ

 ちなみに、渡辺さんの発言では140字でもグンニョリ感をアテられることがある。女房がパレルモ条約の翻訳と称して真反対のデタラメを広めたときの言い訳がそれだ

渡邉哲也‏@daitojimari
言論の自由は誰にでもあるが、恫喝や強要まがいの言論 許されるものではなく、場合によっては犯罪を構成する。 インターネットは実社会と同様であり、テロ等準備罪に反対する一部の人たちの異常性と犯罪性がさらに明らかになったと思います。そして、テロ等準備罪の必要性が確認されたと考えます。
https://twitter.com/daitojimari/status/879050081634144256


 この短文はどうやっても読めない。デタラメを広めた点への抗議への反発といった感情はわかる。だが、全体として何を言いたいのか、それをどうしても汲めない奇妙さがある。

 あるいは一文に収斂しないといってもよい。第一文と第二文と第三文が渡辺さんの内面的確信でしかつながっていないので総体として不可思議な主張になっているのである。

 それに比べれば宇宙人の電波のほうが論理明快だ。例えば、「あの女がオレの悪口を言ってる。それは事実だ。宇宙大明神さまが無線LANで教えてくれるからだ」は事実関係はともかく文章論理にねじれはないからだ。
2017.11
17
CM:9
TB:0
03:22
Category : 未分類
加賀孝英さんの「米情報機関によると」を信じる青髭さん

 「宇宙人から聞いた話」を真に受けてどうするのだろうか?

 加賀孝英さんがいつものどうかしている記事を出している。週刊誌記者のところになぜか世界中の情報関係者が情報リークしてくれるといった不思議な記事だ

 記事題名は「米政府が裏切り外交連発の韓国を敵視 当局『トランプ氏は訪韓中、ずっと怒っていた』 」である。要は米国はボク達の国、日本を愛して欲しい。憎い韓国を敵視していて欲しいといったネトウヨ願望擦り寄り記事だ。

 そして例によって都合よく情報が集まっている。憎き文大統領の傲岸無礼に宗主国米国さまが怒っているといった情報が「旧知の米情報当局関係者は、こう吐き捨てた。」「複数の米軍、米情報当局関係者から入手した情報だ。」「外務省関係者があきれて次のようにいう」と情報関係者から入手できたと主張している。

 もちろん基本的には宇宙人と会話したのたぐいである。とるに足らないものだ。

 だが、それを青髭@laboratorymembeさんが真に受けているのは興味深い。よりによって加賀情報が証拠であるとし、付和雷同して韓国をバカにしているからだ。


■ 加賀記事情報で悦に入る青髭さん

 以下、加賀情報を根拠とした青髭さんの発言である。

-------------------
以下、青髭さんのオリジナル3ツイートの中身を予防的に削除した

理由は、青髭さんの申し立てについてFC2より連絡を受けたもの
その概要を要約すると次の3つである
1「・他者を誹謗中傷・侮辱を目的としたfc2ブログの利用」
2「・無断転載禁止の他者文章の無断掲載」」
3「【 削除を依頼する具体的な箇所 】」
 として3ツイートの削除のみを提示

もとより引用には許可を必要とはしないことは明らかだが、3ツイートのみの削除がリクエストであるため応じた
23日11時 筆者追記
-------------------

 55字を引用していた。なおオリジナルツイートは157字、リンク抜くと95字


 42字を引用していた。なおオリジナルツイートは135字


 106字を引用していた。なおオリジナルツイートは139字


 欲しい記事が読めて嬉しかったのだろう。

 オカルトの実在を渇望しているオカルトマニアは『ムー』の発売を心待ちにする。周囲からバカにされるオカルト指向を肯定してくれる媒体だからだ。

 同じように韓国への憎悪をたぎらせた青髭さんも加賀さんの記事を心待ちにしているのだろう。自分が読みたい韓国憎悪のファンタジーが載っており、しかもそれが米情報関係者が、米軍関係者が、日本外務省関係者のお墨付きであると保証している。周囲から怪訝にされる嫌韓指向を権威が肯定してくれる貴重な記事であるからだ。
2017.11
11
CM:9
TB:0
11:24
Category : 未分類
 兵隊なのにマニア連と交流したがるヤツがいて、マニアにも兵隊と交流したがる連がいるのだけれども。どっちもペラペラ喋る連中だと思っていた。

 兵隊の方は、要はエリート二線級。CGS受かっただけが頼りの御仁なのだが、そのあとはまあ。別の幕の防大同大隊から「あいつは1佐にしちゃいけない」といわれていた。これは最近、市ヶ谷駅で己がたまたま会った知り合いとの会話で出た話。

 ちなみに一生懸命のアピールしか出来ないタイプ。作った演習の掩体が朝雲か何かに載ったときだが、写真を見た己の下僚の付幹部(陸)は写真を一瞥して「バカみたいな掩体作るバカだよね」と言っていた。それをご本尊がアトでSNSで朝雲に載ったと自慢しているのを覚えている。あとの商売も似たようなものなのだろう。

 そして「ボクはオタクに理解がある幹部なのです」でマニア界隈に擦り寄る。正確に言えば防大生の頃からそんなことをしていた。本物の学術系学会であるホニャララ学会系だと、チヤホヤされたいのだろうと見透かされていた。まあホニャララ学校と呼ばれた兵学系の怪しいアタリと付き合いある辺りも敬遠された理由なんだけどね。

 で、マニア向けにペラペラ余計なことを喋る。秘している訓令に引っかかる感じな人事関係とか配置とかもそう。さらに現役なのに政治向きのことを喋る。しかもアレ系を相手にして、例えばゲート関連やら海兵隊ヨイショ関連大好きのマニア相手にそれをする。

 それにつるむマニア連もマニア連。どうしようもない。現役高級幹部の客人として珍重するのはともかく。そいつがペラペラ喋ったことを「ボクは部内情報に通じているのです」で口頭でペラペラ再放流する。

 当然ながら自衛隊系サポーターを自称する連中。

 逆に自衛隊に厳しい系は、左右とも聞いたことはペラペラ再放送しない。その場限りか、出して大丈夫かを確認した上で使うか、あるいはチャタムルール風に特定できないように風聞を聞いたような形で書く。もちろん相手を見て話すし、第三者がいるところではうまく肝心部分は話さない。

 なによりもアレなのは、マニア交流幹部も幹部交流マニアも誰に会ったか、誰が来たのか、何を話したのかを明示あるいは暗示でネットに書いちゃうことだけどね。いろんな商売する上で、ボクは信用できない人間ですよと広言しているものだ。

 実際にこの商売は誰に会ったかと何を話したかはペラペラしゃべらない。もちろんどの商売でもそうだが。だから敵対している同士が仲良しだったり、仲良し風が犬猿の仲だったり、憎悪関係にあると勝手に思われている組織と情報交換や商売していたりする。
2017.11
06
CM:9
TB:0
20:49
Category : 未分類
 件の見世物ゼロ戦が売られる記事がある。価格は4億以上とのことだ。「零戦、売ります! 唯一の日本人零戦オーナーが決意のお願い」がそれだ。

 そこで利益が出た場合、寄付受けとの関係はどうなるのだろうか?

 このゼロ戦は寄付を募って飛ばしていた。「零戦里帰りプロジェクト」と称し「日本のものづくり」といったキレイ事を前に出して資金を集めている。

 つまりは、寄付を受けて維持したゼロ戦で儲けた形になる。

 その場合、寄付者への説明はどうするのだろうか?

 連中は非商業的活動だと考えている。レッドブル曲芸飛行の合間にランカイ的に見世物で飛ばしていてそれはないのだが、日本人が所有するゼロ戦といった文句に引っかかって金を捐ったおひとよしである。そう信じている。

 ちなみにこれは「売却するとき面倒だろうね」として去年書いたとおりである。

 そして、今回の文春記事にもそのあたりの説明はない。寄付受けはなかったことにしたいのだろう。


■ 「購入契約の保証人」は仲介手数料を意味するのではないか

 そしてボクは掴まされたので被害者です的な言い訳に終止している。「元々は、ある地方自治体からの「建設予定の博物館に零戦を展示したいので、機体の購入を手伝って頂けませんか」という打診から話は始まります。」「ところが2008年のリーマン・ショックで自治体が買う計画が頓挫しちゃったんです。私はボブ・ハンナとの零戦購入契約の保証人となっていましたので、契約履行責任を取って買い取らなければなりませんでした。」はそれだ。

 だが、よく読めばそれだけでも仲介手数料をとる商売であったように見える。「購入契約の保証人」で「契約履行責任を取って買い取らなければならない」とはそういうことだ。

 つまりは、米人と自治体が売却契約を結んだのではない。それなら自治体が違約金を払うはずである。さらにいえば、そもそもは契約に至らない。国や自治体は予算あるいは債務負担がついてから初めて契約するものだからだ。

 おそらく実態としては転売目的だということだ。

 推測だが、自己所有かあるいはそれに近いかたちにして、それを売る形としたのだろう。いちど現オーナーの手に渡る形になっていた、あるいは自治体が購入を決定してもいないのに米人から買う前提で話を決めていた。このあたりは買受を保証していたことが推測できる。

 なぜそうしたか? 単純に右から左に流すだけではコミッションはない。役所は吝いので事務手数料や輸送・通関の手間賃分しか払わないからだ。おそらくはそんなものだ。

 ちなみに「リーマン・ショックで自治体が買う計画が頓挫」もそれを補強する。なぜならありえないからだ。自治体はリーマンショックで契約解除はしない。仮にそうしても、その場合の費用負担は自治体もちとなる。さらに自治体の行動の結果として発生した損害なら自治体に請求ができるのに、それをしていない。


■ 商行為そのものは悪くはないけどね

 まずは商売だったということだ。当然だが、お人よしの人たちが信じるような、日本里帰りのための慈善事業ではない。

 もちろんそれは悪いことではない。ゼロ戦の売買はタダのヒコーキの売買である。輸送機械を売り買いして利潤を挙げることは真っ当な商行為である。

 ただ、その商売のために寄付受けするのはマズイ。商品なら自力で維持するのが本筋だからだ。それを「商品ではない、日本に還るべき技術遺産だ」と宣伝しお涙頂戴で寄付受けまでした。それを売却し、売却益をえる構図は批判されてしかるべきだろう。特にそれで海外に期待が売却されたとすればゼロ戦里帰りや日本の技術遺産といった建前も崩壊する。さらに筋悪だ。


■ ゼロ戦は儲かるよ、は無責任だよね

 なお、その上でいえば取材に対して「ゼロ戦は儲かるよ」も無責任な言い方である。

石塚 飛行できる零戦は日本でただ一機です。先ほど言ったように貴重なものですから、先日飛行した「レッドブル・エアレース」などの航空ショー、イベントで飛行を全国から要望されます。しかも零戦ファンは想像以上に層が厚いので集客力が抜群にあります。零戦を見て心の動かない日本人はいない、と私は思っています。日本は海外に比べて航空ショーやエアレース文化が定着していませんが、私のところにも自治体や基地祭などたくさんの問い合わせがあります。零戦の国内保存と飛行活動を知って頂ければ今後零戦が活躍する場は多くなるはずで、年間維持費も十分カバーできるようになると思っています。
http://bunshun.jp/articles/-/4750


 それなら「なぜあなたは手放すのか?」といわれるだろう。「年間維持費も十分カバーできる」ならそれはおかしいからだ。


■ 戦車ビジネスや軍艦ビジネスもそうだよね

 このあたりは里帰りを表に出した戦車ビジネスや軍艦ビジネスも同じようなものだ。

 いずれも寄付受けを表に出していながら、最後に兵器を売却放棄すれば利益は自分たちで囲い込めるからだ。状況としては戦車を探す話は立ち消え、軍艦は砲身だけ回収してどうするかは決まらずだが、寄付受けしておきながら最後まで面倒を見られなければ似たようなものだ。

 まずはロクなものではない。そういうことだ。

 それよりなにより、もっとロクでもないひとたちのコメントを読みたいものだ。それはこのゼロ戦転売を持ち上げたお歴々、例えば航空ライター商売をしている航空写真家さんや、ゼロ戦愛国商売をしている写真屋さんのコメントである。どうせ口をつぐむのだろうけどね。


------------------ 以下オマケ 6日2250i -----------------------

 あの説明に納得できるのは幸福なことだ。例えばこれだ。ホントに保証人だと思っているアタリ、ooi@n_mさんはまあピュアだよね。何でも文字通りにしか読めない。

購入の保証人とかホントに信じている
https://twitter.com/JDSDE214/status/927401346105450496

 「なんで保証人になるのか?」「保証人買い取り条項なんてあるのか?」って考えりゃ実際は転売ヤーなことくらいわかりそうなもんだがねえ。

 他人の言うことを鵜呑みにして、「高強度鋼は潜水艦を軽く作るためです」とかに雷同するあたりも、まーゼロ戦里帰り寄付にフックオンするような好人物にできてるんだろうね。

2017.11
04
CM:6
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12:32
Category : 未分類
 属するセクターがやっていることは正しい。そう信じ込めるのは頭が幸せにできているからだろう。それにより問題点を否認できるからだ。欠点が見えない、あるいは見ても気づけなければ、所属セクターにある闇を見ないで済むからだ。

 新・山と縄@office-R2さんもそのような方なのだろう。消防商売をしているうちに消防セクターとしての一体感を感じている。そしてかの消防設備、予防消防にある問題を否認している。

 以下、筆者記事への反応である。

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2
その他 新・山と縄@office-R2さんが新・山と縄@office-R2をリツイートしました
「耐火性が上がってるんだから避難器具なんか無駄」
「家で火事があれば家人は気付くだろ。火災報知器なんか無駄」 と平気で言えてしまう御仁、海自の基地設備の担当者だったらしい。
お察しですわ。
https://twitter.com/R2_rope2/status/925335745828569088

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2 10月31日
住宅火災件数が減り、全焼火災が減る一方で、住宅火災死者数は減っていません。
耐火性がある建物なら死人が出ないか?と言えば全くそんな事はなく、建物の中は炎・ガス・煙の充満する地獄になるのは珍しくもないわけです。
耐火建物でも、窓やドアから延焼する事はあり、安全ではありません。
https://twitter.com/R2_rope2/status/925333077479473152

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2
非常口や消火器、緩降機やシューターが法定設備となっているのは、過去にこういった機材が無かったから人が死んだ火災はもちろん、機材があったのに適切な管理がされていなかった為に死人が出た大火災があったからです。
やたらと梯子車が整備されているのも同じ。
https://twitter.com/R2_rope2/status/925334032816074752

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2 10月31日
(自分は)使った事はない、使わないだろう、(自分の知識では)役に立たないだろう=無駄や不要
と断じてしまえるなら、自衛隊不要論者と何にもかわりません。
もちろん、既存の避難器具に実用性があるのかは検証していく必要はありますが、その存在を不要と断じるのは全く問題外です。
https://twitter.com/R2_rope2/status/925335745828569088

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2 10月31日
「家で火事があれば気付くっしょw」というのは全くの素人考えです。
その通りなら年寄りはともかく一家が全滅したり、若者が死ぬ事はありません。
気付いた時には、我が家の間取りすらわからなくなる濃煙、一吸いで昏倒する毒煙、衣服が発火するような熱気に襲われます。
住宅にも火災警報機を。
https://twitter.com/R2_rope2/status/925340495399723008

新・山と縄@office-R2‏ @R2_rope2 10月31日
小田急線の火災の時にも言いましたが、ハコがいくら防火・耐火でも、中にいる人間や人間の持ち物(服や家具やあらゆるもの)は可燃物なんですよね〜
https://twitter.com/R2_rope2/status/925351300182581248



■ シューターや緩降機の使用例はない

 まず、最初に気づく点は山と縄さんはシュータや緩降機の必要性を肯定できていない点だ。

 両者を肯定するために次のように述べている。
非常口や消火器、緩降機やシューターが法定設備となっているのは、過去にこういった機材が無かったから人が死んだ火災はもちろん、機材があったのに適切な管理がされていなかった為に死人が出た大火災があったからです。(山と縄)


 だが、そこに使用例は提示されていない。

 それは実際に使用された例がないからだ。

 シューターは防災訓練でしか使わない。これは学校のベランダ等にある布トンネル式の脱出用滑り台。だがあんなものを使うくらいなら階段伝ってでたほうが早いからだ。ロープを放りなげて地面に固定してシュータを展開して時間をおいて順番に一人づつ降りるマヌケ器材だからだ。

 緩降機はそれ以下だ。同様にベランダから減速機構付のロープで降りる仕組みだが、操作に時間がかかる点は同じだ。それなら階段で逃げる。建築基準法で耐火構造が決められており、2方向避難にもなっているのでそちらのほうが早い。



■ 火報は有毒ガスを感知しない

 新たな消防利権、住宅用火災警報機の擁護もオカシイ。

 例えば有毒ガスを探知できるとしている点は不思議なものだ。

「家で火事があれば気付くっしょw」というのは全くの素人考えです。
[略]気付いた時には、我が家の間取りすらわからなくなる濃煙、一吸いで昏倒する毒煙、衣服が発火するような熱気に襲われます。
住宅にも火災警報機を。


 一種の脅しに近いものだ。だが「一吸いで昏倒する毒煙」とはなんだろうか?

 火事ではそのようなものは出ない。高濃度一酸化炭素は不完全燃焼の結果発生するものだ。景気良く燃えていれば生まれないし、酸化して二酸化炭素になる。化学工場でもないかぎり火災で硫化水素は発生しない。一般住宅なら嫌気性発酵の結果生まれるものだ。

 さらに、それらが発生する状況では火災警報器は動作しない。まず、どちらの感知機構もない。さらにいえば一酸化炭素が生まれる状態では煙感知も膨張率感知も動作しないからだ。

 さらに「我が家の間取りすらわからなくなる濃煙」というのも変な話だ。まず、一般住宅での発生はない。それまで気づかなければ単純に二酸化炭素濃度が高くなり死んでいる。また、仮にそれでも脱出できない状況もない。一般家屋に無窓室はほぼない。そこを寝室にするならそいつが悪い。

 ちなみに、家の中心から外までの距離は4mを越えない。なお、日本戸建住宅の平均延床面積は100平米程度、そこに建坪の統計はないが半分は平屋、残り半分が二階屋と乱暴に仮定すれば75平米、25坪程度である。正方形なら8m四方強である。どこにいても外までは4mもない。

 その距離で「我が家の間取りすらわからなくなる濃煙」で脱出できないことがあるだろうか?


■ 火災保険の割引もない

 さらにいえば、住宅用火災警報器があっても焼け死ぬやつは出る。

 特に放火や無理心中には抵抗できない。放火は外からの着火であり、屋内の火報は無効である。無理心中や自殺はそもそも消す気も逃げる気もないからだ。

 なお、放火は火災原因の第一位である。また一家全滅の類も無理心中が多く含まれている。最近だと大原の海自標的部隊の幹部がノイローゼでやった火事は両者のコンプレックスである。

 その効果も相当に低い。

 本来なら、保険会社は協力に推奨するはずだ。真に有効であれば火災保険は対応する。住宅用火災報知器をつければ料金は半分、あるいはタダで配るといった措置があるはずである。

 だが、全く乗り気ではない。割引率は3%程度である。行政に付き合う形にすぎない点で、その効果もさほど見込めないことを示すものだ。


■ 情緒だけで経済性の原則を無視

 なによりも不思議な点は、消防屋は経済性の原則を無視することだ。火災は危ないと情緒だけに訴える。それで過剰な規制を進める。だが、そこに効用の検討はない。

 そもそも、消防はいくら使っていくらの財産を守っているのだろうか?

 消防は年に5兆円は使っている。自治体の消防吏員が16万、消防団員が90万人いる。人数だけで自衛官よりも多い。他にも県や総務省消防の分もある。おそらくその程度には達する。

 対して消防により得られる効用はそれほど多くもない。財産保護効果はそれほど多くもない。消防が消したところで家としての機能はなくなる。その点でみれば年に1兆円の効用も挙げていない。

 もちろん、大規模災害や他にも水害や救命もあるだろう。しょうがないから消防吏員や消防団も囲い続けるしかない。

 だが、その費用対効果の検討はない。消防セクターは危険だとしかいわない。それにより生まれる利益を具体的に説明できない。そもそもコストも把握していないのだろう。

 そしてやることは自己組織の拡大、消防体制の推進だけだ。一般住宅に火災報知器をつけろは全くそれだ。防衛組織が防衛産業を利するだけの国産を進めるように、消防も消防設備産業を進めるための設備負担を強いる構造がそこにある。

 そこに経済性の原則はない。既述のように4mで外に出られる住宅に火災報知器を義務付けるように、強制によるコスト負担と受益の検討はない。

 そもそも、建物は防災のために作るわけではない。利用するためにある。それに防災第一主義の消防屋が絡み、しかも恣意的な指導をするとろくなことはない。

 実際にその害は大きい。不特定多数が使わない建物、危険物を収納しない建物まで過剰な費用負担を強いている。それが消防行政である。

 それで建物コストは上がっている。消防は大事と唱えて余計な規制をしている。その被害は一般国民にも及ぶ。住宅も対象にし始めたからだ。連中は自分の利益のために住宅の値段を上げているのである。

 一番良いのは建築は建築行政に一本化することだ。消防同意はあくまでも「同意」である。細々した条件をつける立場ではないし、その際にはその必要性と根拠法規を示し、抗弁の機会を与えるべきだ。その点で知識もない火消しは建築に口を出させるべきではない。緩降機やシューターの費用対効果も示せない連中に要はない。



■ おまけ

 まー、山と縄さんも消防と仲良くしなければいけない商売だからしょうがないのかもね。食べるためには仕方はない。

 例えば、https://twitter.com/R2_rope2/status/926448612556488704 といった状況をみるとねえ。悪いが「屠龍の術」といった言葉を思い出すものだよ。山や川のある消防署で10年に一回に状況として発生し、40年勤務していて一回実施するかどうかだから龍よりも発生確率は高いだろうけどね。
 
 ちなみに、江戸時代の与力は十手の抜き方コンテストをしていた。いかに格好良くシュッと抜くか。袖がうまくまくれて手首がセクシーに見えるか、十手の紫房がきれいに広がるかを競っていたらしい。

 昔、腰に安全索をいかに早く巻くかの稽古に熱心だった下士官もよく見た。ただ、筆者職域はそれに感化されないように、実作業は労安法があるから索じゃなくて安全帯使えとか、腰痛とかなるから無理な姿勢で作業するなとか、彼らみたいにハシゴでペンキ塗るな危ないから仮設足場使えと先任海曹が口酸っぱくして言っていた。
2017.11
03
CM:0
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20:02
Category : 未分類
 神保町の牛肉麺屋さん馬子禄。ハラル風の感じのお店。スゲーところを基準にすると、かの玉英堂の西、卑近な例だとカバンのレオマカラズヤの隣の件だけれども。

 奥歯に挟まった言い方をすると半年以内に選択を迫られるのではないか?

 なぜなら、今後は極端な伸びが期待できないからだ。


■ お客と店員比が気になる

 まずは大繁盛していない点だ。開店初期は大行列があった。スープが切れたら終わりといって午後入ると閉まっていたと言われていた。

 だが、今はそれはない。祝日前の2日夜7時ころは普通に空いている。本来なら繁盛時間だが店内も一杯ではない。だいたい10人いるかいないかだ。

 対して店員は7人いた。シフト交代時の一時的剰員ならともかく、そうでなければ明らかに多い。1時間にお客は2.5回転するとしても、25人に7人は多い。宝石や不動産や高級時計を売るならともかく、ラーメンでそれは良好なコンディションではない。


■ 客単価が低い

 客単価を低く抑えている点も大変革を予想させる。

 メニューは事実上1種類のみ。牛肉麺で、日本語どおりに麺条を細麺にするか太麺にするか三角麺にするかだ。

 オプションは牛肉追加とパクチー追加だけ。大盛りすらない。ちなみに牛肉追加は厚さ1ミリ、笹かまの半分サイズの牛肉ペラが4枚増えるだけ。隣のパクチー大盛りをみても山盛りではない。

 サイドメニューはなし。ハラル=清真風なので酒はないのはともかく、ラムの串焼きもないし、ピザのような麺麭系、西アジア・ロシアを通じた餃子風もない。

 まずは一人牛肉麺で880円しか払わない。一回牛肉追加をしても「この程度か」で二度と追加もしないだろう。これはもったいない。物珍しいので1500円2000円は払いそうなものだからだ。


■ 「もう一度」といった意欲も刺激していない

 これはメニューの問題とも通じるが、通う意欲を刺激していない。このためリピータとなるべき客をリピータとしていない。

 まず牛肉麺しかない上、味も一種なので違うメニューを攻略する気も起きない。もう少し格上だが、例えば咸亨酒店ならメニュー絨毯爆撃の意欲も湧く。だから結構通う。でも一種類ではそれも起きない。

 また、お上品な感じもリピーターを作り難い。例えば、筆者のような関東労務層系の雑巾舌にあわせた味付けがない。もっと塩と油を入れないと肉体労働系志向には合わない。比較的同じ感じのお上品にしても、はるか昔のひと月前に『丸』の編集部があったとされる九段下の雲林坊なら麻も辣もある。

 ハラル風なら羊骨のコッテリあたりを作ればいいのだが、それをしないのは残念なものだ。


■ 半年程度で決断があるのではないか

 だから、半年以内に決断があるのではないかと見ている。直截言わずに遠回しにいうとそういうことだ。

 ちなみに、食事としての評価は悪くない。美味しい部類に入るので不味くはない。別段に待たされることもない。値段も別に高くはない。筆者は汚くてもOKというか、汚いほうがたいがいは美味しいと感じているが、馬子禄は清潔である。

 だが、店賃と人件費と原材料費と光熱費がペイしているかは厳しい。今四半期は開店時行列で空前の儲けだろうが、次期はどうなるかとみている。



 その意味で行くなら今である。神保町の救世主を語るウザい老害になるには今のうちだ。印象に残る例なら火事で店を閉めた「てんや」。いわQの隣で「名前が気に食わないから行かない」と結構いわれていて潰れた、かのラーメン屋。だめそうで本当にダメ立った例なら、不味そうに見えながら中国人がバンバン入っているのを見て、もしかしたら美味しいのかと思い入ったらやっぱ不味くて最近、案の定に閉店した麺屋いそろく。それらをアトで関係者のいない歌舞伎町の小吃あたりで話の種にするように、念のために今のうちに行くべきだ。

 まー、他にも話題にならない麻辣系の店があと一軒あって、これも順調に決心を迫られそうだなと思って観察している最中。ハズレだろうと思って入って、アタリではなかった。別に不味くも極端に高くもないのだが、店内雰囲気の異様さから一回いっても誰もリピートしない感じ。ちなみにこっちは美味くもない。それよりなによりは客を拒絶する雰囲気で、店員同士もなんというか、井上陽水で例えるなら氷の世界と言った感じ。その雰囲気を「おれ、アレな店いったことある」コレクションとしておくべき。ヒントは周恩来総理かな。
2017.11
02
CM:1
TB:0
22:03
Category : 未分類
冬コミ当籤

3日目/12月31日(日) 東地区 "テ" ブロック 03b

です

なんとなく機雷戦のまとめ書こうかと思ったのですが
3ヶ月前の申込みをみたら「F-35Bは正規空母を滅ぼす」なので
「それもいいか」なので、それにします

あとは『七戦七捷』は、準備的な簡易版にして
別に『中国の機雷』でも作ろうかなあと
2017.11
01
CM:14
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05:02
Category : 未分類
 アレ宰相サポーターは、自分の主張にある論理の捻れに気づけない様子である。

 ことりんさんのツイートだが、ロジックが捻れているので正確な要約もし難い。強いてそれを一文で示せば「脱原発なら、海上輸送を保護する首相に反対するな」だ。だが、発想として「反原発のロジックに反論すれば反安倍政権のロジックを論破できる」と考えているあたりで論理展開として不可思議になっている。その上、アレ首相擁護の気持ちが先走った結果、珍無類の主張となっている。

ことりん‏ @Braveymithra
脱原発派は、たいてい反安倍派でもある。で、お聞きしたいのだが、脱原発なら火力発電に頼るしかない。=原油が必要である。よって、シーレーンの確保が大切である。では、なぜ シーレーンを守るために安保を強化したい安倍首相に反対するのか?いったい、何をもって、電力を生む予定なのか?
https://twitter.com/Braveymithra/status/925142436233359360



■ 反原発と反安倍に至る理屈は相互に独立していることを理解できないことりんさん

 だが、そもそもあるべき指摘がない。アレ宰相への批判は民主主義を蔑ろにし国家を私物化する点である。国会での論議を軽んじ、国会を開かず、法規を軽んじ、友人に国有財産を横流しにする点だ。だが、それには一切触れていない。擁護者の立場からすれば首相の悪事は直視できないのだろう。

 そして捻れとして、その不満はすべて電力問題に帰着するように書いている。なるほど反原発派と反安倍は重なることがおおい。だが、反安倍となる理由は既述のとおり国政の私物化にある。電力問題ではないし、電力問題を安定化させても批判にいたる構造は変わらない。


■ 事実誤認も多い、海上輸送保護は安倍の専売特許ではない

 しかも海上輸送路保護はアレ宰相の専売特許ではない。日本では昔から重視されている。九〇年代の政権交代でも、〇九年の政権交代でもシーレーン保護は重視されていた。つまりアレ宰相が始めたわけでもない。また、アレ首相は特に熱心でもない。熱心なのは中国包囲網の妄執だけだ。

 事実誤認はさらに重なる。今の火力発電は原油に依存しないし、海上輸送路も慣用的な意味でのシーレーン、ホルムズ-マラッカ-バシー経由の航路でもない。熱源は石炭やLNGがメインであり輸送路もバラバラである。


■ 反原発・反安倍政権を論破した気持ちになれればいいのだろう

 つまりは、ことりんさんの意見はなにもかもがオカシイ。それをそのまま提示できるあたりアレ首相を擁護できればそれでいいのだろう。実際にリツイートしている連中もその程度の連中である。ロジックとして体をなしてなくとも、反原発運動と安倍政権への抗議者を論破した気持ちになれればそれでいいのだろう。

 まあ、所詮はこのレベルだからねえ。
ことりん‏ @Braveymithra
脱原発⇒太陽光発電推進⇒ソーラーパネル設置の口実で山や丘を削る⇒自然災害拡大⇒日本の国土弱体 彼らは無能ではない。着実に日本を弱める布石を打っているのだ!我々が気づかぬうちに…
https://twitter.com/Braveymithra/status/925217902361427968

なんか、日本は滅びようとしているといった国難系のご宗旨でもやっているのでしょう。しかも陰謀論つき。このあたりファントムの前足が折れたのを「自衛隊には工作員が入っているのよ、炙り出せ」といってるオバちゃんに似ているもんだ。